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建築現場の課題を、ITの力で解決する。

目次

工事現場での画像ソリューション

Q:現在のお仕事は?

 株式会社を3月に立ち上げたばかりで、今はプロダクトの完成に向けて開発している最中です。
 実は、現在開発中のプロダクト「Photoruction」は当初、商品になる予定ではなかったんです。
 もともと僕はジーズアカデミーという場所でこれの元となる作品を作っていて、共同開発者の藤田は趣味として開発に加わっていました。でも完成してみたら、これを広めて現場で役立ててもらえるよう、売り出してみたいと思ったんです。
 しかし、実際に商品として売っていくとなると、機能やデザイン面で実用的な、もっとしっかりしたものを作らなければならないと思いました。そのため、今はほとんど一から作り直しているに近い段階です。
 最初に作ったものとはデザイン的に全く違いますね。以前のものは行き当たりばったりで作っていました。とにかく、こんなのを付けよう、こんなのがあるといいねって思いついた機能を付けていたので。
 でも商品化する今となっては、最終的なゴールを設定した上で、なるべくいらないものを省いて作っています。

Q:製品の売りは?

 「Photoruction」は、工事現場で建設段階の写真を一枚一枚保存して管理します。今までは撮った写真をファイルに保存して、それとは別に日時や位置情報、進捗状況を記録してと手間がかかっていました。「Photoruction」ではそれを一括管理できます。写真一枚に対して色々な情報をつけられるんです。
 工事現場には年配の人が多いので、インターネットに疎いことが多いことです。多くの人が簡単に使えるようにするためにも、最初はコアな機能だけに絞ろうと思っています。
 アプリはパソコンでもiPhoneでも使えます。パソコンだと使える機能が少し増えるようなイメージですね。建物を建てる時は、国やお客様に様々な書類を提出しなければいけないんですけど、その書式にも色々な決まりがあるので一つ一つの書類を作るのが大変面倒なんです。現場の手間を省くために、「Photoruction」のアルバム機能から簡単に作れるようにできればと思っています。

Q:2人の役割分担は?

 藤田はiOSエンジニアで、僕はウェブエンジニアです。藤田はiPhone担当、僕はパソコン担当という感じです。
 僕自身、前職で建設業に約3年在籍していました。そこでは工事現場の現場監督を務めたり、大きな建物を設計したり。
 その中でも本職は、工事現場で使うITのシステム開発でした。昔からITが好きなので、建築とITを掛け合わせて何かできないかなと思っていたんです。
 そこで、こんな商品があったら便利なんじゃないかなと思って始めました。その会社は企画するんだけど実際に自分たちで手を動かして作ったりはしていなかったんです。それを現在の共同開発者の藤田がいた会社に発注してお願いしていた。それで藤田と繋がったんです。

Q:法人化のきっかけは?

 私たちに投資してくれるVC(ベンチャーキャピタル)がついたことですね。最初は資本金もないので、私たちだけの力ではうまく広げていくことはできません。でも、このプロダクトならいけるかもしれないと思ったんです。そうしたら、ベンチャーキャピタルの何社かからお話があって、投資をお願いすることになりました。
 実は、法人化してまだ2か月なんです。前の会社を辞めたのが3月で、先月の4月までシリコンバレーに行っていました。法人化の後、本格的に動き出したのが2016年5月だから、まだまだこれからです。

Q:藤田さんがジョインした理由は?

 前職を辞めて起業したのですが、投資が受けられることが理由です。自由になるし、「ここらへんでやっとくかな」と奮起しました。また、「Photoruction」をかなり評価してもらえていたことで、自信も持てましたね。
 最初はIT業界の人に説明しているだけだったんです。全く知らない業界のことなので、みんな説明すると「すごいね」って言うんです。その辺の評価もうれしいんですけど、やはり一番うれしいのは建設業界からの言葉。「使いたい」と言ってもらえると嬉しいです。みんな写真や記録の管理に困っているんです。僕自身が工事現場にいて体感していたので、何が必要とされているのか分かりました。

Q:リリース予定は?

 最初はクローズドベータで使ってもらう予定です。商品になる前のテスターのような感じで、身内の間だけで使って。「テスターだから文句言わないでね」みたいな。相談して、使える人だけが使えるようにする。それが8月です。いくつかの現場でテストしてもらう予定です。それに向けて、7月には開発のゴールにたどり着けていたいなと思っています。間に合うように頑張りたいです。

Q:そのなかでなぜプロハに登記を?

 前から面倒を見てもらっている司法書士の先生がオーナーの弦本さんと知り合いだと仰って。知り合いっていっても、つい3日前に出会ったばかりだったらしいんですけど、「こんな所があるらしいんだけど、どう?」って言われて、ちょうど場所に困っていたので、じゃあとりあえずここに登記することにしようかと。それで紹介をお願いしたんです。
 今年の3月14日に登記したので、プロハと契約したのはその少し前ですね。でも契約して次に来たのが先週なんですけどね。シリコンバレーの留学があったり、藤田とお互いの都合が合わなかったりしてけっこう時間が空いていしまいました。まだまだプロハを利用し始めたばっかりです。

危機的な建設業界をITの力で救う

Q:今後の目標は?

 今は開発しかないですね。実は6月新しいオフィスに移動するんですよ。元々3月から3か月間だけの予定だったんです。6月に表参道にオフィスをつくります。それまでの3か月の間、プロハは打ち合わせなどに使わせてもらうかもしれないですね。プロハは不動産系のイベントが多いので、そういうところには顔を出せたらいいなと思っています。建設業なので通じるところがあるかなと思って。そういうイベントには興味があります。2人でやってるので、視野を広げるためにもイベントに参加して多くの人と関わることができるのはいいかもしれません。

Q:将来実現したいことは?

 建設産業を良い方向に持っていけるように頑張りたいかな。現場の仕事はむちゃくちゃつらいので。今は労働力不足が深刻です。建設現場の従事者は、2025年までに約100万人減っていくと予想されているんです。今でも約50万人不足しています。人が減っても現場の仕事はあんまり変わらないんです。そのため、ITで補えるところは補えるようにしたい。「Photoruction」の開発が終わったら、また建設業界のために新しいサービスを開発したいと思っています。

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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弦本 卓也

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