・連帯債務と連帯保証
・債権譲渡
債権は自由に譲渡することができる(譲渡禁止特約は無効)。また、将来発生する債権も譲渡することができる
ただし、譲渡禁止特約があることを譲受人が悪意または善意重過失の場合には、債務者は履行を拒絶することができ、譲渡人に対する弁済を対抗できる(預貯金債権の場合は、譲渡制限特約がある場合には悪意または善意重過失の譲受人への債権譲渡は無効)。その場合には、債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる
・債務者対抗要件(譲渡人からの通知、債務者の承諾)
譲渡人から債務者に対する通知 | ✕譲受人からの通知 ✕譲受人が譲渡人に債権者代位としての通知 ○譲受人が譲渡人の代理人として通知 |
債務者の承諾 | 債務者の承諾は、譲渡人または譲受人のいずれにしてもよい |
※譲受人Cからの直接の通知だけでは成立しない(Aから代理の依頼があり代理権があれば成立する)
※内容証明郵便である必要はなく、通知は普通郵便・電話・メールなどでも成立する
・債権が二重譲渡された場合(AからBの債権をCとDに二重に譲渡された場合)
優劣は「確定日付ある(内容証明郵便による)」通知、または到達の早さで決める
Cは確定日付あり(内容証明郵便) Dは確定日付なし(普通郵便) | (到着の前後に関わらず)Cの勝ち |
Cは確定日付あり Dも確定日付あり | (書類上の確定日付や送付の日付に関わらず)内容証明郵便の到達が早いほうが勝つ ※到達が同時の場合には、勝敗はつかず、各譲受人は債権全額の請求ができ、債務者はどちらかの譲受人に弁済すればよい |
・譲受人への弁済と相殺
通知を受ける前の譲渡人への主張は、譲受人にも主張できる
・弁済時の注意
・弁済者が、受領権者としての外見を有するもの(例えば借用証書を持ってきたなど)に対して善意無過失で弁済してしまった場合には、その弁済(返済)は有効となる ・債務者が第三者の弁済を嫌がる場合でも、第三者がその弁済により正当な利益を有する場合は有効となる。一方で正当な利益を有しない場合で、それを債権者が知っている場合には無効となる(親や兄弟、友人などは正当な利益を有する第三者とはみなさないため、債務者の意思に反して弁済することはできない。ただし債権者が、債務者が嫌がっていることを知らない場合には弁済は有効となる) ・債権者が第三者の弁済を嫌がる場合は原則として返済できない。ただし債権者が、第三者が債務者の委託を受けていることを知っている場合には弁済は有効 ・弁済と受領証書の交付は同時履行の関係にあるため、弁済者は受領証書が交付されないことを理由に弁済を拒むことができる ・債務者が数個の金銭債務を負担する場合、弁済の際に弁済の対象とする債権を指定することができる(同一の債権に対しても利息よりも先に元本から返済するなども可能) ・弁済により抵当権が消滅した場合には、登記を抹消しなくても、弁済の事実が証明できれば第三者に対抗することができる(そのため、弁済と登記の抹消は弁済が先履行となっており、弁済と受領証は同時履行の関係となっている) |
・個人根保証
個人が一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約のこと (例)賃貸借契約の連帯保証人など
個人根保証の成立要件 | ※すべてを設定しないと効力を生じない ①個人が保証人になること ②一定の範囲に属する不特定の債務であること ③極度額を定めること |
※法人の場合には極度額を定める必要はない
・保証人への情報提供義務
主債務者から保証人へ | ①主債務者の財産や収支の状況 ②主債務以外の債務の金額や履行状況 ③他に担保がある場合はその旨と内容 |
債権者から保証人へ | ・主債務者の支払いの状況 ・保証人が個人(✕法人)の場合で、債権者は期限の利益を喪失した場合には(例えば滞納により一括返済を求めた場合など)、保証人に対してそれを知った日から2ヵ月以内にその旨を通知しなければならない |
※個人(✕法人)が事業のために債務の保証人になる場合には、原則として契約の締結日よりも1ヵ月以内に作成された保証意思宣明公正証書(公証人の確認を経てされたもの)を作成しなければならない
・抵当権の順位の譲渡と放棄
順位の譲渡 | 順位を譲り、入れ替えることができる |
順位の放棄 | 何もない場合の配当予定額から、債権額の比率で分けて配当を受取ることができる |