住宅業界で以前から注目されていたのがローコスト住宅です。
ただ現在注目されている低価格住宅はかつてのローコストとは違い、俄然おしゃれな雰囲気を醸し出しています。
そのため坪単価的には少し高くなったようにも映りますが、実はむかしのローコストよりかえってリーズナブルに建てられるようです。
ここでは「注文住宅をローコストに抑えるためのコツ10選」と題して、今話題の新ローコスト住宅がどうしたら可能なのか考えてみました。
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目次
それではローコストに抑えるためのコツを紹介していきますが、そのまえにひとつ注意したいことは、コツと言ってもそれは皆さん自身が注文住宅をローコストにするわけではないということです。
ここではコツということで、注文住宅が安くなる仕組みなどに触れていきます。
それでも私たちは選ぶ側であって、建てる側ではありません。
ただ安くなる仕組みが理解できれば、住宅の打ち合わせをするような時でも相手の話が理解しやすくなります。
ここで紹介するコツは、そんなつもりで読み進めていただくといいでしょう。
注文住宅をローコストに抑える場合に必要なのは、何をおいてもまず住宅の間取りを総2階の真四角なプランにすることです。
(ちなみにプランとは「設計、間取り」という意味もあり、建築業界では「プラン」という言葉を「間取り」としてよく使います)
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・【新築】注文住宅の間取りはどうやって決める?ポイントや流れを解説![/su_box]総2階とは1、2階の建築面積が等しいという意味で、建物の角ももっとも少ないキューブ型の経済的プランを選択してください。
なぜ総2階の四角いプランが経済的なのかというと、建物の角が多いと余計な費用が掛かるからです。
たとえば同じ40坪の家でも四角いプランより、角がひとつ増えることで壁の施工面積が増えます。
そして壁の面積が増えると基礎のメーター数も違ってくるでしょう。
基礎工事が余計にかかると住宅にかかるコストも上昇していきます。
さらに外壁は角が増えると、そのぶん役物(建築で出隅などの角の部分に使われる特殊な被覆部材のこと)の数も増えます。
役物は一般形の外壁より高価ですので、その意味でも建物は角の少ないキューブ状のプランが最も経済的なのです。
また総2階プランにすると屋根工事もローコストに抑えられます。
どの点で考えてもキューブ型の建物はもっともローコストに適しているのです。
ローコストに抑えるにはキューブ型の総2階の四角いプランが適していることは分かりました。
今度は住宅の内部で注意する点についてみていきます。
まずあげられるのは、余計な間仕切り壁、不要と思われる建具はなるべく使わないことです。
じつはプランを総2階にするだけでも、余計な間仕切り壁は減ります。
ただプランを総2階にすると、どうしても1階リビングの面積が小さくまとまってしまいます。
そこで、極力広々と過ごせるようにするため、余計と思われる間仕切り壁は使わないように工夫します。
同様に不要な建具も排除しましょう。
もちろん建具の数が減ると、そのぶん住宅のコストダウンにつながります。
これもどちらかというとコストダウンには間接的な効果しかありませんが、住宅のプランは原則的に窓の配置を1、2階で合わせるようにします。
立面図で見たときに窓が縦に揃うのが理想です。
なぜそうするかというと、ひとつには開口部が揃うと建物は構造的に安定するからです。
構造的に安定した建物は広い意味でコストの掛からない住宅になりやすく、それが会社で統一すると、確実にコストダウンにつながっていきます。
また最近の家は耐震性を意識してプランニングしていますが。窓の配置を合わせるのは業界では普通のことになっています。
また、いまは木造軸組構法の建物でも、耐力壁に構造用の面材を使うのが一般的です。
コスト管理にうるさい建築会社では、窓の配置がずれていると文句を言ってくる現場監督もいます。
部材の発注や現場のコスト管理は監督の仕事です。
少なくともローコスト住宅に徹するなら、建主である私たちも窓の配置に注意を向けたいものです。
総2階プランがローコスト住宅に向くなら、総3階建て(そのような言い方はないとは思いますが)でもOKなのでしょうか。
少なくともローコスト住宅を建てたいのなら3階建ては避けるべきです。
3階建てはやはりそれなりの費用が掛かりますのでローコスト派には向きません。
木造でも3階建てに対応した商品もありますが、通常は鉄鋼で1階部分を組んでそれから木で組むケースが一般的です。
また3階建ては人件費もかかります。
地階も別の意味でコストがかさみますので、どちらも建築予算に余裕がある方が建てる住宅です。
原則的に3階建てや地階のある家も、たとえ真四角なプランであってもローコストには建たないことを覚えておきましょう。
ローコスト住宅をつくる場合、いちばん重要なのがこの項目かもしれません。
それは仕様の選択肢を少なくすることです。
仕様をコントロールすることは、施主の側では絶対できません。
しかし、とても重要なことなので話だけ理解しておきましょう。
従来の注文住宅は、標準仕様とはまったく別の仕様に変更しても建てることはできました(もちろん、仕様の選べる範囲が決まっている住宅会社もあります)。
しかしローコスト住宅を実現するにはそれではダメです。
ローコスト住宅は仕様の選択肢を少なくすることです。
仕様の幅が狭くないと、コストも工期もコントロールできません。
ただしそれには、顧客満足度の高い仕様がどうしても必要です。
ここが新ローコスト住宅の特徴です。
また万人受けする仕様というのも、本気でローコスト住宅を実現すのには向きません。
どちらかというとローコスト住宅が設定する仕様は、顧客を住宅会社側で選ぶぐらいの感度の良さが必要です。
少し難しい話ですが言葉だけでも覚えておいてください。
仕様を設定できたら、次にやることは打ち合わせに掛かる時間や労力を少なくすることです。
しかしその住宅会社がつくる仕様に十分共感できた建主は、時間・労力を減らしたぐらいでは何も言わないでしょう。
なぜならその建主は住宅会社がつくる仕様に惚れ込んでいるからです。
またそれにはやはり仕様の設定が大事なのです。
建主も仕様の設定が十分考えられたものだと気づいているから十分納得するのです。
たとえば外壁材なども、選ぶとしたら色だけにするといった絞り込みができると、価格はずいぶんと抑えられるでしょう。
その意味では外壁材の仕様は多くても2種類に留めるのがベストです。
その場合、窯業系サイディングではなく、ガルバなどの金属系サイディングにしたり、違った雰囲気で塗り壁が使えたりすると良いでしょう。
どちらもメンテナンス費がかかりにくい外壁材を標準仕様に選ぶというのがポイントです。
木造住宅の工期は通常3ヶ月と言われてきました。
建物によってはもっとかかる場合もありますし、逆に少し短期間に収まる現場もあるでしょう。
ただ、会社ぐるみでローコスト住宅に取り組んだ場合、当然ながら工期の短縮化が図られるでしょうし、当然工期を短くすることで人件費を抑えられ、お客様に提示する価格もローコストになります。
工期を抑えるには、現場で加工しなければならない部材を少なくし、プレカット比率を上げる必要があります。
そのためには住宅のプランニングの種類を最小限に留めておくほうが効率は良くなり、大工さんも作業にも集中できるでしょう。
大工さんは通常より早く現場を去ることになりますが、現場数をこなせたほうが大工さんも助かります。
優秀なローコスト住宅では、3ヶ月かかる現場をおおよそ半分ぐらいで収めると言われています。
本格的にローコストをやるなら、少なくともそのぐらい工期を短縮できなければ割が合ません。
またこれまでなら急な変更にも柔軟に対応してきた現場でも、会社の作る住宅の方向性をローコストにしたからには、これまで大工さんに課してきた工事の変更や所謂「出戻り工事」をなくさなければいけません。
そのために、現場を戸惑わせないシンプルな仕様が必要ですし、その仕様を可能にする計算された家づくりが最初にあるべきです。
この辺りのことは実際に建築現場を経験した方でないと、なかなか理解出来ないことかもしれません。
ただ、これをうまくやっているのが、ローコスト住宅ではカーサプロジェクトの「casa cube」というローコスト・ブランドです。
「casa cube」以外にも「無印の家」も同じようなローコスト・ブランドなのですが、「無印の家」は「casa cube」と比較するともう選べる範囲が少し広がります。
そのぶんできた家は「casa cube」に比べて少し高くなります。
ここまでの説明でお分かりの通り、効率を考えてローコスト住宅を建てるとなると、もはや営業マンは不要です。
または設計社員がスポークスマンとなり、営業の代役を行うだけにとどめれば良くなります。
注文住宅で営業マンが活躍したのは、おもに資金計画まわりのことでした。
しかし、ここまでインターネットが普及し金融機関のホームページも充実してくると、住宅の資金計画についても施主自身で勉強できます。
そうなると一部のハウスメーカーを除き、住宅業界での営業の役割はなくなるでしょうし、営業マンの人件費が不要になると、住宅のローコスト化はさらに進みます。
最終的には営業マンの人件費も、ローコスト住宅にするために無視できないところまで話題が膨らんでいきましたが、ハウスメーカーでは必要な営業マンも、ローコストのビルダーでは実際に営業職は不要とするところあります。
おしゃれなローコスト住宅を好む方は、営業マン自体を嫌う方も少なくありません。
かつてのローコスト住宅ではやり手の営業マンがはばをきかせていました。
時代が変われば必要な人も変わるものです。