代理は、本人が代理人に依頼して契約をおこない、その効果を本人に帰属させることができるもの
・顕名代理
「顕名」は自分が代理人であることを明らかにして代理すること
・顕名しない場合は本人に効果帰属しないが、自ら明示しなくても相手が、代理人が本人のために代理することを知っている場合には(相手方が悪意または有過失のとき)は、本人に効果が帰属する ・代理人が相手方から詐欺や強迫をされた場合は、原則として代理人は取消せず、本人が取消す |
・代理人が制限行為能力者の場合
①制限行為能力者が制限行為能力者以外の代理をする場合 未成年者が代理をすることは可能。本人は代理人が制限行為能力者であることを理由に取消すことはできない(代理は未成年者には不利益がなく、代理元の本人が制限行為能力者でなければ保護する必要がないため) ②制限行為能力者が他の制限行為能力者の後見人として代理をする場合 認知症などによる法定後見人が、その後に認知症などになってしまった場合などには、行為能力を理由に取消しすることができる |
※代理人は、特段の事情がないかぎり、相手方から取消しの意思表示を受領する権限を有する
※代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする(本人ではなく、代理人を基準に考える)
・復代理
復代理は代理人の代理のこと。代理人にも権利は残り続け、復代理人の権利は代理人の権利に追随する
復代理の可否 | 代理人の責任 | |
法定代理 | 常にできる | 原則 全責任を負う 例外 やむを得ない事由がある場合は専任監督責任のみ負う |
任意代理 | 原則 不可 例外 ①本人の許諾がある ②やむを得ない事由がある(病気など) | 債務不履行責任を負う(責任は軽くならない) |
※法定代理人(未成年者に対する保護者など)はやりたくて代理人をやっているわけではないので常に復代理を立てられる
※未成年者に対して親権をおこなう者がいない場合には、家庭裁判所は、未成年被後見人または親族その他の利害関係者の請求により、未成年被後見人を選任するが、未成年被後見人は親族になるとはかぎらない
※復代理人の契約は本人に効果帰属できる。一方で責任は任意代理の場合には復代理人の責任は代理人が負う
・死亡などによる代理の終了
概要 | 本人 | 代理人 | |
法定代理 | 法律が勝手に決める代理 (未成年者に対する親など) | 死亡 | 死亡・破産・後見開始の審判 |
任意代理 | 自分で決められる代理 | 死亡・破産 | 死亡・破産・後見開始の審判 |
※本人が破産・後見開始した場合には代理は終了しない
※代理人は、成年被後見人になった場合には代理権が消滅するが、被保佐人や被補助人になった場合には、代理権は消滅しない
・無権代理となる場合(自己契約・双方代理・代理濫用)
原則 自己契約や双方代理、代理濫用は、本人の条件を不当に悪くすることができるため「無権代理」(代理する権利がない扱い)とみなされる 例外 ①本人のあらかじめの許諾がある ②当事者同士がすでに合意済みの債権の履行に過ぎない (例)売主と買主から依頼を受けた移転登記の申請 |
・無権代理
無権代理は、代理権がないにもかかわらず勝手に代理をするというもの。本人は、追認か拒絶をすることができる
なお、追認をした際には、その時点から将来に向かってではなく、契約時にさかのぼって生じる
・相続による無権代理の追認・拒絶
・相続による無権代理の追認・拒絶(本人が死亡の場合)
※本人が死亡し、無権代理人が本人の地位を単独相続した場合には、拒絶することはできない(元が同一人物のため言動の不一致が許されない
・相続による無権代理の追認・拒絶(無権代理人が死亡の場合)
※無権代理人が死亡し、本人が代理人の地位を相続した場合には、拒絶することができる(元が同一人物ではないため)
・無権代理の場合に取引相手ができること
Aが本人、Bが代理人、Cが取引相手の場合
・表見代理
本人に落ち度があり、代理人が代理を受けているように振る舞い、取引相手が善意無過失で取引をした場合には、取引相手は本人や代理人に責任を追求することができる