「賃貸契約した時に仲介手数料を家賃1カ月分以上請求されたけどこれって違法じゃないの?」
「仲介手数料無料や半額の物件があるけど、隠されたデメリットが知りたい」
上記のように賃貸契約する際に支払う仲介手数料の相場や仕組みなどを知りたい人は多くいます。わからないまま仲介会社の言う通りに支払うことは誰しも不安に思いますしリスクもあります。
今回の記事では、賃貸契約する前に多くの人が疑問に思う仲介手数料の相場や無料や半額にできる仕組み、仲介手数料無料の場合のデメリットや初期費用を安く抑える方法をわかりやすく解説します!
目次
仲介手数料の上限は法律で決まっています。また、家賃の賃料別に仲介手数料の一覧もご紹介します。
仲介会社が貰える仲介手数料の上限は、大家さんと借主からの合計金額「家賃×1.1」になります。つまり、家賃が9万円であれば「9万円×1.1=9.9万円」までが上限になります。
よく仲介手数料の上限は、「家賃1カ月分」までと思っている人がおり、仲介手数料を違法に多く請求されたと勘違いしてしまう人がいます。しかし、正確には仲介手数料は課税対象になりますので消費税分も請求することができます。
また、基本的に大家さんは仲介手数料を仲介会社に支払いません。そのため、仲介手数料の上限である「家賃1.1カ月分」を借主に請求することが多くなります。
仲介手数料の上限の本当は「家賃0.5カ月分」と思っている人が最近は増えています。理由として、2020年に東急リバブルと借主との仲介手数料を巡った裁判の結果が「家賃0.5カ月分」という判決になったからです。
しかし、裁判の判決結果だけをみると勘違いしてしまいますが、判決内容は「仲介の依頼成立前」までに「家賃1カ月分の仲介手数料を支払う承諾」を借主がしていなかったので「家賃0.5カ月分」とするという内容です。
仲介手数料には、「原則」と「例外」があります。
原則:借主から0.5カ月分まで請求できる
例外:仲介の依頼成立までに事前承諾を受けていれば1カ月分まで請求できる
上記のように原則と例外がありますが、一般的に事前承諾を受けて借主に1カ月分請求することが当たり前になっています。つまり、仲介の依頼成立前までに借主から事前承諾を受けていれば1カ月分請求することは違法ではありません。
仲介手数料の相場は「家賃0.55カ月分」か「家賃1.1カ月分」になります。
家賃 | 0.55カ月分 | 1.1カ月分 |
---|---|---|
5万円 | 27,500円 | 55,000円 |
7万円 | 38,500円 | 77,000円 |
9万円 | 49,500円 | 99,000円 |
11万円 | 60,500円 | 121,000円 |
13万円 | 71,500円 | 143,000円 |
15万円 | 82,500円 | 165,000円 |
賃貸契約で仲介手数料や初期費用を支払う際に、「本当に支払う必要があるのか」「仲介会社が提示してきている費用はホントなのか」などの疑問に思うことがあるかと思います。
ここでは、借主がよく疑問に思う費用に関して解説します。
仲介手数料の請求できる上限は「家賃1.1カ月分」と解説しましたが、1.1カ月分以上請求されている人もいます。それが、確実に違法なのかというとそうではありません。
駐車場を別途契約した場合には、毎月支払う駐車料金がかかります。この駐車料金に関しては宅建業法の規定に入っていません。そのため、仲介手数料を「家賃1.1カ月分」+「駐車料金1.1カ月分」として請求されることもあります。
1つの仲介会社に頼んで1つの物件に付随してある駐車場を契約したのに、別途請求されるのはおかしいと思うかもしれません。しかし、部屋の賃貸契約と駐車場の契約は別々の契約になっていることが多いです。そのため、家賃と駐車場に対して仲介手数料を請求されても違法になりません。
気をつけなくてはいけないのが、「管理費・共益費」です。これらを家賃に含めて仲介手数料を1.1カ月分請求することは違法になります。
賃貸契約の場合、火災保険を家財保険と呼ぶことが多いですが意味は同じになります。これらの保険は加入が義務付けられているわけではありません。しかし、加入しないと入居させてもらいない物件が大半になります。
大家さんとしては、火災が発生した際に保険に加入されていないと大きなリスクになります。そのため、火災保険への加入が入居することの条件としています。
よく聞く敷金礼金ですがどちらのお金が返金されて、どう意味のお金なのか知らない人も多くいます。
【敷金】
部屋から退去する際に、クリーニング費用や修繕費用として使われるお金になります。借主には部屋を原状回復する義務があります。退去時の部屋の状態が悪い場合には、敷金では足りず修繕費を追加で請求されるケースもあります。逆に部屋の使用が綺麗で特に修繕する必要がない場合には、返金されるお金になります。相場は「家賃0.55カ月分~1.1カ月分」になります。
【礼金】
礼金は返金されません。大家さんが部屋を貸してくれたことに対してのお礼のお金になります。相場は「家賃0.55カ月分~1.1カ月分」になります。
鍵交換費用は一般的に借主が支払うことになります。鍵を交換することは義務ではありませんが、前の住人がスペアキーを作成していた場合に勝手に侵入される可能性もあるので安全面を考えて交換することをおすすめします。費用は鍵の種類によって変わってきますが、「1.5万円~2万円」が相場になります。
仲介手数料の支払いが発生する条件とキャンセルできるタイミングを解説します。
【賃貸契約までの流れ】
①物件の内覧→②物件の申し込み→③大家さんによる審査→④重要事項の説明→➄賃貸契約→⑥仲介手数料や初期費用の支払い→⑦部屋の鍵の引き渡し
仲介手数料の支払いが発生するのは賃貸契約後になります。賃貸契約後に初期費用である「敷金」「礼金」「火災保険料」などの初期費用と合わせて仲介手数料も払うことになります。
現金を持参して支払う場合と指定口座に振り込む場合があるので事前に確認しておきましょう。
賃貸契約後に自己都合により入居せずに解約しても仲介手数料の支払いは発生します。仲介手数料を請求できる条件として契約成立が条件になっており、入居や部屋の引き渡しまでが条件になっていません。そのため、「仲介会社を変更したい」「借りる部屋を変更したい」場合には賃貸契約前にする必要があります。
また、賃貸契約後に初期費用として支払った費用の全額返金も難しくなりますが、敷金や鍵交換費用、火災保険料などはキャンセルのタイミングによっては返金されることもあります。
まずは、重要事項説明書や賃貸契約書に解約時の項目について記載がないか確認してみましょう。
仲介手数料を無料や半額で紹介している仲介会社があります。仲介手数料無料と有料の違いがわからず無料の会社が怪しくみえますが、正当に無料や半額できる仕組みがあります。
仲介会社は、借主から貰う「仲介手数料」と大家さんから貰う「広告料」を主な収入源にしています。「広告料」は賃貸契約が成立した場合に支払いますというお金になります。
仲介手数料を必ず請求できるのとは違い、広告料はすべての物件に対して出るわけではありません。ですが広告料が出る物件は、広告料を利益として確実に回収できるため借主から貰う仲介手数料を無料や半額にすることができます。
しかし、広告料が出る物件はすべて仲介手数料を無料にしているわけではありません。広告料には上限がなく、また仲介手数料とは別物になるので合計する必要もありません。
そのため、「仲介手数料を家賃1.1カ月分」+「広告料を家賃1.1カ月分」貰うことも違法ではありません。しかし、仲介手数料と広告料を合わせて家賃1.1カ月分以上の報酬を貰うことはグレーな部分があり、広告料を貰う場合には仲介手数料を無料や半額にする会社が増えてきています。
仲介手数料を無料や半額にできるのは大家さん側がその分広告料を支払っている物件になります。広告料を負担し借主が支払う仲介手数料を無料にすることで、早めに空室を埋めたい狙いがあります。
似たような物件でも仲介手数料無料の物件のほうが集客しやすくなり、賃貸契約も早期に決まりやすくなります。
大家さんとしては空室期間が1カ月長引くと家賃8万円の物件ならそのまま8万円の損になり、2カ月空室なら2倍の16万円損することになります。広告料を1カ月分支払ったほうが、そのまま空室期間が長引くよりメリットが大きくなります。
仲介会社を通さずに賃貸物件を所有している大家さんと直接契約すれば仲介手数料の支払いはありません。不動産情報が掲載されているサイトで自分の条件にあった物件を検索し、オーナーを調べ直接契約できないかを確認します。大家さんの承諾を得られれば直接契約することができます。
しかし、大家さん自らHPを立ち上げて直接契約をしているか、直接契約できるサイトに掲載していない物件は基本的に仲介会社を通さないと契約できない場合が多いです。
仲介手数料無料や半額であれば初期費用を安く抑えることができるメリットがありますがデメリットもあります。
仲介手数料無料の物件は、広告料を大家さんが支払っている物件になります。全体的に2割~3割といわれています。そのため、仲介手数料無料の物件の中だけで自分の条件にあった物件を探そうとすると物件探しが難航する可能性があります。
人気の物件は仲介手数料無料にしなくても集客することができ、早期に空室を埋めることができるため無料にせずに仲介手数料を上限まで請求します。
無料にしてでも集客したいということになるので、「駅から遠い」「築年数が古い」「部屋の状態が悪い」などの人気がない物件になりがちです。
最初から新築物件を探している場合には、仲介手数料を「家賃1.1カ月分」支払うことを想定していたほうがいいです。
仲介手数料を無料にした分を他の項目に上乗せして請求してくる可能性もあります。
礼金は、大家さんに支払うお金になります。しかし、仲介会社が大家さんからの承諾を得て仲介会社が貰う報酬を上乗せしてくる場合があります。
大家さんが貰う礼金1カ月分に0.5カ月分を足して1.5カ月分請求するなどです。この場合、0.5カ月分が仲介会社の受け取れる報酬になります。
また、鍵の交換費用は鍵の本体の費用と交換のための作業費が含まれています。上乗せしても分かりにくいので、相場以上に価格が請求されていないか注意する必要があります。
大家さんと直接契約して入居した場合に、入居後にトラブルが発生した場合の対応を直接大家さんに相談しなくてはいけません。
相談内容にもよりますが大家さんが親切に対応してくれるケースなら問題ありませんが、大家さんと揉めてしまい関係が悪化する恐れもあります。
入居後の問題に関して仲介会社に相談することができないことは大きなデメリットになります。
仲介手数料を無料や半額にする以外にも、初期費用を抑える方法があります。
敷金礼金が無料の物件があります。一般的に敷金礼金どちらもそれぞれ1カ月分請求されることが多く、合わせ家賃2カ月分の支払いになります。
敷金礼金ともに無料の物件は少ないですが、どちらか一方が無料の物件を探すことはできます。
家賃9万円の物件なら、どちらかが無料なだけでそのまま9万円がお得になります。9万円で好きな家具や家電も購入することもでき大きなメリットになります。
注意点として、仲介手数料無料の物件と同じ理由のデメリットがあります。「物件数が少ない」「人気がない物件」「別項目で費用を上乗せされる可能性」などです。
フリーレント物件とは、入居してから「1カ月~3カ月分」の家賃を無料で借りることができる物件になります。フリーレント物件の数は少ないですが、初期費用を大幅に抑えることができるので大変お得な物件になります。
しかし、デメリットとして契約期間の定めがあります。1年以上賃貸することが条件になっているケースが多く、契約途中で解約した場合には違約金が発生します。
そのため、来年の予定があいまいな人には向いておらず、引っ越しする予定が期間中はないとわかっている人におすすめの物件になります。
賃貸物件の価格にもよりますが、家賃の値下げ交渉は一般的に難しいといわれています。そのため、最初から1万円以上の値下げ交渉をするのではなく、3,000円~5,000円程度の値下げ交渉をしてみてください。
【値下げが成功しやすい物件】
集客がしにくいことから値下げ交渉が通りやすくなります。
【値下げ交渉する際には気をつけるポイント】
強気に出れば交渉に応じてくれるということはまずありません。仲介会社が大家さんに交渉する流れになるので、仲介会社からめんどうな顧客と判断されてしまえば、値下げされないだけではなく、入居後のトラブルを懸念され申し込んでも審査が通らない可能性もあります。
値下げ交渉する際には、仲介会社を味方につけるつもりで丁寧にお願いしてみましょう。
また、値下げに応じたら入居するという本気をアピールすることで、仲介会社も賃貸契約を結ばせ報酬を得るために、大家さんに真剣に交渉してくれるようになります。
仲介手数料の上限や仕組みを知ることで、仲介会社だけの意見を鵜呑みにせずに安心して賃貸契約を結ぶことができます。また、仲介手数料無料や半額の物件であれば初期費用を安く抑えることができるため大変お得になります。
しかし、仲介手数料の安さだけに注目して物件を探すと条件に合う物件に出会えない可能性もあります。賃貸物件を探す際には、「最寄り駅からの距離や間取りなど自分の条件に合っている物件」「仲介手数料だけでなく初期費用のすべての合計」を考え検討してみてください。