【2022年版】宅建士独学勉強ノート(債務不履行)

債務不履行

約束を破ること。他の項目と複雑に関連するため注意

複数の契約に分かれていた場合でも、密接に関連付けられているものであれば、片方の契約の不履行を理由に他方も解除できる場合がある 

・債務不履行の種類

履行遅滞履行期(約束の期日)までに債権の履行をしないこと
不完全履行履行したものの不完全だった場合
履行不能債務の履行が不可能になること

・債務不履行時にできること

※債務不履行は、債権者に過失があれば、必ず過失相殺しなければならない。一方で不法行為の場合には、過失相殺するかは裁判所の裁量に任せられている

・無催告解除できる場合

解除をするには相当期間を定めた催告が必要だが、以下の場合は催告不要

①全部が履行不能
②債務者の履行を拒絶する意思が明確
定期行為(特定の日までに履行しないと意味のない契約)

・解除の一般原則

撤回の可否一度した解除は撤回することができない
解除不可分の原則当事者が複数の場合は、解除は全員からまたは全員に対してしなければならない
解除の効果・契約は最初からなかったことになる(遡及的に無効)
・当事者は互いに原状回復義務を負い、受領後に発生した利息などを返還しなければならない
・解除前の第三者の権利を害することはできない(不動産の場合は第三者の権利は登記で判断する)

・損害賠償の範囲

通常損害債務不履行によって通常生じると考えられる損害は当然に請求できる
特別損害通常は生じない損害であっても、当事者が予見すべきであったものは請求できる

・損害賠償の予定

損害賠償の予定とは、債務不履行があった場合の損害賠償額をあらかじめ合意(予定)することで、実際の損害額を証明することなく、あらかじめ合意した金額だけ支払えばよい制度(違約金や手付金など)
※損害賠償の予定がある場合には、原則として実際の損害額を立証してもその額を増減することはできない。ただし、債権者に過失があるときは、裁判所は職権で賠償額を減額できる(過失相殺)

・金銭債務の特例

損害の利息分・損害賠償として請求できる金額は年3%の法定利息に限られる(3年ごとに見直される)
※ただし、それよりも高い利息で合意している場合は、合意した利息が適用される
無過失責任・金銭債務の不履行については、債務者は不可抗力を理由に免れることはできない(地震で払えなかったなどの天災や、故意や過失の有無に関わらず言い訳はできない)
履行不能はない・金銭債務の不履行については、履行不能はなく常に履行遅滞となる(お金自体が世の中からなくなることは考えづらいため)

・手付解除

手付解除できる時期相手方が履行に着手するまで
自らが履行に着手していても、相手方が着手していなければ自ら解除できる
手付解除の方法・買主は手付を放棄
・売主は倍額現実に提供 + 手付解除の意思表示

※手付解除は損害賠償の予定となるため、損害賠償などは請求できない

※買主が中間金(内金)を支払うことは、履行に着手していると呼べる

・同時履行

同時履行の場合には、相手方が債務の履行をしないときは、自らの債務の履行を拒むことができ、履行しなくても債務不履行とはならない(同時履行の抗弁権)

ただし、自らが履行しなければ履行請求権を得ることはできず、契約解除や損害賠償を請求することはできない

同時履行となるもの・目的物の引渡しと報酬の支払い
・弁済と受領証書の交付
・契約の解除による原状回復義務の履行
同時履行とならないもの・報酬をともなう委任や請負の仕事完成と報酬の支払い
・家屋の明渡しと敷金の返還
・建物の明渡しと造作買取請求権
・弁済と抵当権の抹消
・弁済と債権証書(借用書)の返還

※同時履行のものであっても、履行期を前後させる特約がある場合には特約は有効となる

・危険負担(目的物の滅失)

事例契約成立後、引渡し前(所有権移転登記後であっても)に、当事者双方の責めに帰することができない事由(地震など)で履行不能になった場合
効果買主は代金の支払いを拒絶することができる なお、履行不能を理由とする解除も可能(原状回復義務が生じるため、手付金は返還される)

※買主への引渡しや、買主の責めに帰することができる状況で履行遅滞になっている際に、当事者双方の責めに帰することができない事由(地震など)で滅失や損傷をした場合には、債務不履行にはならず、買主は代金の支払いを拒絶できない

※売買の契約の場合に、当事者の片方が死亡した場合には、その相続人が地位を相続し、履行をおこなう(契約は無効にならない)

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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