・契約の成立
契約は、両者の意思表示が合致したときに成立する。契約は書面による必要はなく、口頭でも成立する 債務(相手に対して負う義務)と債権(相手に対して請求できる権利)が発生する |
・契約の種類と特徴
請負契約 | ・注文者と請負者の契約。目的物の引渡しと報酬の支払いが同時履行の関係にあるため、引渡しや損害賠償の履行がない限りは報酬を支払わなくてもよい。ただし支払わないと解除や損害賠償請求はできない ・仕事の完成前は、注文者は損害を賠償することで一方的に請負契約を解除できるが、請負人からはできない ・目的物が完成した瞬間の所有者は、主要な材料の提供者となる ・請負人が仕事にあたり第三者に不法行為をおこなった場合に、注文者の注文または指図に過失がある場合には、注文者も責任を負う |
委任契約 | ・委任者の義務 請負のような仕事の完成を目的としておらず、無償でおこなうことが原則 特約があれば委任者に報酬や必要な支出の費用負担およびその利息について償還請求することができ、費用前払い請求も可能 ・受任者の義務 委任ではたとえ無報酬でも受任者は善良な管理義務と報告義務がある |
準委任契約 | ・法律行為以外の事務の委託で、受注者が委任者と約束した時間だけ仕事をする契約のこと。受注者は仕事を完成させる義務は負わないが、事務の処理にあたり委任者から受け取ったものは随時引き渡す義務がある。また、報酬の支払いは原則として後払いとする |
寄託契約 | ・物を保管することを約束し、その物を受け取ることによって効力を生じる契約のこと ・受託者が履行を受けることを拒み、寄託者が特定物を引渡す前に、履行の費用が増加したときには、増加額は受託者の負担となる |
金銭消費貸借契約 | ・金銭の貸し借りをするための契約。原則として無利息であり、特約がなければ貸主は利息を請求することができない ・書面または電磁的記録でする消費貸借契約では、実際に貸主から金銭その他のものを受取るまで、契約の解除をすることができる。また、受取るまでに当事者の一方が破産手続きの開始の決定を受けたときは、その効果を失う |
使用貸借契約 | 当事者の一方が無償で使用及び収益をさせるという契約。書面で契約したときには、契約した時点(諾成契約)から成立するが、書面で契約していない場合には、契約は引き渡した時点(要物契約)から成立する ※詳細は使用賃貸借へ |
・契約の途中終了
・有償の場合で、解除や取消しなどで途中終了した場合には、途中までの相当額を精算する。また、他者に未完了部分をおこなってもらった場合には、相当する代金額が当初想定を超える場合には、注文者が請負者に請求することができる ・相手方に不利な時期に解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある ・有償の委任の場合は、受任者は報酬の全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによって得た利益を委任者に償還しなければならない ・委任は委任者や請負人の破産手続開始決定を受けたときや後見人開始の審判を受けたときや死亡で契約が終了し、相続人には継承しない ・契約が途中で終了した場合でも、急迫な事情がある場合には、委任者の相続人または法定代理人が処理できるに至るまで受任者は必要な処分をしなければならない ・使用賃貸契約の場合は、貸主の死亡により契約は終了する |
・危険負担
・契約していた物件が、すでに契約前に自然災害で滅失していた場合、原始的不能の状態ではあるが契約自体は無効にはならない ・契約していた物件が、引渡し前に売主の責めに帰すべき理由で滅失した場合、売主は債務不履行の状態となり、買主は解除または損害賠償請求をできる ・契約していた物件が、引渡し前に買主の責めに帰すべき理由で滅失した場合、売主は代金支払債務を拒むことはできない ・契約していた物件が、引渡し前に自然災害で滅失した場合、売主は代金支払債務を拒むことができる |
・契約のない場合の事務管理
たとえば、隣人の留守中に台風が接近し屋根が壊れて隣人に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、隣人の依頼なく修理をした場合など
・事務管理をした者は、本人のために有益な支出をした場合には、本人に対して全額または本人が現に受けた利益を上限に償還(✕報酬)を請求することができる ・事務管理をした者は、本人からの請求があるときは、いつでも事務管理の処理の状況を本人に報告しなければならない ・事務管理をする者は、原則として善良な管理者の注意義務をもって事務をおこなう決まり(✕自己の財産に対するのと同一の注意をもって)だが、急迫の場合にはその義務を負わない |