意味 | 能力を欠く場合 | |
権利能力 | 権利や義務の主体となれる能力 (胎児から死亡まで) ※たとえば不動産を所有することができる | 胎児の場合は、不法行為の損害賠償請求権については、出生のときに過去にさかのぼって権利を行使できるようになる |
意思能力 | 行為を認識できる精神能力 (✕就学前の児童 ✕泥酔者 ✕心神喪失者) | 無効 |
行為能力 | 単独で有効に契約できる能力 | 未成年者、被後見人、被保佐人、被補助人の場合は取消しできる |
※泥酔者などの意思無能力者(意思能力を欠いている者)の意思表示は無効である(そもそも無効のため、取消しすることも、追認することもできない)
※責任無能力者が第三者に損害を与えた場合には、監督義務者が監督義務を怠ったと判断された場合には賠償する責任を負うことがある
・制限行為能力者と後見人の権利
※「△」は家庭裁判所の審判で付与
※成年被後見人は同意自体の認知も難しいと考えられるため同意を受けることができない。たとえ同意のもとで契約した場合でも、成年被後見人や成年後見人は取消せる
※後見人は、家庭裁判所から後見開始の審判を受けて任用される。また、家庭裁判所の許可を得てその任務を辞することができる
※家庭裁判所では、後見人をさらに監督する立場として後見監督人を選出することができる
※成年被後見人が成年後見人を代理して居住用不動産の売却・賃貸・抵当権の設定をする場合は、家庭裁判所の許可が必要
※被保佐人が不動産を売却する際や、贈与の申込みを拒絶する場合には、保佐人の同意が必要
※追認権は、追認できるときから5年、または取消せる行為をおこなったときから20年が経過すると時効で消滅する(契約を取消すことができなくなる)
・代理権
※親が代理人として契約する
・追認・取消権
※契約後に追認や取消しができる。未成年者の場合は、親の事前の同意でも契約できる
・未成年の成年擬制
・婚姻すれば成年者とみなされる(離婚しても成年者のまま) ※婚姻は、男は18歳、女は16歳にならなければならない |
・親権者(法定代理人)の同意権
・未成年者の行為の同意は父母が共同で行使するのが原則のため、片方のみの同意の場合には有効な同意とはならない。片方の同意の場合には取消すことができる ・片方が行方不明の場合、死亡した場合や意思表示ができないときにはもう一方だけでも可 |
・単独でできる行為(未成年者)
・単に権利を得るまたは義務を免れる行為 (例)条件のない贈与を受ける ・法定代理人から許された財産の処分 (例)もらったお小遣いで買い物をする ・法定代理人から許された営業の範囲内の行為 (例)歌手活動が許されている者の、音楽活動に関する契約 ・身分行為 (例)子の認知、遺言(15歳以上) |
※未成年者のときに契約をした場合でも、時間が経ち成年になれば自ら追認したものとみなせる
・単独でできる行為(成年被後見人)
・日用品の購入その他日常生活に関する行為 ・身分行為 (例)婚姻・協議離婚・遺言 |
・取引の相手方を保護する制度
①相手方の催告権 相手方は、契約を追認するかどうかを本人・後見人に確認することができる ・決裁できる人に催告 → 返事なし → 追認 ・決裁できない人に催告 → 返事なし → 取消し ②詐術 制限行為能力者が能力者であると偽って契約した場合は取消せない ・制限行為能力者であることを黙秘していた場合でも他の行動と相まって相手方を誤信させた場合は「詐術」にあたる ・終始沈黙していた場合は「詐術」にはあたらない ・法定代理人の同意を得ていると信じさせた場合も「詐術」にあたる |
・宅建士と制限行為能力
・個人である宅建業者が宅地建物取引業の業務に関しおこなった行為は、行為能力の制限を理由として取消すことができない(成年被後見人や被保佐人になったとしても、取消しできない) ・ただし、都度法定代理人に同意をもらう未成年の宅建士は、法定代理人によって取消すことができる |