入学や就職、転勤など、人生の転換期ともいえるタイミングが生じた場合、家が必要となります。
特に実家を出て初めて一人暮らしをする場合は、期待と希望にあふれていることでしょう。
しかし、初めての物件探しや賃貸契約の締結など、不安な要素も少なくありません。
そこで今回は、一人暮らしの物件探しのコツや注意点、契約締結までのポイントなどについて徹底解説します。
この記事を参考にすれば、希望溢れる一人暮らしを始められること、間違いありません!
目次
まずは、事前に物件情報や周辺情報などを収集し、自分自身で物件の絞り込みをしておきます。
こうした準備をすることなく、いきなり不動産会社へ行ってしまうと、たくさんの情報に流されてしまい決めきれなくなることがあります。
ここでは、事前準備の方法について説明します。
まずは、住みたいエリアを決めましょう。
あなたが住みたいエリアとは、どのような場所でしょうか?
渋谷や青山のような憧れの有名エリア、通勤や通学に便利なエリア、友達や家族が近所にいるエリア、有名な観光地のそばのエリア…などなど。
基本的には通学や通勤を軸にエリアを決めることをオススメしますが、せっかく一人暮らしを始めるのですから、自分自身が住みたいエリアに住むのが一番です。
いきなり住みたいエリアを一つに絞るのではなく、第三候補くらいまで選んでおくことがコツです。
エリアによって住環境やアクセスの良さが変わるからです。
例えば、急行停車駅と各駅しか停車しない駅は利便性が変わります(家賃は下がりますが…)し、駅ごとの住環境もさまざまでしょう。
あるいは、相互乗り入れをしている沿線であれば、住環境を優先して郊外エリアを選ぶのもひとつの手です。
こうした要素を検討しながら、住みやすさとアクセス性、家賃相場などを確認して、複数のエリアを選定しましょう。
最も重要な条件は「いくらまでの家賃が支払えるか」ということです。
無理な家賃を支払えば生活に支障が出るばかりでなく、何らかのトラブルなどにより家賃支払いを滞納してしまうリスクも発生しますので注意が必要です。
家賃と管理費や共益費などを含めた毎月の支払額の合計を、毎月の収入の3分の1以下とすることが無理のない支払いの目安です。
この場合の収入は税金や社会保険料などが差し引かれた、いわゆる手取り額を指します。
例えば、給料の手取り額が24万円であれば支払う家賃は8万円以下を目安としましょう。
歩合やインセンティブ、ボーナスなどを含めずに考えることが大切です。
学生の場合は、仕送りの額やアルバイト料などを合計して考えましょう。
部屋を借りる場合、家賃だけでなく敷金・礼金など、契約時に支払わなければならない初期費用が発生します。
主な初期費用の項目は、以下の通りですので確認してください。
<主な初期費用>
表面的な家賃の値段だけではなく、2年間トータルでどのくらいのコストを支払うのかを考えることがコツです。
例を挙げてみてみましょう。
<家賃等の支払い事例>
上の表で、家賃6.5万円と家賃7.5万円の物件があります。
家賃6.5万円の物件は、敷金2ヶ月・礼金1ヶ月・仲介手数料1ヶ月・2年間の家賃が24ヶ月で合計1,820,000円支払うことになります。
一方、家賃7.5万円の物件が敷金1ヶ月・礼金なし・仲介手数料なし・フリーレント2ヶ月だった場合、2年間のトータルコストは1,725,000円となり、家賃6.5万円の物件より安いことになるのです。
(※フリーレント…入居時から一定期間の家賃支払いが免除となることをいいます)
また、家賃7.5万円の物件の方が立地や建物のグレード、設備類のスペックなどが良いですから、一層お得であると考えられます。
このように、家賃だけを比較するのではなく、トータルコストを考慮しながら物件を比較・選定することも大切です。
物件の中には、敷金ゼロ・礼金ゼロ・仲介手数料ゼロといった、いわゆるゼロ・ゼロ物件を見かけることがあります。
これは初期費用の負担を軽くして、借主が借りやすいようにしているためですが、家賃が相場より高く設定されていたり、退去時に費用が発生したりする物件もあるため、注意が必要です。
仲介手数料に関しては、仲介物件でなく貸主が不動産会社の場合はかかりませんし、貸主が1ヶ月分全額を負担する場合には借主の負担分はありません。
人気のエリアで立地が良い物件などは人気があるため、敷金2ヶ月・礼金2ヶ月・仲介手数料1ヶ月の条件でも決まってしまうことがよくあります。
そのため、ゼロ・ゼロ物件のように、敷金・礼金・仲介手数料が通常の物件より安い場合は、なぜ安くしているのかその理由を事前に確認しておきましょう。
まれに事故物件などのネガティブな原因によって、初期費用を軽くしているケースがあります。
物件情報を検索する場合に、間取り条件によって探す場合があります。
一人暮らしの場合、主に1R(ワンルーム)・1K・1DK・1LDKなどの物件を探すことが多いと考えられますが、その違いをご存知でしょうか。
ここでは、各間取りの違いについて下の図を参照しながら確認してください。
<1R(ワンルーム)>
<1K(ワンケー)>
<1DK(ワンディーケー)>
<1LDK(ワンエルディーケー)>
これらの間取りのうち、特に一人暮らしの際に選ぶことの多い物件である1Rと1Kのそれぞれのメリット等について説明しますので、確認してみましょう。
【1Rのメリット】
■1Kと比較すると家賃が安い
1Rは1Kと比較すると家賃が安い傾向があります。
仕切りを設けないため、その分建築費が安く済むので家賃を安く設定できるのです。
また、近年は1Kの方が人気のため多く建築されており、1Rは築年数の古い物件に多いことも家賃が安い原因といえるでしょう。
■居室とキッチンを一体化できる
居室とキッチンの間に仕切りがないため、居室とキッチンを一体化することが可能です。
例えば、エアコンをつければキッチンにまで風が行き渡り、同じ温度で過ごすことができます。
インテリアなども統一感を持って、部屋全体を演出することができるでしょう。
■部屋が広く感じられる
居室とキッチンの間に仕切りがないため、部屋全体に奥行があるように見えて広く感じられます。
玄関を上がったところから部屋になるため、面積を有効に使うこともできるでしょう。
【1Kのメリット】
■玄関から部屋が見えない
1Kは居室とキッチンの間に仕切りがあるため、玄関から居室が丸見えになることはありません。
宅配や出前の配達員が来ても、部屋の中を見られることがなくプライバシーを守ることができます。
■料理などの匂いがしない
匂いの強い料理をした場合でも、居室とキッチンの仕切りドアを閉めておけば、匂いが居室に行き渡るのを防ぐことができます。
居室に匂いが行き渡ってしまうと、洋服や寝具類に匂いがついてしまうことがあるため、気になる人は1Kを選ぶとよいでしょう。
■居室の温度管理がしやすい
1Kの場合、居室はキッチンと独立した状態であるため、エアコンによる居室内の温度管理がしやすいといえるでしょう。
仕切りドアを閉めておけば、玄関からの外気の影響を受けることがなく、居室の室温は快適な状態をキープすることができます。
また、エアコンが効きやすいため電気代の節約にもつながります。
【1Rと1Kの違い】
1Rと1Kの違いは、居室とキッチンの間に仕切りがあるかないか、ということになります。
仕切りがある1Kは居室の独立性が高い間取りといえ、仕切りの有無によって大きな影響を及ぼすこともあります。
そこで、1Rと1Kのそれぞれのメリットを確認し、自分のライフスタイルや好みに合った物件を選ぶことが大切です。
物件情報を検索するためには、住宅情報誌やフリーペーパー、不動産会社の店頭掲示などさまざまな方法がありますが、現代ではインターネットによるWeb検索が最も効率的でしょう。
ここでは、インターネットで物件情報を検索するコツなどについて説明します。
ここでは、不動産ポータルサイトの「HOME’S賃貸」の事例を見ながら確認してみましょう。
<HOME’S賃貸の画面例1>
まずは希望エリアを選んで検索することが一般的です。
上の図の赤枠部分のうえから順に、「路線や駅」「希望する市区町村」「目的地(駅)」まで○分以内、乗り換え○回以内」「地図上で探す」「路線図を見ながら探す」といった方法で検索することができます。
エリアを選定したら、次に物件種別(アパート・マンションなど)、希望条件(賃料・専有面積・間取り・駅徒歩・築年数・建物構造など)を入力し、物件情報を絞っていきます。
<HOME’S賃貸の画面例2>
上記の他にも、物件の検索条件には「こだわり条件」があり、細かく条件を指定することができます。
<HOME’S賃貸のこだわり条件の事例>
一人暮らしのケースでよく検索されるこだわり条件には、以下のものが挙げられます。
特に女性が防犯面を考慮して、2階以上を希望します。
角部屋はプライバシーや防音の面で希望されることが多い条件です。
近年、一人暮らしの場合でもペットを飼育するケースが増えており、ペット可対応の物件も多く建てられています。
トイレと浴室が一体となった3点ユニットは敬遠される傾向にあり、浴槽にゆっくり浸かりたいと考える人が多いようです。
セキュリティや防犯面を考慮して、オートロックやTVモニター付インターホンを追加する人が多いようです。
一人暮らしの場合、エアコンは必需品とされる条件です。
コンクリート打放しの外壁やガラスブロックを使った窓など、通常の賃貸物件にはあまりないグレードや仕様、デザイン性が特徴の物件です。
分譲マンションとして販売された物件を賃貸にしているケースです。
分譲マンションであるため、仕様やグレード、管理体制などが優れています。
こうしたこだわり条件を追加して、自分ならではの住まいを探すことも一人暮らしの楽しみのひとつでしょう。
しかし、あまり厳しく条件を指定すると該当する物件が少なくなることがあります。
その場合は、エリアを見直したり、専有面積や予算を再検討したり、こだわり条件を緩めたりしてみましょう。
物件情報が検索できたら、各物件について間取り図や室内写真、詳細情報をしっかりと確認して、実際に内見する物件を絞り込んでいきます。
<HOME’S賃貸の画面例3>
まずは、物件の間取り図と外観写真、室内写真などを確認し、物件のイメージを掴みます。
最近は掲載されている写真の点数も増えており、物件写真のみならず共用部分や周辺環境の画像を確認することや動画によって室内を確認することもでき、よりイメージしやすい環境が整っています。
こうしたデータをもとに、実際に現地に行った場合にイメージとの違いや齟齬がないか確認するとよいでしょう。
また、間取り図では以下のポイントについてチェックすることが大切です。
間取り図には必ず住戸の向きを表す方位が記載されていますので、よく確認しましょう。
方位記号は「N」が北を指しており、上の事例は南向きの物件であることがわかります。
一般的に、陽当たりの良い南向きが好まれる傾向がありますが、一人暮らしの場合は午前中だけ明るい東向き、午後から明るい西向き、家には寝に帰る程度という場合は北向きなど、ライフスタイルによってさまざまな方位が選ばれています。
間取り図では収納の寸法までは正確にわからないため、内見の際に採寸することを忘れないようにしましょう。
また、間取り図の記号である「CL」はクローゼット、「WIC」はウォーク・イン・クローゼット、「S」は納戸を表しています。
間取り図にバルコニーと表示されていても、外に出られないタイプのバルコニーもあるため注意が必要です。
その場合、洗濯物をどのように干すのか、不動産会社または現地で確認しましょう。
「MB」はメーターボックスを表し、「PS」はパイプスペースを表しています。
いずれも収納スペースではありませんので、注意しましょう。
「洗」と表示されている部分が洗濯機置場となります。
バルコニーなど外部に設置されている場合もありますので注意しましょう。
基本的にはバルコニー側に1ヶ所、角部屋の場合は2ヶ所に窓が設置されています。
窓が多いほど通風性はよくなります。
また、バルコニー側の窓が掃出し窓ではない場合は外に出ることができませんので、注意が必要です。
この他に、物件の詳細情報が文字で表されています。
これらも非常に大切な情報であり、見落としてしまうと「こんなはずじゃなかった」という失敗につながることがありますので、よく確認しましょう。
<HOME’S賃貸の画面例4>
詳細情報に関しては主に以下のポイントについて注意しましょう。
駅からの徒歩時間は、駅から物件までの距離を80メートル/分で単純に計算した時間が表示されています。
坂道や信号の待ち時間などはカウントされていないため、実際に自分の足で歩いて確認することが大切です。
物件の所在階と建物全体の階数を確認しておきましょう。
一般的に高層階ほど家賃が高くなりますが、エレベーターがない建物の5階の部屋などは家賃が安く設定されている場合もあります。
物件全体で住居が何戸あるのかを把握しておきましょう。
総戸数が少なければ静かな物件であるといえますし、総戸数が多い場合は管理費が豊富なため、管理状態が良いケースがあります。
家賃保証会社や火災保険への加入の義務について確認しておきます。
加入が義務付けられている場合は、料金などについてもよく確認しておきましょう。
「空家(空室)」と表示されている場合は即入居することも可能ですが、「入居中」と表示されている場合は、おおよその入居時期が表示されているはずですので確認します。
「相談」と表示されている場合は、貸主と借主が相談のうえ時期を決定することになります。
鍵交換費用や退去時のルームクリーニング代など、初期費用などがかかる場合は備考欄等に明記されていますのでよく確認しましょう。
ただし、備考欄に記載がない場合でも安心せずに、不動産会社と面談する際に忘れずに確認してください。
「実際に現地を見てみたい」「もう少し詳しい情報が知りたい」「この物件はまだ申し込み可能なのか」などと思える物件が絞り込めたら、いよいよ不動産会社に問い合わせます。
ここでは、不動産会社への問い合わせについて説明します。
不動産ポータルサイトなどの物件情報ページから、問い合わせフォームやメールを利用して不動産会社とコンタクトを取ることができます。
通常は1営業日以内に不動産会社からメールもしくは電話にて連絡が来ます。
ただし、水曜日は定休日の会社が多いので注意しましょう。
1月~3月の繁忙期のシーズンは、ちょっとしたタイミングの違いで気に入った物件が他決してしまう可能性もあるため、直接不動産会社へ電話してしまった方がよい場合もあります。
状況に応じて、臨機応変に対応することが大切です。
問い合わせフォームやメールを利用して問い合わせる場合、「空室状況を知りたい」「物件を実際に見たい」「詳しい情報を知りたい」など、不動産会社へ問い合わせ内容を明確に伝えましょう(HOME’S賃貸では必須項目です)。
また、備考欄などを上手に活用し、希望条件などを詳しく記載しておくことによって、問い合わせた物件以外の情報を引き出すことができます。
なぜなら、不動産会社はすべての物件をインターネット上で公開しているわけではなく、貸主の希望などによりネットには掲載していない物件や退去したばかりの物件などもあるからです。
不動産会社が希望条件を把握していれば、「こういった物件もありますよ」と他の物件情報も紹介してくれるかもしれません。
<HOME’S賃貸の画面例5>
物件情報を検索した場合、同じ物件情報を複数の不動産会社が掲載しているケースがあります。
これは、貸主は複数の不動産会社へ入居者募集活動を依頼することができるためですが、物件情報を見た利用者はどの不動産会社へ問い合わせればよいのか迷うでしょう。
そこでまず、各不動産会社の情報を確認します。
大手不動産会社なのか地域密着型の不動産会社なのか、店舗はどのような場所にあるのか、そのエリアで他の物件を豊富に取り扱っているのかなどを調べてみましょう。
大手不動産会社であれば情報量やネットワークに優れていますし、地域密着型の不動産会社であれば地元の情報や賃貸マーケットに強いでしょう。
また、問い合わせた物件と同じエリアの物件情報が豊富であれば、そのエリアに強い不動産会社であるといえるでしょう。
このように、不動産会社を調べることによって、自分のニーズに合った会社を選ぶことができます。
また、不動産会社で実際に対応してくれる担当者も大切です。
よい担当者かどうかを判断するためには、複数の不動産会社に問い合わせてみて、メールや電話のレスポンスの早さや内容、文面や話し方などから、信頼できる人かどうかを判断しましょう。
勢いだけよくても困りますし、たとえ親切であってもあまりにも馴れ馴れしい担当者などは避けた方がよいでしょう。
借主の立場になって考えてくれる、信頼できる担当者を選ぶことが大切です。
不動産会社の担当者に条件を伝える時には、条件の優先順位を整理しておきましょう。
「少し狭くても駅に近い方がよい」「少し駅から遠くても広い方がよい」「絶対に南向きは譲れない」「家賃はMAX○○万円まで」「オートロックは外せない」「バス・トイレ別でないとダメ」など、担当者が物件を提案しやすくなるように希望条件を整理しておくことが、後悔のない部屋探しをするためのコツです。
もし、整理した希望条件を伝えて「適合する物件が少ない」と言われた場合は、どの条件を譲歩すればよいのか、またはエリアを変えれば物件情報が出てくるのかなど、質問してみましょう。
検索した物件情報を不動産会社で確認したら、不動産会社から提示されるマイソク図面を片手に実際に現地に行って「内見」を行います。
<不動産会社から提示されるマイソク図面の例>
内見の大きな役割は、マイソク図面や物件情報を見ているだけではわからないポイントをしっかりと確認することです。
ここでは、内見の際に注意すべき14のチェックポイントについて説明します。
内見したら、まず陽当たりについて確認しましょう。
マイソク図面で「南向き」と明記されていても、南側に建物があれば陽当たりが十分ではないこともあります。
実際の明るさや日差しの入り方、温度感などを体感することが大切です。
前述の通り、東向きは午前中、西向きは午後、南向きは一日を通して陽当たり良く、北向きは一日を通して陽当たりはないなど、時間帯によっても異なりますのでよく確認しましょう。
電車や道路、店舗のような人の出入りのある近隣施設などによって騒音がする場合は、どの程度の騒音がするのかを確認しておきましょう。
窓を開けた場合と閉めた場合の両方の状態で確認するとよいでしょう。
電車の場合は深夜には騒音がしなくなりますが、道路の車両の通行による騒音は深夜でも関係ありませんので、注意が必要です。
近隣に工場や廃棄物処理場、牧場や養豚場などの施設がある場合には、風向きによって窓から室内に臭いが入ってくる可能性があります。
近隣のそうした施設の有無を確認のうえ、臭いがするかどうか確認しましょう。
部屋の前に建物がある場合、どのような建物がどのくらい高さでどのくらいの距離に建っているのか、確認しましょう。
向こう側の建物の同じ位置に居室がある場合、カーテンを開けた状態で過ごせるのか、プライバシーは確保できるのかなども確認することが大切です。
バルコニーに出ることができるのか、出ることができる場合に洗濯物を干すことができる奥行や間口があるのか、物干し竿は架けられるのか、道路側からのプライバシーは確保されているのかなど、確認しましょう。
実際の部屋の広さを体感し、マイソク図面と相違がないか確認します。
特に間取りが1R(ワンルーム)の場合、数字上の6畳と体感される6畳が違う場合もありますので、注意してください。
また、内見時に部屋の寸法を測ってみて、ベッドやソファなどの家具の配置もイメージしてみましょう。
コンセントやテレビ端子・電話端子の位置や数を確認しましょう。
築年数が古い物件の場合、コンセントやテレビ端子の数が少ないことがあり、家具やテレビの配置が限定されたり、たこ足配線となってしまったりすることがあります。
また、コンセントの高さにも注意が必要です。
コンセントが床から高い位置にあると、配線が邪魔になる場合があるためです。
自分が持っている洗濯機や冷蔵庫を引っ越し後も使用する場合、事前に家電のサイズを測っておき現地で設置が可能か確認しましょう。
新しく購入する場合でも、現地で設置場所の寸法を測っておくと便利です。
特にドラム式洗濯機のサイズや冷蔵庫のドアの開き方などには注意が必要です。
エアコン・インターホン・オートロック・コンロ・給湯器・照明などの設備類の動作確認を現地で行いましょう。
実際にエアコンは作動するのか、インターホンはなるのか、オートロックは開くのか、コンロは点火するのか、お湯はちゃんと出るのか、照明は点灯するのかなど、できるだけ多く確認しましょう。
ただし、内見時に電気やガスの契約が停止されている場合もありますので、注意しましょう。
今や欠かせない生活ツールである携帯電話やスマートホンの電波状況を確認しておきましょう。
万一、電波状況が悪い場合には通信キャリアの方で電波改善のための機器類を無料で貸し出してくれる場合もありますので、確認してみましょう。
現地でトイレ・シャワー・キッチンの水を流して、水圧や排水状況を確認しましょう。
水回りは生活に必要不可欠な設備ですので、実際に生活していくことをイメージしながら確認することが重要です。
水圧や排水状況にトラブルがある場合は、不動産会社を通して貸主に改善をお願いしましょう。
隣室の生活音が気になる人は多いと思いますので、防音性についても現地で確認しておきましょう。
木造や鉄骨造などの建物は、構造上ある程度の音の発生を免れることはできませんが、鉄筋コンクリート造の建物であれば一定の防音性は確保されているといえるでしょう。
まずは、現地で軽く壁を叩いてみて音の伝わり具合を確認します。
壁を叩くのは一箇所だけではなく、すべての壁面で叩いてみるとよりはっきりと音の漏れ具合がわかります。
また、壁に耳をくっつけて音を聞いてみることも有効です。
隣室の声やエレベーターの音が大きく確認できる場合は、音が伝わりやすい構造ですので注意が必要です。
その他、不動産会社の担当者に隣室との仕切り壁の厚さを聞いてみてもよいでしょう。
室内の湿気やカビの原因となるのが結露です。
内見時には、サッシの木枠や周辺の木材部分を確認してみましょう。
結露が生じている場合は、そうした部分にカビや変色が見られますので、要注意です。
その他、部屋のクロスが浮いていたり、クローゼット内にカビが発生していたりする時は結露の可能性があります。
床や玄関ドアなどに大きな汚れやキズがある場合は、事前に不動産会社に指摘しておきましょう。
入居前に修繕してもらえる場合はよいのですが、そのまま入居した場合は退去時のために証拠として文書で残しておくことが大切です。
気に入った物件が見つかれば、一人暮らし開始のゴールはもう間近です。
しかし、契約を締結する前に確認したいポイントについて理解しておかないと、思わるトラブルが発生するリスクがあります。
快適な一人暮らしが送れるよう、万全の体制で契約締結に臨みましょう。
ここでは、契約する前に確認したい7つのポイントについて説明します。
入居申し込みを行う際に、「契約開始日」と「賃料起算日」について必ず確認しておきましょう。
「契約開始日」とは読んで字のごとく賃貸借契約が開始される日であり、「賃料起算日」は賃料が発生する日となります。
物件が空室で即入居が可能な場合、理論的には「契約開始日」と「賃料起算日」は同じ日となります。
例えば、2月16日から空室状態の物件を契約し、引越しは仕事の都合で4月1日にしたい場合、貸主の同意が得られなければ2月16日から3月末日までの1ヶ月半の家賃を無駄に支払わなくてはならない可能性があるのです。
こうした事態を避けるためには、
・「契約は即締結し契約金も支払うので、賃料起算日を引越し日にしてほしい」と交渉する
・フリーレントの物件を探す
・入居のタイミングが合う物件を探す
のいずれかになります。
どうしても気に入った物件であれば、あらかじめ不動産会社に相談のうえ、貸主さんに交渉してもらうとよいでしょう。
契約申込時に、申込金として1万円~家賃1ヶ月分程度の金銭を請求される場合があります。
申込金はあくまでも預り金という扱いであり、万一、契約が不成立の場合は返還しなければならないと国土交通省も宅地建物取引業者に指導しています。
そのため、申込金を支払ったら必ず「預り証(※領収証ではありません)」を発行してもらい、契約が不成立の場合の扱いについても不動産会社に確認し、確認した内容を預り証に記載してもらいましょう。
ただし、最近は申込金を請求しないよう各自治体が推奨しているため、以前ほどはこの慣習は減っているのが現状です。
入居申込書を記入して不動産会社に提出すれば、入居審査が行われます。
審査結果は1日~1週間程度で伝えられ、その後に重要事項説明および賃貸借契約締結となります。
賃貸借契約締結に際しての主な必要書類は下記の通りです。
・本人の身分証明書(運転免許証・学生証など)
・本人の住民票
・本人の実印と印鑑証明書(発酵後3ヶ月以内のもの)
・源泉徴収票や確定申告書の写しなど収入を証明するもの
・連帯保証人の同意書(連帯保証人が署名および実印を押印)
・連帯保証人の印鑑証明書
本人の身分証明書や収入を証明するものは入居審査にも必要なため、事前に準備しておくと契約までの流れをスムーズに進められることができます。
住民票や印鑑証明書などの公的書類は、自治体の窓口や出張所等で取得しなければなりません。
契約締結前に、不動産会社の宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。
重要事項説明とは、契約予定者に対して物件や契約条件に関する重要事項の説明を行うことをいい、具体的には「このような物件をこういう取引条件で契約します。いいですね?」という契約締結前の最終確認が行われるのです。
説明が終わると、重要事項説明の内容を書面にした重要事項説明書に署名・捺印することになります。
これまでに確認していた内容と違う点や気になる事実、不明点などがあれば納得いくまで説明を求めましょう。
万一、納得のいく説明がなされなければ、この時点で契約を白紙撤回することも可能です。
ただし、実務的には重要事項説明は契約締結の1時間前くらいに行われることが多く、その場で判断することは難しいでしょう。
そのため、数日前に不動産会社に重要事項説明書の草案を作成してもらい、その内容をじっくりと事前に確認することをオススメします。
なお、貸主が不動産会社で直接取引する場合は、重要事項説明の義務はないため、物件や契約条件について確認したいことがあれば、貸主である不動産会社に確認しましょう。
重要事項説明が済めば、賃貸借契約の締結です。
契約書についても、事前に草案をチェックしたうえで契約を締結するようにしましょう。
重要事項説明書や賃貸借契約書の「特約事項」に関しては、記載されている内容を必ずチェックしておきましょう。
「特約事項」は貸主と借主の間で、契約書の条文にないことを特別に約束した事項であるため、退去時の取り決めやその他借主が費用負担するケースなどの重要な事項が記載されています。
契約締結前にしっかりと確認しておかなければなりません。
下の事例においても、特約事項がびっしりと記載されていることがわかります。
<賃貸借契約書の特約事項の事例>
通常、借主が負担する原状回復費用に関しては、預けている敷金によって精算しますが、国土交通省のガイドラインによると、退去時に発生する原状回復工事の負担に関しては、下記の通り定義されています。
<原状回復の定義>
引用元:国土交通省ホームページ 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)より
これによると、入居者は退去時に部屋を入居時点の状態に戻す必要はなく、通常の使用によって発生した損耗・毀損に関しては責任を負わないこととなっています。
しかしながら、一般の物件の中にはこうした原則以上の負担を入居者に求める特約を定めているケースも多く、前項の特約事項の事例でも第9項で「退去時の室内清掃費用は貸主負担が原則であるが、借主が実費を負担する」と規定されています。
<原状回復に関する特約の事例>
借主が負担するということは、敷金から補てんするということになりますので、契約締結前にはこうした敷金返還に関するルールや特約を必ず確認しておきましょう。
特約事項に記載されている内容は有契約上効となりますので、「知らなかった」「見ていなかった」は通用しません。
トラブルを生じさせないためにも、事前によく確認して納得できなければよく話し合いましょう。
通常、1ヶ月前(もしくは2ヶ月前)に解約予告をすれば、特別な違約金などを負担することなく退去できます。
しかし、この解約予告期間とは別に解約した場合に違約金が発生するケースがあるので、注意が必要です。
前項の特約事項の事例では、第10項に「入居から6ヶ月以内に解約した場合、違約金として家賃の1ヶ月分を支払う」と規定されています。
<契約期間内解約の違約金の事例>
この違約金が規定されるケースはそれほど多くありませんが、フリーレントが設定されていた場合やゼロ・ゼロ物件の場合などに見られます。
契約期間の中途解約により違約金が発生する規定などは、重要事項説明において説明しなければならない事項ですので、重要事項説明の際にしっかりと確認しておきましょう。
快適な一人暮らしをスタートさせるためには、自分が納得できる良い物件を探し、トラブルなく契約することが大切です。
そのためには、他人任せにせず自分で能動的に行動し、情報の整理や優先順位、不動産会社での交渉、内見時の注意、重要事項説明や契約時の確認など、やるべきことはたくさんあります。
一人暮らしの物件探しは労力のかかる作業かもしれませんが、楽しい一人暮らしを送るためにも決して億劫がらずにチャレンジしてください!