最近、マンションを売りに出しているがなかなか売れない・・・という声が聞こえるといわれています。
人口減少や東京一極集中などのマクロ的な問題も影響しているのでしょうが、少しの工夫と努力によって高く賢くマンションを売り抜けている人がいるのも事実です。
売れない人とうまく売り抜けている人の差は何なのでしょうか?
そこで今回は、マンションを高く売るための10の注意点について徹底解説します。
この記事を読めば、
・マンション相場の調べ方がわかる
・マンション売却に必要な書類がわかる
・マンション売却のための不動産会社選びのコツがわかる
・マンションの内覧対策がわかる
・マンション売却の契約締結時や決済時の注意点がわかる
・マンション売却の瑕疵担保責任がわかる
・マンション売却の最終手段がわかる
といったメリットが得られます。
目次
まずは、マンションを売却するときの流れについて把握しておきましょう。
次にどういうことが必要なのかを事前に知っているかいないかでは、準備や対応に差が出ることもあり、場合によってはその差が売却価格に影響を及ぼすことも考えられるのです。
そのため、マンション売却全体の手順や流れを理解したうえで、適切な準備や対応ができるようにしておきます。
<マンション売却の流れ>
マンション売却の大まかな流れは上の図の通りですが、それぞれにポイントがありますので、この後詳しく解説します。
ここでは、こうした流れでマンションの売却が進んでいく、ということを理解しておくことが大切です。
この流れは「仲介」でマンションを売却する時の流れです。
「買取」によるマンション売却の場合は、「媒介契約締結~内覧」までのプロセスが省略できますので、売却が完了するまでの期間が短くなります。
ちなみに、「仲介」によりマンションを売却する場合、売却が完了するまでの期間は、不動産会社と媒介契約(マンションの売却を依頼する契約)を締結してから3ヶ月間がひとつの目安です。
不動産会社に査定を依頼する前に、自分自身で売却するマンションの相場を調べ、価値を把握しておきましょう。
自分の中に売却価格の目安を持っていれば、仲介業者の査定価格の妥当性が検証でき、同時に査定根拠を確認する際の材料となります。
例えば、自分で調査した相場価格が2,500万円であるにもかかわらず、3,000万円の査定価格を提案された場合、その査定根拠が納得できるだけのものかどうか、十分に確認する必要があります。
もし、その査定根拠や査定理由が納得できるものであれば、優秀な不動産会社である証拠であり、不動産会社選定のポイントになるばかりか、高額売却のチャンスが生まれます。
こうしたことから、自分自身でマンション相場を把握しておくが大切です。
続いて、マンション相場の調べ方について説明します。
SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトで、自分と同じマンション内の物件の売買価格や近隣のマンションで「専有面積」「築年数」「階数」「駅からの距離(所要時間)」「向き」が似ている物件の売買価格を確認することで、大まかな相場観を把握することができます。
そうした物件の売買価格を専有面積で割って、1平方メートル当たりの単価を計算します。
そして、その単価に自分のマンションの専有面積を乗じた価額が、あなたのマンションの相場価格となります。
ただし、不動産ポータルサイトに掲載されている売買価格は、「いま現在売りに出されている物件の価格」であって、「成約した価格」ではありません。
つまり、あくまでも売主が「売りたい価格」であり、そのままの価格で成約するかどうかはわからないのです。
不動産会社はレインズ(REINS)という不動産会社専用のコンピューター・ネットワーク・システム上でさまざまな物件の成約情報を共有しており、いつでも閲覧することができます。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・レインズ(REINS)とは?用途やログイン・閲覧方法を解説![/su_box]しかし、守秘義務の観点から、一般個人客がレインズを閲覧することはできません。
では、一般個人客の方々が成約情報を確認することはできないのでしょうか?
実は「レインズ・マーケット・インフォメーション」というWebサイトで、レインズに登録されている成約情報の一部を確認することができます。
マンションの所在エリア、沿線、最寄り駅、駅からの距離、単価、専有面積、間取り、築年数、成約時期などを組み合わせて成約情報を検索することができます。
ただし、不動産会社専用のレインズと違い、正確な住所やマンション名などで物件を特定することはできないため、ある程度の成約情報ということになります。
<成約情報の検索画面>
それでも、不動産ポータルサイトのみならず、レインズ・マーケット・インフォメーションを確認することによって、より正確な相場観を把握することができますので、ぜひ利用してください。
マンションを売却するにあたって、必要書類を準備しておくことが大切です。
いざ、契約や決済・引渡しのタイミングになって慌てることがないようにしておきましょう。
マンション売却に際しての必要書類は下記の通りです。
登記済証(いわゆる権利証)を用意しておきましょう。
不動産登記法の改正により、2005年より登記済証は登記識別情報に変更されています。
<登記識別情報の例>
万一、登記済証を紛失している場合は、司法書士などの有資格者に本人確認を行ってもらい、登記名義人であることを証明してもらうことでマンションの売却が可能になります。
運転免許証やパスポートなど、マンション所有者本人であることを証明するために必要となります。
マンションを共有している場合は、共有者全員の本人確認書類を用意します。
所有権移転登記を行うために必要となります。
マンションを共有している場合は、共有者全員分の実印と印鑑証明書が必要となります。
また、印鑑証明書は発行日より3ヶ月以内のものが有効ですので、決済・引渡しの日程が確定してから取得しましょう。
固定資産税納税通知書は、毎年4~5月頃にマンション所有者のもとに送られてきます。
固定資産税・都市計画税の納税額を確認するために必要となりますので、手元に用意しておきましょう。
固定資産評価証明書は、所有権移転の際に登録免許税を算定するために必要となり、物件の所在地を管轄する市区町村の窓口で取得します。
委任状により代理人に依頼することができ、不動産会社に依頼することも多いです。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・登録免許税とは?計算・軽減措置・相続・納付方法について解説!売却を依頼した不動産会社より書式を受け取り、マンション所有者が記入します。
マンション所有者だけが知り得る情報など、買主に対して物件に関するすべての情報を開示します。
瑕疵担保責任とも密接にかかわってきますので、隠すことなくありのままを記入しましょう。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・瑕疵担保責任とは?期間・時効・免責について詳しく解説![/su_box]売却するマンションの管理規約・使用細則を買主に引渡します。
マンションの管理に関する規定やマンションで生活するうえでのルールなどが記載されていますので、買主に引渡さなければなりません。
また、マンション維持費関連書類は、管理費や修繕積立金などの負担金を買主が確認できるように、準備しておきましょう。
書類ではありませんが、マンションの決済・引渡しの時に買主へ引渡します。
合鍵なども含めて、持っているすべてのカギを用意しておきましょう。
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、マンションに金融機関の抵当権が設定されています。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・抵当権とは?効力や設定・抹消登記の手続きをわかりやすく解説![/su_box]マンション所有者は、売却代金により住宅ローンの残債務を金融機関へ一括返済し、抵当権を抹消したうえで、買主にマンションを引渡さなければなりません。
この時、抵当権抹消に必要な書類が抵当権抹消書類となります。
抵当権者である金融機関から抵当権抹消類を受け取り、決済・引渡し時に申請手続きをします。
そのため、マンションの売買契約を締結したら金融機関にその旨を報告し、以降の手続きについて相談しましょう。
マンション所有者の現住所と登記上の住所が相違している場合、住所変更登記をしなければならないため、マンション所有者の住民票が必要となります。
万一、住民票だけで住所履歴が証明できない場合は、戸籍の附票を取得する必要があります。
住民票は住んでいる市区町村の窓口などで取得できますが、戸籍の附表は本籍地の役所で取得するため注意が必要です。
システムキッチンや給湯器など、住宅設備類の取扱説明書や保証書があれば買主に引渡しますので、準備しておきましょう。
年に1度行われるマンション管理組合の総会議事録を準備しておきましょう。
買主はこの議事録により、管理組合の運営状況や管理の実態などを確認することができます。
マンションを購入した時の販売時パンフレットやパンフレットなどがあれば、準備しておきましょう。
マンションを購入した時の売買契約書や重要事項説明書があれば準備しておきましょう。
買主には引渡しませんが、マンションの物件情報や、取引条件、告知事項、特記事項など、今回の売買契約に参考となる書類ですので、売却を依頼した不動産会社に提示しましょう。
マンションを高く売却するためには、パートナーとなる不動産会社の選定が最も大切な要素となります。
ここでは、不動産会社の選び方のコツについて説明します。
まずは、不動産一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社の査定を受けましょう。
不動産一括査定サイトとは、マンションの物件情報やあなたのメールアドレスなどの個人情報を入力するだけで、複数の不動産会社から査定を受けることができるインターネットサービスです。
実際に不動産会社を歩いて回ることなく、複数の不動産会社から査定や提案を受けることができるため、非常に効率的な仕組みです。
登録している不動産会社は、大手不動産会社から地元密着型の不動産会社までさまざまですが、必ず複数の不動産会社から査定を受けて、価格や提案内容を比較・検討することが大切です。
この時、大事なことは決して査定価格だけで選ばないことです。
特に、他社に比べてずば抜けて査定価格が高い不動産会社は要注意です。
高い査定価格でその気にさせて、とりあえず媒介契約を締結し、あとから値下げを要求してくる可能性があるからです。
そのため、査定価格の根拠や売却戦略などの提案内容をしっかりと確認しましょう。
査定を受けた複数の不動産会社を見極めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
やはり、不動産会社(担当者も含めて)としてのスキルやノウハウを確認しなければなりません。
そのために効果的な質問の例を挙げます。
「(自分のマンション名)をこれまでに売却した事例について教えてください」
「買い手のターゲットはどのような人ですか?」
「広告活動は具体的にどのような活動をしてくれますか?」
「価格戦略について教えてください」
「(担当者に)宅地建物取引士の資格はありますか?」
こうした質問に、丁寧にわかりやすく、具体的に回答してくれる会社や担当者を選びましょう。
万一、答えられないことがあっても、わからないことを「大丈夫です。任せてください」と言うよりは、「調べて後ほどお答えします」と答えてくれる会社や担当者の方がよいでしょう。
また、担当者の身だしなみや清潔感なども重要なポイントですので、ぜひチェックしましょう。
その他のチェック項目として、その会社の販売図面(マイソク)をチェックすることも効果的です。
販売図面は会社や担当者のセンスが出やすいのですが、レインズに登録して他の不動産会社経由で買い手が見る資料であるため、非常に大切です。
もちろんカラーで作成し、物件のアピールポイントや伝えるべき情報、物件の写真などがふんだんに盛り込まれていなければなりません。
そのため、その会社で作成している他の物件の販売図面をチェックして、選定のポイントとしましょう。
<良い販売図面の例>
TVコマーシャルで有名な大手不動産会社がよいのか、地元密着型の中小不動産会社がよいのか、頭を悩ませるところではないでしょうか。
大手不動産会社は資金力があるため、広告を大量に配布、もしくは掲載することができます。
店舗も駅前の一等地などに構えていることが多く、集客力もあるでしょう。
一方、地元密着型の中小不動産会社も地域のことをよく知り、地元の情報や買い手を多く持っているケースがあります。
それぞれに特色があり、どちらがよいのかは一概に言えません。
富裕層が多く入居するタワーマンションや人気エリアの有名なマンションなどは、大手不動産会社の方が多く買い手を持っているでしょうし、反対にそのエリアにピンポイントでマンションが欲しい、という買い手を持っているのは中小不動産会社といえるでしょう。
いずれにしても、レインズをフルに活用して、物件情報を囲い込まず、マーケットの隅々にまで情報発信することにより、多くの買い手に情報が届くことになります。
そうした売却活動を行ってくれる不動産会社を選ぶことが大切です。
大手か中小かは問題でありません。
これまで説明したポイントを通して、選ぶべきは「売主の立場に立ってくれる不動産会社」です。
マンションを早く高く売却するためには、緻密な売却戦略を立てて、効果的な広告活動を通して物件情報をマーケットに周知させる必要があります。
また、売主と買主は利益が相反するため、売却過程では交渉が必要な場面も出てくるでしょう。
こうした一連の事態に対して、売主に代わって前面で戦ってくれるのが、売却を依頼したパートナーである不動産会社です。
その際に、仲介手数料収入を得るため取引をまとめることを最優先したり、価格を下げることばかり要求したりする不動産会社では困ります。
やはり、売主の代わりとなって売主の立場で取引を考え、適切なアドバイスや協力をしてくれる不動産会社を選ぶことが一番です。
買い手は販売図面を見て「このマンションはいいかも…」と購入を検討する際には、「内覧」といって現地を実際に見学にやって来ます。
実際に物件を見学せずに購入する買い手はいないため、内覧に失敗してしまうと売却成功が遠のいてしまいます。
ここでは、マンション売却に重要な内覧対策のポイントについて解説します。
物が多いと部屋は狭く見え、閉塞感のある印象も与えてしまいます。
そのため、室内の不用品やゴミなどはすべて処分し、室内を広く見せる工夫が大切です。
クローゼットや押し入れに一時的に移動しても、「クローゼットも見せてください」と言われてしまえば元も子もありません。
クローゼットや押し入れに詰め込んだりせずに、きちんと処分しておきましょう。
特に、リビングルームに物を置かないことは広く見せるだけでなく、生活感を排除する効果もあるため、内覧者に対してアピールできます。
室内を徹底的に掃除して、家具や小物類も整理・整頓し、清潔で調度の取れた印象を持ってもらいましょう。
特に、玄関は室内に入ってまず見学する場所ですので、第一印象が決まります。
靴をシューズボックスに収納し、玄関ドアやドアノブ、床などをきれいに水拭きします。
傘も忘れずに収納し、内覧者用に新しいスリッパを用意しておきましょう。
第一印象が良ければ、内覧者のマンションに対する好感度や期待度は高くなります。
キッチン・浴室・洗面所・トイレなどの水回りは重点的にきれいにしましょう。
水垢・カビ・髪の毛・臭い・黄ばみ・石鹸カスなどに注意して、念入りに掃除をしましょう。
水回りは最も清潔感が求められる場所ですので、必要に応じて水回りだけプロのクリーニング業者に掃除を依頼する売主さんもいるくらい重要です。
室内の照明器具の電球をすべて新しいものに交換し、照度を上げておきます。
昼間でも、内覧時にはすべての照明を点灯させ、カーテンも開けておき、明るいイメージを演出します。
リビングルームの窓などは、水拭きをしてきれいにしておくとより一層明るさを演出することができます。
また、照明カバーもきれいに拭いておき、ホコリなどがないようにしましょう。
どの家庭にも、家の人は気付かない独特の生活臭というものがあります。
そうした臭いをなくすために、内覧前には窓を全開にするなどして十分換気をしておくことが大切です。
特に、ペット・タバコ・エアコンフィルターなどは臭いのもととなり、なかなか臭いが取れない場合があります。
その場合は、消臭スプレーを利用するなどして内覧に備えましょう。
内覧時に室内に人が多いと、内覧者は気を遣ってしまい、ゆっくりと見学することができません。
やはり、気兼ねなく内覧してもらった方が成約率は高まりますので、ご主人や子供、ペットは外出していましょう。
奥様ひとりで対応するのがベストです。
内覧時に値引き交渉があった場合でも、「主人と相談しますので・・・」ということで、その場で結論を出さずに逃げることもできます。
内覧を終え売買条件が整えば、いよいよ売買契約締結です。
売買契約締結前に、必ず不動産会社が作成した売買契約書を確認させてもらいましょう。
ここで、売買契約書における注意すべきポイントについて解説します。
通常、売買契約を締結する際に、買主は売主に手付金を支払います。
手付金は売買契約を締結したことを証明する金銭ですが、売主・買主双方とも、契約後一定期間はこの手付金をもとに無条件に契約を解約することができます。
買主からは「支払済の手付金を放棄する」ことで解約でき、売主からは「受領済の手付金に手付金相当額を加えて買主に支払う」ことで解約することができます。
売主とすれば、買主が気軽に手付解約ができないように手付金をそれなりの金額にし、解約できる期間も短ければ短いほどよいでしょう。
通常、売買契約書において、下記のように手付金の額と手付解約できる期間を規定します。
<売買契約書の手付金に関する事例>
そのため、手付金の額と手付解約できる期間について、売買契約書の規定を必ずチェックしましょう。
買主が住宅ローンを利用して購入する場合、「住宅ローン特約」という条文が規定されます。
「住宅ローン特約」とは、「買主の住宅ローンの承認が下りない場合には、契約を白紙解約とすることができる」という規定です。
<売買契約書の住宅ローン解約に関する事例>
買主の住宅ローン承認の可否は売主には何の責任もありませんが、その場合、売主は受領済の金員を買主に返還したうえで解約しなければなりません。
ただし、この住宅ローン特約には期限を定めることが一般的です。
売主としては、できるだけその期間は短い方が有利ですので、注意が必要です。
契約締結前にこうしたポイントを必ず確認することが、トラブルを防ぐ唯一の手段であることを覚えておきましょう。
売買契約締結後、1~2ヶ月で残金決済・引渡しを行うことが一般的です。
ここでは、決済・引渡しのタイミングまでに気を付けなければならない注意点などについて解説します。
売却するマンションを住宅ローンで購入している場合、マンションには金融機関の抵当権が設定されていますが、決済・引渡しの時までに抵当権を抹消しなければなりません。
通常は「買主から残代金を受領したと同時に残債務を一括返済する」という形がとられます。
住宅ローンの金利は決済日当日まで発生するため、決済日が決まりましたら速やかに金融機関へ連絡し、手続きしましょう。
必ず住宅ローンを借りた本人が金融機関へ行く必要がありますので、注意が必要です。
マンション管理組合にも忘れずに連絡・届出を行います。
マンションを売却するということは、今までの所有者から新しい所有者へ管理組合員の資格が移ることになるためです。
自分の部屋が売れたことを報告し、その後に必要な手続きや書類などについて確認しなければなりません。
管理人がいるマンションであれば、管理人に確認するとよいでしょう。
まずは一度、登記済証(権利証)もしくは登記識別情報を確認しましょう。
わからない場合は、不動産会社に事前に確認してもらえばよいでしょう。
マンションを売却する時にかかる税金や費用についても事前に把握し、きちんと資金計画を立てておくことが大切です。
売買契約書には収入印紙を貼付しなければなりません。
印紙代は売主・買主が均等に負担することが一般的です。
なお、契約金額によって税額が異なりますので、下の表を参照してください。
<主な印紙税額の一覧表>
契約金額 | 税額 | 軽減後の税額 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
※2020年3月31日までに作成される契約書に記載された契約金額が、10万円を超えるものについては軽減措置が適用されます。
(参考:国税庁ホームページ No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置 より)
所有権移転登記に伴う登録免許税は一般的に買主負担となりますが、抵当権が設定されている場合は抵当権抹消登記、売主の現住所が登記上の住所と違う場合は住所変更登記、売主の現在の氏名が登記上の氏名と違う場合は氏名変更登記が必要なため、その際には登録免許税を納めなければなりません。
税額は、不動産1個につき1,000円です。
例えば、マンションの敷地権が3個、建物が1棟の場合は合計4,000円となります。
マンションを売却して売却益(譲渡所得)が出た場合は、売却の翌年の3月15日までに確定申告をして、譲渡所得税と住民税を納める必要があります。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・譲渡所得とは?税率・計算方法・特別控除について解説![/su_box]譲渡所得の計算式は下記の通りです。
譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡価格とは売却価格のことであり、取得費とは売却したマンションを購入した価格やその時に支払った仲介手数料などの費用であり、譲渡費用は売却する時に支払った仲介手数料などの費用をいいます。
マンションを所有していた期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、それぞれ所得税と住民税の税率が下記の通り定められています。
マンションを売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。
<長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率>
所得税 | 住民税 | |
長期譲渡所得 | 15.315% | 5% |
短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
※平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。
なお、売却したマンションがマイホームだった場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が所有期間に関係なく適用され、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
ただし、適用を受けるためには一定の要件を満たす必要がありますので、確認しましょう。
その他にも「所有期間10年超の場合の軽減税率」や「居住用財産の買換え特例」など、一定の要件を満たせば適用される特例がありますので、不明な場合は国税庁や税務署に確認するとよいでしょう。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・不動産売却の確定申告で注意すべき10項目!書き方や必要書類など![/su_box]仲介手数料は売却を依頼した不動産会社に支払います。
一般的には、売買契約締結時に半金、決済・引渡し時に残りの半金を支払います。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引法で下記の通り上限額が決められています。
<仲介手数料の上限額>
売買価格 | 報酬額 |
200万円以下の部分 | 売買価格の5%以内 |
200万円超400万円以下の部分 | 売買価格の4%以内 |
400万円超の部分 | 売買価格の3%以内 |
※売買価格に消費税は含みません。報酬額に別途消費税がかかります。
売買価格が400万円を超える場合は、下記の計算式により計算します。
仲介手数料(上限額)=(売買価格×3%)+6万円(別途消費税)
ここで求められる金額は仲介手数料の上限額ですので、この金額以下であれば適法ということになります。
そのため、媒介契約を締結する前に仲介手数料の金額について交渉することは可能です。
しかし、信頼できる不動産会社を見つけた場合は、仲介手数料の節約を考えるよりその会社を優先したほうが良い結果が得られる場合が多いため、注意しましょう。
抵当権抹消登記、住所変更登記、氏名変更登記などを司法書士に依頼した場合は、司法書士報酬を支払わなければなりません。
司法書士は買主側で手配することが一般的ですので、その司法書士に依頼することとなります。
報酬の目安は5,000円~15,000円程度です。
通常は、事前に見積書を提出してくれますので確認しましょう。
マンションを売却した場合には、売主は買主に対して瑕疵担保責任を負います。
瑕疵(かし)とは「キズ・欠陥・不具合」という意味であり、「担保責任」とは瑕疵があった場合に保証責任がある、ということになります。
通常、個人売主は、引渡し後2~3ヶ月間の瑕疵担保責任を負います。
また、瑕疵担保責任の範囲は、
[su_list icon=”icon: check-square-o”]に限定されることが一般的です。
さらに、マンションの場合は専有部分内の瑕疵だけが対象となり、共用部分については瑕疵担保責任は負わないこととなります。
また、売主には告知義務があり、知り得ていることをすべて買主に開示すればその部分に関しては瑕疵担保責任を追求されません。
そのため、前述の「付帯設備表」や「物件状況等報告書」を上手に活用して、知り得ていることは隠すことなくすべて開示するようにしましょう。
知っていながら隠していた瑕疵が、引渡し後に発覚すれば、損害賠償請求や契約の解除など深刻なトラブルに発展する可能性があります。
後々のトラブルを防ぐためにも、慎重に対応する必要がありますので、不動産会社ともよく相談しましょう。
通常、根拠に基づいた価格設定をし、適切な価格戦略や売却活動を行えば、3ヶ月以内にマンションを売却できます。
しかし、売却が長期化し早く現金化したい場合や、売却しなければならない期限が決まっている場合などは、最終的に「買取」という手段があります。
不動産会社の中には「買取仲介」といって、一定期間は高い価格で仲介による売却活動を行い、決められた期限までに売却できなければ買い取ってもらう…というシステムを用意している不動産会社もあります。
買取のデメリットは、ただひとつ「価格が安くなる」ということですが、瑕疵担保責任を一切負わないことや最短で1週間で現金化できるスピード決済などのメリットもあります。
現金化しなければならないタイミングや最低売却価格の設定など、ご自身の売却プランをよく考慮したうえで、買取という選択肢があることも覚えておきましょう。
マンションを高く売るための10の注意点について解説してきました。
実は、マンションを売ることは買うことよりも難しいといえます。
なぜなら、購入するときは自分の予算だけを考えればよいのですが、売るときには自分が買った価格、相場価格、査定価格、売りたい価格、ローン残高などを総合的に考えたうえで、適切な売却戦略を立てなければいけないからです。
そうした苦労や工夫を経て、マンションの売却に成功することができるのですが、この記事が少しでも皆さんのマンション売却の助けになれば幸いです。