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生き様カイギで登壇をしてきました!

※この記事は、2017年9月19日に開催された「生き様カイギ」でのOB訪問の座談会の書き起こしです。

弦本:よろしくお願いします。

参加者:お願いします。

弦本:みなさん、何書いたんですか。自分のなかでやりたいこと。

参加者:スズキと申します。私が書いたのは、焦らない、急がない、求めないです。

弦本:なるほど。これは、何でこういうのを書いたんですか。

参加者:そうですね…。

弦本:自然のままに、みたいな。

参加者:そうですね。結構ありのままに、自然のままにって、人生の流れで、自分があるものを、今自分として楽しんでいけたらいいなという感じですかね。あと、あんまり生き急がないというか。年相応が大事だと私は思って。そのときに、楽しむことを楽しむといいなと思っています。

弦本:なるほど。素晴らしいですね。よろしくお願いします。

参加者:よろしくお願いします。

弦本:タカハシさんはどんなことを書いたんですか。

参加者:自分の納得のいく行動をする。

弦本:納得のいく行動と職場。その心は、いつも人の言われることをしているからですか。

参加者:いや、自分のこだわりみたいなのは大事にしたい。

弦本:納得したうえで、ちゃんと考えてから行動したいみたいな。

参加者:人に何か言われて、でも納得いかないなって思ったら、自分の納得いくように行動に移したいなって思っています。

弦本:なるほど、分かりました。よろしくお願いします。

弦本:じゃあ、とりあえず僕の人生の話をして、何か気になることがあれば聞いてもらえればいいし。気になることがなければ、全然雑談してもいいし。

参加者:せつない。

弦本:せつない(笑)

目次

自己紹介

リクルートに入社した理由

冒頭の自己紹介タイムに、少しだけ話したんですけど、現在はリクルートで働いて7年目で、会社を2つやっていて、ビルのオーナーもやっています。

幅広くいろんなことに興味を持つ性格なので、結果的にこういうふうになっているんですけど(笑)

昔からずっと、いろんなことに好奇心をもっている性格でした。

たとえば中学校で進路の選択をするときに、文系と理系にまず分かれるじゃないですか。

そのときは、理系に行っても、文系は自分で勉強できるんじゃないかなっていう気持ちになって。ほら、文転ってしやすいけど理転ってしづらいって聞くと思うんです。じゃあ理系に行くかな、と思って理系に行きました。

そして、高校生になって大学の進路を選ぶときに、今度は情報系に進んだんですけど、何でかっていったら、プログラミングやITを勉強しておけば、他の分野と「掛け算」ができるなと思って。

IT×医療とか、経済とか、文学とか、宇宙とか、いろんな分野と掛け合わせができるから、とりあえずITを勉強しておけば、選択肢を絞らなくていいかなっていうのを思って、ITを選択しました。

当時はライブドアのホリエモンとか、サイバーエージェントの藤田さんなどが世間を騒がせていた時期だったので、当時よく一緒に勉強していた友達が、ITがいいよと言っていて、興味をもつようになりました。

新卒で入社したのはリクルートなんですけど、何でリクルートにしたかって話をすると、就職のときも、「今まで選択肢を絞ってこなかったけど、どうしよう」って思っていたら、リクルートは、リクナビとかスーモ、じゃらん、ゼクシィ、ホットペッパー、カーセンサーみたいな、旅行とか、飲食、住宅、結婚、といった、いろんな分野で事業を展開していて、自分の選択肢をせばめなくてもいいかなって思ったからです。

他にも受かった会社でいうと、楽天とかヤフーとかで、同じように、たくさんのドメインの事業をしている会社でした。

ただ、リクルートに入ったものの、でもそれだけじゃ飽き足りず、自分でも会社をはじめたんですけど(笑)

リクルートの内定者100人に会い、起業

リクルートに内定して、自分は人が好きな性格なので、内定者にひたすら会いに行ったんですよ。

100人いたから、100人全員に会ってやろうと思って、片っ端から会いに行って。

東大生がいたら東大の授業にもぐらせてもらったり。東京藝大の人がいたら、芸術論の授業に行って、授業を受けてみたり。

東京藝大では、「身体論」という授業があってもぐらせてもらったんですけど。その授業ではひたすら目のまわりの筋肉の勉強や、骨格の勉強、まぶたの毛の生え方などの理論を勉強するんですね。授業の最後の5分ぐらいで「それでは、眼を描いてみよう」といきなり言われて。でも、事前に目の筋肉や眼球のかたち、外からは目に見えない中の構造がわかるから、「おお、ちゃんと描ける!」みたいな(笑)

そういうようなことやって、内定者それぞれのやっていることを教えてもらったり、一緒に体験したりしました。そしたら、同期の100人いたなかで30人ぐらいが起業をしていると知って「負けた…」と思って。

なので、「俺も会社作るわ」ということで、グーグル先生に聞いて検索をしてみたら、「法務局」に行ったら会社を作れると出てきたので、法務局に行って、無料相談コーナーで、おじいちゃんに優しく教えてもらって会社をつくりました。

法務局って、会社を作ってもらうことをミッションにしているので、意外と丁寧に教えてくれるんです(笑)

そして、会社作ったのはいいけど何したらいいかな、と思って。

参加者:えー。作ってから考えたんですか。

弦本:そうなんです(笑)

それで、30人の起業している人たちにもう一回会いに行って。「起業したんだけど、何をしたらいい?」って聞いたら、ある人に「イベントをしたらいいよ」って言われて。イベントはその場でお金を集めてお店に払えば少額からはじめられるし、キャッシュがまわりやすいって。なので、最初はイベントからはじめました。

専門性を活かすイベント事業

でも僕のなかでは、頑張っている人を応援したいとか、専門性の高い人たちを応援できる場所を作りたいと思ったので、毎回同じイベントをやらないというルールを自分で決めて、アレンジしていきました。そこでは、専門性の高い学生さんとかの活躍できる場所みたいなのを自分でこだわって、テーマにしてやりました。

最初は音楽系の学生さんでした。衣装とか楽器を持っているんだけど、発表する場所がないみたいな人に対してです。

ピアノを弾きたい、人前で発表したい、でも場所がないみたいな感じの人たちです。

一方で、これは六本木の近くだったんですけど、ピアノが置いてあるんだけど、さびれていてお客さんがあまり来ないレストランがあったんです。

そこを貸し切って、音楽を聴けるイベントとして交流会をしました。今でいう街コンやオフ会に近い感じでしょうか。

他にも、ダンスをやっている学生さんの団体を8組ほど集めて、渋谷のクラブでダンスイベントをやったりしました。クラブって、夜は普通にお酒を出して、ガンガン、チェケラーって感じなんですけど、夕方は結構あいているので、安く貸し切れて。

15歳から18歳ぐらいのダンサーさんたちを集めて、お酒は出さないで、初めてのクラブデビューみたいな感じでやりました。クラブって音響も音楽も照明もいいから、スモークを焚いたりとか、照明を当てたりとかして。そこでは、フレアバーテンダーという、お酒を振り回すようなかっこいいパフォーマンスもありました。

あとは、芸術系で、絵を勉強している学生さんにバーテンダーで立ってもらうというのも試しました。バーで1杯1,000円のお酒を飲むような人って、収入も高くて、知的階層の高い人だったりするので、そこで芸術とか絵の話をしてもらうというコンセプトのバーっていいんじゃないかと思いまして。

他にも、大学で教職をとっている人を沖縄の離島に送り込んで、学校で勉強を教えながらタダで沖縄で遊べる、みたいなことをしてみたり。

教職は持っているんだけど教師にならない人とかがいて、もったいないんですけど。教職を持っている人たちを沖縄の離島に連れてって、そこで先生やってもらうみたいな。昼は授業、放課後は素潜りとかしてもらう、みたいなのをやったりしていました。

自分としては専門性がある人たちの、そういうところを伸ばせるようなことを、事業としてやってきました。

それから、自分の2つめの会社になった事業なんですけど、それは高等専門学校というところで。

「高専」との出合い

高専って知っています?おお、結構みんな知っている。実はあんまり知らない人が多くて、僕もはじめは知らなかったんです。

高専は5年制の学校で、中学を出て高校に3年行く代わりに、高専に5年行くところなんです。5年制なので、高校プラス2年で短大卒扱いになるんですけど。短大卒扱いになると、皆さんみたいに四大のみなさんと違って就職するときに、結構難しいんです。

東京に出てくると高専を知らない人が多いみたいで、就職のエントリーができないとか、面接に行っても「高専って何?」みたいに言われたりして。

実際は、もともとゲームを作りたい、宇宙に行きたい、ロボットを作りたいみたいな人たちが、中学から進路を絞ってきているので、熱意もあって実力もあるんです。実際に、ロボコンやプロコンだったりとか、有名な集まりもあったりします。

高専は、日本全国に57校あるんですけど、地方にちらばっていて。

そういう人たちを、東京で働く機会みたいな感じで、無料で食費とか滞在費とかを出してあげて、企業さんを回るツアーっていうのを企画してやったりしていました。

2週間で東京のITベンチャーを回るツアーを組んだりとか、インターンをしたり。あとは東京のWebの開発を企画して、全国の学生さんにちぎって渡して。時給1,200円以上で働けるよって。

結構、地方だとガソリンスタンドとか居酒屋とか、コンビニとかで働いていたりしていて、選択肢があまりないなと思って。せっかく技術を勉強しているんだから、技術でバイトしようよみたいな感じで。

当時、ヤフーとかmixiとか、サイバーエージェントとかから受注させていただいたり、今は6年目ぐらいの会社になっています。

ビル、買っちゃいました!

それで、いろんな種類のプロデュースをしてきて、今度はプロデューサーを育てるプロデュースをしようかなみたいな。プロデューサープロデュースみたいなのをやろうと思って。なので2年半前にビルを買って、20代だけ集めて自分たちの実現したいことを実現できる場所っていうのをはじめました。実際に運営しているのは、ひとつ下の世代の人たちなのですが。

共通しているのは、可能性のある人を応援したいってところで、頑張っている専門性のある人たちが羽ばたける場所を作ることです。

2階にテナントとして入った会社が運営している、「プロハ」という、正式名は「TOKYO PRODUCERS HOUSE」というんですけど、そこには「これから何か新しいことはじめたい」みたいな人が来て、勉強して交流してノウハウ身につけて、外で羽ばたける場所になっています。社会人3から5年目ぐらいで、本業で働きつつ新しいことをしたいみたいな人たちが集まる場所になっています。

なので、ビルのオーナーはそういうことをやっているので、リクルートでやりつつ会社もやりつつ、ビルのオーナーもやっていますみたいな感じです。

弦本:さて、もし質問があればお答えしましょう。何か質問とかはありますか。

質疑応答

ワクワクを大切に

参加者:意思決定するときに一番重要にしていることは何ですか。

弦本:自分がワクワクすることですね。

参加者:お話をうかがっていると、ビジョンみたいなところ、結構じっくり考えて動いているかなって。

弦本:そうですね。

参加者:それで、世界観がワクワクするみたいな感じですか。

弦本:そうですね。まずは自分がワクワクするっていうのが、すごく大事かなと思っています。自分がワクワクしないのに、お金が入るからやるとかってあんまり好きじゃなくて。自分がワクワクして、目の前の人のためになって、世のなかのためになって、最後に「ありがとう」ってお金がもらえたらいいかなと思っています。なので、最初は自分のテンション上がるかどうか。自分がテンション上がんないようなことだったら別に友達に渡してもいいし、自分でなくても、別に誰かがやればいいし。

参加者:やりたい人がやれば。

弦本:本当にやりたい人がやればいいじゃない。

参加者:僕も自分の直感でやりたいと思うことがあったりするんですけど、それでも自分がこれやりたいなと思う程度で、たとえば事業にまでいたるとか、それを仕事にしたいとかいうところまでいけてないんですね。それの決定の判断のところは、どういったものを自分のなかで引いているのかなって。

弦本:僕のなかでは、多分、まずは自分がやりたいってことも大事なんですけど、人のためになるのが自分で好きなので、自分のためになって人のためになって、さらにそれが世の中のためになるんだったら、事業としてとか自分で継続してやる意味があるかなと思っています。

なので、自分が頑張っている人を応援するのはすごいワクワクして楽しくて、目の前の人がたとえば自分がやった音楽のイベントをつうじて音楽の夢を追いかけられるとか。それによって、その歌や踊りを見て感動する人が出てきて、お金が回るみたいな。何かそういう人のためになるかどうかってのが、1つの基準かなって思います。

参加者:人のためになると思っていても、怖いじゃないですか。いろいろやるのは。そこはどうやるんですか。関係ないですか。

弦本:怖い?

参加者:怖いというか、もしイベントに人が集まらなかったらどうしようみたいな。

弦本:でも、人が来なかったとしても、来た人だけに喜んでもらえる最高のイベントができたら。今日はお客さん4人しか来ないってなっても、その4人を最大限、楽しませるっていうのを頑張るのが大事だと思います。

参加者:ありがとうございます。

学生時代に頑張っていたこと

参加者:学生時代に頑張っていたことはなんですか?

弦本:学生時代は、真面目に勉強してばっかりでした(笑)みなさんみたいに意識の高い活動はほとんど何もやっていないです。今日みたいにこういう場に来ていろいろな人に会えたり、話が聞けるのって当時の自分ではしらなかったので、すごいうらやましいです。

参加者:自分で起業したっておっしゃっていましたけど。

弦本:実際には、学生のときはほとんどやっていなくて。大学ではプログラミングを勉強していて、僕はシステムを作るのが好きだったから、為替の自動売買ソフトを作っていました。

当時は世の中にも全然なかったんだけど、リアルタイムでヤフーファイナンスから値動きをとってきて、リアルタイムで為替専用のニュースから記事をとってきて、「形態素解析」という技術を使って、記事の文章を分割して、この記事があると、単語があると何分後にいくら上がるみたいなロジックを組んで、勝手に自動で発注したりとかするロボットを趣味で作ったりはしていました。

それは公開せず、教授に卒論の代わりにパワポを出して、卒業させてもらいました。あとは、後半は単位とかもとってしまって時間があったんで、ヨーロッパを一周して。

2ヵ月ぐらいで30ヵ国ぐらい行きまして。学生時代に学生旅行したから、次は学生起業かなと思って。最後に起業しました。

参加者:結構軽い。

弦本:軽い(笑)

参加者:学生時代に何かやっていてよかったこととかありますか。本を読んでよかったとか、そういう。

弦本:本は読んでよかったと思うし、今も読んでいますけど、学生時代にやっとけばというのはあまりないです(笑)

「学生時代は遊んどけ」っていうアドバイスをする人もいっぱいいると思うんですけど、社会人のほうが楽しいし、お金も時間も使えるようになるので、別に学生だからやんなきゃってのはあまりないなと思いますね。そのときどきで、自分の興味をもったこととか、好きなことをやればいいんじゃないかな。

弦本:なにか聞きたいこととかあったら、Facebookとかで聞いてもらってもいいですし。ビルに遊びに来てもらってもいいですよ。

参加者:1回頼んだんです、そのシェアハウスに入れないかって。

弦本:住む?

参加者:ちょっと興味が湧いて。

弦本:いいねー!ぜひぜひ。おもしろいですよ。

参加者:起業をしていて、就職するかそのままやるかで悩んでいて。

弦本:どんなサービスをやっているんですか。

参加者:今は古民家にお客さん泊めてみたいなことをやっているんですけど、それを活かして…。

弦本:場所は群馬だったっけ。

参加者:そう、群馬でそういうことをやっているんですけど、やっぱり地方でマネタイズするのがすごく難しくて。今一応、僕のほうでできているんで、そういうノウハウみたいなのを、広げていこうと思っていて。

弦本:超いい!

参加者:それで地道にやっていくのもいいと思うんですけど、力をしっかりつけてから3年とか5年ぐらいのスパンで辞めて、もう1回そっちに戻っても、それもいいんじゃないかなというふうに。

弦本:新卒切符を使ってね。

参加者:そうですね。それで会社でちゃんとスケールするような事業の組み立て方みたいなところの知見を得てからやってもいいかなと思いまして。

副業で起業をするという選択肢

弦本:それもいいと思いますよ。僕もリクルートに行かなかったら、一生リクルート怖いと思って生きていたんじゃないかなと思って。古民家をやっていても、新しい古民家ビジネスを大手がやってきたりとかしてきたら、怖くないですか?

参加者:怖いですよ。

弦本:そのときに、ここはやってこないなとか、ここが来たらこうやって戦えばいいかなみたいなのが分かると。

参加者:戦い方が分かると。

弦本:そう。僕が高専の事業をやっているのも、高専ってそもそも18歳人口でいうと、0.8%ぐらいなんですよ。だから100人いて1人いるかいないかぐらいなんです。リクルートの元編集長とかに直接会いに行って、「なんで高専はこんなに優秀なのに、やらないんですか?」と話を聞きに行ったんです。でも、リクルートにとってはターゲットじゃないんですよ。市場が小さすぎて。「じゃあ自分がやってもいいんじゃないか」「むしろ自分がやらないと取り残されてしまうのか」みたいな使命感でやっていたりするんで。

参加者:たしかにそう。ちょっと心配してるのが、法改正があるので、そのタイミングで僕らとしても一気に攻められるんですけど、その分大企業とか入ってくるよなっていうふうに思って。それまでどういうふうにポジショニングを獲得するかとか、そこに対しての差別化をどうやってこうみたいな。

弦本:民泊とかもどんどんルールが変わっていくし、大手もどんどん入ってくるから、もう今はホテルを作りすぎですよね。僕も5年ぐらい前にAirbnbをはじめて、2年前にも一時的にやっていたんだけど、そのときは入れ食いで月100万円とかを普通に売り上げて、これはやばいって感じだったんですけど、今は全然儲からないと思いますよ。

参加者:全然出ないですよ。ライバル多過ぎ。

弦本:多過ぎ。

参加者:多過ぎちゃって、むしろめっちゃ儲かんないです。

弦本:次のビジネスをどんどん作っていかないと。

参加者:でも結構、儲かりますよね。高専の人たち、ITベンチャーに時給1,000円で紹介したり。

弦本:そうしてもいいし、就職したら、それはそれで。

参加者:ビジョンと収益化の両立って、結構難しくないですか。

弦本:難しいですよ。

参加者:そこすごい難しいですよね。どうやって考えたらいいですか、ビジネスモデル考えるときに。

やりたいことと、やらなければならないことの両立

弦本:基本、自分の収益は最後に入ればいいかなと思って。まずは回ればよくて、まずは。

参加者:まずは回す。

弦本:だから少なくともトントンには絶対するかな。赤字だったら絶対続かないし。まずは回るように、みたいなことですかね。

参加者:まずは回せるような収益の段階で走らせながら、よりちゃんと収益化できるものを走りながら考えるみたいなイメージですか。

弦本:そうですね。難しいですよね。ビジョンがあるとお金をとりづらかったりもするし。喜んでくれているからいいや、となってしまうことも多いので、少なくともトントンで回るようにするとか、逆にそれを求めているところとうまく組み合わせるとか。

地方の高専生で、頑張ってる人たちを応援したいって思ったときに、一方で東京の人事の人たちって地方の学生で優秀な人を採用できないから、逆にそれを、束ねて提供することが彼らの価値になるんじゃないの、みたいな。そしたら彼らお金出すじゃん、って思ってきたりとか。

それこそ、沖縄の離島の活性化の話が来たときは、沖縄の離島の活性化をしてほしいってもともと言ってた人が、島から帰ってきて、後任者探していたんだけど、そのときに教職をとっていて暇な大学生いるぞと。教職って忙しいイメージもあるけど、とり終わった後で暇だったり、教師の経験を積むために実際に現場に行きたい人もいるんですよね。その人たちが教えに行ったらいいじゃん、タダで。みたいなのを組み合わせたりとか。イベントをやっていたときに、音楽と空いている部屋とかもそうですし。

たとえば古民家だったら、たとえばリフォーム会社さんで古民家テイストのところをやっている会社とかに、古民家を事例として見せつつもリフォームや古民家の広告をしてお金をもらう、とか、そっちにお客さんを送ったらカフェは安くてもリフォーム会社さんへの紹介手数料のほうが高くもらえますみたいなのとか。たとえばね。組み合わせ方は。

参加者:平日の回転率も上げたいんですよね。

弦本:たしかに。場所もそうだし、スタッフの人たちも、土日は稼働するけど平日暇だから、その人たちにどういう仕事をしてもらうじゃないけど、どう活かすかとか。それをうまくやらないと、常駐している人たちは収入がなくなってモチベーション下がったりするんで。町の魅力を発掘しつつそれを売るみたいなのがちゃんとできると、サブ事業として回るようになるとか。

参加者:イベントじゃないですけど。

弦本:でもすでに事業がうまくまわっているんだったら、アドバイスも何も。むしろ教えてほしいよ。

参加者:いやいや、ちゃんと回っていたら就職しないですよ。

弦本:就職するのって、お金だけじゃないと思っていて。すごいなと思う同期の人がいるんですけど、内定者のときから起業していて、1年で辞めるわって言っていて。普通にリクルートの給料以上に稼いでいて、「何で働くの?」って聞いたら「大企業の働き方とか、会社の意思決定の仕方を学びたい」みたいなことを言っていて。1年働いて、新人賞と、全社の営業のMVP、っていう一番いい賞をとって、本当にその1年で辞めて。今ブラジルと日本をつなぐ商社みたいなものをやっていて。こないだ安倍首相を連れていたりして。そういう、今後の経験のために働くっていうのも、就職のひとつの考え方だと思うんですよね。

参加者:リクルートはファーストキャリアですか?

弦本:そうです。

参加者:で、ずっと?

弦本:そうです。今7年目。

参加者:今比重的にどれぐらいなんですか。力の入れ具合は。

リクルートでの働き方

弦本:リクルートは正社員で平日の日中に毎日働いているので、時間はリクルートが比重が大きですね。でも、給料と働く時間を考えると、配分がおかしいんですよ(笑)

でも、やっぱり大きい会社じゃないとできないことって結構あって。リクルートでいうと2つぐらい大きなことをやったんですけど、1つは広告でバナー広告の担当やったんですけど、何億円もの予算を一気に1ヵ月や2カ月で使うみたいなものでした。それって自分の会社じゃできないですよね。2つめは、新サービスで、家を探している人に対して不動産を仲介する会社の営業担当の接客に関するクチコミを新しくリリースするみたいなことをやったんですけど、自分がやった企画を日本中の人たちが使うじゃないですか。

それって自分の会社じゃできないなって。そういう醍醐味というか、ダイナミックさは、リクルートで働いてないとできないので、それが大きいかなぁと思います。

あとは、経営者や上の人たちとも接する機会が多いので、経営の判断の仕方とかはすごく勉強になっています。昔は昔で、自分の会社をやってても、自分の会社の名刺では会ってくれないけど、リクルートで働いてますって言ったらとりあえず会ってみてもらえるとか。ブランド力があったりもするし、お給料もあるし。営業とかもマニュアルがあるから、そういうのを見ながらこうやってやるんだ、みたいなものも学べます。

参加者:勝手にいいとこパクるみたいな。

弦本:でも、逆にいうと自分で会社を持っていたり、自分で事業をやっていたりすると、リクルートに対しても新規事業の提案もできるし、0から1作るモチベーションとかそういうのは会社にいるとあんまり身につかなかったりするので。そういう、0から1を立ちあげる起業家精神みたいなものは、会社としても重宝するんだと思います。

参加者:1年目からそのような働き方だったんですか?

弦本:たしかに、社会人1年目とかはすごく頑張っていて(笑)リクルートはリクルートで、当時はまだ上場する前だったこともあってか、結構夜遅くまで仕事をするような会社でした。

なので、朝10時に行くんですけど、終電まで働くときもあって。でも頑張って夜8時ぐらいまで働いて、夜8時ぐらいから10時ぐらいまでは自分の会社のアポとかに行って。それも夜遅いから、先方からはご飯でいいよって言っていただいて。僕は大体、飲み会で受注していたんですけど(笑)

あとはランチの時間とか。1時間半ぐらい「ランチ」って書いて。タクシーに乗って六本木ヒルズに行って、自分の会社の仕事の提案とかをして。タクシーで戻って「いやあ、ご飯食べました」みたいな。それをやったこともあります。

10時ぐらいに仕事が終わったら、今度は自分の会社のミーティングを1時ぐらいまで3時間ぐらいやって。そのときは同期が手伝ってくれていたので、会社の近くのマクドナルドで終電まで打ち合わせをしていました(笑)歩いて10分ぐらいのところに住んでいたんですけど。

その後は、企画書を書いたりメールを打ったりして4時半ぐらいに寝て、9時に起きてシャワー浴びて、10時に会社みたいな。

高専の学生さんたち向けに、東京でインターンを企画していたときは、夜に企画のフィードバックなどをしていたので、わざと彼らが泊まっているホテルまでタクシーで移動して、その移動時間で寝て、朝にまたタクシーで寝ながら移動して、シャワーを浴びて会社に行くなんてときもありました。

参加者:まじすか。

弦本:今はもう、会社も大きくなって任せてきているんで、ほとんどやっていないです。共同代表の同期に、ハンコも渡してしまっているし(笑)

社会人1、2年目のときは、特に自分の企画したことが楽しくて仕方なかったし、自分にしかできない仕事だと思っていたし、はじめてのことばかりで何があっても楽しくて、寝ても覚めてもワクワクしていました。

何のために働くのか?

参加者:何のために、もしくは誰のために働いているのかが聞きたいです。

弦本:僕としては結構、世の中に感謝をしていて。自分もそういうのを後輩に残していきたい、みたいなことが考えとしてあるので、ですかね。

たとえば今日、電車に乗ってここまで来られるのって、誰かが鉄鋼を作って電車を組み立てて、誰かが運転してるからここに来られるんですよね。そういうことにすごく感謝していて。そういうのを後世に残していきたい、恩返ししていきたいっていうのがあるので、そういう恩返しみたいな感じですね。

参加者:そんなにいろいろ、いっぱい仕事して、休みはあるんですか?

弦本:休みはないですね(笑)逆にいうと、趣味で仕事をしてるみたいな感じなので、全然辛くもなくて。

参加者:素晴らしい。理想のケース。できれば仕事をしないで生きていきたいと思ってますよ、今。

弦本:仕事って何かっていったら、誰かに喜んでもらうことだと思うんで。何か目の前の人のためになることをやって「ありがとう」といってお金ももらえて。そしたら自分も嬉しいし、相手も嬉しいし。お金もらったら自分もいろんなことに使えるし。自分もお金を使ったら、それは何かしてもらったことに対して「ありがとう」って言って払って、まわっていくんです。

だから、働くっていうのはネガティブなイメージがあるかもしれないけど、誰かのために自分が動いているっていうことで。「人」が「動いて」働くだし。そう考えれば全然、つまらないことではないし、楽しくていいんじゃないかなと個人的には思います。

参加者:生き方としては、最高の生き方ですね。

参加者:僕は今、野球と釣りがめっちゃ好きなんですよ。でも、趣味と仕事は分けたほうがいいか、実際その考えはどうなのかなって、今思うようになってきて。

弦本:考え方は人それぞれだと思うんですけどね。仕事は仕事でがっつりやるならそれもいいし。そうしてサブで、休日に釣りやったり野球やったり。でも、仕事していくと、どういう仕事か分かんないけど、新サービスを作るとか、うまく流通の話とか勉強していったら、どこかでちょっと趣味につなげることができたりして。たとえばだけど、仕事で学んだマネージメントを活かして野球もやってみるとか、ビジネスの経験をもとに、新しいサービス作ってみるとか。最近だとデータを使って野球を科学するのも流行っていたりもするし。

参加者:それを今、卒論で書いているんですよ。

弦本:趣味と仕事って一緒に考えるっていうのもいいかなって思います。ふたつに分けて、すごく嫌なものが仕事で、ストレスを解消するのが趣味みたいなの、それはちょっと辛いんで。仕事にもいい部分ってすごくあるから、そういうところを活かしつつ、何か趣味にも反映させていくと、逆に趣味でお金稼げてきたぞみたいなことになるかもしれない。仕事と趣味がスイッチしちゃうこともあるかも。

参加者:そういう話になると、YouTuberって羨ましいです。本当、自分が好きなことやって、自分で稼いで生きているし。

弦本:やっぱり、テクノロジーが進化してくると、だんだんそういうのができるようになってくるから、自分のやりたいことをやっていくってすごいと思いますよ。ブログ書くのもいいと思うし。野球を分析したものをブログに書いてもいいし、釣りをしている様子をYouTubeにあげてもいいかもしれない。

参加者:僕らの小学生の頃って、まだインターネットはそこまでみんな使ってなかった。僕が初めてYouTubeを観たのは中学2年生だし。今の子どもって当たり前のようにスマートフォンを持っていますよね。時代に即した生き方みたいなのが必要なのかなって思います。

弦本:いつの時代もやっぱり、目の前の人に価値を提供しているかどうかだと思います。YouTuberの人も、おそらく小学生とかに価値を提供しているし、夢を提供していたりするから、それがお金として返ってくるんだと思います。

参加者:自分が本当にやりたいことみたいなのがわからなくて…

自分のやりたいことの見つけ方

弦本:やりたいことをどうやって見つけるか、ですね。これには、いろんなアプローチがあるんですけど、自分の今までの人生のなかで、何でテンションが上がったのかっていうのを振り返っていくのは有効だと思います。人生の曲線じゃないけど、自分がテンションの上がったときって、結構共通点があるから、そこから見つけるのが1つ。

でも一方で、やりたいことが見つからなかったら、まずは1個に決めてやってみて、どっちかというとやらされのなかから、まずやってみる。たとえば3年ぐらいやってみて、そうすると結構自分はこういうこと好きなんだな、みたいなのが分かってくるから、それから考えるのでも全然、悪くないと思います。それから好きなところに特化して、会社で異動願いを出してみようかなとか。なんなら転職するみたいなのもあるし。自分で会社やるっていうのもあるし。

参加者:本当に最近いろいろなことが起き過ぎていて。

弦本:いろんなことに興味があったら、いろんなこと全部やってみるみたいな。とにかくやってみるみたいなのもありだと思うし。1つに絞ってみて、そこから楽しみを見つけてみるっていうのもありだと思うし。

参加者:すごい楽しかったです。

弦本:こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました。

参加者:ありがとうございました。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。