ニューヨーク滞在記⑯ハーレム、そしてメトロポリタン美術館へ!

Sep/07/2008 SUN 快晴

睡眠0:30→8:15

おはよう。今日もユウキの部屋で目が覚める。最近は自分のベッドで寝ていない。一応許可はとっているものの、相方を一人で寝かせるのも少し悪い気がする。

12階のシャワーを浴びる。今日はジュンペイ、アンズ、マリコと約束をしていて、ゴスペルを見にいく予定なのだ。待ち合わせは10:00にタイムズスクエアなので、準備を整えて9:45に部屋を飛び出す。ホテルの最寄りの59St.の駅からレッドラインに乗って、2駅10分でタイムズスクエア駅に到着する。約束の場所は光るマクドナルドの下だった。すでに3人は揃って待っていた。

昨日の大雨とはうってかわって、嵐のあとの静けさなのだろうか。今日は風もなく、雲もひとつもない、穏やかな休日だ。街中の臭さも大雨で流されるのかと思っていたけど、じつはそうでもないらしい。

11:00からはじまるゴスペルを聞くために、レッドラインで135St.駅に移動する。そしてヒーリングフロムヘヴンという名のハーレムの教会へ。11:00前に教会に着いて列に並ぶも、11:30になってもほとんど動かない。行列の先を見にいくと、建物をぐるりと一周して並んでいる。すっげー人気っぷりだ。こんなんじゃ入るまでに日が暮れちまう。なので、また来週にあらためることにして、今日は諦めることにした。

目の前で車を縦列駐車しようとするのを目にする。後方の車に角をぶつけながらも豪快に停車する。一瞬だけ後方の車が大きく揺れたが、すぐに何事もなかったような時間に戻る。平和な時間だ。

ヒーリングフロムヘヴンのかわりに近くの教会を覗いてまわる。このあたりにはところどころに教会があるようだ。小さめの教会はゴスペルはないものの、そのまま開放されていた。

朝から予定通りに進まず残念だったけど、そのまま4人でレッドラインで125St.駅まで南下する。そこから歩いてグリーンラインに向かうのだ。グリーンラインの125St.駅から86St.駅までを移動して、アポロシアターまで歩く。

アポロシアターの近くを歩き、B系のダボダボな服の多い服屋さん、そしてニューヨーク到着の初日に相方と行ったロヂャースのような大きなスーパーに入ってみる。何軒か気になるお店があったようで、マリコとアンズはちょいちょい中に入っていく。アンズはB系の服が好きな彼氏にプレゼントするといって帽子を探していた。B系のお店のジーパンはかなりサイズが大きく、マリコとアンズがすっぽり入ってしまいそうだ。

今度はグリーンラインの125St.駅まで歩いて、そこからメトロポリタン美術館へと向かう。途中にあったスモールワッフルのアイスを3.50ドルで買って0.50ドルでトッピングしてもらい、合計で4.00ドルで食べる。メニューでは小さいと書いていたけど、十分な大きさのアイスだった。今日は朝ごはんを食べていないけど、このアイスで昼間で十分過ごせそうだ。

メトロポリタン美術館に着く。学生証を見せて、学割の入場料10ドルを払って、オレンジのバッチを手に入れる。これを身につけていれば、1日のうちで何回でも入退場ができるという。

メトロポリタン美術館はとても大きな美術館だ。ありとあらゆる時代の、世界中のどんな場所でも、芸術品といわれればなんでも展示しているような雰囲気だった。日本とは違い、写真撮影は禁止されていないようで、写真を撮っている人が何人かいる。フラッシュをたかなければ自由に撮ってもいいらしい。

カーテン、コップ、ステンドグラスなど、どの時代でもどの地域でも、装飾品や武器などが発明されている。人間の生活に必要なものやあると便利なものは、示し合わせなくても似たようなものになるようだ。たとえば女性がアクセサリーに興味を持つのも、万国共通の、時代を超えた人間の本能なのかもしれない。そしてそれぞれの時代に、手の込んだ作品や芸術は評価され、保存されていくようだ。

もしも地球の外に同じような文明があるとしたら、きっと彼らも地球上と似たような芸術性を持つにちがいない。

作品には、時代とともに変わるものと、時が経ってもほとんど変わらないものがありそうだ。たとえば中世のヨーロッパで使われているカーテンは、ほとんどかたちを変えずにいまの世界でも使われている。時代とともに進化して、いまの時代のカーテンは電子的な機能を持っていてもおかしくないのに。ひとたび文化として定着すると変化をするのは難しいのかもしれない。それとも大手カーテンメーカーの圧力なのか。

展示では、石や木を平らにする技術、壁画を浮き彫りにする技術、ガラスの細工、金属の加工などが多く使われている。どれをとっても俺にはなにひとつできるものがない。たとえ勉強をしたとしても上手にできるともかぎらない。いつもどこかの会社がつくったものを使っているけど、その恩恵を当たり前のように感じてしまっている。実際には先人たちが多くの時代にわたって、自分たちで創造してつくってきたんだよな。なんて偉大すぎるんだ。

それから、時間をかけて手をかけたものが芸術になるんだろう。石をふたつ並べただけでこれが芸術だとは通じづらいように。それでは美術館や博物館には残らないだろう。油絵や、人の彫刻、風景画なども、その時代ごとに手のこんだ作品の多くが芸術として残されているようだ。凡人でもつくる大変さがわかるような複雑さや細かさはひとつの評価点なんだろう。

そして、ガラス細工や陶器の花瓶、西洋のリネンなどは、美術館に展示されているものに近いものがいまもブランド品としても出まわっている。もしかしたらブランドに憧れるのは、中世の貴族の生活への憧れからつづいているのかもしれない。

石像のある部屋はひんやりと冷えた空調で寒かった。作品の保存をよくするために、それぞれ温度と湿度をコントロールしているようだ。4人はバラバラになって鑑賞をして、最後に屋上で合流してオブジェと景色を堪能する。

日本の展示物は他国と比べて動物や植物をモチーフにした作品が多い気がした。地域が違えば注目する対象も異なってくるのだろう。そりゃ産まれてくる人間も、言語も多様化してくるわけだ。そしてすべての時代のものをひとつの場所に集めることは、多様性の比較ができるという観点で興味深い。どれだけの時間と、どれだけの人々の労力がこの美術館に蓄えられているのだろうか。そんな作品たちに、いまのこの時代に、たった2時間で出会えたことは奇跡だったのかもしれない。同時に、伝統と技能を受け継ぐことが重要だとも思う。

一方で、交流や融合を通じて同一化していくことは悪い点もありそうだ。何でも統一することが正しいとはかぎらない。お互いに違いを認めて古きを守りながら、良きところを取り入れていくのがよさそうだ。

メトロポリタン美術館は世界四大美術館に数えられているようだ。一般的には何日かをかけて見るらしいんだけど、今日1日でひととおり見てまわれた。もう少し見たい気持ちもあったけど、気力も体力もなくなってきたので帰ることにした。

グリーンラインで86St.駅から59St.駅まで移動して、3人と別れて17:30に帰宅する。18:30に歯だけを磨いて、一眠りする。そして20:30に目覚める。

中途半端な時間になってしまったものの、ひとまず夕飯を買いにいく。お腹は空いていなかったけれど、この時間に食べなきゃ夜に困ると思い、タイムワーナーセンターの地下にて寿司(11.29ドル)と、デリにてカレーや肉(10.39ドル)を買う。

そして相方と、部屋で近況報告とともに、ディナーを食べる。最近あまり話していなかったので、じっくり話せてよかった。ユウキも部屋に遊びに来たので、3人でユウキの部屋にいく。なんといってもユウキの部屋はひとり部屋なのに、ふたり部屋の俺らの部屋よりも広いのだ。

遅くまでずーっと話をして、0:15にデュアンリードに買い物に行くことにした。やっとこさ日本の彼女に送る手紙として、よさそうな台紙を見つけた。手紙は2.99ドルで、さらにレモネードのカクテルの6本入りを7.99ドルで、そしてカカオ60%のミルクチョコレートを2.59ドルで購入する。

部屋に戻って「今がチャンス!」と言わんばかりに、手紙の下書きをすることにする。文章はまずパソコンに書きながら考えて、英語以外の文字を書くのがひさしぶりだったので、字の練習をして手書きで書く。

休憩がてら2:30にシャワーを浴びて、前髪をはさみで少し切る。その後は3:30から4:30までの1時間で、じっくり手紙を書くことができた。

今日は結構な距離を歩いたので、足がむくんでしまっている。さっき確認したら残金は1,350ドルだ。今夜は遅くなってしまった。おやすみなっさー!!

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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