ヨーロッパ周遊記(20100818パリ)

小さな空港に着く。時刻はパリ時間で9:00だ。外は肌寒い。

10:00まで、ガイドブックのフランスを見て、現在地からすぐに接続する鉄道がないことを確認する。ここは格安の航空会社がこぞって作った空港なのだろう。郊外に遠く離れているらしい。

次に、グローバルパスの確認だ。
グローバルパスは地下鉄などでは使えないらしく、国鉄で遠くに移動するもので使えるようだ。
なので、空港からの足はバスに限られている。

バスのチケット売り場に行って、パリの中心部に行きたいと言うと、そこのチケットとバスに乗るように言われた。
パリ行きのシャトルバスは15ユーロだった。

現地では母国語がフランス語だからか、あまり英語を話してくれない。ただでさえ英語が使えないのに、相手も英語を使ってもらえないと、ますます会話ができなくなる。
窓の掃除がされていないのか、曇りガラスがはげてきていて、バスの窓が曇っている。外の風景も見えないので寝ようと思う。停止場を気にしなくていいシャトルバスのようなので、到着してから起きれば良いな、と安心して眠る。睡眠は10:00→11:45だ。

電車で1時間らしいから、3時間ぐらいかかるのかと思っていたら、バスは11:45に着いた。2時間弱で、名もしらぬバスターミナルらしきところに停車する。降車して、そして解散だ。

そこで、初めて来たフランスの街の風景を見渡す。
フランス語で分かるのは、なんちゃらなんちゃらパリスのParisだけだ。あとはメトロという言葉だけ。日本の企業もあるようだ。

地図でバスターミナルを探すのは効率が悪い。だから取りあえず歩いてみて、ここの地名を探そうと思う。近くのデパートやバス停をひた歩くに、ここはポートマイロットという地名らしい。

そこで、その地名を地図で探そうと公園のベンチに腰掛ける。公園ではノウサギが追いかけっこをしていた。彼らをピーター・ラビットと名付けよう。フランスでいいのかな。

左に凱旋門らしき建造物が映る。地図を広げて、凱旋門から近くの公園を探すと、自分のいるところが判明した。

よし、今日は凱旋門から突撃しよう。凱旋門の内側から出るのが凱旋なのかは知らないけど、俺にとっては外から内への凱旋だぜ。

ここは一段と風が冷たく、肌寒い。なのに、日が照るとじりじりと暑い。
名所を回るのが目的ではないのに、名所を見ると気持ちが高ぶるのはなぜだろうか。机の上で得た過去の知識が現実で繋がったからなのかもしれない。名所だと言われて目指す期待と、名所を見れることの達成感なのだろうか。

地面はタイルのような石畳でできている。タイヤが摩耗しそうな路面だ。

車が一方通行なので、歩行者は信号無視をしやすいし、する人が多い。
凱旋門の手前の公園でパソコンを開くと、2箇所目で電波をキャッチする。そこで彼女にメールをして、パソコンを30分ぐらいいじって母親にもメールして、行きたい所をピックアップする。

凱旋門は360度道路に囲まれた陸の孤島だった。なのに、中央には観光客がいる。どうやって入ったのかが不思議だったのだが、地下道があったのだ。

取りあえず凱旋門から続くシャンゼリゼ通りを見て、それから宿へと向かうことにする。
荷物が大きいので警戒を怠らない。背後を見渡せる鏡付きのサングラスがあればつけてみたい。
西洋たんぽぽの綿毛がふわふわと街中を舞っている。

公園に行くと、スライド式の広告が目立つ。日本では見かけないよなぁ。

めちゃめちゃ歩く。坂道も長い。おじいさんやおばあさんやお兄さんやお姉さんに道を聞きながら、なんとか目的の宿に辿り着いた。

綺麗なホステルだ。フロントにて黒人風のスマートなお兄さんに、予約を確認すると、予約の時間が16:00からなので、あと30分を、無料のパソコンを使うなり、無料のコーヒーを飲むなりして過ごしていていいと言われた。
なんて親切で感じの良い人なのだろうか。分かりやすい英語を使ってくれている。
なので、パソコンを付けてWi-Fiを探していると、彼はパスワードを印刷した紙を渡してくれた今日はとりあえずゆっくりしたいな。
明日、鉄道の取り方で戸惑わないようにするために、まずはユーレイルパスをバリデーションして、それから鉄道の乗り方を予約をしようと思う。

16:30に再び受付のお兄さんに話しかける。
22.68ユーロを払い、さらに鍵のデポジットとして1ユーロを先払いする。
部屋は小綺麗だった。4人部屋で、部屋に一つの洗面台とシャワーがある。

いったん、17:00に出ようとしたものの、日本人らしき人がロビーの近くでパソコンをしていたので話し掛けてみる。彼は山本ユウスケといった。早稲田大学の社学に通っていて、東浦和在住の三室中学校の出身だった。単位交換の形でアイルランドの大学に1年間留学をしていたそうだ。
そして、帰国の前に2ヶ月間のヨーロッパ一周をしている途中で、ここ、パリが最終地だと言っていた。
地元トークをして、彼に鉄道の乗り方を教えてもらう。駅に行けば取りあえずバリデーションも予約もできるそうだ。

17:45に改めてホステルを出発する。
山本くんには無計画さを笑われてしまった。明日の宿の予約もしてない。たしかにマイペースすぎる旅だ。自分には取り柄もないし、誇れるものもない。でも時間に追われる旅は嫌で、せかせかとしたくはない。
バリデーションの仕方に安心したので、今日のうちに市内を観光しておきたいと思う。手紙を出す郵便局があれば探そう。

地図に名所が集まっているメインストリートと思われる通りを目指す。

フランスの道路は本当に分かりづらい。サークルがあって6差路なんかがざらにあるし、一本道を間違えると違う方向にどんどん離れていってしまうのだ。碁盤の目状の街が恋しい。

皇室らしきを見て、シャンゼリゼ通りの終点を見て、今度はエッフェル塔を目指して歩く。

エッフェル塔と、近くの公園に立ち寄った。

サッカーの個人技を見世物にしている人がいた。

帰りがけに、お土産屋さんで2枚のハガキを60セントで購入する。お店の人に、いきなり「ハロートーキョー」と挨拶されて少し驚いた。
パリにはコンビニやスーパーがない模様だ。そもそも店が少ないようだ。そして、そのほとんどがレストランなのだ。
そうか、道端の地図は常に北が上で表示されているらしく、場所にあわせた看板の向きではなかった。午前中に迷ったのも、これが原因だったに違いない。

ルーブル美術館を突っ切って、裁判所を流し見する。

お目当てのノートルダムの鐘は、ちょうど21時の時刻を鳴らしていた。
水道らしき場所で、一口だけ水を飲んでみた。無味無臭だった。車の有無をセンサーで判断する信号があれば、車も早く進めるだろうに。

21:30に一気に暗くなる。

帰りがけのスーパーで夜食にオリーブオイルサーモンペンネ、ストロベリージュースに水、を購入する。
小瓶のワインを買おうとしたら、「ノンアルコール」と言われた。なるほど、俺がアルコールを求めていたことに気を遣ってくれたんだね、と一瞬思ったものの、そんなわけない、身分証が確認できなかったから販売できなかったんだ、と気付いて引き返す。
しかし、同じ女性にパスポートを見せても、ルールだと言って売ってくれない。なぜかと問うと、夜21:00からはアルコールの販売が禁止されているんだそうだ。
フランスのワイン諦めて、エスカレーターで有名な建物の広場に座って買ったものを食べる。
お店を出るときにお釣りちょうだいって話しかけられたり、食事中にタバコを持ってる?って聞かれたりしたけど、どちらも丁重に断ってしまった。

22:00に食べ終わってトボトボ歩いて帰ることにする。
長い道のりだ。行きは好きな道を歩いてきたけれども、帰りは時間も遅いし、地図をしっかり見て歩こう。
途中で、歩いていたカップルに道を聞いたときに、女の人に「日本人?」と聞かれて、最後に「サヨナラ」と言われた。
帰りは歩いて1時間かかった。

日本人からみてもお世辞抜きで、ここには日本料理のレストランが多い。そこではスシ、サシミ、ヤキトリなどが用意されている。
オープンテラスで美味しそうなメニューのフレンチやイタリアンレストランがあるけど、今回は一人だし、旅の主旨は贅沢ではないので、また誰かと来たときに食べればいいやと我慢する。

今日は予定よりも遅く帰ってしまった。
オーストラリア人とスペイン人の2人に迷惑をかけないように半分の水量でシャワーを浴びて、ドライヤーもせずに0:15におやすみなさい。
ひたすら足が痛い。とくに潰した豆がまだじゅくじゅくして痛む。
外では音楽と笑い声と叫び声が聞こえる。そして室内では2人のいびきが高なっている。それでも今日の疲れはそれを越えられる気がする。

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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