ニューヨーク滞在記⑮雨のニューヨーク、ブックオフ、紀伊国屋へ!

Sep/06/2008 SAT 大雨

睡眠4:30→10:00

カズが部屋に入ってくる。ここはサンボンの家のソファーだ。少し背中が汗ばんでいる。朝の10:00になっている。

ここではじめて日本語でカズと会話をした。これまで英語で話していたので、すごく違和感がある。たとえるならば、気心しれた日本人同士がはじめて英語で会話するという感じだろうか。カズとの日本語では、英語で話すよりも深い話ができた。

俺は昨日の夜の喜びをカズに伝えた。外国人と英語で話しあえたこと、英語を普通に聞きとることができて普通に返すことができたこと、共通の話題で盛りあがれたこと、素敵で貴重な経験ができたことなどだ。英語という世界の共通言語を話せることは、生まれも育ちも異なる人たちが意思の疎通ができるということなんだ。それがすごく嬉しかった。

10:30にルームメートとその仲間たちが起きてきた。いったん挨拶をして、あまり長居をしては悪いだろうと思い、カズとお礼を伝えて家を出た。サンボンとは、一度家に帰ってシャワーを浴びて15:30にまた待ち合わせて韓国料理を食べにいこうと約束した。外は雲行きがあやしく、雨の気配がする。傘は持ってきていない。足早に移動して11:00にウッドサイドSt.駅に着く。

そこから7番線に乗って、タイムズスクエア駅に戻る。そしてレッドラインに乗り換えて59St.駅へと帰る。12:00にユウキの部屋に行き、簡単に昨日どう過ごしたかの話をして12階のシャワー室に向かう。そしてゆっくりシャワーを浴びてドライヤーへ。荷物などの身のまわりを整理して、今日は洗濯物を持ってランドリーへ。途中、エレベーターで掃除のおじさんがいたので「Hello.」 と挨拶すると「Do you wanna lobby?」って言われたので「No.」と言ってランドリーに行く旨を伝える。こういう見ず知らずの人とも、なにげない会話ができるのが嬉しい。こっちの人は目があうと挨拶をして気軽に話しかけてくる。俺もなるべく積極的に挨拶してみようと思うんだよね。

今日は25セントが10枚以上も残っていた。最近は25セントを集めるのがもはや習慣になってきているのだ。両替の手間もかけずに、無事に地下1階で洗濯機をまわす。洗濯は13:00から20分間、乾燥は1回につき15分ほどまわるのだろうか。

洗濯室の近くのベンチに腰かけて、パソコンを広げて日記を書く。書きたいことはいっぱいある。でも最近は日記のための時間がとれていない。ひとりで過ごす時間も嫌いではないけれど、たいていいつもだれかといるようにしているので、隙間時間のほとんどが日記を書く時間になってしまう。だれかといる時間は一番大事。でも一生読み返せて思い出せるのであれば、いまの自分をこの日記に残すのも大切にしたい。生の記憶は放っておくと、すぐになくなってしまうのだから。ひとりの時間を犠牲にしてでも、この日記には価値があると思うんだよね。いま感じていることは、いまの自分のなかにしか、そして一瞬だけしか残らない。滞在した今回の経験の価値よりも、滞在した時間以上の価値が残せるのが、この日記だって思うんだよね。

ちなみに、日記では時刻を意識して書いているけど、それは写真とレシートに記録された時刻をみて、その日の過ごした時間と場所を調べてプロットして書いているのだ。写真とレシートは無意識に過ごした時間と記憶を呼び戻せる便利な記録だ。そこから記憶をもとに線にしていくことで、時系列にそった日記ができていくのだ。

ランドリーでは見知らぬ人に乾燥機の値段を聞かれた。一言で「25セントで、そこに書いてあるよ」と落ちついて答える。いつもはいくつかの単語とジェスチャーでしか反応できなかったけど、今回はとっさの質問に聞き返すこともせず、一度で理解して自然の流れとして返答することができた気がした。英語で話しかけられることにまったく恐怖を感じなかった。むしろ余計なことまで答えてあげたい。

とっさの一言が一言で終わってしまわないように、できるだけ主語や動詞を入れて、形容詞や副詞、疑問詞や接続詞を付け加えて答えたい。端的に単語ひとつではぶっきらぼうな印象なので、人間味のある受け答えを心がけたい。

洗濯機には1.50ドル、乾燥機には3回で0.75ドルを払う。今日はタオルを洗ったので乾きにくいと思ったのだ。そして15:00にホテルを出て、カズとサンボンと待ち合わせた34St.に向かう。しかし、カズから電話がかかってきて、待ち合わせ場所を変えることにした。

外はここにきてはじめて見る大雨だ。シャワーのような暴風雨。タイムズスクエア駅から大雨のなか傘を差して、2ブロックほど離れた6番街の待ち合わせの交差点を目指す。

カズの様子をみるに、ふたりはすでに合流していたようだった。遅い昼食というのか早い夕食というのか、16:15から韓国料理を食べはじめる。20ドルだ。サンボンが選んでくれた韓国料理のセットのメニューで、すっぱいものや辛いものがとても美味しかった。

韓国料理は基本的に辛い料理で、すごく辛い料理と、普通の辛さの料理、そして少し辛い料理が出てくる。でも舌はだんだん慣れてくるようで、水をおかわりしたり、ごはんを間に挟んだり、汗を噴きだしながらも美味しく食べた。韓国料理は基本的におかずはおかわり自由なんだね。

表に出ると、サンボンは日本の漫画を見たいという。日本の本屋さんがあるということで、歩いてブックオフと紀伊国屋を目指す。目的は41St.と42St.だったんだけど、靴下をずぶ濡れにしながら、水溜まりを避けて歩いて突き進む。昨日に引き続き、日本と韓国の文化を交互に堪能するのが面白い。

ひさしぶりに日本の本屋さんに入った。ブックオフのニューヨーク店では、1階にはビデオやDVDが並べられていて、品揃えも数多くあった。そして2階には漫画のコーナーがある。漫画のコーナーでは、ドラえもんの英語版があったり、金田一少年の事件簿のバイリンガル版といって、日本語と英語が並行して書かれている漫画があったりした。これは語学の勉強に役立ちそうだな。漫画を読んで遊びながら勉強できるし。

つづいて向かった紀伊国屋も日本のお店とはほとんど変わらず、1階には週刊のファッション雑誌や少年誌が並んでいた。入荷には時間がかかるという予想に反して、日本での発売日から1日しか遅れないそうだ。金額はドルに換算されているけども、1.2~1.5倍ぐらいの値段なので、本としてそこまで高いという印象ではない。1階のコーナーで面白かったのは、外国人のために和紙やお手玉などが展示されていて日本風の演出がされていることと、日本の紹介や日本語のテキストのコーナーがふんだんにあること、そして日本人のためにガイドブックや英語のテキストが数多く置いてあることだ。

2階には日本でも買えるような一般の小説やビジネス書が並んでいる。日本からニューヨークに長期滞在に来たなら、ここで本を買う利用者も多いんだろうな。こんなに便利な本屋はなくならないであってほしい。

いつもサンボンは自分の行きたいところだといって、俺たちを率先して引っ張ってくれる。サンボンはカズや俺よりも滞在期間が長いから、ゲストとして俺たちを日本のお店や韓国のお店に連れていってくれるのかもしれない。日本の料理屋では日本の文化を、そして韓国料理屋では韓国の文化を、それぞれの国の人から教えてもらうのは、文化の交流という意味でもすごくよさそうだ。サンボンは英語は上手なのに、性格は無口な方だけど。

紀伊国屋の前にあるブライアント公園では、ファッション関係のフェスティバルをやっていて、チケットを持ったおばさんたちで賑わっている。紀伊国屋を出て交差点を渡るとサンボンが「セパレート?」と言ってきた。そんな感じで20:00には3人とも別れてそれぞれの方向へと歩みだす。俺はタイムズスクエア駅まで歩いて、地下鉄に乗ってホテルに帰ることにする。

驚くことに、地下はどこもが浸水状態だ。地下鉄の天井からは水が滝のようにしたたっている。地下鉄への階段でも水が流れ込んでしまっている。地下鉄が浸水したら怖いなぁ。。。なんて思いながらも、早くこの靴下のぐじょぐじょ感からも脱却したかったので、まっすぐ帰るべく59St.駅を目指す。

59St.駅では地上にも水たまりができている。早くホテルに逃げこまなければ。。。

部屋に戻ると相方はいなかった。簡単な着替えをして12階に行くとユウキユウキがいたので部屋に入れてもらう。ユウキが食べるホールフーズの夕飯を尻目に、話をしながら少し日記を書く。ユウキの好きな椎名林檎の曲を紹介してもらい、ユウキのパソコンでサウンドをいじって遊ぶ。逆再生をしたり、早さを変えてみたり。そうそう、テレビでやっていた、一青窈の「ハナミズキ」を80%の早さで再生すると平井堅が歌ってるように聴こえるというのは本当だった!逆に平井堅の曲を120%の早さで再生してみたけど、一青窈の曲に聴こえるかは微妙だった。

今日でちょうど、留学にきて半分を過ごしたことになる。留学を終えるメンバーは、だれもが後半は早く過ぎたと言っていた。おそらく前半は自分にとって新しい経験ばかりだから時間の感覚が遅く感じられて、後半は慣れてくることで淡々と日々が過ぎていくのだろう。それをふまえて後半は気持ちを切り替えて、初心にかえって新鮮さを取りもどそう。最後の日に後悔しないためにも。

最近、ホテルに戻ってもユウキの部屋に入り浸ってしまい、相方とほとんど会っていない。付き合い悪くしちゃったかなぁ。。。

・あらためて新鮮に思うこと

地下鉄では席を詰めて座ることが多い。日本のような端の席の争奪戦がない
みな気軽に質問してくる。声をかけたいと思ったときには声をかけられている
道路では一方通行が多い。そしてリムジンの車が多い
多くの人は信号無視をする。横断歩道がなくても車と車の間に隙間があれば道路を渡る。車も人や車の間を縫うように走る
平日にかかわらずどこも賑わっている
地下鉄は炭坑の匂いがしていて、いつも蒸し暑い
臭い街だからだろうか、女性の香水の匂いが強い気がする
意外なことに土日は電車の本数が少ない
外でいちゃいちゃするカップルが多い
日本と同様にハトとスズメが多い。しかも大きさはほとんど変わらない。なのにスズメは日本よりも目がくりっとしていて可愛い

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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