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秘密基地を実現する、才色兼備の空間デザイナー

目次

建築学をベースにトップレベルのデザインを学ぶ

Q:大学でどんな研究を?

 大学で建築学を学んでいて、国内留学のような感じです。大学の授業も私がいる研究室も留学生が半分以上なので、毎日英語にもまれながら、片言ながらもなんとか頑張っています。
 昨年は卒業論文と卒業設計を行ないました。ひたすらインプットしていた1年でしたね。
 今年はアウトプットできると思って、去年1年で吸収したことを忘れないうちに出していきたいです。
 いまは、都心部や町の中を歩いて観察するのが趣味の一部になっています。
 これは建築学科の人ならよくあることなんですけど。例にあげるとすると、歩いている人のファッションとか雑多なビル群とか。プロハのある神保町で見つけた面白いオフィスとか。そういう俗な物から現代社会の有様を観察します。そして、歩きながら日々見つけた面白いものを写真で撮り溜めしています。
 日本人は美術に関心がない人が多いので、言語表現とビジュアルを通して、少しでも身近で面白いと思ってもらえるようにしたいです。
 撮り溜めした写真で最近面白いなと思ったのは、目黒から五反田まで歩いたときに見つけたものです。普通に歩いているだけでは気づかないと思うんですけど、家の扉とかビルの入り口とかって、半開きになっている場所がいっぱいあるんです。
 そして五反田駅前まで来ると、ビル自体が半開きのように見える構造になっている東京デザインセンターにぶつかるんですね。
 これはほんの一例ですけど、街の中には面白くて魅力的なものがたくさんあります。街で何かを見つけることが、新しい何かに発展していけばいいなと思います。

Q:卒業後の進路は?

 大学院は3年計画なので進路はまだ決まっていません。1年間インドネシアに留学に行こうと考えています。建築学を学ぶ他の学生には、もっといいところがあるよとインドネシアではなくヨーロッパの国を薦められたりもするんですけど。
 留学前の今は勉強以外にも色々な活動をしています。文京建築会という組織のユース部門にいるのですが、そこは地域に入り込んで地域の魅力を見つけ出そうとしています。
 地域の魅力をスタイリッシュな雑誌の記事にしたりとか、モノにして発信したり。若い人はデザインがかっこいいものじゃないと見てくれないので、老若男女問わず色々な人に愛されるものを作りたいです。
 私が生まれ育った文京区は、伝統のあるものがたくさんあります。最近は温泉にスポットをあてています。温泉とか銭湯ってたくさんの人が集まりますよね。それが一つのコミュニティになっています。そういう古くても実はとても大切なものってたくさんあります。最近は旅館もすごく古くなっていて、修理や建てなおし、もしくは取り壊される旅館もあります。でも旅館って実はすごくお金をかけて作られていて、建築的にも価値があるものが多いんです。でもその土地をマンションにしたほうがお金になるので、古い旅館は続けることができずつぶれていくものがたくさんあるんです。なので、運営し続けることができなくても、せめて写真や展示でなんとか形にして、記録だけでも残していけたらと思って活動しています。

Q:プロハでの活動は?

 プロハでは空間デザイナーとして活動しています。去年の11月のDIYプロジェクトの時に内装デザインを手がけさせていただきました。
 最初ここに入ったのも、ちゃかさんから急にリノベを頼まれたのがきっかけです。その時ちゃかさんとは一度しか会ったことなかったんですけど、「光葉、建築デザインしてたよね?ここかっこよくしたいんだけど、今日時間ある?」って言われて、それが今に至るという感じです。
 そのため最初から、ここを「つくる」という目線で来ていました。もっとプロハはかっこよくできるところがたくさんあるので、少しずつ手をつけていきたいですね。今はとりあえず階段をデザインしたいです。
 最初に来たときのプロハは、男性ばかりで男子寮っぽかったんです(笑)。それはそれで良さがあったんですけど、もっと女子も来てほしいし、メディアに出る機会もあるので、もっとかっこよくしたいなと思いました。デザインを決めたら、本棚も全て手作りで作ってもらいました。
 デザインのテーマが「プロデューサーたちの秘密基地」だったので、打ちっぱなしになっているビルそのもののインダストリアルな雰囲気も残してオシャレさも出るようデザインしました。

Q:ユーザーとしての印象は?

 プロハをリノベーションしてからは、まだユーザーとしてはあまり使えていないですね。これからどうやって使っていこうか試行錯誤しています。
 参加型のイベントをやりたいなと思います。例えば、一度のイベントで参加者の何人かで絵を描いたり色を塗ったり文字を書いたり、色々刻んだりして、もっとかっこよくなればいいなと思います。初めて来た人が一目でわくわくするようなものがいいですね。
 弦本ビルの階段は細いですが、そこでもわくわくできたらなと思います。まだ雑居ビル感が残っているように感じていて、窓辺も何か工夫をこらして、発信できるものになればいいんですよね。例えばカーテンをなびかせるとか、通りがかった人に「ここ、何なんだろう?」と思ってもらいたいです。周りがオフィス街なので、目立つものを置いて、それがあるだけでプロハの何かを発信できるようなデザインになればいいなと思います。

Q:プロハ以外でのデザイン実績は?

 プロハ以外だと、大学の公認グッズを作ろうということで、学生だけで開発から販売までを行ないました。東工大の建築学科では、製図するときに型(テンプレート)を使うので、それをより使いやすくなるようにデザインしました。公認グッズを開発して宣伝すれば、その学校の紹介にもなるねということで。テレビにも取り上げていただいて、きちんと宣伝することができました。
 個人的に企画に参加した銭湯のイベントでは、約400人の方が来てくださって、一般の人にお披露目会をしました。基本的に大学とか地元とか建築が自分のルーツになっていて、その自分が大切にしているものに片足をつっこみながら、もう片足で未開の領域を広げていく。具体的に言うと、もっと建築を色んな人に知ってもらいたいとか、文京区のなくなりそうだけど魅力的な場所を発信していくとかですね。東工大も優秀なのにマイナーなのが気になります。人も全然来ないし、学生がコミュ障だというイメージもあるので、それを払拭するためにイベントとか開発でイメージを変えていこうとしています。だから、自分の軸を大切にしつつ、大切にしているものをもっといろんな人に知ってもらえるようにどうしたらいいかを毎日考えながら生活しています。

Q:プロハでやりたいことは?

 プロハを利用する上での問題とか魅力に気づくためには、中に潜り込むことが必要だと思います。今はまだパーティなどのイベントの時にしか来ていないので、もっと多くの人と知り合って関わっていこうと思います。せっかく多くの人がいるので、その機会を活かしたいですね。

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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弦本 卓也

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