不動産の「囲い込み」問題をご存じでしょうか?
2015年には経済誌で特集が組まれたり、テレビの有名ニュース番組が独自取材を行ったりしたことで、「囲い込み」問題は業界内でもさまざまな動きを見せています。
不動産業界の古くからの悪しき商慣習である「囲い込み」ですが、自分の身に起きれば大変な損失に見舞われてしまうかもしれないリスクがあるのです。
そこで、今回は不動産の「囲い込み」に関して、その実態と業界内の現状、防止策などについて詳しく解説します。
ぜひこの記事を参考にして、自分の資産を自分で守る準備をしましょう!
目次
「両手仲介」とは、仲介で不動産を売却する時のひとつの取引形態ですが、売主にとっては弊害が生じる可能性があるといわれています。
まずは、両手仲介の仕組みや問題点、現状について解説していきます。
不動産を仲介で売却する時には、売却を依頼する不動産会社と「媒介契約」を締結します。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれの契約の特徴は以下の表の通りです。
<媒介契約の特徴>
売却を依頼された不動産会社は、売主の一種の「代理人」ですが、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約を締結した場合は、独占的な代理人ということになります。
なぜなら、上の表からもわかる通り、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約を締結した場合、売主は他の不動産会社へ重ねて売却を依頼することができないためです。
また、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約を締結した場合は、不動産会社は指定流通機構(レインズ)に物件を登録して、他の不動産会社に広く情報を公開する義務があります。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・レインズ(REINS)とは?用途やログイン・閲覧方法を解説![/su_box]不動産の売却を依頼する場合に、ほとんどの不動産会社は「一般媒介では自社で仲介できる確約が取れないため、広告費や営業活動費をかけた責任ある販売活動ができません」と言って、「専任媒介」での契約を求めてきます。
売主としても、責任を持って売ってもらえないのでは困りますので、専任媒介で契約した方がよさそうだ、と考えます。
これがひとつ目のキーポイントとなります。
不動産の仲介には「片手仲介」と「両手仲介」と呼ばれる取引形態があります。
「片手仲介」とは、売主・買主いずれか一方の仲介だけをすることで、「両手仲介」とは売主・買主双方の仲介をすることをいいます。
それぞれの取引形態を具体的に見ていきましょう。
<片手仲介の仕組み>
売主が自宅の売却を4,000万円で不動産会社Aに依頼し、不動産会社Aはレインズに物件を登録しました。
すると、その登録情報を見た不動産業者Bが購入希望者に物件を紹介し、無事に売買契約が成立し、決済・引渡しを終えました。
この場合、売主は不動産会社Aに4,000万円×3%+6万円=126万円(別途消費税)を仲介手数料として支払い、買主は同じく126万円(別途消費税)を仲介手数料として不動産会社Bに支払います。
このケースでは、不動産会社A、不動産会社Bとも「片手仲介」ということになります。
<両手仲介の仕組み>
売主が自宅の売却を4,000万円で不動産会社Aに依頼し、不動産会社Aはレインズに物件を登録しました。
他社から引き合いが来る前に、不動産会社Aの見込客の一人が購入を希望し、無事に売買契約が成立し、決済・引渡しを終えました。
この場合、不動産会社Aは売主・買主双方から仲介手数料を受け取ることができるため、252万円(別途消費税)の手数料収入を上げることができます。
不動産会社Aは「両手仲介」をしたことになります。
いずれの場合も、売主が支払った仲介手数料は同じ126万円(別途消費税)です。
しかし、不動産会社が両手仲介に固執することは、売主にとって大きな弊害を生む可能性があります。
両手仲介の場合、売主と買主の間で取引を取りまとめている不動産会社は1社だけですので、商談を効率的に進められる、誤解や行き違いが発生する可能性が低い、売主・買主双方に目配りができて安心・・・といったメリットがあります。
民法においては、同一人が契約当事者双方のそれぞれの代理人となって代理行為をすることを「双方代理」といい、原則として禁止されていますが、不動産の売買契約を媒介する行為は代理行為ではないとされているため、違法性もありません。
しかし、「1円でも高く売りたい売主」と「1円でも安く買いたい買主」は、そもそもの立場が対極にあり、お互いの利益は相反することとなります。
売主もしくは買主どちらかの利益を優先すれば、他方は不利益を被ることとなり、両者の利益を同時に満たすことは、理論的には無理があるといわざるを得ません。
つまり、両手仲介は利益相反を生む取引形態である、といえます。
株式会社住宅新報が発表した「主要不動産流通各社の2017年度(18年3月期)の売買仲介実績」をもとに、主要不動産流通会社の「両手仲介率」を推定してみました。
<主要不動産流通各社の2017年度(18年3月期)の売買仲介実績データ>
出典元:住宅新報 2018年5月29日号より
両手仲介率の算定方法は、片手仲介を3%、両手仲介を6%、その他の取引はなしという前提に基づき、以下の方法で計算しています。
1件当たりの平均取扱高(A)=取扱高÷取扱件数
片手仲介件数=(A×6%×取扱件数-手数料収入)÷(A×3%)
両手仲介件数=取扱件数-片手仲介件数
両手仲介率=両手仲介件数÷取扱件数×100
主要不動産流通会社10社のデータは、以下のように推定されます。
<主要大手不動産仲介会社10社の両手仲介率(推定)>
片手件数(件) | 両手件数(件) | 両手仲介率(%) | |
三井不動産リアルティグループ | 12,147 | 28,511 | 70.0% |
住友不動産販売 | 8,972 | 28,086 | 76.0% |
東急リバブル | 14,870 | 9,540 | 39.0% |
野村不動産グループ | 5,847 | 2,714 | 32.0% |
三井住友トラスト不動産 | 5,026 | 2,852 | 36.0% |
三菱UFJ不動産販売 | 3,785 | 1,974 | 34.0% |
みずほ不動産販売 | 2,904 | 1,333 | 31.0% |
三菱地所リアルエステートサービス | 735 | 427 | 37.0% |
大京グループ | 3,164 | 3,641 | 54.0% |
大成有楽不動産販売グループ | 2,394 | 1,865 | 44.0% |
グラフにしてみると、よりはっきりとわかります。
三井不動産リアルティグループと住友不動産販売は、両手仲介率が70%を超えており、非常に高い料率であることがわかります。
このように数値で見ると、主要不動産流通会社においては、両手仲介を主眼にして営業活動を行っているといえます。
もちろん、これらの主要不動産流通会社は大手不動産会社であるため、テレビCMなどの広告戦略によってネームバリューがあり、中小零細の不動産会社より売主・買主ともに多数の顧客リストを持っているので、両手仲介率が高くなるのは当然といえます。
前述の通り、両手仲介自体に違法性があるわけではありませんが、売主としてはこうした現状を覚えておくことも、不動産を早く高値で売るために必要なこととなります。
仲介手数料収入が2倍になる両手仲介を不動産会社が目指すことは、会社の収益を考えると当然のことといえますが、それにより次のような考えにとらわれやすくなります。
それにより、
・早く売るためにすぐ決まる価格に下げたい
・他社に決められないように他社へなるべく物件を紹介しない
・自社で見つけた買主を優先し、他社が見つけた買主はたとえ高い価格であっても後回しにする
といった事態が生じる可能性があり、不動産会社が両手仲介に固執すると、不動産会社の利益にはなっても、売主にとっては何の得にもならないばかりか、不利益が生じてしまう可能性があるのです。
そして、不動産会社が両手仲介に固執することにより発生する最大の問題が物件の「囲い込み」なのです。
それでは、不動産会社が両手仲介に固執することにより発生する物件の「囲い込み」とは、一体どのようなことなのでしょうか。
ここでは、物件の「囲い込み」の典型的な手法を紹介していきます。
不動産会社は売主と専任媒介もしくは専属専任媒介契約を締結した場合は、それぞれ定められた期日以内にレインズに物件情報を登録しなければなりません。
そのルールに従って、いったんは物件情報を登録するのですが、登録証明書を取得してすぐに情報を削除します。
こうすれば、レインズを見た他の不動産会社から問い合わせが来ることはなく、ゆっくりと自社で買主を見つけて両手仲介を目指すことができます。
売主には「レインズに登録しました」と登録証明書を提示するわけです。
売主は削除されたことに気付かず、当然そのまま登録され続けていると考えます。
この方法は、明らかな宅建業法違反ですが、残念なことに「事務の者が誤って削除してしまいました」など、いくらでも言い逃れができてしまいます。
レインズに登録する項目のうち、住所の枝番号やマンション名・部屋番号などは任意項目となっているため、入力をしなければ他の不動産会社は物件の特定ができないうえに、物件の図面や写真が登録されていなければ、物件に関してまったく情報が得られないこととなります。
物件を登録したばかりで販売図面の作成が間に合わないケースもあるでしょうが、物件登録後1ヶ月経っても販売図面を登録していないようでは、そもそも売る気があるのかが問われるでしょう。
そうした物件には、他の不動産会社も問い合わせしようという気が起きにくくなります。
それにもかかわらず、自社のホームページなどには間取図や室内写真などを掲載しているケースもあります。
つまり、意図的にレインズに販売図面を登録しないことにより、他社が購入希望者に紹介できないよう情報を囲い込んでいる可能性が高いといえるでしょう。
レインズの物件情報を確認して、他社が購入希望者に紹介したり、内覧を申し込んだりする際には「物件確認」を行います。
物件確認とは、レインズに物件を登録している不動産会社に在庫状況や販売状況を確認することです。
囲い込みをしている場合は、他社が物件確認をすると、
「商談中です」
「契約予定です」
「売主の都合で売り止めです」
「売主が多忙で内覧できません」
などと実際とは違うことを回答して、他社からの問い合わせを断ります。
物件がレインズに登録されたのが、わずか3日前であるにもかかわらず、もう「商談中」「契約予定」「売り止め」などという状況になっているということは、常識では考えにくいとは思いませんか?
他社が「どうもおかしい・・・」と感じても、売主と直接コンタクトを取ることは「抜き行為」といってタブーとなっているため、他社は確認する術を持ちません。
結局、他の物件を探すしかないのです。
こうして悪質な不動産会社は、他社からの問い合わせをすべて断り、ゆっくりと自社で購入希望者を探して両手仲介を目指していくのです。
不動産会社が物件情報を自社だけでコントロールするために最も有効な手段は、レインズへ登録しないことです。
前項のような他社からの問い合わせは一切なくなりますので、慌てず騒がず自社だけで購入希望者を見つけることができます。
一般媒介契約を締結した場合は、レインズへの登録義務がありませんので、違法性もありません。
通常、不動産会社は専任媒介や専属専任媒介の締結を要求して、物件を自社だけでコントロールしようとします。
しかし、この方法では一般媒介の特性を逆手にとり、売主が媒介契約についての知識がなく、他社へ重ねて売却を依頼しないことがわかれば、あえて一般媒介契約を締結するというテクニックを使うのです。
売れる見込みが高い物件の場合には、特に一般媒介を勧めて両手仲介を狙うケースが見られます。
「囲い込み」の主な手法がわかったところで、続いて「囲い込み」が行われた場合の売主が受ける2つの大きな損失について説明します。
通常、売却を依頼された不動産会社は物件情報をレインズに登録し、レインズを見た他の不動産会社からの問い合わせや内覧の申込みの数を増やし、早期売却できる機会をどんどん作らなければなりません。
また、不動産ポータルサイトや自社ホームページへの掲載、必要に応じて新聞折込やポスティングなど、物件情報がマーケットの隅々にまで周知徹底されるよう効果的な広告活動を行うことにより、早期売却を目指します。
しかし、前述のような囲い込みの手法が使われれば、他の不動産会社が購入希望者に物件を紹介するチャンスが一切失われてしまいます。
そうすれば、「囲い込み」をしている不動産会社は、ゆっくりと時間をかけて購入希望者を見つけることができますが、売却は長期化することとなり、売主にとっては大変な機会損失といえます。
それに比べて、不動産会社は何のリスクもなく、両手仲介という収益向上の機会を狙っているのです。
「囲い込み」が行われると、売却価格が低下してしまい、高値での売却機会を損失します。
例えば、Aさんが5,000万円で自宅の売却を不動産会社Bに依頼しているケースを考えてみましょう。
レインズを見た不動産会社Cが5,000万円で購入希望者を見つけてきた場合、不動産会社Bの仲介手数料は片手仲介ですので、5,000万円×3%+6万円=156万円(別途消費税)となります。
しかし、不動産会社Bが4,000万円で購入希望者を見つけ、売主が値下げの要求を認めれば、不動産会社Bの仲介手数料は両手仲介となり、(4,000万円×3%+6万円)×2=252万円(別途消費税)となります。
不動産会社Bにとっては、値下げによって売主は1,000万円も損をするにもかかわらず、不動産会社は両手仲介の方が約100万円近くオイシイ取引となるわけです。
このように、売主としては1円でも高く売りたいにもかかわらず、「囲い込み」を行って両手仲介を狙った方が不動産会社には得になることがわかります。
その結果、他社からの高値の購入希望者より安くても自社の購入希望者を優先することとなり、売主にとっては高値売却の機会が失われてしまうのです。
ここでは、驚くべき「囲い込み」の実例を紹介します。
不動産の売却を考えている方々には少しショッキングな内容かもしれませんが、よく確認して頭に留めておいてください。
Sさんは相続した土地を売却するために、相談した複数の不動産会社の中から、Sさんが希望する一番高い売却価格である1億2,000万円を受け入れてくれた不動産会社Xと面談をしました。
相続税の納税期限が6ヶ月後となっており、1億2,000万円で売れれば税金を支払っても手元に現金が残る・・・という胸算用もありました。
Sさんは近隣の事例などから「1億2,000万円くらいでは売れるだろう」と想定していましたが、X社より「売出し価格は1億3,000万円くらいでも売却できる可能性はあります」という提案もあり、Sさんは大いに期待してX社と専任媒介契約を締結しました。
しかし、X社は両手仲介を狙って「囲い込み」を行っていたのです。
レインズに物件は登録したものの、他社からの問い合わせに対しては「商談中です」「契約予定です」と一切断り続けました。
Sさんには「頑張っていますが、もう少しかかりそうです」という報告を繰り返しました。
通常であれば、少し売却期間は延びますがX社が買主を見つけて、両手仲介により成約する・・・というパターンなのですが、今回はもう少し驚くべきケースです。
2ヶ月ほど経過した頃、X社はSさんに「1億円で買いたいという人が現れたのですが、いかがですか?」と打診を受けました。
Sさんは「当初の話と違う!」と憤りを覚えましたが、税金の支払い期限が迫る中、なかなか売れない現状に不安を覚えていたこともあり、「もともと1億2,000万円で売ろうと思っていたのだから実質は2,000万円の値引きであり、売れないより1億円入った方がいいだろう」という気持ちから、この提案を受け入れたのでした。
実際は、X社は専任媒介契約を取るために1億3,000万円という売出し価格の話をしただけであり、Sさんの知らないところで「囲い込み」をしていたのです。
Sさんの土地を1億円で購入したのは建売業者Yで、Sさんは思った通りの現金を手元に残すことはできませんでしたが、相続税の納税は問題なく一安心でした。
X社は専任媒介契約を締結した時から、付き合いのあるY社にこの土地を売るべく計画を立てていたのです。
Y社から「1億円なら買います」と約束を取り付けておき、2ヶ月ほど「囲い込み」をしながら物件を放置しておきます。
そして、売主が納税を意識して焦り出した頃を見計らって「1億円なら売れますよ」と持ちかけたわけです。
しかし、X社にとってこの取引はこれで終わりではなかったのです。
Y社とは土地が購入できた際には、戸建て完成後の販売に関して専任媒介でX社に任せる、という約束まで取り付けていたからです。
Sさんの土地は3棟分の建売住宅が計画できたため、X社は合計8取引分の仲介手数料を得たのです。
<Sさんの実例>
仮に、建売住宅を1棟当たり6,000万円で販売したとすると、専任媒介のX社の仲介手数料収入は(6,000万円×3%+6万円)×2×3棟分=1,116万円となります。
Sさんの土地売買の仲介手数料を合わせると、1,116万円+(1億円×3%+6万円)×2=1,728万円の手数料収入となったのです。
この実例はかなりハードなケースといえますが、「囲い込み」が行われれば「売主が損をして、不動産会社が儲かる」ということが理解できたのではないでしょうか。
最後に、こうした「囲い込み」に遭わないための5つの対策について説明します。
しっかりと理解したうえで実践し、自分自身で「囲い込み」から自分の資産を守ってください。
売却を依頼する不動産会社を選定する際に、「両手仲介」や「囲い込み」に対する知識があることをアピールしましょう。
不動産会社からすれば、そうした知識を持つ売主には一目置くに違いありません。
そのうえで、
A.「御社は両手仲介にこだわりますか?」
B.「これまでの両手仲介率はどのくらいですか」
C.「売主利益を最大化する方法は何だと考えますか?」
などの質問を積極的にしてみましょう。
明確な答えが返ってこなかったり、話を変えようとしたりすれば要注意です。
その不動産会社と媒介契約を締結することは見送った方が賢明です。
ちなみに、上記の質問をする場合は、
A. → 他社に広く物件情報を発信する、といった回答であればOK
B. → 前述のグラフやーデータを開示しても可
C. → 早期の高値売却、といった回答であればOK
といったことに注意しましょう。
売主が不動産売却についての知識を持ち、業界内のデータや業界を取り巻く実態などについて知り得ていると不動産会社が受け止めれば、それだけで抑止力となります。
一般媒介で契約を締結すれば、物件情報を一本化することができないため、「囲い込み」は起こりません。
しかし、一般媒介で契約する場合でもレインズへの登録を依頼することが大切です。
また、「囲い込み」を防ぐために一般媒介契約を締結する場合、依頼する不動産会社の数は、2社としましょう。
レインズに物件を登録すれば、すべての不動産会社へ情報が行き渡るため、4社、5社と多くの不動産会社に依頼する必要はありません。
かえって多くの不動産会社に依頼すると、不動産会社間でけん制し合ったり、担当者のやる気を殺いでしまったりする可能性があります。
物件情報をレインズへ登録した場合は、必ず登録証明書を不動産会社から受け取りましょう。
その際には、下の図の赤枠で囲んだ「図面」「登録内容確認URL」「確認用ID」「パスワード」の欄を確認してください。
「図面」の欄が「有」となっていれば販売図面がレインズに登録されており、自身で確認することもできます。
「無」の場合は、販売図面が登録されていないこととなりますので、早急に登録してもらいましょう。
「登録内容確認URL」「確認用ID」「パスワード」を利用すると、レインズのサイトで自分の物件の取引状況をいつでも確認することができます。
取引状況には「公開中」「書面による購入申込あり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つのステータスがあり、ステータスが不動産会社から報告を受けている現状とマッチしているかどうかを確認します。
不動産会社から特別な報告がないにもかかわらず、「書面による購入申込あり」や「売主都合で一時紹介停止中」といったステータスになっていれば、囲い込みが行われている可能性がありますので、注意しましょう。
<登録証明書の事例>
物件情報がレインズに登録されたことで安心せずに、定期的にレインズの登録状況を確認することが大切です。
他の不動産会社の協力を得て、その不動産会社に物件確認をしてもらいます。
他の不動産会社が「○○区○○町○丁目、土地面積○○○平方メートル、○○○○万円の売地(あなたの物件)ですが、紹介可能ですか?」と確認した際に、売主であるあなたには特に報告がないにもかかわらず、「商談中です」と回答された場合は「囲い込み」が行われている可能性があります。
なぜなら、購入希望者が現れて商談中であれば、売主に必ず報告や確認が来ているはずだからです。
物件確認に対する回答は、概ね「紹介できます」「商談中です」「契約予定です」の3つですので、現状と違う回答が返ってくれば要注意です。
他の不動産業者の協力を得るためには、「囲い込みの事実があれば、御社と媒介契約を締結します」と話せば対応してくれるでしょう。
ただし、その際は一般媒介契約が無難です。
結局は、信頼できる誠実な不動産会社を選ぶことが一番の囲い込み防止策といえます。
売主の立場で、売主利益の最大化に取り組んでくれる不動産会社を見つけることが重要です。
会社の規模や知名度などは関係なく、外見的なことに惑わされずに本質を見極めましょう。
この場合、不動産一括査定サイトを利用するなどして、複数の不動産会社の中から比較・検討することが大切であり、査定価格だけで選ぶことはやめましょう。
たとえ小さな悩みでも聞いてくれる姿勢や、こちらの質問にとことん答えてくれる対応など、不動産会社としての企業姿勢を感じ取ることがポイントです。
そして、信頼できる誠実な不動産会社であると判断できれば、パートナーとして専任媒介契約を締結することで担当者のモチベーションを高めることもでき、早期に高値での売却が実現できる可能性が高くなります。
「両手仲介」は「囲い込み」を生む要因となりますが、違法な取引ではありません。
他社で買主が現れないために、結果として両手仲介となるケースもあります。
両手仲介に固執して、悪質な「囲い込み」をする不動産会社はごく一部と考えられますが、存在していることも事実であるため、売主として自己防衛の方策を用意しておかなければならないのが現実です。
「両手仲介」や「囲い込み」に関しての知識を身に付けて、「おかしいな・・・」と思ったら遠慮なく不動産会社に納得いくまで確認する姿勢が大切です。
不動産会社もいつもチェックされていると思えば、そうそう悪質なこともできないはずです。
自分の資産が安全・確実に取引され、後悔のない不動産売却が実現できるように取り組みましょう!