ニューヨーク滞在記⑭

アフタープレイス駅は、以前相方とホテル初日に、美味しいラーメンを食べに来た駅だった。駅からは地図を見ながら効率よく歩いて、すぐに16:30頃に、ユウキの行きたいと言っていたインド料理屋さん、パンナⅡに辿り着くことができた。入り口で階段を上って左右にお店が分かれていたんだけど、そこの左右のお店の客引きが、うちがいいようちがいいよと、それぞれ進めてきたのだけれど、最初からパンナⅡに決めていたので、右側のドアを開けたのだ。

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店内は、神秘に溢れるようなライトアップだった。メニューを見ながら、魚介類と肉類との2種類のカレーを頼むことにした。お通しには、胡椒を小麦で練って焼いた感じのクラッカーを出された。それを一緒に出された香辛料や甘辛いソースにつけて、口へと運んでいく。パリパリのクラッカーは香ばしく、乗せた香辛料にはヒーヒーと辛いものが、あった。

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ビーフポテトベジタブルのミックスされたカレーと、ロブスターのカレー、そしてナン、ご飯、キャベツのカレー煮、豆のスープが支給されたのだった。そして、飲み物にはスイートラッシーという、ヨーグルトっぽいリキュールを注文してみたのだった。

最後に、飲み食いして25.75ドルを割り勘することになる。これはちょっと安めだ。ご飯はやはりタイ米とあってパサパサめではあったものの、焼くのでなく炊いて作られていたので、水分のあるものだった。全体的に唐辛子辛いのだけれど、肉もロブスターもしっかり味付けされていて美味しかった。全体的に、めっちゃ満足。

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サービスで、デザートにマンゴーアイスを出してもらった。非常にサービスが良い。時間的に中途半端な時間だったので、店内には俺ら以外のお客さんは、一組しか見られなかった。ユウキが店員に雑誌に載っていたと言うと、店員さんはよく載るんですと答えてくれた。

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最後に、お口直しに出された甘めの実で辛さを和ませてから店を後にする。返ってきたお釣りをチップとして挟んで残しておいたため、結局、銘々で15ドルを払ったことになった。チップが多いか少なかったのかは不明だけれど、俺的に味にも店内の内装にも大満足だった。

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17:00にご飯を食べ終えた2人は、アスタープレイス駅まで来た道を戻っていく。そして、グリーンラインでグランドセントラル駅までアップタウンして、そこから歩いて数分をかけてロックフェラーセンターを目指すのだ。

グランドセントラル駅は地下鉄の乗り換え駅として名高い、とても大きな駅であった。歴史的な建造物はホテルのよう厳かな内装で、大理石の空間と国旗が冷ややかで美しかった。

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いきなり目の前に広い空間が開けたもんだから、その規模の大きさに圧倒されながらも、階段に登って写真を撮ってみる。天井には星空が散りばめられているようで、星座が描かれていた。

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中央はインフォメーションになっているようであった。日本人の修学旅行生が何人か来ているようで、制服姿の男女が日本語の方言で話をしている。僕らはそんなのを尻目に、大理石の上をコツコツ歩いた。17:30になって、そこからロックフェラーセンターへと向かうことにした。結構な距離を歩いたんだけど、もちろんここ、ニューヨークの通りはSt.の番号とAve.の番号とで碁盤の目のように定義されていたので、一度も迷うことはなかった。ロックフェラーセンターの隣にはラジオシティーという建物があった。まだ今は賑わってはいなかったけれども、ラジオシティ・ミュージックホールは世界最大のホールであるらしく、ここも何かで有名だと言われているようであった。

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ロックフェラーセンターの上の部分、トップオブザロックに入場するためのチケットは、20ドルだった。1階から一気に65階までを、エレベーターが釣り上げるのだ。エレベーターは重力に逆らいながら、高速で上へ上へと上り詰めていく。65階までは、30秒ほどの時間であった。

そこから68階までの間は、テラスをゆっくりと周りながら、エスカレータで上って行くことができる仕組みだった。分厚いアクリル板の囲いのあるテラスを歩きながら、360度の景色を堪能する。街はウルトラマンの撮影セットのように映った。乾いたコンタクトレンズが視界を曇らせるのを、何度もあくびして目を潤わせながら、視力を限りに景色を焼き付けていく。

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時折、休憩のためのベンチが設けられていたり、屋内には壁が光るイルミネーションなんかも設備されていた。しかし、そんなもんには目もくれずに、ゆっくりゆっくりと360度が繋がるように写真を撮って歩いていった。

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カメラのストラップを腕に巻きつけながら、そして、アクリル板の15センチの隙間からカメラを外に出しながらだ。写真にすると現実での対比物が切り取られてしまって、遠近感が分かりづらくなってしまうのが、残念でならない。

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19:00までに68階までの一通りの風景を堪能した後に、ベンチに座って景色を眺めながら、ユウキと恋愛話なんかをしてみる。ってかフェリーで見かけた子が相当タイプだったみたいで、後悔していたみたいだった。とても美しい夕焼けを見ながら。

19:30に近くなって、やっとこさ夕陽が完全に沈む瞬間を迎えた。やっぱりここは日本よりも日が長い。夕陽はハドソン川の境界線へと身を隠していく。半身を沈めてからは、水辺が暗くなるまでに1分としてかからなかったように感じられた。そして、ユウキにとっては、この瞬間をもってホームステイ先に帰る時刻となってしまった。彼は夕陽が落ちるのまでの時間を粘って、それから帰宅すると宣言をしていた。彼はトラブルがあっても、一応ホームステイをしていることには変わりがない。夕飯のために自分で約束してきた門限のために、帰らなくてはいけないのであったのだ。

それでも俺は、彼に合わせずに、ここに居残ることに決めていた。ユウキに続きを収めておくということで、カメラを借りた。「Bye-bye」した後にも、一人で2分おきぐらいに写真を撮っていった。太陽の沈んだあとの、夕焼けが沈み行く街並、そして、街に灯りがともりはじめて、夜景へと移り変わっていく様子。もちろん現前の生の景色を堪能しながらも、それらを丹念に、無心で枠へと収めていった。

夜になって、街の様子に変化が見られなくなってきた辺りになると、俺はただボーっと目の前の風景を眺めながら、近くの腰かけに座っていたのだった。

ここでは、空に切り離されて宙ぶらりんになったような気分であった。人々は程ほどに混雑していたけれども、景色を邪魔する程ではなかった。少しの間だけ、日本人女性のビジネスウーマンって感じの人の日本語が聞こえてきた。しかし、それ以外は外国語ばかりであった。意味を想起させる日本語ではないからであろうか、雑音にイチイチ気を取られるようなことはなかった。それは気の散らない、自分だけの空間であった。空から吊るされた透明の球に閉じ込められたような気分になった。そこに流れていたのは、煌々と輝く下界のビルたちをただ見下ろす時間だけだった。

そんなときは、色んなことを思って仕方がなかった。この景色を観て、普通の人は何を考えるのだろうか。俺が感じるのは、孤独だ。夜景を見て感動するのは、何に対してなのだろう。俺はそれはエゴなんじゃないかなって、ちょっぴり思ってしまった。それは人間のくだらん誇りなのかも知れない。だって、人類は夜になってもこんなにも明るい、繁栄の街を築き上げたのだ。そして、超高層ビルと呼ばれる建物を建てて、その屋上にちょこんと座ってみる。その結果、文明の発展によって実現した景色を見下ろして、悦に浸ってしまってるだけなんじゃないかなぁって。たとえ他の人が何かを感傷するからといって、自分も何かに共鳴して、同じことを思った気になったりするのであろうか。それは自然に出る本当の自分の感情なのだろうか。目の前に広がる景色は、ただそれとして存在するだけで、俺には特別な心情を見い出させてはくれない気がした。

ただ一つ、ふと浮かんできたのは、この世界に貢献してきた祖先に感謝しなくてはいけない、という感情であった。彼らが生み、営んできたこの世界の中で、俺もこうして今、特別な恩恵を眺めることができているのだ。こんなに遠く離れた世界にやって来れたのも、そいでこんなに高い建物に上っているのも、名も知らないどこかの誰かたちのお陰なのだ。その恩恵に感謝しながらも、自分もこの下で生活する人類たちに、ほんのちょっぴとでもプラスに貢献できる人間になりたいなって思った。

空は澄んでいて、快晴と呼んでも差し支えない顔つきを見せていた。そうだ、さっきから何か物足りないものがあると思ってたら、空にいて、月が見つからないんだったんだ。俺はもともと、月を見るのは好きな方だった。こんなに高いところに上ったら、月はどんな見え方をするのだろうか。やっぱり間近に見えたりするのかな。ふとそんなことを思って、警備員のおじさんに「Where is the moon?」と尋ねてみることにした。おじさんは俺に聞かれて「確かに無いな」って表情になって、同じく警備員をしている近くのおばさんに相談をしはじめた様子であった。おばさんはすぐに、ギャーギャーとした声を張り上げて、おじさんと俺に教えてくれたのであった。「今日は見えないよ」、「今日は見えないけど、明日見えるよ」と。何それ、そんな、月って見える日と見えない日があんのかよ!俺の英語の聞き間違いだったのかなぁ。いや、でも確かに今日は月が見られないんだよな。。。それで今、日記にしながら、今になってやっと気がついたよ。それは新月だったってことだったんだね!!

それからまたしばらくの間、変化を見せない夜景を眺めるために、ベンチに戻った。今日は飲み物も食べ物もリュックに残ってなくて、買ってからここに入ろうとも思ってもみなかったんだけど、まだ何も食べる気にはなれなかった。夕飯のことは何も考えられなかった。そして随分の間何も飲まずに体育座りになって、ただじっと座っていたのだった。

んでまぁ、21:30になって、ホテルに向かって久しぶりに腰を上げたのだった。時間による景色の変化はある程度把握できたので、趣は感じ取れたような気がした。

今日は勤労感謝の日で祝日だった。だから、きっとビルの明かりは普段よりも少なかったんだろうな。天気も良かったし、ラッキーだった。もう、言うことなしっしょ。本心からもう満足で、二度と来なくても良いなって思えた。みんなはこの景色を誰に見せたいって思うんだろうかな?やっぱり一番大好きな人に見せたいってなるのかな?

この建物からは、スピリチュアルな思考とパワーをもらったような気がする。開放感に包まれた。思考はまだ止めどなく溢れ出してくるような気がしてならなかった。なんか思い足りないという考えに浸りながらも、今日も地下鉄には乗らずに、歩いてYMCAまで帰ることに決めたのだった。

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取りあえず、この高揚感を維持しながら、ぼんやりと色々なことを考えながら歩くのを欲したので、維持したく感じたからさ。

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帰りに、道に迷って日本語で「あっちでもないこっちでもない」と困っていた女の子が2人いるのに気がついた。交差点の信号待ちで追いついたので、可哀そうに思って、その大学生ぐらいの日本人に声を掛けてみる。彼女たちの目的の57St.のホテルは、7番街の57St.にあって、帰り道の途中であった。土地勘のある一面を見せるついでに、送ってあげることにした。彼女たちは津田塾女子大学の生徒で、千葉と東京都大田区の出身だと言っていた。今日は3日間ほど滞在するニューヨークの旅行の初日で、飛行機で到着してホテルに荷物を置いてロックフェラーセンターに上ったところ、帰りに迷子になってしまっていたらしかった。

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部屋にたどり着いたのは、22:00を回った頃であった。誰もいない部屋に先に入っていると、相方が15分ほどしてから帰ってきた。いつも、なんでいつも同じタイミングなんだろう。聞いてみるに、彼もさっきまで、ロックフェラーに上っていたというのだ。なんてこった、絶対向こうで逢ってたはずなのに!めっちゃいた時間がかぶっていたのに、全く分からなかったなんて。。。

そこで、相方に今日感じたことなんかを聞いてみることにしてみた。俺は、今夜感じたことを正直に話してみることにした。彼は趣を大事にする性格だから、俺のことをつまらない人間だって思ったんだろうな。彼はお気に入りの曲をi-podで3周しながら、小説の一説を思い出していたんだそうだ。そりゃやっぱかっけぇよ、俺そんなの全く頭かすんなかったし!そんな小説とか音楽とかのストックも持ってなかったし。。。けど、独りになってずっと物思いにふけっていたい気持ちとかは、めっちゃ似てるな。そんなこんなで、しばらく今夜の感想なんかを聞いたのだった。

それで、今日は洗濯をしなくちゃならない日の予定だったので、25セントを作るために、一人で買い物をしに再びホテルを発つことにした。ホテルのフロントでは先日の通り、洗濯と乾燥に必要な25セントを両替してはくれないのだろうからだ。

時刻は22:30になっていても、タイムワーナーセンターの地下のホールフーズはまだ営業を行っていたのだった。そこで、ポリバケツのような材質でできた大きな容器のトロピカーナのオレンジ味を5.69ドルにて購入する。これは大きなボトルなので、単位あたりの値段が安い計算なのだ。このオレンジにはパルプという、果肉の繊維のようなものがたくさん入っているやつみたいなんだけれど、部屋でちょくちょく飲んでいこうと思う。

購入時にレジでおばさんに、ついでに1ドル札を25セント4枚に替えてくれないかと頼んでみたんだけど、断られてしまった。その後、ホールフーズでの買い物を、辛抱強くもう一順することを心に決めて、シザーサラダを明日の朝のために購入(3.19ドル)することにした。これで9枚の25セントを集めることが出来た。洗濯1回のために、なんて労力がいることでしょうか。

洗濯機を回しながら、地下の洗濯室に篭もってパソコンを広げて日記を記述していく。時刻はまもなく23:30だ。こんな風に日記を書くためにまとまった時間をとれるのは久し振りだ。洗濯機は25セント6枚の、合計1.50ドルだった。近くの洗濯機のところから話しかけられて、おじさんに操作をちょっと教えてあげたんだけども、そのおじさんに去り際に「Good night.」と言われたのが、ちと嬉しかった。

0:30になって、洗濯機から乾燥機へと洗濯物を移していく。乾燥機は10分で終わってしまったので、もう一度回しておこうと思う。合計で0.50ドル。部屋に戻ったら、半乾きはまたスーツケースに広げておいて、ジーパンを干しておかなくちゃあならない。ジーパンは洗わなくてもいいんだろうけれど、夏場はベタベタするのが嫌なんだよね。半乾きはもっと困るんだけど。

この乾燥機で、綿100%の小さなパンツたちは大体乾いたので、安心して1:00からゆっくりシャワーを浴びに行った。シャワーの勢いと熱で顔の日焼けがピリピリする。そうして、ドライヤーから身の回りの整理までを済ませて、2:00にベッドに落ち着く。

今日も実に歩き疲れた。でもって少しお腹が痛い。胃の辺りがロックフェラーセンターの帰り辺りから張ってるんだよね。まぁ、平気だけんど。パソコンを開いてると、なんだかんだで2:30になってしまった。今日もベッドメイキングがなされていない。ここへ来て2回目だ。今朝置いた1ドルを再び回収して、財布にしまうことにする。明日の掃除のおばさんに賭けよう。

明日はテストだ。今週は日本人ばっかのクラスだったから、来週からはクラスを変えてもらった方が良いんかな?おやすみなさい。

 

 

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