鉄筋コンクリート造はRC造ともいわれ、設計提案の場面で比較的自由度が高いことからおもに設計事務所では木造軸組構法と並んで、よく採用される構造です。
また重厚感のあるタイル張りや、打ちっぱなしのコンクリートの無骨さなど、見た目にもさまざまな表情を見せてくれることも、鉄筋コンクリート造の魅力です。
ここでは住宅建築で密かに注目を集める鉄筋コンクリート造の戸建住宅について、費用・特徴などを解説していきます。
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目次
鉄筋コンクリートは鉄筋が持つ粘り強さや引張強度と、コンクリートが持つ圧縮強度を掛け合わせたところに強さがあるとされます。
鉄筋は圧力をかけると簡単に曲がってしまいます。
しかしコンクリートは圧力に強いために鉄筋が簡単に曲がるのを防いでくれます。
反対にコンクリートは引っ張りに弱く、容易にひび割れてしまいますが、鉄筋は引張強度があることでコンクリートの弱点を補っています。
つまり鉄筋コンクリートは、それぞれの弱点を補うところに本来の強度の秘密があります。
なお鉄筋コンクリート造より強度の面でもうひとランク上手なのが鉄筋鉄骨コンクリート(SRC)造ですが、両者はともにある程度の規模の建物(たとえばマンションなど)に使われている構造です。
一戸建て住宅で構造が鉄筋コンクリート造といえば、建物の強度としては最高ランクといえます。
それでは鉄筋コンクリート造の特徴と注意点を簡単にまとめておきます。
鉄筋コンクリート造は耐久性が高い構造です。
鉄筋コンクリート造の耐久年数は約130年とも言われ、地震はもちろんのこと、台風による強力な風水災害にも十分耐え得る強度が備わっています。
火災に強いコンクリート住宅は隣家からの延焼もガードし、容易に引火しません。
遮音性に優れている点も鉄筋コンクリート造の一戸建ての利点です。
地階のシアタールームや楽器などの練習室にも最適ですし、幹線道路沿いの立地や外部の騒音対策にも鉄筋コンクリート造は適しています。
鉄筋コンクリート住宅は設計の自由度が高いことでも知られています。
建物の内部に吹抜けなどの大空間や大開口を設けたり外部にピロティガレージ設けたりできるのも、鉄筋コンクリートならではの魅力です。
一般的に鉄筋コンクリート造は建築費用が他の工法よりかかります。
そのため予算管理は注意して行わなければなりません。
鉄筋コンクリート造の現場は躯体にコンクリートを使いますので、一度工事が始まると修正が利きません。
この点は十分に注意しなければならないでしょう。
一戸建てを計画する場合、鉄筋コンクリート造の住宅が合う方はどういう方でしょうか。
ここでは2つのタイプに絞って、鉄筋コンクリート造がすすめられる方をあげてみます。
鉄筋コンクリート造の他の工法とは違い、建築費はかなり高額です。
従って予算に余裕がある人でなければ、建築自体が難しくなります。
ちなみに鉄筋コンクリート造の平均的的な坪単価は120万円ほどです。
しかも自重が重くなる鉄筋コンクリート造は地盤改良にも通常の倍位以上の予算を見ておかなければなりません。
なお建築にかかるコストについては次項で詳しくまとめています。
もうひとつ、鉄筋コンクリート造がおすすめできるのは、住宅建築に慣れているユーザーです。
もちろん予算があれば、建築がはじめてという方でも建てるのは一向に構いません。
しかし2軒目、3軒目の方におすすめしたいのが鉄筋コンクリート造です。
建築経験がない方に鉄筋コンクリート造をおすすめしないのは、ビギナーはかならず何らかの失敗をするからです。
はじめての失敗がコンクリート住宅でのことというのはちょっともったいない感じがします。
もちろん2、3軒目でも建築には失敗がつきものです。
ただ、はじめての建築で経験する失敗にくらべると、おなじ失敗でも自分で受け入れられる質のものでしょう。
また鉄筋コンクリート造はやり直しがきかないことが多く、そのため施主自身にもある程度の図面を読む力が必要です。
そうなると、必然的にコンクリート住宅がすすめられるのは、建築に慣れているユーザーとなってきます。
鉄筋コンクリート造の一戸建ては、住宅のなかでもっとも費用がかかります。
一般的にみて40坪総2階建てで、坪あたり110万円程度です。
しかし階数が3階建てとなると120万から130万円ぐらいはみておかなければなりません。
また鉄筋コンクリート造の一戸建ては、設計事務所に設計・管理してもらいますので、その費用もみておきたいところです。
設計監理費用の相場は工事金額の12%程度ですから、5,000万円の工事案件なら600万円が設計監理費用です。
あとは内外装のグレードやエクステリア工事(外構・植栽)によっても金額は変わってきます。
予算オーバーしないかしっかり検討する必要があります。
鉄筋コンクリート造の一戸建ては、木造住宅等の一般的な住宅より自重があります。
地盤調査と地盤改良工事は前もって予算を考えておく必要があります。
費用の目安として参考数値を出しておくと、都市型のRC住宅として延床面積40坪の総2階建ての住宅で、表層改良だと70万円前後、柱状改良だと支持層までの距離によっては100万円から250万円程度かかるようです。
なお一般的な住宅では地盤調査にスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が行われますが、コンクリート住宅ではボーリング調査(SPT調査)が一般的です。
両者の調査費用の違いは、SWS試験なら5万円程度で済むものが、SPT調査になると20万円以上もかかります。
コンクリート住宅の一戸建てを考えている方は、建設予定地の地盤が当該住戸に適しているかをあらためて検討してみることも必要です。
鉄筋コンクリート造の住宅の工期は順調に行って大体6ヶ月程度かかります。
下記に大まかな工程を示しましたので参考してください。
鉄筋コンクリート住宅の上棟の時期は、工事が始まってからおよそ4ヶ月後です。
普通の木造住宅は1ヶ月目で上棟式ができますので、同じ住宅でもこの違いに驚かれる方もいるでしょう。
またコンクリート住宅の現場は、前半の躯体工事に多くの時間が取られます。
工期の長さに問題がある方は、プレハブ型の鉄筋コンクリート住宅がありますので、そちらを検討してみるのもひとつでしょう。
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言うまでもありませんが、RC造の建物はコンクリートをおもな材料として躯体をつくります。
そのためコンクリートの品質はもちろんですが、十分な養生期間がどうしても必要です。
鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年です。
ちなみに鉄筋コンクリート造の建物は、会計上の耐用年数ではなく、法定耐用年数を指すことが一般的です。
納税が絡む法定耐用年数は、資産の種類や構造、また用途別に耐用年数を一律に取り決めています。
建物の場合は「構造・用途」に鉄筋コンクリート造、「細目」は住宅用と記載されています。
よく「この建物の耐用年数って何年?」と聞かれることがありますが、そもそも耐用年数とは減価償却資産が利用に耐える年数のことで「建物の一般的な保ち」のことではありません。
なお減価償却資産は会計上の言葉で、一個あたりの金額が10万円以上の耐久性のある資産を指します。
また他の種類の建物の耐用年数も構造によって区分けされていて、木造は22年、軽量鉄骨造は意外に短く19年、鉄骨造は34年です。
鉄筋コンクリート造はマンションも戸建も区別なく47年となります。
もともと昭和26年に耐用年数の算定方式というものが存在し、そのころの建物は防水・床・外装・窓・構造体の5要素から細かく算定されていました。
この算定方式によれば、昭和26年当時の鉄筋コンクリート造の耐用年数は75年のようで、当時の耐用年数の算定方式がいかに現状に則していたかが分かります。
おそらく税収上の問題から、耐用年数が縮められて現在に至るようですが、税収確保のためとは言え、実情に合わない耐用年数の算定基準が、建物の寿命をいたずらに縮める要因になっては本末転倒です。
鉄筋コンクリート造は、建築が好きな方にとっては念願の計画という方もいるでしょうし、建築地によってはRC造を選択せざるを得なかった方もいるでしょう。
ただ、どちらの場合でも鉄筋コンクリート造で出てくるのが建築コストの問題です。
鉄筋コンクリート造の計画を進める際は、かならず予算に余裕をもって進めてください。