不動産屋の選び方を徹底解説!こんな仲介業者には要注意?

人生の中でも1~2度しかないマイホーム購入や売却を行うためには、不動産屋の協力が必要となります。

あるいは、賃貸での部屋探しでも同様です。

その場合、信頼できる良い不動産屋を選ぶためには、一体何を基準にどのような点に注意して選べばよいのでしょうか?

よくわからないままに、なんとなく不動産屋を選んでいる人が多いのではないかと感じています。

不動産屋の選び方は、あなたの不動産取引の成否のカギを握っています。

悪質なとんでもない不動産屋と取引してしまえば、後悔だけの残る不動産取引となる可能性が高いのです。

「この不動産屋に頼んで良かった」と思えるような不動産屋の選ぶには、いくつかのコツと理由があります。

そこで今回は、不動産屋の選び方について徹底解説します。

この記事を読んで、良い不動産屋と悪い不動産屋を見分けられるようになりましょう。

目次

不動産業界にはブラックボックスがある!

まずは、不動産業界の問題点や打開策などについて説明していきます。

不動産業界を取り巻くブラックボックスの正体

「ブラックボックス」とは、「機能は知られているが内部構造が不明の装置やシステム」のことを指し、そこから転じて「内部構造を見ることのできない密閉された機械装置」のこといいます。

不動産業界にも、ブラックボックスと呼ぶべき闇の部分があることはよく話題にされており、具体的には以下のようなものがブラックボックスに入っているといえるでしょう。

<不動産業界のブラックボックスの一例>

上の図のように、不動産を売りたい人と買いたい人の間に不動産屋(仲介業者)が存在しているわけですが、取引の具体的な進め方はすべてブラックボックスの中にしまわれており、売主や買主に開示されないまま取引が終了する場合があります。

そうした取引には、売主利益や買主利益に寄与せずに、不動産屋の利益だけを主眼とした取引が存在しているのです。

一般に、そうした不動産屋を「悪徳不動産屋」などという言葉で呼ぶこととなります。

ここに興味深いデータがあります。

世界的な総合不動産サービス企業であるジョーンズ・ラング・ラサール・インベストメント・マネジメント社が調査している「2018年版グローバル不動産透明度インデックス」によると、日本は世界第14位の不動産透明度という結果が出ています。

<2018年版グローバル不動産透明度インデックス>

引用元:ジョーンズ ラング ラサール株式会社ホームページ 2018年版 グローバル不動産透明度インデックス より

2012年度の同調査では、日本は第25位であったため、この6年で10位以上順位を上げていることになりますが、最も先進国であるといわれるG7(アメリカ・イギリス・イタリア・カナダ・ドイツ・日本・フランス)の中ではドイツから大きく離れた6番目ですので、信用性が低いことがわかります。

日本において、不動産取引は一般売主(貸主)・買主(借主)にとって見えにくいことから、よくわからないものとなっており、ブラックボックスが構造的に存在しているため、「見える化」「透明化」とはほど遠い状況にあります。

以前から「不動産業界の透明化」は叫ばれていますが、実際には旧態依然として進んでいないのが実状です。

不動産業界は宅地建物取引業法に基づいた分厚い既得権益に覆われており、業界のリーダーたる大手不動産会社を中心に、その既得権益にどっぷりと胡坐をかいているのです。

というより、わざと透明化や改革を主導しないことで、これまで通り既得権益を貪りたいと考えているのでは…とさえ思えてしまいます。

中小零細といった不動産業者も既得権益の中で事業を行っており、「これでいいのだろうか?」といった疑問を持つこともないため、透明化や改革が行われる機運は高まりません。

あるいは、若い世代を中心に業界の透明化に立ち上がろうとする人もいるのですが、その都度既得権益の壁に跳ね返され、怒りや無力感を感じた志の高い有能な人材ほど不動産業界を離れてしまうのです。

このように、不動産業界のブラックボックスとは、既得権益を維持するために放置されているのが現状で、もはや業界全体の必要悪となっているといえるでしょう。

不動産屋の常識は世間の非常識

一般社会において、各事業者はサービスや商品を顧客に提供して、消費者はその対価として代金や料金を受領しています。

たとえば、パンを買いたいと思ったら、食べたいパンが売っているスーパー、コンビニエンスストア、パン屋さん、どこでも買うことができます。

スーパーで買ったからといって、コンビニエンスストアに店員に文句を言われることはありません。

消費者にはどこで何を買うのか自由に選択できる権利があるので、当然のことです。

サービスの良いお店や価格の安いお店など、自分の意志で好きなお店に行って、その商品を買えばよいのです。

しかし、不動産業界は少し違います。

ある仲介業者に紹介してもらった物件を、営業マンの質やサービスの観点から他の仲介業者の仲介で購入したことがわかった場合、その仲介業者はもちろんのこと、購入者のところまで先に物件を紹介した仲介業者が強烈なクレームをつけにきます。

「ウチの客をヌキやがって!」

一体、ウチの客とは誰が決めたのでしょか?

どのお店で買うかは、購入者が自由に意思決定してしかるべきと考えますが、これは不動産業界で「ヌキ行為」といわれる取引であり、ご法度な行為と言われています。

この例ひとつを取ってみても、不動産業界の常識がいかに一般社会とかけ離れているかがわかります。

コンプライアンス違反がしばしば行われている

不動産業界の体質として、コンプライアンス違反(法令違反)をしばしば見かけることも、問題です。

売買仲介取引における担ボ(担当者ボーナス)、賃貸仲介取引における広告料(AD)などの手数料の支払い、電柱に「ステ看」と呼ばれる使い捨て看板の無許可での設置、路上(公道)での物件掲示、オトリ物件の広告表示、仲介手数料のキャッシュバック・キャンペーンなどなど…

<ステ看や路上物件掲示の事例>

多くの不動産屋が日常的に行っている取引・広告活動などに、コンプライアンス違反が横行しているという現実があり、業界自体がマヒしているとしか言いようがありません。

特に、担ボや広告料(AD)などは既得権益化しており、不動産屋や担当者にとってもオイシイ商慣習であるため、一向に改善される様子はありません。

まずは、こうした不健全な体質を変えて、住宅流通市場の透明化と消費者からの信頼回復に努めなければ、不動産業界の未来はないのではないでしょうか。

住宅流通市場を活性化させるためには?

不動産業界自体の体質が改善されなければ、少子高齢化を迎える今後、中古を中心とした住宅流通市場は活性化していかない可能性があります。

政府は、長期優良住宅・住宅性能表示・瑕疵保険・インスペクションなどをはじめとする中古住宅流通を促進させるさまざまな政策のかじ取りを行っていますが、それらの政策で業界の体質改善を図ることは難しく、消費者が離れてしまえばそれらの政策自体が無駄となります。

やはり、ブラックボックスの中を改善することにより、市場の透明化・活性化を図る必要があります。

そのために、消費者と不動産業者、または売主・貸主と買主・借主の間の情報格差をなくすことから始める必要があると考えます。

不動産業者と消費者の情報格差とは?

<不動産仲介取引の基本的スキーム>

上の図は、不動産仲介取引の基本的なスキームです。

不動産を売りたい売主は仲介業者に売却を依頼して、依頼された売り側仲介業者(元付け業者といいます)は媒介契約を締結した後に、不動産流通機構(レインズ)に物件情報を登録して販売活動を開始します。

不動産流通機構(レインズ)に登録された物件情報に、多くの仲介業者がアクセスして物件情報を取得し、買い側仲介業者(客付け業者といいます)としてそれぞれの見込み客や来店客に物件を紹介します。

このような販売活動を通じて、物件の情報がマーケットの隅々にまで発信され、早期の売却・購入が可能となります。

このレインズですが、実は不動産業者間専門のコンピューター・ネットワーク・システムです。

たとえ、物件の所有者である売主や貸主であっても、一般消費者はアクセスすることができません。

つまり、不動産業者は見ることができるが、売却依頼者や購入希望者は見ることができないブラックボックスとなっており、これにより不動産業者と消費者との情報格差が生じています。

そう、不動産業者はレインズという情報源をもっていることで、一般消費者に対して優位性を築いているのです。

レインズを一般消費者にも開放する

一般的に、購入希望者はSUUMOやホームズ、ヤフー不動産、アットホームなどの不動産ポータルサイトを利用して物件情報を検索しますが、それらの不動産ポータルサイトにはレインズに登録されているすべての物件情報が掲載されているわけではありません。

そればかりか、どちらかというと「売れ残り物件」であるケースも少なくありません。

元付け業者は、まずは自分たちで購入客を見つけようとします。

なぜなら、うまくいけば「両手仲介」となり、仲介手数料収入が2倍になるからです。

なお、両手仲介自体は違法なものではなく、きちんとルールに決められた通り行えば、まったく問題はありません。

自社の見込み客の中に購入客を見つけることができなければ、元付け業者だけで不動産ポータルサイトに物件情報を掲載します。

そこで購入客が見つかれば両手仲介となりますが、うまくいかなければ最終的にレインズのステータスを「広告可」に変更し、他の仲介業者もさまざまな広告活動が行えるようにするのです。

これらは、すべて仲介業者にとっては利益を獲得できる機会となっていますが、一般消費者にとっては、早期に高額で売却できたり、本当に予算に合った価値のある家を購入できたりする機会の損失となっている場合があります。

そのため、不動産業界を透明化するためにも「レインズを一般開放」すればよいと考えます。

レインズには現在販売されている物件情報のみならず、過去に成約した物件の成約価格なども登録されています。

こうしたデータを見ることによって、一般消費者も住宅流通市場の動向や相場価格などをよりリアルに把握することができ、不動産流通市場が透明化されて価格も安定するでしょう。

また不動産業者にとっても、住宅流通市場が大きく活発化するため、取引量が増えて収益拡大のチャンスが期待でき、不動産業界全体にとって大きな成長戦略となるのでは…と考えています。

そうして市場が拡大していけば、政府による中古市場促進政策とも大きな相乗効果が生まれることでしょう。

知っている?悪徳不動産屋の5つの手口を大公開!!

次に、悪徳不動産屋がよく使う手口について、紹介していきます。

中には法律違反をしていないケースもあるかもしれませんが、自社の儲けだけを優先し、お客さんの利益を無視した手口ばかりですので、よく把握しておきましょう。

物件の囲い込み

片手仲介と両手仲介の違いとは?

「物件の囲い込み」については業界内のタブーを破って、2015年に週刊ダイアモンドが、企業名を特定してその実態をつまびらかにしたことを記憶している方もいるでしょう。

まずは、「片手仲介」と「両手仲介」について確認しましょう。

<片手仲介と両手仲介の仕組み>

不動産の売却を依頼された元付け業者が、物件情報を定められた期間内にレインズに登録し、その情報にアクセスした客付け業者が買主を見つけてきます。

そして、契約が成立すれば元付け業者は売主から仲介手数料を、客付け業者は買主から仲介手数料を受領します。

この取引スキームを「片手仲介」といいます。

片手は「片方からの仲介手数料だけ」という意味です。

その一方、元付け業者が一生懸命に購入希望者も探して販売できれば「両手仲介」となり、元付け業者のもとには売主ばかりでなく買主からの仲介手数料も入ることになります。

「両手」は「両方からの仲介手数料」という意味であり、仲介業者にとってはひとつの取引で「片手仲介」の2倍の収入になるオイシイ仲介なのです。

両手仲介自体は違法行為ではありません

ここで注意しなければならないのは、両手仲介自体は違法な取引ではないということです。

元付け業者がきちんと媒介契約のルールに則って、両手仲介が成立した場合は合法的な取引であり、その仲介業者には何の落ち度も責任も生じません。

媒介契約の種類

売主が仲介業者と締結する媒介契約の形態には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類ありますが、レインズへの登録義務が定められているのは「専属専任媒介」と「専任媒介」の2つです。

専属専任媒介の場合は契約締結後5営業日以内、専任媒介契約の場合は7営業日以内に登録しなければならないと定められています。

<媒介契約の比較表>

つまり、元付け業者がその期間内に買主を見つけてくることができれば、レインズに登録することなく合法的に両手仲介で成約できることになります。

物件の囲い込みの方法や予防策

どうしても両手仲介に固執するが故に、元付け業者が物件情報を規定の期間が過ぎてもレインズに登録しない、もしくは、たとえ登録したとしても他の仲介業者からの問い合わせに対して、「商談中です」「売主の都合により売り止めです」と言って物件を扱わせない、といった対応があればこれらは「物件の囲い込み」と呼ばれる違法行為です。

「物件の囲い込み」は、「早期売却や高額売却の機会損失」という売主の不利益を生じさせる不誠実な行為ですので、注意が必要です。

「物件の囲い込み」を防ぐためには、

・一般媒介で契約するが、レインズには登録してもらう
・レインズのステータス管理を利用して取引状況を把握する

などの対応策がありますが、詳細は「不動産を売却する時に注意したい「囲い込み」の実態と対策とは?」にて確認してください。

両手両足仲介には要注意!

ちなみに、「両手両足仲介」についても説明しておきますので、こちらもよく確認しておきましょう。

<両手両足仲介>

「両手両足仲介」とは「両手仲介」だけでは飽き足らず、「両足(片足の場合もありますが)」までついてきている仲介です。

具体的には、「両手仲介」までは先述の通りですが、買主は買取再販業者や分譲業者であることがほとんどです。

買取再販業者から買取価格を聞いておき、売主には「なかなか市況が厳しいので、少し安いですが○○○○万円で売却しませんか」ともっともらしく持ちかけます。

そして、説得がうまくいけば買取再販業者に買い取ってもらい、再販時に再度仲介をやらせてもらうことにします。

最終的に、再販時に両手仲介が実現できれば「両手両足仲介」となり、たとえ再販時に買主を見つけることができなくても「両手片足仲介」が成立します。

仲介業者にとっては、最大で4回の仲介手数料収入のチャンスがある大きな取引になります。

なお、この取引は法律的には違法行為ではないと判断される可能性もありますが、元の売主にとってはモラルやマナーに完全に欠けている不誠実な行為であり、許されるものではありません。

ただし、結果として売主利益に貢献し、売主が満足している場合はその限りではありませんが、そうしたケースはまずないでしょう。

ヌキ行為

ヌキ行為の仕組み

ヌキ行為とは、専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結している売主や買主に対して、元付け業者や客付け業者を出し抜いて(横取りして)、他の仲介業者が直接交渉することをいいます。

ヌキ行為は、不動産業界ではご法度の行為とされていますが、元付け業者や客付け業者に業務怠慢や実力不足などの要因がある場合は、売主や買主は自由に依頼する仲介業者を変更するべきです。

前述の通り、消費者として当然の行為であるといえますし、原則的にそれはヌキ行為ではありません。

<ヌキ行為の仕組み>

具体的なヌキ行為の方法

上の図のような場合、ヌキ行為を行う仲介業者Eや仲介業者Fには注意が必要です。

まずは、そのやり方を紹介します。

売主Aは元付け業者Bに売却を専任契約で依頼し、元付け業者Bはレインズへの登録や一般的な販売活動など、誠実に対応しているとします。

そこへ、仲介業者Eが「元付け業者Aはこんなことをしている」「元付け業者Aは業界内で評判が悪い」「当社の顧客にこの物件をもっと高く買う客がいる」など、悪口や甘言を吹き込んで、AB間の専任契約を解除させようとします。

そこで、うっかり売主Aがその話に乗ってしまえば、仲介業者Eのヌキ行為が成立してしまいます。

一見すると、実際に早く高く売れるのであれば売主Aにとっても不利益となる話ではないように思われますし、買主Dの立場でもよい物件が手に入るのであれば、仲介業者がだれであってもそれほど気にはしません。

ヌキ行為を行う不動産屋を相手にしてはいけない

しかし、よく考えてみましょう。

あることないことを言って、物件を横取りするようなあくどい不動産屋です。

実際に売買取引や賃貸取引をするにあたっても、同じようなことをする可能性は極めて高いと考えられます。

自社の利益を優先させ、売主や買主の不利益になる行為を平気で行い、さらにはトラブルに発展した場合にも適当に丸め込まれるだけでしょう。

きっと後悔の残る取引となることは間違いありません。

こうしたヌキ行為によって近づいてくる不動産屋を、決して信用してはいけません。

ヌキ行為に引っ掛からない対策方法としては、

・そもそも、締結中の媒介契約の解約を勧める不動産屋とは関わらない
・媒介契約を締結している不動産屋が信頼できる場合は、すぐに相談する

などがあります。

オイシイ話だけをして近づいてくる不動産屋には、ぜひ注意しましょう。

担ボ(担当者ボーナス)

担ボの仕組みとは?

担ボ(担当者ボーナスの略語)は、売主である不動産業者が仲介業者の営業担当者に支払う謝礼金であり、仲介手数料とは別途に支払われるものになります。

俗にいう「リベート」であり、「ウラ金」といっても差し支えありません。

なぜ、売主業者は仲介手数料のほかにも担ボを支払うのでしょうか?

それは、その物件が担ボを支払ってまでも売りたい「売れ残り物件」であるからです。

立地や間取りなど、多くの人にとって価値のある物件は放っておいても売れていきますが、売れ残る物件には何らかの要因があります。

それでも、売主業者としては売らなくては損害が発生してしまいますので、担ボを付けて客付け業者の営業担当者にエサをまくのです。

その結果、他に条件が該当する良い物件があったとしても、営業担当者は高額な担ボが付いている物件をイチオシ物件として、強く勧めてくることとなります。

<担ボの仕組み>

上の図で説明すると、仲介業者Bの営業担当者は、売主業者Aが所有する売買価格5,000万円の物件を買主Cに仲介しています。

この場合、AからBに仲介手数料(5,000万円×3%+6万円)である156万円(別途諸費税)が支払われ、買主も同額を支払います。

この他に、AからBの営業担当者に担ボとして150万円が別途に支払われています。

なお、担ボは売買仲介取引だけでなく、賃貸仲介取引においても行われており、仕組みは同様です。

営業担当者は担ボ物件をどうやって見つけるのか

それでは、営業担当者はその物件が担ボ物件かどうかを、一体どうやって見分けるのでしょうか?

ここにも不動産業界のブラックボックスがあるのです。

通常、すべての不動産業者はマイソク図面と呼ばれる販売図面を作成して営業活動を行います。

売主業者はレインズにマイソク図面を登録し、客付け業者はそのマイソク図面を利用して購入希望者に物件を紹介します。

その際、客付け業者はマイソク図面の下の方にある売主業者の会社名や住所などが記載された帯部分を、自社の会社名や住所などに貼り替えて購入希望者に渡しています。

そのままにしておけば、購入希望者が直接売主業者のところに行ってしまいますから、当たり前ですね。

しかし、そのもともとの帯部分に担ボ条件が記載されていることがあるのです。

<担ボ物件のマイソク図面の事例>

上の事例において、マイソク図面の下にある帯部分に「売主6%(税込)*業法に従って下さい」と記載があります。

通常、仲介手数料は売買価格の3%が基準となりますので、違和感があります。

つまり、6%のうち3%は通常の仲介手数料分ですが、残りの3%は担ボということになり、こうした記載が担ボ物件の目印となっているのです。

担ボの問題点と対策

担ボの最大の問題点は、買主にとって最も希望条件に近くメリットのある物件が買えない可能性がある、という点です。

担ボに目のくらんだ営業担当者にあたってしまえば、担ボ物件以外の該当物件が紹介されないばかりか、あの手この手で売れ残りの担ボ物件を購入するように誘導されてしまうでしょう。

担ボは法令違反ではありませんが、消費者にとってフェアな取引とはいえず、極めて不誠実な対応と言わざるを得ません。

中には、担ボの受領を禁止している不動産屋も存在していますが、不動産業界はある面で売上至上主義の会社が多く、営業担当者の給与体系も歩合となっているケースが多いことから、こうした現実がいつまでも不動産業界のブラックボックスに根強くあることを認識しておきましょう。

三為業者

「三為業者」「三為スキーム」って何?

「三為業者」とは、物件を買い取って自社の所有権とすることなく、「第三者のためにする契約」を利用することにより、物件の転売をする不動産業者のこといいます。

「三為」とは「第三者のためにする契約」を略した言葉です。

通常、買取転売を行う場合、売主Aから不動産業者Bが買い取ることによってAからBに所有権を移転し、リフォームなどをして転売する際にBから買主Cへ所有権を移転します。

以前は、所有権がA→Bへの売買、B→Cへの売買があった場合に、Aから中間者Bへの所有権移転登記を省略し、A→Cに直接所有権を移転すること(中間省略登記)ができました。

中間省略登記を行うことにより、登録免許税や登録免許税が登記2回分必要なところ、1回分にすることができるというメリットがありました。

しかし、平成17年の新不動産登記法の施行により、中間省略登記は禁止されてしまいました。

その代わりに、AB間で「第三者のためにする契約」を締結して、合法的に中間省略登記を行うこと(新・中間省略登記といいます)が認められるようになりました。

このスキームを「三為スキーム」といい、間で中間省略登記を行うのが「三為業者」です。

<三為スキームの仕組み>

三為業者のメリットや問題点

三為スキームは、前述の通り、合法的な取引であり違法性はまったくありません。

そのため、すべての三為業者が悪徳不動産屋というわけではありませんが、多くの問題点がある場合も少なくありません。

まず、三為業者を利用する場合のメリットについて紹介します。

瑕疵担保責任は三為業者が負う

上の図で、通常の仲介取引の場合は、売主Aは買主Cに対して瑕疵担保責任を負うことになります。

瑕疵担保責任とは、物件に隠れた瑕疵(通常の注意を払っていてもわからない欠陥)があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。

瑕疵担保責任には、瑕疵の修復や損害賠償請求、契約の解除などがあります。

一般的に売主が個人の場合、瑕疵担保期間は2~3ヶ月程度にされますが、売主が不動産業者の場合は2年以上となります。

三為スキームの場合は、買主Cにとって売主は三為業者Bとなるため、不動産業者である三為業者Bが買主Cに対して瑕疵担保責任を負うこととなります。

この場合、売主Aは瑕疵担保責任を免れ、買主Cは通常2~3ヶ月程度の瑕疵担保期間が2年以上に延びるため、売主A・買主Cともにメリットがあるといえるでしょう。

金融機関の融資が付く

三為業者から購入する場合、融資評価の出ている物件を購入できることや三為業者と提携関係にある金融機関の融資を受けられるなどのメリットがあり、フルローンやオーバーローンなども期待できます。

オーバーローンの場合、買主Cは融資評価と物件価格の差額を登記費用や引越し代などの諸費用に充当することも可能です。

一方、大きな問題点として、

・三為業者はまったく経済的な負担がなく、リスクを負っていない
・売主が安く買い叩かれる
・買主が高く買わせられる

といった部分があります。

三為業者は、自分自身ではまったく経済的な負担をすることなく、売主から買主に物件を横流しすることによって転売益を上げます。

上の事例では、三為業者Bは売主Aと1億円で契約し、買主Cに1億2,000万円で売却しています。

Cへの手付金や残金は、Aから受領した金銭を利用しており、不動産取得税や登録免許税といった公租公課も課税されることがないため、Bには経済的な負担がなく取引に関してまったくリスクを負っていません。

それにもかかわらず、結果的にBは2,000万円という高額な転売益を得ていますが、そもそも1億2,000万円でCに売却できているので、Aにとっては不利益な取引であった可能性もあります。

三為業者は「濡れ手に粟」的なイメージがあり、消費者にはあまり歓迎されていないのが現状です。

当て物(アテブツ)

「当て物(アテブツ)」とは?

当て物とは「当て物件」のことであり、仲介業者が購入希望者(もしくは入居希望者)を最初に案内する物件です。

当て馬に使うことから、「当て物」と呼ばれています。

当て物は、購入希望者(もしくは入居希望者)にとって「住みたくない」「買いたくない」と思わせるために見せます。

例えば、陽当たりがほとんどないような家や見た目がボロボロな家、駅からものすごく遠い部屋など、内見する購入希望者(もしくは入居希望者)ががっかりするような物件です。

時には、1件だけでなく数件そうした当て物を案内する場合もあります。

これは、最初に悪い物件を見せて「お客さんの予算や要望ですと、現実的にはこのような物件がほとんどです」といった説明をしながら、最後に仲介業者の営業マンが決めたい物件に案内します。

購入希望者(もしくは入居希望者)にとっては、たとえ最後の物件が普通の家であっても、悪い物件を続けて見せられてきたことから、どうしても実態よりよく見えてしまいます。

しかし、最後の物件が購入希望者(もしくは入居希望者)の希望に沿った物件でないことも多々あります。

なぜなら、仲介業者の営業マンが決めたい物件とは、「両手仲介になる」「担ボが付いている」といった物件だからです。

ちなみに、営業マンが最後に見せる物件を「決め物(キメブツ)」と呼んでおり、文字通り決めてほしい物件のことです。

その他に、予算より高い物件が当て物として利用されることもあります。

つまり、最初に予算より高い物件を数件内見して「お客さんの希望に沿う物件の相場はこのくらいの価格となります」と説明し、最後に同レベルの予算内の物件を内見します。

すると、購入希望者(もしくは入居希望者)は「この物件はコストパファーマンスが良い」という感覚になって、契約してしまうことがあります。

これらはすべて営業マンの作戦です。

営業マンにコントロールされることなく、後悔のない不動産購入(または賃借)をするためには、事前に自分の希望条件や予算をきちんと整理しておき、優先順位や絶対に譲れない条件・妥協できる条件などをよく考えておくことが大切です。

不動産を売却する場合やオーナーとして貸す場合も「当て物」に気を付けよう

家を購入する場合や部屋を借りる場合だけでなく、売却する場合や貸す場合にも「当て物」に気を付けなければなりません。

なぜなら、自分の物件が「当て物」になってしまえば、いつまでも契約が決まらないからです。

なかなか契約に結びつかず、レインズに長期間登録されている物件は、他の仲介業者から「いつまでたっても決まらない物件」というレッテルが貼られてしまい、「当て物」に使われてしまうのです。

自分の物件を当て物に使われないためには、元付け業者(あるいは管理業者)から定期的に報告のある物件の反響数や内見数をよく確認し、自分の物件のマーケットでのポジションを把握しましょう。

内見が多いにもかかわらず、いつまでたっても成約しないときは、元付け業者(あるいは管理業者)とよく相談のうえ価格調整や条件変更などの対応が必要な場合もあります。

ここに気を付けよう!不動産屋を選ぶときの25のチェックポイント

最後に、不動産屋を選ぶ場合の気を付けるべき25のチェックポイントについて解説します。

付き合うべきでない不動産屋には共通の特徴がありますので、よく確認していきましょう。

レスポンスが遅い

現在は、インターネットによる物件探しが主流ですので、物件の問い合わせや来店予約などをネット上で行うケースが増えています。

そのため、やり取りは自然とメールになることが多いのですが、メールの返信が遅い不動産屋の場合は注意しましょう。

こちらの問い合わせメールに対して、遅くとも1営業日以内に返信がない不動産屋は避けた方が無難です。

物件に関する問い合わせに対して、1営業日以上レスポンスがない場合はニセの物件情報も可能性すらあります。

特にスマートフォンの普及により、数時間レスポンスがないだけでストレスを感じる人もいます。

そのため、そうしたことに気配りをしてクイックレスポンスを心掛けている不動産屋であれば、良い不動産屋の可能性があります。

店内が整理整頓されていない

店内が整理整頓されておらず、掃除も行き届いていない不動産屋は避けましょう。

店内に清潔感がなく雑然としている不動産屋は、取引も同じように雑な対応をする可能性が高いでしょう。

また、大切な個人情報でさえも杜撰な管理をされて外部に流出してしまうリスクもあります。

外から見てもわかるくらい、清潔で整理整頓された不動産屋が安心です。

路上に看板を出していない

路上に看板や物件掲示板などを出していたり、ステ看を行っていたりする不動産屋は選んではいけません。

路上(公道)に無許可で看板などを設置する行為は道路交通法第76条第3項に抵触し、電柱などにステ看を設置する行為は軽犯罪法第1条第33項に抵触する立派な法令違反行為です。

(禁止行為)
第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
(以下省略)
引用元:総務省行政管理局運営 e-Gov 電子政府の総合窓口 より

(軽犯罪法)
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
(他、省略)
引用元:総務省行政管理局運営 e-Gov 電子政府の総合窓口 より

この程度の法律を知らないのであれば、法律の専門知識が足りませんし、知っているのにもかかわらず行っているということは法令順守を軽く見ている証拠です。

取引をするうえで、さまざまな法律を扱うのが不動産屋です。

一方で法律違反をしておきながら、取引に関する法律やお客さんを保護するための法律だけは守れるのか甚だ疑問です。

そのような不動産屋を信頼して、取引を任せることができないことは明白です。

特に、路上に物件掲示板を通行の邪魔になるほど出している不動産屋などは、売上のことしか頭にない不動産屋に間違いありません。

おとり物件で客を釣る

実際に取引のできないおとり物件には「実際には存在しない架空の物件」「実際には紹介する意思のない物件」「すでに契約済の物件」の3種類があります。

悪質な不動産屋は、不動産ポータルサイトにおとり物件を掲載し、お客さんからの反響があれば来店に誘導します。

しかし、来店したところでその物件は取引できないので、「すでに申し込みが入ってしまいました…」と説明され、不動産屋が決めたい別の物件を紹介されることになります。

ひょっとすると、こうした経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

現在は、不動産ポータルサイト側も不動産公正取引協議会と連携して、悪質な表示違反を行う不動産屋に対して広告掲載を停止するなどの施策を進めています。

その甲斐もあって、おとり広告は減少の傾向にありますが、おとり物件の可能性がある場合はその不動産屋と取引することは止めましょう。

おとり物件かどうかを確認するための方法を紹介しておきます。

気になる物件を見つけて問い合わせをする場合に、「○○○○という物件の内覧をしたいのですが、現地集合でお願いできますか?」と申し出てみましょう。

その物件がおとり物件の場合は「ああ、その物件は決まってしまいました。他にも良い物件があるので、一度来店してもらえますか?」などと回答します。

その場合は、すぐに電話を切った方が賢明です。

お客の味方となって考えてくれる

自分の利益を優先するのではなく、お客の味方となって親身に相談に乗ってくれる不動産屋を探さなければなりません。

家探しなどの本来の目的、希望条件や予算、優先順位などをよく聞いたうえで共有し、そのうえで専門的なアドバイスや知恵を授けてくれる不動産屋がベストです。

こちらの言うことを詳しく聞いてくれないまま、物件を紹介してくる不動産屋はお客の立場ではなく、自分たちのことだけを考えて「売りたい物件」や「貸したい物件」だけを紹介してくる可能性が高いです。

お客さんを大切にする文化のない不動産屋とは付き合ってはいけません。

仲介手数料が無料

仲介を行っている不動産屋の主な収益源は、仲介手数料です。

その仲介手数料を無料(もしくは半額)にしている不動産屋は親切な不動産屋なのでしょうか?

仲介手数料が無料・半額になる仕組みを確認しながら、説明します。

<仲介手数料無料の仕組み>

まず売買取引の場合は、両手仲介を利用します。

両手仲介は、成約すると売主・買主双方から仲介手数料を受け取れますが、売主分だけを請求し、買主からは受け取らないようにすることで「仲介手数料無料!」と謳うことができるのです。

この場合、売主は不動産業者であることがほとんどです。

ここで注意しなければならないのは、「物件の選択の幅が狭まること」と「取引を急かされる可能性があること」です。

買主からの仲介手数料を無料・半額にするためには、両手仲介でなければならないため、紹介できる物件は自社で直接預かっている物件、もしくは売主が不動産業者である物件に限定されてしまいます。

つまり、買主にとっては物件の選択の幅がかなり狭まってしまうこととなります。

次に、両手仲介となる不動産業者が売主の物件は、どの不動産屋にとってもオイシイ物件であるため、業者間の競争が激しくなる傾向があります。

さっさと契約しなければ他社に取られてしまう可能性があるため、早く契約させたいというモチベーションが不動産屋に働き、十分な説明や検討時間を与えられることなく契約を急かされるリスクがあります。

賃貸の場合も同様で、貸主側から広告料(AD)とよばれる手数料が出る物件だけを紹介されることとなり、物件選択の幅が確実に狭くなります。

「仲介手数料無料!」は初期費用を大きく削減できるため、魅力的な面はありますが、そのメリットだけで決めてしまうと後悔する可能性もあります。

物件は、幅広い選択肢の中から選び、結果的にそれが仲介手数料無料であればラッキー…くらいのスタンスでいた方が賢明です。

「物件数No.1!」と謳っている不動産屋

ホームページや看板、チラシなどに「物件数No.1!」や「地域で一番の物件数」などと表示している不動産屋を見かけることがあります。

しかし、実態はどこの不動産屋でも物件数に関しては変わりません。

なぜなら、ほとんどの物件情報は不動産業者間のネットワークシステムであるレインズで共有されているためです。

レインズに登録前の専任物件・専属専任物件や社有物件などがある可能性もありますが、ごく少数と考えてよいでしょう。

つまり、「物件数No.1!」の不動産屋は存在しないことになりますので、注意しましょう。

宅地建物取引業者免許証の更新番号が(1)の不動産屋

宅地建物取引業者の免許証番号とは、不動産屋が宅地建物取引業の免許の交付を受ける時に割り振られる番号であり、免許証番号がない不動産屋は無許可営業の不動産屋ですので、関わってはいけません。

<宅地建物取引業者の免許番号の事例>

複数の都道府県にまたがって営業している場合は「国土交通大臣(●)○○○○号」となり、ひとつの都道府県だけで営業している場合は「○○県知事(●)○○○○号」となります。

カッコ内の数字は免許の更新回数を表しており、数字が大きい不動産屋ほど歴史がある不動産屋です。

以前は3年に1度の割合で免許を更新していましたが、現在は5年に1度の割合で更新します。

つまり、更新番号が(1)の不動産屋は、免許の更新をしたことのない営業年数5年未満の不動産屋ということになります。

よく「免許番号の数字が多いほど優良な不動産屋である…」と言われますが、たしかに更新番号が多いほど営業年数が長いため一定の信用はおけるでしょう。

しかし、たとえ更新番号が(1)であっても、志が高くお客さんの立場や目線で対応をしてくれる不動産屋もたくさんあります。

免許の更新番号はあくまでも目安と考え、より本質的な部分で不動産屋を見極めることが大切です。

強引な営業をする不動産屋

物件を決定する際に、自分が決めたい物件のメリットばかりを強調し、強引に契約に持ち込もうとする不動産屋には注意しましょう。

営業マンのノルマや歩合給、あるいは担ボや広告料(AD)だけを考えて、その物件を勧めている可能性があります。

その場で流されることなく、冷静に判断する必要があります。

平成23年の宅地建物取引業法の改正によって、以下の通り、悪質な勧誘行為は禁止されています。

<悪質な勧誘行為の禁止>
宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第47条の2第3項に基づき、同法施行規則第16条の12において、宅地建物取引業者等の勧誘行為について、相手方等を困惑させることが禁止されていますが、今般、宅地建物取引に係る悪質な勧誘行為の実態調査の結果を踏まえ、以下の事項を明文化する等の改正を行いました。
・勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うことを禁止
・相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続することを禁止
・迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問による勧誘を禁止
引用元:国土交通省ホームページ 宅地建物取引業法施行規則の一部改正について より

このことは、いかに強引な営業をする不動産屋が多いかということですので、注意しましょう。

「激安!」「最高!」「抜群!」などの広告表現が目立つ

店頭掲示やインターネット広告、マイソク図面などに「激安!」「最高!」「抜群!」「掘り出し物」「稀少物件」などの表現が目立つ不動産屋は避けた方が無難です。

これらの表現は、表示内容を裏付ける客観的な合理性がある場合を除いて使用が禁止されています。

これらはすべて煽り文句であり、煽り文句を多用する不動産屋は、法令違反であるにもかかわらず、お客さんの目を引くことばかりを考えている不動産屋であるといえるでしょう。

「未公開物件」を謳う不動産屋

レインズによってほとんどの物件情報は、不動産業者間で共有されていると説明しました。

それにもかかわらず、やたらと未公開物件の存在を強調してくる不動産屋には注意が必要です。

お客さんを煽って、その気にさせて契約してしまおう…と考えている不動産屋の可能性が高く、強引な営業をかけられて嫌な思いをするだけです。

申込金を要求してくる

申込書を提出する際に、申込金や預り金などを要求する不動産屋があります。

しかし、本来は支払う必要のない金銭なのです。

特に賃貸の場合は、申込金・預り金などの名目を問わず手付金の授受は、特別なケースを除いて禁止されています。

また、売買の場合も契約時に手付金を支払うことはありますが、申込段階で支払う必要はありません。

万一、申込金などの金銭を支払ってしまった場合は、必ず領収書や預り証を受け取っておき、契約金に充当する旨を記載してもらいましょう。

また、申込をキャンセルした場合には、不動産屋は申込金などを返還する義務があります。

もし返還しない場合は、宅地建物取引業法違反となりますので、各都道府県の不動産相談窓口にすぐに相談しましょう。

物件のデメリットや悪い面も伝えてくれる

物件のメリットや良い面ばかりを強調し、デメリットや悪い面を正直に伝えない不動産屋を信用してはいけません。

本当に信頼できて実力のある不動産屋であれば、両方の面をきちんと説明したうえで、デメリットや悪い面に関しては、その対応策や改善策について提案してくれるはずです。

良い面だけを強調してくる場合には、その理由や根拠について必ず確認し、同時に「この物件にデメリットや悪い面はありませんか?」と質問してみましょう。

きちんと合理的な説明ができればよいですが、適当な回答で済ませようとする場合は物件の悪い面を隠そうとしている可能性があります。

最悪の場合は、構造的な欠陥や事故物件の事実など、物件の瑕疵を隠していることがありますので、きちんとした対応ができない不動産屋は避けましょう。

大手の不動産会社の方が地場の不動産屋より安心?

大手の不動産会社と地場の不動産屋、どちらを選んだらよいのかと質問を受けることがよくあります。

大手の不動産会社には委託を受けている物件数が多く、店舗数も多いために取扱いエリアが広いというメリットがあります。

また、テレビコマーシャルや各種媒体により知名度があるため、信用性も高く社員教育も行き届いています。

一方、地場の不動産屋の場合はそのエリアに密着しているため、他にはない物件情報を持っている、売主や貸主との距離が近いといったメリットがあります。

どちらが良いとは一概には言えませんが、レインズにより基本的な物件情報に違いはありませんので、物件の種類やエリアに応じて適切な不動産屋を選ぶことが大切です。

駅前の不動産屋が良い?

駅前の不動産屋は立地が良いことから、多くのお客さんが来店して活気のあるお店のイメージがあります。

ただし、駅前であるために店舗の家賃が高い(特に1階部分)ため、営業マンのノルマ設定が高いケースが考えられます。

ノルマを達成するために、手数料収入が多く取れる物件を優先的に勧められ、しかも即契約を要求されることも考えられます。

もちろん、すべての駅前の不動産屋がそうであるとは言えませんが、自分が本当に望んだ物件でなく、営業マンが決めたい物件に落ち着いてしまうリスクがあるため、注意が必要です。

ファーストコンタクトの態度が悪い

メールや電話で初めて不動産屋とコンタクトを取った場合に、態度や対応が悪かったり、名前を名乗らなかったりした場合は、その不動産屋を避けた方がよいでしょう。

万一、取引を進めたとしても杜撰な対応や不誠実な対応をされる可能性が高いためです。

電話での勧誘が多い

現代では、お客さんとの顧客のやり取りはメールが主流で必要な時だけ電話をかける…という不動産屋が増えています。

しかし、不動産屋の電話による勧誘が社会問題となっており、悪質な不動産屋が存在しているのが実状です。

国土交通省のホームページにおいても、注意喚起がされています。

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000028.html

不動産ポータルサイトなどでは、希望連絡手段を選択することも可能な仕組みになっており、「メール」を希望しているにもかかわらず電話でしつこく勧誘してくる不動産屋には注意が必要です。

調子が良すぎる

問い合わせの電話をした場合に、条件や状況などを確認することもなく「ぜひご来店ください!」と繰り返す、あるいは、疑問や質問をぶつけても「大丈夫です。すべてお任せください」といった回答しかしない調子が良すぎる不動産屋は、信用性に欠けるといえるでしょう。

お客さんのことを、売上や歩合給のタネとしか考えていない可能性があります。

身だしなみが悪い

営業マンの身だしなみが悪い場合は、注意が必要です。

ワイシャツやスーツが汚れていて清潔感のない場合や、逆にホストのような派手なスーツに過度な茶髪の場合など、ビジネスマンとしての資質を疑わざるを得ません。

また、それを容認している会社自体もきちんとしたマネジメントができているとは言えないでしょう。

お客さんの立場や目線で対応できる会社である可能性もゼロではありませんが、身だしなみが整っている他の不動産屋を探した方が無難です。

言葉遣いや営業トークが馴れ馴れしい

営業マンの言葉遣いや営業トーク、接客態度が馴れ馴れしい不動産屋もNGです。

友達と接するような話し方をする営業マンに、高額な不動産取引を信頼して任せることはできません。

態度を豹変させる

最初は愛想よく対応してくれていたにもかかわらず、さまざまな質問をしたりネガティブな面について指摘したりすると面倒臭そうな顔をしたり、高圧的な口調になったり、態度を豹変させる不動産屋があります。

そうした不動産屋とは、すぐに取引をストップしましょう。

そのまま付き合っていても、不快な気持ちになるだけでなくトラブルが発生する可能性が高いでしょう。

同業他社の悪口を言う

仲介を行う不動産屋は、レインズの情報をもとに営業しているため、どの不動産屋でも情報量の差はほとんどありません。

つまり、不動産屋はお客さんがどの不動産屋へ行っても同じ物件を紹介されることがわかっているため、同業他社の悪口をアレコレ言って自社で契約させようとする不動産屋もいます。

そのような不動産屋は、お客さんの悪口も平気で言いますし、どのような被害にあうかわかったものではありません。

さっさと取引を止めた方が無難です。

お客のペースに合わせてくれる

物件の問い合わせを電話またはメールでした場合に、「すぐに来店しないとその物件はなくなってしまうかもしれません」とか「とりあえずお店に来てください」と来店を急かされることがあります。

その場合は、前述のおとり物件の可能性がありますので、よく確認しましょう。

また、気になる物件を内見した後に「早く契約しないと他の人が契約してしまうかもしれません」などと、その場で契約することを迫ってくる不動産屋も避けた方が賢明です。

自分の予算や条件、優先順位などをきちんと整理したうえで検討することなく、その場の雰囲気や勢いだけで契約してしまうと後悔だけが残る可能性が高いです。

十分な説明もないままに、お客さんの気持ちの揺れや弱みに付け込み、自分の利益だけを考えるような不動産屋は避けなければなりません。

このような場合は、ただちに席を立って、お客のペースに合わせて余裕のある接客をしてくれる不動産屋を探しましょう。

口コミサイトやSNSなどを確認

不動産屋のホームページに、お客様からの声といった口コミが掲載されている場合もありますが、不動産屋にとって良いことばかりが記載されている可能性もあります。

そのため、客観的なユーザー投稿型の口コミ掲示板サイトやSNSを活用して口コミや評判を確認するとベターです。

特に、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)やマンションコミュニティなどの口コミサイトに個別のスレッドが立っている場合は注意が必要です。

たいていの場合は大手不動産会社ですが、当事者でなければわからないような記載があれば、本当に事実かどうかよく精査してみましょう。

また、Twitterで検索してみるのも有効な方法です。

行政処分歴を確認する

口コミやSNSなどで評判を確認するだけでは心配な場合は、その不動産屋の行政処分履歴を確認してみましょう。

行政処分履歴を確認するためには、国土交通省が運営するWebサイトである「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」を利用すると便利です。

その不動産屋の過去5年分の処分履歴(業務停止や免許取り消し等)などが確認できます。

悪質な営業を行っている不動産屋は、過去に同じような処分を複数回受けていることもあるため、「おかしいな」と思ったら必ず確認しましょう。

お客さんの立場と目線で取引を進めてくれる不動産屋を選ぼう

賃貸の部屋探し、マイホームの購入、所有不動産の売却のいずれも、信頼できる誠実なパートナーである不動産屋に頼みたいものです。

そのためには、焦ることなくじっくりと構えて物件や不動産屋を探し、あくまでも自分のペースで取引を進めることが大切です。

不動産屋とのやり取りで少しでも「おかしいな」と感じたら、必ずその場で納得いくまで質問したり、説明を受けたりしましょう。

大切なことは、その不動産屋がいかにお客さんの立場と目線で取引を進めてくれるか、という点です。

多くの不動産屋の中には、いまだに悪質な不動産屋がいることも事実ですので、皆さんの身を皆さん自身の手で守るために、この記事が少しでも役に立てばと考えています。

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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