戸建ての売買をするときに仲介手数料無料にできるとしたら、支払う予定の仲介手数料約100万円~300万円ほどが無料になるので大変お得になります。
しかし、多くの方が仲介手数料無料というお得すぎる方法に関してデメリットを心配されます。
今回の記事では、仲介手数料無料にできる仕組みやデメリット、直接売買に関しても解説します。また、仲介手数料無料にできないときの値引き交渉のコツに関してもご紹介するので参考にして頂ければと思います。
目次
仲介手数料の仕組みや仲介手数料に含まれる業務内容を解説します。
仲介手数料とは、戸建てを売買する際に仲介してもらった不動産会社に売買契約締結後に支払う成功報酬になります。成功報酬なので、仲介会社と媒介契約を結び物件の紹介や案内を多数受けていたとしても売買契約が締結されなければ仲介手数料の支払い義務は発生しません。
上記のうち①は売買契約が締結せずに終了したことにより仲介手数料の支払いが必要ない場合ですが、②~④は仲介手数料無料で戸建ての売買ができる方法になります。
仲介会社が戸建ての仲介業務をおこない仲介手数料を貰う方法として「片手」と「両手」の2つの方法があります。
「片手」は売主か買主どちらか一方からのみ仲介手数料を貰う方法です。
「両手」は売主と買主両方から仲介手数料を貰う方法です。
単純に両手仲介のほうが、1つの戸建ての売買契約で売主買主両方から仲介手数料を貰えるので、片手仲介の2倍の報酬になります。そのため、仲介会社はなるべく両手仲介ができるように動きますが、片方からのみ貰うことを前提に仲介手数料無料と宣伝している会社もあります。
仲介手数料に含まれる業務内容をご紹介します。
【戸建て購入】
【戸建て売却】
上記の業務内容は仲介手数料に含まれますので、別途費用請求されることはありません。しかし、費用をかけて特別な広告をしてほしいなど個別に依頼したものに関しては請求されます。
仲介手数料には「宅地建物業法」という法律で上限が決まっています。仲介手数料無料と宣伝していない不動産会社であれば上限まで請求することが一般的です。
仲介手数料の上限の計算方法
速算式での計算方法 | (売買価格×3%+6万)×1.1=仲介手数料 |
4,000万円の物件の場合 | (4,000万×3%+6万)×1.1=138.6万 |
仲介手数料は課税対象なので消費税が含まれます。そのため計算するときには消費税分の「×1.1」を計算にいれます。
仲介手数料を計算するときに売買価格から計算すると解説しましたが、戸建ての売買価格には、土地と建物の価格が合計されて記載されています。
土地は非課税になるので消費税は含まれていません。しかし、建物には消費税が含まれており、法人から戸建てを購入する場合には、建物価格から消費税を引いて計算することになります。
例:4,000万円の戸建て内訳(土地1,800万円 建物2,200万円)の場合
【仲介手数料の上限の計算方法】
土地:1,800万円
建物2,200万円÷1.1=2,000万円(税別)
1,800万円+2,000万円=3,800万円
(3,800万円×3%+6万円)×1.1=132万円
同じ4,000万円の物件でも、建物から消費税を引いて計算すると仲介手数料の上限金額に6.6万円の差がでました。しかし、戸建ての土地と建物の金額の割合は物件ごとに異なります。売買価格だけではなく土地と建物の割合を契約前に確認すると正確な仲介手数料を算出することができます。
仲介手数料無料にすることがなぜ可能なのかに関して仕組みを解説します。
仲介会社は仲介手数料の収入をメインに会社を経営しています。仲介手数料無料にしてしまうと仲介会社として利益が得られないように見えますがそうではありません。仲介手数料無料にできるのは、売主または買主の片方から仲介手数料を貰うことを前提にしているからです。
仲介手数料をなるべく安く、できれば無料で戸建ての売買をしたいと考える人は多くいます。そのときにインターネットを利用し検索をかけると仲介手数料無料で戸建ての売買ができる不動産会社をみつけることができます。
仲介手数料無料にすることで、上限まで請求しているライバル会社より仲介手数料を安く抑えたいと考える顧客を多く獲得することができるのです。つまり、薄利多売の経営方針により仲介手数料無料で仲介業務をおこなっているのです。
仲介会社に依頼して戸建ての売買をすることで仲介手数料が発生します。そのため、仲介を通さずに直接契約することで仲介手数料を支払わずに戸建てを売買することができます。
購入の場合であれば、戸建ての施工主から直接購入します。売却であれば、購入してくれる人を自分で探して売買契約を結びます。
仲介会社を通さずに直接契約した場合のメリットデメリットを解説します。
①仲介会社に依頼しないので仲介手数料を支払う必要がない
直接購入の最大のメリットは仲介手数料無料になることです。戸建ての売買価格にもよりますが、仲介手数料として支払う予定だった100万円~300万円という金額を支払わずにすみます。車1台購入できてしまうほどの金額になりますのでとても大きいな違いです。
②売主は物件のことを詳しく知っているので、質問してもすぐ答えてくれる
売主は戸建てを施工した会社になるので購入予定の物件に関して詳しく知っています。細かな質問に対しても仲介を通すより早く回答してくれる可能性が高いです。
③物件価格の交渉を直接できる
仲介手数料無料のほかにも、戸建ての物件価格に対しての値引き交渉も自分で直接することができます。また、直接契約であれば売主側も支払う仲介手数料がないので、その分物件価格の値引き交渉が通りやすくなります。
①売主が施行した限られた物件しか紹介してもらえない
たくさん物件をみて検討したいと思っていても、売主に直接物件の案内や紹介を依頼したときに、売主が施行した物件しか基本的に紹介されません。
そのため、立地や間取りなどの条件は異なりますが、住宅の仕様や作り方が同じものになり紹介される数も限定されます。
すでに気に入った物件が決まっている場合は特にデメリットはありませんが、たくさんの物件情報からさまざまな仕様の住宅を内覧して比較検討したい人には向いていません。
①短期間で売却できる可能性がある
直接売却の場合、隣地の人や知り合いに売却することが多くなります。そのため、チラシを作成したりインターネットに物件を載せて売却活動したりすることで購入希望者を集客する必要がなく短期間で売却することも可能です。
しかし注意点として、買主をすぐにみつけてもその後の契約から引き渡しまでの流れを自分が把握し、事務作業などもおこなえないとスムーズに引き渡しまでいきません。
①売買契約書や重要事項説明書の作成を自分でしなくてはいけない
個人でも売買契約書の作成はできますが、宅建業法などの専門知識がないと作成することが難しい書類になります。また、戸建てという金額が高いものの売買になりますので、ちょっとした記入ミスや記入漏れがあっただけでも、多額の損害賠償や違約金を支払うことになる可能性があります。
②買主とトラブルになったときに間に入ってくれる人がいない
直接売却する場合、知り合いへの売却が多くなります。そのため知っている人、信用できる人ということでトラブルになることはないかと思うかもしれません。しかし、大きな金額の売買では、少しの勘違いや説明不足などによりトラブルに発展しやすくなります。
トラブルに発展したときに、間に入って話をまとめてくれる仲介会社がいるといないでは大きな違いです。
戸建てを法人から直接購入するときには、紹介される物件数が限定される以外で特に注意することはありません。しかし、直接売却する場合には上記で解説したように損害賠償の請求や引き渡しをしたあとにトラブルに発展する可能性があります。
そのため、自分で買主をみつけてきたとしても売買契約書の作成業務など不動産会社に依頼することをおすすめします。
戸建てが紹介されているサイトやチラシには取引態様が記載されています。紹介している会社が仲介会社なのか売主なのか、売主代理なのかがわかります。
取引態様の「仲介」「売主」「代理」とはどのような意味があるのでしょうか?
【仲介】
戸建てを紹介している会社の多くが仲介になります。この不動産会社を通して戸建ての売買契約をする場合、仲介手数料無料の会社でなければ仲介手数料を支払うことになります。
【売主】
戸建ての施工主になります。売主から直接購入することができますので仲介手数料の支払いは発生しません。
【代理】
売主の代理として契約することになります。しかし、売主の代理ですが売主ではないため、仲介手数料を支払う場合があります。代理の場合は仲介手数料が発生するか事前に確認しましょう。
戸建てを直接購入したい場合には、戸建ての物件が紹介されているサイトやチラシから取引態様を確認して売主かどうかを確認します。しかし、多くの場合が仲介になっているかと思います。
その場合、購入したい戸建ての施工主をインターネットか現地に建てられている工事用の看板で確認します。
インターネットで紹介している会社が仲介会社の場合、基本的に施工主は載せません。そのため、戸建てを建設する予定の土地や建築中の現場での工事用の看板を確認することで施工主がどの会社なのかがわかります。
ですが、売主だからといって必ず直接購入できるわけではありません。仲介会社を通さないと売却しない売主もいます。施工主に連絡をとり直接購入できるか確認してみましょう。
仲介手数料無料で戸建ての売買ができればメリットしかないように感じますがデメリットもあります。
囲い込みとは他の仲介会社が連れてきた購入希望者に対して物件の販売が終了した、契約済みになったなどと勝手に伝えて物件を囲い込むことです。
売主側から仲介手数料が貰えないので、買主から仲介手数料を貰わないと利益になりません。ですが、囲い込みがおこなわれると売却できるチャンスを逃し、売却が長期間かかってしまうことも考えられます。
また、仲介手数料に含まれる業務としての物件の広告費用や宣伝費用を抑えられる可能性があります。売却の場合の仲介手数料無料でのデメリットは大きく、仲介手数料を満額で支払いしっかりと売却活動をしてもらったほうが希望価格で戸建てを売却でき結果的にお得になることも多くあります。
購入の場合のデメリットは、販売しているすべての物件が仲介手数料無料ではないということです。インターネットに載せていない貴重な未公開物件や人気の物件は仲介手数料無料では紹介されない場合もあります。
「仲介手数料無料の不動産会社は怪しいからしっかり仲介手数料を請求している会社に依頼したほうが安心ですよ」
と言う営業マンがいます。
実際に仲介手数料無料の会社は「危ない」「怪しい」のかというとそうではありません。多くの人が疑問や不安に思っていることに関して解説します。
〇仲介手数料無料にすると他の項目で費用を請求する?
【結論:請求されません】
仲介手数料無料にする会社は、顧客数を増やして契約する数を増やすことによって利益を回収することを目的としています。そのため、無料にしたぶんを他で回収するということは通常ありません。
〇仲介手数料無料にすると本来の仲介業務ができません。ホント?
【結論:仲介業務ができないことはないが、営業マンのやる気がなくなる可能性がある】
仲介手数料無料でも媒介契約を結ぶので仲介業務をする義務が発生します。そのため、無料であっても通常通りの仲介業務をおこなうことになります。
しかし、もともと仲介手数料無料と宣伝している会社であれば問題ありませんが、交渉により無料にさせる場合には営業マンのやる気がなくなる場合があります。仲介手数料をしっかり払ってくれる顧客を優先させる可能性もでてきます。
〇他社ではこちらの物件は購入できません。ホント?
【結論:物件によってはホント】
仲介手数料無料の不動産会社で購入しようとした際に、他社では購入できませんと言われることもあるかもしれません。
他社に顧客を取られないための嘘の場合もありますが、実際に売主から専任媒介契約や専属専任媒介を結んで物件を紹介している会社であれば、専任期間中はその会社でしか購入することはできません。
〇戸建ての物件価格に仲介手数料分を上乗せされるってホント?
【結論:上乗せされません。物件価格を決めるのは売主のため仲介手数料とは無関係】
仲介する会社と戸建ての売主は別会社になるので物件価格に上乗せするということはありません。また、売主と仲介会社が親会社子会社という関係であっても、物件価格は市場価格をみて決めます。周りの相場より高い場合、売却しにくくなるので仲介手数料無料分を上乗せするということはありません。
仲介手数料無料にできなかったとしても値引き交渉することによって、仲介手数料を安く抑えることができる可能性があります。
戸建ての売買価格の値引き交渉では物件を購入することを条件に値引き交渉しますが、仲介手数料の値引き交渉はどのタイミングでどのように交渉すればいいのでしょうか。
値引き交渉のタイミングは、媒介契約を結ぶ前です。相談してすぐの交渉より、媒介契約を結ぶことを条件に値引き交渉したほうが交渉は通りやすくなります。
また、値引き交渉のコツとして、他社と比較検討していることを伝えること、媒介契約を一般媒介ではなく、専任・専属専任媒介で結ぶことです。
仲介会社としては、複数の仲介会社に依頼ができる一般媒介より1社にしか依頼できない専任・専属専任媒介のほうが仲介手数料を他社に取られる心配がないため結びたい契約になります。そのため、値引き交渉が通りやすくなります。
仲介手数料無料で戸建ての購入や売却することは十分可能です。直接契約したり仲介手数料無料の会社に依頼したりすることで、仲介手数料無料で売買することができます。
しかし、それぞれデメリットもありますので、メリットデメリットを確認し仲介手数料を支払うか無料の方法を利用するか検討してみてください。