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本シリーズでは、「投資家」としても「事業家」としても成功する不動産投資と題して、弦本の不動産活用のキャリアや、不動産を売買するときのコツをご紹介しています。
本記事では、弦本が27歳のときに、神保町に5階建ての中古ビルを購入したときの流れや、不動産を買うときに気をつけたことをご紹介します。
社会人1年目でタワーマンションに住み、社会人2年目で戸建を買い、社会人3年目で売り、などとたくさんの経験をしてきたのですが、そろそろ次の新しい暮らし方をしたいなと思い、売却をして少しの間、次のワクワクを探していました。
「タワーマンションにも住んだし、戸建も買ったし売ったし、賃貸もしたし、あとはマンションの小さなワンルームを買ってリフォームするかなぁ?リノベーションするかなぁ?」みたいなことを考えていました。
しかし、「それではあまりインパクトが大きくないよね・・・」、「そもそも自分は、贅沢をしたいなどのこだわりがそこまでない」というところで、新しいことがしたいなと、もやもやしていたところでした。
一方で、本業の会社では「経営への提言」として、副業で不動産に関わる事業をおこなうことで、本業にも役に立つよ、という提案をしていました。
そんなときに、次の新しい暮らし方の候補として「ビル」に出合いました。
このビルと出合ったきっかけは、新宿の新築戸建を買って、売ってとしたときに、仲介をしてくださった不動産会社さんの営業担当の方でした。
突然、以前に売買したときにお世話になった営業担当の方から電話があったのです。
電話口で、「弦本さん、面白そうな中古ビルがあるんですけど、買いませんか?」といわれて、最初は「そんなの、買うわけないじゃないですか…」とは思いながらも、「とりあえず面白そうなので、見るだけ」ということで、すぐに見に行くことにしました。
実際に見に行ったところ「これは買いたい!買います!」ということで、すぐに契約をすることにしました。
なぜ、このビルを仲介会社さんが紹介してくださったかというと、あとから聞いた話では、戸建を買って、売ってとしたときに、仲介手数料が1年おきに手に入ったということと、私が購入した物件を、一般的とは少し違ったかたちで活用することを、面白いと感じてくださっていたからでした。
シェアハウスにしたり、就活生を泊めたり、様々なアイデアを出して活用していたことで、「この人は物件を活用するし、面白そうだな」というふうに目につけてくださって、紹介をしてくださいました。
不動産の売買では、非常に高い買い物であることから、お客さんが完全に満足するケースは非常に少ないと思います。
そのため、不動産営業の担当者の方は、多くの場合は売って終わり、仲介して終わり、でその後のトラブルやクレームなどには巻き込まれたくない、という心理が働きやすいのかと思います。
しかし、この営業担当の方とは、戸建の売買のあとでも、戸建の購入者の方との食事に来ていただいたり、購入したビルがうまくいっている様子を見にきていただいたり、その後書籍を出版した際にも、本をさしあげたりしていました。
まだまだ、その後にもたくさんの不動産を紹介していただいています。
当時の銀行の担当者さんにも、すごくお世話になりました。今ではローンを完済してしまいましたが、こちらも知り合いを紹介するなど、引き続きやりとりをさせていただいています。
彼らの話では、これまで不動産投資をおこなう方の多くは、収入や利回り、値引き交渉の話などで、お金の話ばかりだったそうです。
そのため、若くて想いもっていて、勢いで買って、しかも活用していく様子を見て面白がってくださり、たくさんの応援をしていただきました。
そのような経緯で、2015年3月31日に「弦本ビル」を購入しました。
住宅ローンは、借地権の残存期間であった24年間で組むことになりました。金利はのちに交渉をして下げてもらいましたが、当初は3.275%でした。
物件価格の7,400万円をすべてローンで組むことができ、諸費用の約500万円は、新宿の戸建の売却益と、戸建の家賃収入をもとに拠出しました。
この頃は、会社の給料は全額を日本株の購入にあてていたのでて、戸建の売却益と家賃収入で、生計を立てていました。
弦本ビルは、東京都千代田区神田錦町というところにあります。
場所としては、竹橋駅から徒歩3分、神保町駅から徒歩4分という、都心の千代田区でとてもアクセスのいい場所に位置しています。
皇居からも歩いて5分のところにあります。皇居ランをしてすぐに、ビルでシャワーを浴びることができます。
また、土地の面積は114.31平米で、坪数では約35坪です。
建物は5階建てで、だいたい1フロアが80平米~90平米ぐらいの床面積になっています。
弦本ビルは、飲食店、オフィス、住居が一体となったビルです。そのため、「食べる・住む・働くが一体となったビル」をコンセプトにしています。
20代を中心とした社会人若手や学生が、自分のやりたいことを実現する場所となっています。
そんな弦本ビルですが、現在たくさんの方が入居してくださっています。
1階は、中華料理屋さんで「金福源」という名前です。安い・早い・美味い、の三拍子そろった中華料理屋さんです。
2階は、コワーキングスペース兼イベントスペースです。「プロハ」という名前で呼ばれていますが、「TOKYO PRODUCER SHOUSE」の略です。会員メンバーは現在30人ほどです。すでに卒業した過去の在籍者を含めると、だいたい100人ぐらいが会員として在籍していました。
「誰かが何かを始める、形にする秘密基地」というふうに題していて、主に副業などとして、会社が終わってから自分のやりたいことを実現しにきたりだとか、転職の相談をしに来たりだとか、自分の進路を考えている人たちが集まってきて、みんなで仲良く、自分たちのやりたいことを実現するような場所となっています。
3階は、現在は「CODEAL」という会社が入っていますが、高収入×リモートワークの副業紹介をするビジネスをしている企業です。今年の7月から入居しています。
そして、「いいね!JAPAN」という会社ですが、こちらは日本文化の世界発信プラットフォームの会社の代表が入居しています。Facebookページを日本で初めて導入した会社らしくて、現在20万いいね!を集めたメディアを運営されています。
それから3つめの会社が、日本とインドの事業の連携支援ということで、「XINOBIX」という会社です。こちらはインドと日本のブリッジとなる、懸け橋となるような会社を経営しています。
もうひとつ、「ボル部!」というメディアを運営している方が入居しています。こちらは、ボルダリングの総合情報サイトを運営しています。
4階は、新卒紹介やWeb制作、無人島開発などをやっている「ジョブライブ」という会社さんが入っています。『「やりたい」をシゴトに』を掲げていて、2階のプロハも運営しています。
それから「Livmo」という、不動産活用・民泊・空室企画の会社も入居しています。代表は30歳ですが、民泊を検討する国交省の理事なども務めています。
また、5階とその他の階にはシェアハウスがあります。こちらは個人情報のため、どんな方が入居しているかは詳細には明かせませんが、最年少は19歳で役者を目指して地方から上京してきた若者で、上は32歳です。
それぞれが、役者を目指していたり、ミュージシャンであったり、ベンチャー企業働いている方や、はたまた大手企業で働いている方、それからフリーランスであったり、個人事業主、ベンチャーの社長さんや経営者をやっている方など、様々な方が入居しています。
それぞれみなさん忙しい方ですが、よく夜中に集まって、2階でお酒を飲んだり語り合ったりしています。
ご飯を作れる女の子も何人かいて、みんなでご飯を食べたり、交流会をしたりしています。
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この3年間で卒業した入居者もいます。
まず1つめが、こども支援で空き家マッチングをおこなう「Ritta」。現在は「シングルズキッズ」という名前に変えた会社さんですが、ちょうど1年前に弦本ビルからは離れて、世田谷でシングルマザー向けのシェアハウスを始めています。
その際、東京新聞でも取り上げられていましたが、クラウドファンディングで500万円ほどを調達して、今は5、6世帯のシングルマザーとこどもたちとともに、シェアハウスをしています。
それから、海外インターンの紹介の「タイガーモブ」という会社です。こちらの創立メンバーが学生時代に、3階に入居していました。現在はインドであったり、アフリカであったり、世界中の様々な地域にたくさん学生さんや社会人の方を紹介して、現地の企業でインターンをしてもらうというようなビジネスをされています。
それから、派遣型スキャン代行の「SCANMAN」という会社も入居していました。こちらは派遣型なので、オフィスや学校などに行って名刺をスキャンしたり、資料をスキャンしたり、というのを代行しておこなう会社さんです。とても大世帯でしたが、この度ご卒業ということで、今年の5月から退去をされて、今はもっと広くて綺麗なオフィスに移動されています。
こういったかたちで、様々な業種のたくさんの方々が入居しています。
また、この3年間で遊びにきた方は、延べ10,000人以上です。たくさんの方々にご来場いただきました。
また、様々な活動が注目を集めて、たくさんのメディアにも取り上げていただきました。
最初に入居したころにはWebメディアで「TOKYO LOCAL PEOPLE」というWebの記事にあげていただきました。
また、「フューチャーセッション」と呼ばれるお金とキャリアの講演をさせていただいたり、「ビル経営サミット」という、週刊ビル経営という業界紙を出している会社のセミナーで講演をさせていただいたり、「不動産ソリューションフェア」というイベントのときには、東京ビックサイトでもお話をさせていただきました。
また、「ビル経営アワード」というものにノミネートしていただいたり、「CITY PRIDE BATTLE」で恵比寿ガーデンプレイスで発表をさせていただいたり、業界紙に載せていただいたこともありました。
業界紙は、週刊ビル経営さんがとても多く載せてくださいましたが、ビルを購入した直後であったり、DIYをしたときであったり、本を出版したときであったり、慶應大学に研究してもらったりしたときに取り上げていただきました。
また、日経新聞でも、新世代の大家さんということで紹介していただきました。
業界誌では「不動産ソリューションBOOK」という本や、「オーナーズスタイル」と呼ばれる業界誌、それから週刊賃貸で有名「CHINTAI」にも取り上げていただいて、オーナーや入居者の様子を、大きく取り上げていただきました。
また、全国賃貸住宅新聞や日系BPなどのメディアにも取り上げていただきました。
それから、書籍はこれまでに3冊を出版したのですが、そのうちの2冊は自分たちで出版をしています。
というのも、仲間のなかに大手出版社で働いていたメンバーがいて、彼が「書籍を作りたい、一緒に作ろう!」ということで、制作をすることになりました。
1冊目は、インタビューブックの形式で、十数名いるメンバーの顔写真と、取り組んでいる内容を載せた本になりました。
また、2冊目は少し趣向を変えて、3年が経過して成長してきた人たちが、3年前の自分たちに語りかけるかのような、自分たちの歩んできた道を説明することで、成功の法則が伝わるのではないか、ということをエッセンスとして紹介する本を作りました。
それぞれに紆余曲折があり、どんなことで悩んだかであったりとか、どういうことを考えて今にたどりついたのか、みたいな話をつうじて、若い人たちのヒントになれる本となっています。
本は、リアルでの出会いとの相性が非常によく、弦本ビルの2階のプロハ(TOKYO PRODUCERS HOUSE)というコワーキングスペース兼イベントスペースに置いておくと、さまざまな効果を発揮しました。
1冊目の書籍『PRODUCERS』は、プロハに置いておくことで、プロハのイベントの参加者などで、テンションの高まったタイミングでお土産的に買ってもらって、すぐに売り切れました。
そこで2冊目の『プロハ夢手帳』は、勢いにのって、3,000冊ほどを印刷しました。
せっかくたくさん印刷できたので、日本全国の大学や短大、大学院や高専などの約1,000の学校に無償での提供もしました。
進路について思い巡らせる若い人たちに、参考として読んでほしいと思い、キャリアセンターや進路指導室に置いていただいています。
他にも、大学の話でいうと、慶應大学の経済学部で「新しい都市のコミュニティとして、どうしてうまくいっているのか」というところを研究していただいたり、千葉大学にも教育学部の授業で2回、講演に行って、「多様なキャリアで働いている」ということで、企業で働きながら経営もやっているということや、ビルオーナーをやっているということで、講演をさせていただいたりもしました。
他にも、「空き家ストックセミナー」であったり、本業の会社の社内イベントでも取り上げていただいたりしました。
その他には「ゆめのたね」というラジオに出たりもしました。
それから、ビル自体はテレビでも少し出ていまして、「NEWS ZERO」や「めざましテレビ」、また「SENSORS」という、チルテレと呼ばれる番組に出たりしています。落合陽一さんやシシドカフカさんなどもいらっしゃいました。
このように、たくさんのメディアにも紹介されました。
そして、自分たちでも1周年、2周年、3周年、とたくさんのお祝いをしました。
こうして3年間、いろんなところで、いろんな方々にお世話になりながら、楽しくビルを経営してきました。
弦本ビルは、前のオーナーさんが松岡さんという方で「松岡ビル」という名前だったので、購入と同時に名前を変えなければ、ということで、自分の名前を付けて「弦本ビル」という名前にしました(笑)
当初、新築時は36年前だったのですが、1階の飲食店では、松岡さんがご自身で中華料理屋さんを経営し、厨房に立ち、お店を経営していました。
そして、2階には麻雀屋さんが入っていました。
神田のエリアは会社員が多いので、同じ通りに十数件、麻雀屋さんがあったそうです。
今はもうほとんどありませんが、当時は2階で麻雀屋さんをやって、1階から中華料理を注文してもらう、みたいなかたちをとっていたそうです。
また、3階は荷物置き場や店員さんの休憩室として利用していたそうです。
それから、4階と5階が和室と洋室になっていますが、松岡さんは3世帯で生活をされていました。娘さんやお孫さんと一緒に生活してきたというのが、この36年間のビルの様子です。
ただ、私が購入する直前になると、娘さんは新潟の方に行かれて、松岡さんご自身とご夫妻、ご兄弟がですね、少しご高齢になった4名の方々が、このビルに住んでいました。
そんなところに見学をしにいったのですが、「なんだか、もったいないな」と、「もっと活用できそうだな」というふうに印象を受けました。
このビルの理想は「食べる・住む・働く」が一つになっているということです。
そんなに大きなビルではないですが、1階に中華料理屋さんで「食べる」ところがあって、2階と3階にオフィスのスペースである「働く」場所がある。さらには4階と5階に和室と洋室で「住む」ところがあって、それが1つになっている、というのが、すごく面白いなと思いました。
これを、各階のシナジーをもってつなげることができたら、1つのビルとして、いろんなものが生みだされて、面白くなりそうだなぁというふうに感じました。
そこで、そのまま購入をすることにしましたが、契約をしてから引き渡しまでの1ヶ月間は、事例を探すために、いろいろなところに見学に行きました。
まずは「theC」と呼ばれる、同じく神田にある大きなソーシャルアパートメントです。ここは、2年後に私も実際に住むことにもなりましたが、ソーシャルアパートメントと呼ばれる若いコミュニティのある集合住宅でした。
浅草にある「Nui」と呼ばれる「HOSTEL&BARLOUNGE」をやっているところに見学をしに行ったり、他にも下北沢にある「RainbowSOKO」であったり、今はつぶれてしまいましたが、期間限定で運営されてていた、祐天寺にあった「PROTO」と呼ばれるデザイナーのシェアハウス兼シェアオフィスであったり、あとは神保町に以前からあった「EDITORY」と呼ばれる書籍編集者に特化したコワーキングスペースなどに行きました。
すごく色々な場所に行って、刺激を受けて、夢が膨らみました。
ただ一方で、同時にあることに気づきました。
それは、このビルは36年が経って、今は4人が住んでいるのですが、購入した直後には2階、3階、4階、5階がすべて空席になってしまうということでした。
猶予は1ヶ月しかありませんでした。
「やばい!」と。
住宅ローンは約37万円、地代も約21万円です。そのため、合計で約60万円ほどの出費が毎月かかります。
さらに修繕費であったりとか、リフォーム代であったりとか、水道や光熱費みたいな諸経費を考えると、月々60万円以上の出費が見込まれます。
これも、ローンでいうと24年で組んだので、24年間、毎月その約60万円を支払い続けないといけないという状態でした。
もちろん、私の収入自体も、当時はここまでの金額はなかったので、「購入後、数か月で破産なのか?!」という状態におちいりました。
そこで、いろんな人に相談しました。
「このビルを買って、面白いことがしたい!」「このビルを借りませんか?」と、まずは手当たり次第に、色々な人に声をかけてアドバイスをいただいたり、ビルの活用方法を一緒に考えていただいたりしました。
関わってくださったみなさま、貴重なご意見やご紹介をありがとうございました!
そして、ワクワクしながらも前に進んでいきました。
印象に残ったエピソードが2つあります。
1つめが、早野くんとの出会いです。
まず、会社の同僚の方に、「今度ビルを買います。面白いことをしましょう!借りてください!」って声をかけたのですが、「面白いね!」とは言ってもらえるのですが、「借りるのは難しい」と言われました。それはまぁ、当たり前ですね(笑)
そういったときに、それでは「借りてくれそうな人を紹介してください!」と言って、次の人を紹介してもらいました。
そして、その方に「ビル借りましょうよ、面白いことしましょうよ!」と声をかけると、やっぱり興味はもってくれるものの、借りてはくれない。
なので、それなら「借りてくれそうな人を紹介してください!」と言って、また紹介してもらって、紹介してもらって・・・というふうに進めていったときに、4人を経由して5人目の紹介で、早野くんと出会いました。
そこで「面白いことしましょう!」と言ったら、「借ります!」ということで、借りてもらうことができました。
このとき、彼は1988年生まれで「ハチハチ世代」が集まる「ハチハチ会」というコミュニティを運営していました。
そこのメンバーたちは、頻繁に飲み会をしていたのですが、ある課題に直面していました。それは、飲み会では「一緒にビジネスをやろうよ!」という話で盛り上がりはするのですが、実際にはそれが定着しない、次につながらないということでした。そのため、継続して活動ができる拠点を探していました。
ただ、他のビルやスペースは初期費用もかかり、自分たちの思うようにはできない、ということもあり、88年会のメンバーのひとりが、さきほどの紹介の流れで私と出会い、つながって、彼らとしては、オーナーとも年齢も近く、柔軟に運営できるかな、ということで、借りてくださいました。
なので、ひとつめのポイントとしては「とにかく会いまくる」ということです。
1ヶ月で、仕事の合間に約100人の人に会いました。
平日の日中は会社員として、仕事をしながらですが、昼休みにタクシーに乗って物件まで行って、昼に案内をして1階の中華料理屋さんでご飯を食べて、「このご飯も美味しい」というのも確認しつつ、夜にもたくさんの人を案内して、毎日毎日、いろんな人を紹介していきました。
2つめのエピソードは、スキャンマンとの契約です。
弦本ビルは、2015年の3月31日に引き渡しをしたのですが、4月1日には、お披露目パーティというのを開催しました。
そのときに、ベンチャーキャピタルの方がいらっしゃって、その後にFacebookでメッセージをくださいました。
「このビルを紹介したいな」というふうにFacebookのメッセージを送っていただいたのですが、すぐに「さようですか!」ということで反応して、「こんな内観です」ということで、内装の写真を4分後に送りました。
やりとりをして1時間後には、「契約書はこんな感じでどうですか?」ということで、契約書の雛形を送って、「特に問題ありません、使わせてもらいます!」と言われて、「じゃあ捺印しましょう」という話になり、即日捺印、というようなこともありました。(笑)
これは何をお伝えしたいかというと、「とにかく契約を急ぐ」ということです。
結構、スピードってすごく大事かなと思っていまして、「急いで契約をする」というのがポイントです(笑)
決断が早いことは、非常に大事だと思っています。時間をおいて考えてみたところで、それは重要なものではないということだと思います。そこでグズグズして断るぐらいであれば、すぐに断ってしまった方が、お互いにもハッピーになると思います。
もちろん、何度も冷静になって考えきることが非常に大切だとは思います。
ベンチャーキャピタルの方からも「契約締結を眺めていて、このスピード感こそ、ベンチャーだなぁとシミジミ」とコメントいただきました。
こうして、結果的に、引き渡しの1週間後には全室を満室にすることができました。
た、助かった・・・。
ということで、いろんな方に助けていただいて、この3年間でかたちになってきました。
弦本ビルでは、2階のプロハ(TOKYO PRODUCERS HOUSE)は、社会人若手と学生の秘密基地として、弦本ビルの中心となっています。
コワーキングスペース兼イベントスペースとして、新しいことを始めたい人たちが集まってくる場所です。
延べ100人ほどの人がメンバーになっていて、主な会社としては、本当に様々です。
具体的には、中途や新卒紹介のキャリア支援であったり、起業やパラレルキャリアの支援の会社、無人島の活用、教育支援、あとは酒蔵を持っている人がメンバーにいたりとか、海外のボードゲームを広めている人であったり、ビジネス英会話、VR、不動産、空間デザイン、オウンドメディア、あとは朝活も結構流行っていて、この間100回目のイベントをしましたが、朝活で読書会であったり、あとはバリ島の輸入家具を販売したり、海外のインターンを斡旋したり、建築系のソフトウェアや、社会科の勉強会、それからLGBTの方もいたり、地域×アートで地域を盛り上げようとしている人など、あげたらきりがないですが、たくさんの方々がきました。
それぞれが「一緒にビジネスしようよ!」みたいな話になったり、それぞれがシナジーを生み出して、新しいものが生まれていきました。
スペースの使われ方としては、朝は朝活ですね。本を読む会だけでなく、他にも「わざわざ会」といって、自分のできることを書きだして、技と技を交換する会をおこなうこともあります。それから「もくもく会」といって、黙々と何もしゃべらずに仕事をする、朝7時ぐらいからやる会も開催されました。
夜はたくさんのイベントをしていて、例えば「アイデアの壁打ち」であったり、パラレルキャリアについて話し合うワークショップであったり、最近は学生さんの集まりも多くて「学生プロハナイト」という名前で、学生起業家さんであったり、学生さんの中でもとがった人を集めて、飲み会であったり、講演会をしたりしています。
あとは「農業ナイト」や「ローカルナイト」など、地域に関することも結構人気で多いです。
それから、最近は音楽も人気で、ミュージシャンの方が実際に音楽を奏でながら、みんなで歌ったり踊ったりしながら飲む、という会をしていたりします。
それから、トレンドとして不動産であったり民泊みたいなものも、テーマとして扱うことが多いです。
こういったかたちでたくさんの方が出入りして、面白い場所に育ってきました。
当初は、「食べる・住む・働く」が一体になったビルを目指してきましたが、現在、各階にもシナジーが出てきて、それが実現できています。
1つの例としては、ビルから外に出ないで、ビルのなかで完結するというケースも出てきています。
1階でご飯を食べて、2階で打ち合わせをして、3階で仕事をして、4階5階でシャワーを浴びて寝る、みたいなかたちで、その日一日中、ビルから外に出なくても完結するようなケースもあります(笑)
ちなみに、なるべく多くの交流が発生するように、シェアハウスやシェアオフィスの入居者には、同時に2階の会員にもなっていただいています。シェアハウスは、寝るだけのような狭い空間ですので、2階はみんなで集まるリビングや、部屋では気が散ってしまうときの書斎のような役割を果たしています。
こういったかたちで、弦本ビルは社会人若手や学生が中心のビルになりました。
一時は空になるリスクもありましたが、今では集まってきた人たちが、自分のやりたいことを実現する、賑やかであたたかく、想いのあふれる場所になりました。
DIYのムービーも公開していますが、こちらは2階をDIYしたときのものとなっています。
このときは、1週間ほどをかけて、延べ100人ぐらいが出入りして、壁をはがしたり床をはがしたり、壁を塗ったり、天井を抜いたりしました。みんなでどんな場所を作ろうかという話から、設計、それから実際に作業するところまでをおこなって、オフィスを作りました。
ムービーは、映像の制作を勉強中の方が撮って編集をしてくれて、オリジナルの音楽までつけてくれました。
これは、3年前に2階でおこないましたが、つい最近も3階でも入居者さんがDIYをして、とても綺麗なオフィスになりました。
オフィスを入居企業がDIYをするのは珍しいですが、みんなでDIYをするというのも、やっぱり愛着がすごくわくし、自分も場づくりに関わることで、「みんなの場所」になるので、とてもおすすめです。
また、夢を応援する場所ということで、家賃設定は比較的安くはしているのですが、年間で家賃1,400万円を実現し、結婚や仕事の都合などで、部屋に空きが出そうになっても、口コミですぐに空室が埋まるような状況となっています。
他にも、自分のやりたいことを実現するのを応援するために、オーナー自ら、エンジェル投資家として、家賃収入をもとに、一時的に資金を融資したり、一緒に事業を立ち上げたりしています。
お互いに集客や紹介、事業の助け合いをすることで、お互いのやりたいことをより実現できるような場所になっています。
そのような折、話を聞きつけ、あるとき、外資系金融コンサルの役員の方から、ビルを購入したいとの打診をいただきました。
その際は、購入価格から5,000万円の上乗せでの売却ができ、さらにビルの名前を残して、管理も続けてほしいという条件で相談をいただいたのですが、詳細を詰めて最後の決断の際に、お断りをしました。
金銭面では、短期譲渡による税金や、数年間は家賃が入る見込みがある状況だったこと、まだ自分で責任をとりながら続けたいなという思いがあり、引き続き物件を保有することにしました。
本書を出版したときのこだわりは、以下をご参考ください。