もはや、不動産を売却する時に欠かせないツールがインターネットです。
あなたが不動産を売却する時も、まずはインターネットを使って相場を調べようとするでしょう。
その時、必ず「不動産一括査定」というインターネットサービスを目にするはずです。
非常に便利で有効なサービスであると紹介されていますが、下記のような疑問や不安を持つ人が多いのではないでしょうか。
・本当に信用できるサービスなのだろうか?
・どういう仕組みで価格が査定されるのか?
・登録している不動産会社は安心できる会社なのだろうか?
・どのようなメリット・デメリットがあるのだろう?
不動産一括査定サービスが登場したのはここ数年であり、まだ日が浅いサービスといえますが、賢く利用して不動産を高く売却している人が増えています。
この記事では、目覚ましく利用者を増やしている不動産一括査定サービスについて、仕組みから利用方法、メリット・デメリット、利用方法、賢く利用するコツ、利用する場合の注意点、主要なサービス業者の特徴などについて解説しています。
目次
不動産一括査定サービスは新しい形態のサービスですので、まずはどういったサービスなのか、確認していきましょう。
通常、不動産を売却する場合、その不動産がいくら位で売却することができるのかを調べるために、不動産会社に物件の査定を依頼し、かつ売却戦略に沿って売出し価格を決定し、売却活動を開始します。
不動産には定価がなく、最終的には買い手との相対取引によって条件も価格も決まるため、まずは査定が必要となります。
査定を受ける際には、1社のみの査定では査定価格の妥当性や提案された売却戦略の優位性が検証できないため、複数の不動産会社から査定を受けることが大切です。
また、医師が専門とする診療科目に従事しているのと同様に、不動産会社にも得意分野・専門分野があります。
例えば、マイホームなどの居住用不動産の売買仲介を得意としている、地元に特化して賃貸管理を専門としている、オフィスビル・商業ビルの賃貸仲介を主業としている・・・など、各社それぞれが自分の強みや得意分野で不動産事業を行っているケースが多く見られます。
不動産を売却する場合には、やはり売買仲介を得意とする不動産会社に相談しなければなりません。
賃貸管理や賃貸仲介をメインとする不動産会社に行って相談することは、お腹が痛いのに眼科に行ってしまうようなものです。
インターネットのない時代には、不動産会社に電話をかけたり、店舗に行ったりして、良い会社かどうかを判断するしかありませんでしたが、現在では、ホームページなどで自社の得意分野や強みをアピールする不動産会社が増えたため、必ず事前にホームページなどを確認することが大切です。
従来の査定方法とは、売却する不動産が所在するエリアのいくつかの不動産会社を1社ずつ訪問して査定を依頼するか、友人・知人から不動産会社を紹介してもらい査定を受けることが主な方法でした。
売却をする不動産が自宅などの場合は、近所の不動産会社に相談できますが、相続した実家など遠方の不動産の場合は、不動産会社を訪問することだけでも一苦労です。
<従来の査定方法>
また、複数の不動産会社を訪問し、同じ物件情報や売却理由などを説明しなければならず、非常に時間や労力がかかっていました。
しかし、不動産一括査定サイトを利用すれば、ワンストップで査定依頼をすることができ、こうした時間や労力を大幅に削減することができます。
<不動産一括査定サイトの仕組み>
不動産一括査定サイトは、氏名や電話番号などの個人情報と物件の所在地や面積などの物件概要を入力することにより、登録されている不動産会社の中から、その物件を売却するために最適な不動産会社がマッチングされ、マッチングされた複数の不動産会社からの価格査定や売却提案を受けることができる仕組みとなっています。
物件の種別や特性によって、適した不動産会社を複数選定してくれるため、自分で歩き回って不動産会社を探す必要はなく、自分の物件の売却や買取に強みをもつ不動産会社からの査定を待てばよいのです。
もちろん、マッチングされた不動産会社の中から、自分自身で査定を依頼する不動産会社を選ぶことができます。
このように、1回の情報入力や査定依頼によって、同時に複数の不動産会社に査定を依頼することができるため、返信されてきた各社の査定価格や提案内容などを精査して、どの不動産会社に売却を依頼するのかを比較・検討できることが特徴です。
売却を検討しているユーザーは、無料でこのサービスを利用することができますが、それはなぜでしょうか?
それは、不動産一括査定サイトに登録している不動産会社が、サイト運営者に利用料金を支払っているためです。
不動産会社は常に不動産を売りたい顧客を探しています。
売主と媒介契約を締結できれば、売主からの仲介手数料収入は確保できることとなり、さらに自社で買主を見つけることができれば買主からも仲介手数料を受領することができるため、ひとつの物件で仲介手数料収入が倍となります。
こうした取引は両手仲介といわれ、不動産会社にとってオイシイ取引となります。
不動産会社にとって、不動産一括査定サイトは売主を探すための効率的な集客ツールであり、多少の費用がかかっても仲介手数料が期待できるため、それほど負担にもなりません。
むしろ、広告宣伝費として考えれば、安いとさえ言えるでしょう。
ちなみに、登録している不動産会社は査定依頼反響1件あたり6,000円~15,000円程度を成果報酬としてサイト運営者に支払っています。
成果報酬のため、ユーザーからの反響がなければ費用はかかりません。
例えば、売却価格3,000万円の中古マンションを両手仲介で売却した場合、仲介手数料収入は(3,000万円×3%+6万円)×2=192万円(税別)となるため、不動産一括査定サイトへの6,000円~15,000円程度の費用は全く負担になりませんし、たとえ10件の反響(60,000円~150,000円の費用負担)につき1件の成約であっても、費用対効果は高いといえるでしょう。
こうした背景から、多くの不動産会社が不動産一括査定サイトに登録しているのです。
不動産の「査定」とよく似た言葉に、不動産の「鑑定」という言葉があります。
国家資格にも「不動産鑑定士」という資格がありますが、「査定」と「鑑定」はどう違うのでしょうか。
不動産の「鑑定」とは、その不動産の持つ経済的価値を公正に判定することです。
そのため、その不動産のマーケットにおける市場性のみならず、持っている収益性や費用面などを加味して、その不動産が持っている本来の経済的価値を分析します。
一般的に不動産鑑定によって、
・地価公示における標準地の評価
・都道府県地価調査における基準地の評価
・民事裁判における相続された不動産の評価
・金融機関が担保とする不動産の評価
などが行われます。
一方、不動産査定では、不動産市場で実際に取引をしているプレイヤー(不動産仲介会社等)が、「いくらで売却できるか」「いくらなら買い手が現れるか」という視点で、その不動産の価値や評価を判定します。
そのため、現実に売却できる価格・購入できる価格とその不動産が本来持っている本質的な価格が必ずしも一致しないことが往々にしてあり、その点が査定と鑑定の違いといえるでしょう。
不動産を売却する場合には、「本来の価格」ではなく「売れる価格」を踏まえたうえで売却活動をしなければ成約できません。
つまり、不動産を売却する場合には、鑑定より査定が大切となってくるのです。
次に、不動産一括査定サイトを利用する場合、ユーザーにとっての5つのメリットについて見ていきましょう。
まず第1のメリットは、無料で不動産の査定をしてもらえることです。
もともと、不動産会社が査定を行うのは、媒介契約を獲得するための営業の一環ですので、無料で行ってはくれますが、家に居ながらにして査定を無料で受けられることは大きなメリットです。
本来、不動産の査定を依頼する場合は、
・自分の知っている不動産会社に依頼する
・友人・知人から不動産会社を紹介してもらう
・インターネットやタウンページなどで調べる
・実際に現地で探して訪問する
などの方法により、自分で不動産会社を探さなければなりませんでした。
しかし、不動産査定一括サイトを利用すれば、一度だけ物件情報や個人情報を入力すればマッチングされた複数の不動産会社からの査定を受けることができます。
複数の不動産会社から査定を受けることにより、各社の査定価格を比較・検討することで適正な売却価格を把握することができます。
<不動産一括査定サイトを利用して査定した場合の事例>
上の事例は、マイホーム(一戸建て)の査定依頼を不動産一括査定サイトで行ったケースです。
6社の不動産会社が査定価格を出しており、その中で大手不動産会社Aと中堅不動産会社Eが突出して高い査定価格となっていますが、他の各社は4,000万円のラインを挟んでの査定価格となっているため、4,000万円を査定価格の目安と考えることができるでしょう。
基本的に、不動産会社は似たような条件を持つ物件の最新成約事例と対象物件を比較して査定価格を算定します。
成約事例はレインズなどから同じデータを利用するケースが多いため、理論的には査定価格にバラつきは出にくいと考えられますが、特に大手不動産会社は独自の査定方法を導入していたり、豊富な宣伝広告費を使って多くの見込客を抱えていたり、他社と事情が違うため査定価格にバラつきが出ることもあります。
とはいえ、この事例のように他の査定価格より高すぎる(低すぎる場合も含む)査定価格を提示されたら、必ずその査定根拠や理由を確認することが大切です。
もともと不動産業とは、営業エリアを限定して地域に密着したビジネスモデルであり、地域のことをきちんと把握し、街の情報をいち早くユーザーに伝えることができなければ不動産を販売することはできません。
インターネットの登場やIT技術の発達などにより、そうしたビジネスモデルを超えた不動産会社や業態も出てきていますが、今でも基本は地域に強い不動産会社が強みを持っています。
また、売買仲介や不動産買取をメインに行っている不動産会社でも、土地の売買が得意な会社、マンションの売買が得意な会社など、物件種別によって強みはそれぞれ違うことがあります。
不動産一括査定サイトを利用すれば、物件が所在しているエリアや物件種別に対応可能な不動産会社のマッチングが行われるため、物件が遠方にある場合でもそのエリアに強みを持つ不動産会社に査定を依頼することが可能です。
不動産一括査定サイトを利用して査定を依頼する場合、依頼を受けた不動産会社も一括査定サイト経由であることを認識しているため、他に複数ライバルがいることがわかっています。
そのため、各不動産会社は他社に負けないように媒介契約を獲得したり、買取につなげたりしようと考えるため、競争原理が働いてユーザーにとって良い結果をもたらすこととなります。
特に買取を依頼する場合には、他社より高い買取価格を提示しなければ物件を他社に取られてしまうことになるため、高い価格で売却することができる可能性があります。
逆に仲介で依頼する場合は、媒介契約を取るためにわざと高い価格を提示し、契約締結後に値下げを要求されることがあるため注意が必要です。
ここでは、不動産一括査定サイトを利用する場合の4つのデメリットについて紹介します。
一般財団法人不動産適正取引推進機構の「平成29年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」によると、平成30年3月31日現在の我が国の宅地建物取引業者数は123,782業者となっています。
<宅地建物取引業者数の推移>
引用元:一般財団法人不動産適正取引推進機構 「平成29年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」より
この中で不動産一括査定サイトに登録している不動産会社は、登録会社数の多いとされるサイト(イエウール)でも、1,700社以上(2019年1月現在)となっており、全宅地建物取引業者の約1%強でしかありません。
<イエウール>
つまり、地元密着型の小規模な不動産会社ほど登録していない可能性が高く、零細企業ではあるが機動力に富み、豊富な取引経験や専門知識を持った地元の不動産会社とは巡り合えない可能性があります。
また、エリアによっては、対応できる不動産会社がごく少数である、もしくは1社もない・・・といった事態が生じる可能性もあることをあらかじめ覚えておきましょう。
不動産の査定を依頼しているので、査定結果や売却に関する提案を受けるのは当然ですが、中にはそれ以上に熱心に営業的アプローチを受ける場合があります。
不動産一括査定サイトに登録している不動産会社は、売主を探すために登録しているため、反響があれば積極的にアプローチしてくるのは当然といえますが、対象物件がすぐに売れそうな魅力的な物件である場合は、他社に取られまいと依頼したすべての不動産会社からの営業電話やダイレクトメールなどの営業的アプローチがエスカレートすることがあります。
あまりにもひどい場合には、サイト運営者に連絡すれば対応してくれますので、相談してみましょう。
不動産一括査定サイトの運営者は、登録している不動産会社が多いほど売上が上がることになりますので、常に不動産会社を集めようと考えています。
そのため、運営者が不動産会社の質を問わずに利益ばかりを追求してしまうと、登録する不動産会社の中には悪質な会社が紛れてしまうリスクがあります。
悪質な不動産会社を避けるためには、不動産一括サイトの運営者がどういった姿勢でサイト運営に取り組んでいるかを、しっかりとチェックする必要があります。
不動産一括査定サイトを利用する場合は、必ず物件の住所・氏名・電話番号・メールアドレスなどの個人情報を入力しなければなりません。
不動産査定一括サイトは急速にその数を増やしていますが、悪質なサイトを利用してしまうと入力した個人情報が漏えいして、別の用途に利用されてしまうリスクがあります。
運営母体のしっかりしている大手のサイトや運営歴の長いサイトは、一定の安心ができますが、サイトを選ぶ時には運営者の取組み姿勢や運営歴、個人情報保護対策などを確認し、信頼できるサイトを利用することが大切です。
続いて、不動産一括査定サイトの利用方法について、具体的に見ていきましょう。
ここでは前述の「イエウール(https://ieul.jp/)」という不動産一括査定サイトを事例として紹介します。
まず、物件所在地の都道府県・市区町村・町名・物件種別(分譲マンション・一戸建て・土地など)を入力します。
<入力画面1>
次に、物件を特定するために番地を入力し、面積・間取り・築年数・物件の状況・依頼者と物件の関係などの情報を入力します。
<入力画面2>
続いて、氏名・年齢・電話番号・メールアドレス・依頼の理由などの個人情報と、査定方法を入力します。
査定方法は、机上査定と訪問査定のいずれかを選択します。
机上査定とは、実際に現地を確認せずに、入力した最低限の物件概要と最新の成約事例などのデータをもとに簡易的に価格を算定する方法であり、「2,650万円~3,000万円」といった幅のある査定価格が提示されます。
まだ売却の検討段階でおおよその価格を知りたい場合などは、机上査定がよいでしょう。
一方、訪問査定とは、机上査定で使用したデータ等に加えて、物件の状況など加味したうえで査定価格を算定する方法です。
実際に現地を確認してみないとわからない室内の状況や周囲の環境など、机上では把握できなかった情報や要素を盛り込んでいるため、より適正な査定価格と考えてよいでしょう。
具体的に売却を計画している場合には、訪問査定をオススメします。
<入力画面3>
査定を依頼したい物件にマッチした不動産会社が表示されますので、各不動産会社の詳細情報などを確認したうえで、査定を依頼する会社を選びます。
この事例では、3社がマッチングされていますので、この中から査定を依頼する不動産会社を選びます。
<入力画面4>
<入力画面4>と同じ画面ですが、査定会社への要望・買い換えの有無・売却希望時期・希望連絡日時・コメントなどの任意項目を入力することができます。
<入力画面5>
任意項目を必要に応じて入力したら、無料査定スタートのボタンを押し、査定依頼が完了します。
すべての情報を入力し終えれば、あとは不動産会社からの査定結果の連絡を待ちます。
この事例のように机上査定を選択した場合は、メールで査定結果が送られてきます。
よほどのことがない限り、電話がかかってくることはないので安心してよいでしょう。
依頼した各社からメールで送られてきた机上査定の結果をすべて確認し、実際に訪問査定してもらう不動産会社をじっくり選びましょう。
<実際の机上査定結果メールの事例>
不動産一括査定サイトのサービスは、非常に便利で有効であることが理解できたと思いますが、ここでは優良な不動産一括査定サイトを賢く選ぶ7つのコツについて説明します。
登録している不動産会社の数が多いほど、広くエリアに対応できる可能性やさまざまなスキル・得意分野を持つ不動産会社に出会える可能性が高くなり、売却が成功する確率が高まります。
登録している不動産会社が多いだけでなく、悪質な不動産会社を排除していることは絶対条件といえます。
悪質な不動産会社をどのように排除し、優良な不動産会社の登録をどのように維持しているのかなどを明記しているサイトを選ぶ必要があります。
サイトの運営歴が長いほど、累計ユーザー数が多く、不動産売却に関するさまざまな独自データが蓄積されています。
それにより、適切な不動産会社のマッチングが行われ、サービスの質や登録不動産会社のレベルが高いと考えられます。
万一のトラブル発生時に備えて、ユーザーへのサポートやフォローの体制がきっちりと確立していなければ安心して利用できません。
具体的には、サイト上でサポート体制についての説明やトラブル時の連絡先などが、明確に記載されているサイトがよいでしょう。
運営者の顔が見えるサイトを選ぶことが大切です。
大切な個人情報を扱うために、安全なシステムの導入や個人情報保護対策などセキュリティ対策がしっかりしているサイトを利用しましょう。
各サイトのプライバシーポリシーを確認するとともに、運営者がプライバシーマーク認定企業か否かもひとつの判断材料となるでしょう。
不動産一括査定サイトも口コミやレビューを確認することができますが、その信憑性はどの程度あるのでしょうか・・・
残念ながら、サイトの口コミはネガティブなコメントを削除したり、口コミ業者によるやらせがあったり、頭から全面的に信用してしまうのは危険です。
レビューや口コミを確認する場合は、
・査定した不動産会社に対する口コミよりサイトに対する口コミに注目する
・書き込みの内容がプロっぽく不動産会社が書き込んだものでないか注意する
・口コミを信用し過ぎない
という点に気を付けましょう。
その口コミやレビューが、本当にユーザーによって書き込まれたものかどうかを注意することが大切です。
査定ができる物件種別が「土地・一戸建て・分譲マンション」だけなど、物件種別が少ないサイトは要注意です。
不動産の種別には、「土地・一戸建て・分譲マンション」の他にも収益用の一棟アパート・一棟マンション・区分マンションや事業用の店舗・工場・倉庫、一棟ビル・区分所有ビルなど、さまざまな物件があります。
特に、収益用の物件や事業用の物件は取引額も大きく、こうした物件を扱える不動産会社は取引のスキルや専門知識が豊富な会社であるといえます。
そのため、収益用や事業用の物件が査定できる不動産一括査定サイトには、レベルの高い不動産会社が登録している可能性が高いといえます。
このように、さまざまな種別の物件を査定できるサイトを選ぶことが大切であり、物件種別が少ないサイトは避けた方がよいでしょう。
続いて、不動産一括査定サイトを利用する場合の注意点について説明します。
ほとんどの不動産一括査定サイトは、匿名で利用することはできません。
氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの個人情報を開示しなければ、利用できない仕組みとなっています。
「売る予定はないがちょっと査定価格だけ聞いてみたい・・・」といった人には、少しハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし、不動産会社は集客の一環としてサイトに登録しており、査定依頼に回答すれば運営者から課金されてしまうのです。
課金される以上は、営業につながる確度の高いユーザーを確保したいため、個人情報の開示は当然といえば当然といえます。
そのため、おおよその査定額を知りたい場合には、個人情報を入力したうえで机上査定を選択するとよいでしょう。
また、不動産会社の査定や売却提案ではなく、単純に不動産査定だけを行う「HowMA(https://www.how-ma.com/)」というインターネットサービスがあります。
このサービスは、不動産会社の担当者が査定するのではなく、人工知能が自動で不動産を査定します。
そのため、営業電話がかかってくることもありませんし、メールアドレス以外の個人情報を開示する必要もありません。
気軽に相場価格を知りたい場合に利用するとよいでしょう。
<AI自動査定のHowMA(https://www.how-ma.com/)>
不動産一括査定サイトを利用した場合、対象物件の売却にマッチングされた不動産会社の一覧が表示されます。
<不動産会社のマッチングの事例>
上の事例ですと、4社がマッチングされ一覧表示されていることがわかります。
マッチングされた不動産会社の中から、査定を依頼することができる会社数は6社程度のサイトが多いのですが、中には同時に10社に依頼できるサイトもあります。
ただし、あまりにも多くの不動産会社に査定を依頼してしまうと、後の対応が大変になる場合があります。
同時に10社に査定依頼が発信され、各社それぞれから査定価格や売却提案などの回答が送られてきて、中には直接コンタクトを取ろうと電話をかけてくる不動産会社もあるでしょう。
すべての査定内容をきちんと精査し、比較・検討するには時間がかかりますし、情報が錯綜してしまう可能性もあります。
効率的に査定を比較・検討するためには、3~4社程度の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。
その程度であれば、各社の査定内容を精査して比較・検討し、必要があればじっくりと質問することができる提案数です。
不動産会社からの営業電話を受けたくない場合には、査定を依頼する際に机上査定で申し込むとよいでしょう。
机上査定で申し込めば、査定結果がメールで送られてくるだけで済みます。
念のために、コメント欄や備考欄に「電話は不要です」と記載しておけばかかってくることはまずないでしょう。
不動産会社の査定を受ける前に、自分でも対象物件の相場価格を調べておくことが大切です。
自分なりに相場観を把握していれば、査定価格の妥当性が確認できますし、自分で調べた相場価格と査定価格が乖離している場合は、その理由や根拠について問い合わせることもできます。
自分なりに価格のイメージを持っておくことは、不動産を高く売却するために非常に大切なことです。
相場価格の調べ方は、下記の公的なサイトで確認してみるとよいでしょう。
レインズ・マーケット・インフォメーションは、通称レインズと呼ばれる4つの指定流通機構からなる国土交通省指定の不動産流通機構が運営するサイトです。
直近1年間の成約価格をベースに、対象物件の相場価格を調べることができます。
不動産取引価格をデータベース化した国土交通省が運営するサイトです。
実際に取引された売買価格を閲覧することができます。
あわせて地価公示価格を確認することもできます。
訪問査定を受ける場合、机上査定を受けたすべての不動産会社に訪問査定を申し込むのではなく、2~3社程度に不動産会社を絞り込んで受けるようにしましょう。
2~3社程度であれば、1日ですべての会社の訪問査定を済ませることが可能なためです。
訪問査定を受ける不動産会社を選ぶコツは、
・電話での担当者の言葉遣いや対応、宅地建物取引士の資格者か否か
・査定価格の根拠や査定理由
・イメージしている具体的な売却戦略や販売活動
・そのエリアでのこれまでの販売実績
といったポイントを事前に電話などで確認して選びましょう。
一般に、査定価格が高い不動産会社を選びがちですが、顧客を囲い込むためだけに高い査定価格を出してくる不動産会社もありますので、査定価格だけで選ぶことはやめましょう。
その査定価格の適正な査定根拠を確認してください。
査定根拠があやふやな場合は、その不動産会社は避けた方が賢明です。
また、執拗に営業電話をかけてくる不動産会社も避けた方がよいでしょう。
不動産一括査定サイトは、サイトごとに登録会社が異なっています。
大手・中堅不動産会社が中心のサイトもありますし、大手・中堅・地元密着型の不動産会社がバランスよく登録されているサイトもあります。
もちろん、大手不動産会社などは重複して登録されていることが多いですが、地方や郊外の不動産の場合はマッチングされないこともあります。
不動産を売却するためには、さまざまな不動産会社から査定を受けることが大切ですので、1つの不動産一括査定サイトだけでなく、複数の不動産一括査定サイトを利用してみましょう。
もちろん、すべてのサイトで査定依頼をせずに、マッチングされる不動産会社を確認してみるだけでもOKです。
あなたの不動産売却に最も相性の良い不動産会社を見つけることができるサイトを選びましょう。
最後に、主要な7つの不動産一括査定サイトを紹介します。
なお、情報はすべて2019年1月時点でのものです。
サービス開始 | 2001年 |
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登録不動産会社数 | 約1,300社 |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 500万人以上 |
特徴 | 長い運営歴を活かした独自の審査基準で、大手から地元密着企業まで、最適な不動産会社のみを厳選しており、登録後も悪質な不動産会社を常時パトロール |
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング(NTTグループ) |
サービス開始 | 2008年 |
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登録不動産会社数 | 約1,700社 |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 476万人以上 |
特徴 | 日本最大級の不動産・住宅情報サイト「HOME’S」が運営する不動産一括査定サイトであり、独自の不動産会社ネットワークを活かした情報が充実 |
運営会社 | 株式会社LIFULL(東証1部上場) |
サービス開始 | 2006年 |
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登録不動産会社数 | 約1,400社 |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 440万人以上 |
特徴 | プライバシーマークを保持しており、個人情報の保護を徹底 |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
サービス開始 | 2007年 |
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登録不動産会社数 | 約1,700社 |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 400万人以上 |
特徴 | 他のサイトにない不動産会社の営業に対してのお断り代行サービスや対面でのなんでも相談室、査定後のフォローが充実 |
運営会社 | セカイエ株式会社 |
サービス開始 | 2014年 |
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登録不動産会社数 | 約1,700社 |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 1,000万人以上 |
特徴 | 登録している不動産会社数が他サイトと比べて多く、サイトの使い勝手が良いためユーザーがストレスなく利用可能 |
運営会社 | 株式会社Speee |
サービス開始 | 2017年 |
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登録不動産会社数 | ※6社(830店舗) |
対象エリア | 全国大都市圏のみ |
利用者数 | ※年間取引件数(6社合計)11万件以上 |
特徴 | 不動産仲介の大手6社(東急リバブル・住友不動産販売・野村の仲介・三井のリハウス・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)直営の不動産一括査定サイト |
運営会社 | 上記6社 |
サービス開始 | 2011年 |
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登録不動産会社数 | 900社以上(2,500店舗) |
対象エリア | 47都道府県 |
利用者数 | 360万人以上 |
特徴 | マンションに特化したサイトであり、マンション売却査定は最大9社まで、賃貸で運用する場合も査定可能 |
運営会社 | マンションリサーチ株式会社 |
不動産一括査定サービスについて解説してきました。
まだ新しいサービスのため、リスク・デメリットなどのネガティブな面もありますが、不透明だった不動産の査定に透明性をもたらす画期的なサービスであることには間違いありません。
不動産を売却する場合は、利用する価値のあるサービスといえるでしょう。
今後、サイト運営各社がサービスをブラッシュアップしていくことで、ユーザーの満足度が上がり、定着したサービスとなることが期待されています。