住宅ローン金利の低水準や2019年の消費税増税前であることなど考慮すると、現在はマンションを買い替えるには良いタイミングであるという見方があります。
しかし、マンションの買い替えは「売却」と「購入」を同時に進めなくてはならないため、非常に神経を使いますし、それぞれの流れやするべきことが多くて、下記のような不安や疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
「マンションを買い替えたいけど、どこから手を付ければいいのかわからない・・・」
「住宅ローンが残っていても、マンションの買い替えはできる?」
「マンションを買い替える時、売却と購入どちらを先にすればいいの?」
「マンションを買い替えたら税金はかかるのかな?」
マンションを買い替える場合には、単純に売却する時と比べて複雑な対応が必要となりますので、きっちりと流れや手続きについてあらかじめ理解しておく必要があります。
そこで、今回は、こうしたマンション買い替えに対する不安や疑問に関して、徹底的に解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、理想のマンション買い替えを実現するための知恵やコツを身に付けてください!
目次
まずは、いま住んでいるマンションを買い替える場合と住み続ける場合を比較してみましょう。
それぞれのメリット・デメリットなどを確認します。
<いま住んでいるマンションを買い替えた場合と住み続ける場合の比較表>
結婚・出産・子供の成長・定年退職・子供の独立などによりライフスタイルが変化して、マンションに必要な専有面積や間取りは変化します。
そういったタイミングでマンション買い替えれば、常に適正な専有面積や間取りのマンションに住むことができます。
またその他にも、
・住みたいエリアや環境に住むことができる
・売却益が得られる可能性がある
・一定の資産価値を維持できる
・買い替えにより最新の住宅設備で生活できる
などのメリットもあります。
反対にデメリットとしては、買い替えのたびに仲介手数料や税金などの諸経費や引越し費用が発生し、労力もかかります。
その他にも、子供の転校や近隣とのコミュニティ構築などが挙げられます。
いま住んでいるマンションに永住し終の棲家とすれば、一定のリフォーム・リノベーション費用は発生しますが、買い替えによる売却損が発生する可能性はなく、引越しの労力や近隣住民とのコミュニティもすでにできているため必要ありません。
また、関係の良い慣れ親しんだコミュニティの中で、子供がずっと成長していくことは、親にとっても子供にとっても喜ばしいことでしょう。
親子がともに育ったエリアに愛着が持てることは大きなメリットといえます。
反対にデメリットとしては、ライフスタイルの変化によってマンションが狭かったり広すぎたりする場合があることやマンション全体が古くなり建て替え問題が発生したり、老人にとっては共用設備が使いにくかったりなどの不安が挙げられます。
また、一定以上の築年数を経過したマンションは資産価値が目減りして、いざという時に現金化することが難しい場合があることもリスクといえるでしょう。
いま住んでいるマンションを買い替える場合と住み続ける場合、どちらが良いのかは一概にはいえません。
ご自身の人生の中で何を優先するかは、人によって違うからです。
売却損や諸経費の負担など一定の経済的リスクはありますが、ライフスタイルに合わせてマンションを買い替えることは合理的であるといえますし、老後を都心立地の高機能マンションなどで送れれば生活面でも資産価値としても大きなメリットとなるでしょう。
一方、築30年を経過したマンションに住み続ければ、資産価値はほとんどありませんが、リフォームやリノベーションを行えば専有部内は希望の間取りで、快適かつ高機能な生活を送ることもできます。
ただし、マンション自体が老朽化すると、住民の減少によるスラム化や管理費・修繕積立金の高騰、建て替え問題の発生などが起きるリスクがあります。
このように、マンションを所有している人それぞれによって、自分自身で描いているライフスタイルや経済的事情、人生設計が違うため、自分自身が何を優先し将来どうありたいのか、によってマンションの買い替えを決断することが大切です。
次章からは、今のマンションを買い替えることを検討している方々に向けて、マンション買い替えの手順や2つの方法、それぞれのメリット・デメリットなどについて解説します。
マンションを買い替える場合には、大きく次の2つのパターンに分けられます。
・今のマンションの売却してから新しいマンションを購入する「売却先行」パターン
・新しいマンションを購入してから今のマンションを売却する「購入先行」パターン
マンションの買い替えで最も難しいのは、売却と購入のタイミングを合わせることです。
どちらか一方が早くなってしまえば、コストの発生や予定の狂いなどが生じてしまうからです。
まずは、2つのパターンそれぞれの流れを見てみましょう。
<売却先行パターンの流れ>
まずは、今のマンションの査定価格をもとに購入の資金計画を立てます。
売却を依頼する不動産業者が決まって売却活動を開始したら、売却活動の進捗を確認しつつ、予算内で購入物件を探し始めます。
そして、今のマンションの買い手が見つかり、売買契約を締結し売却代金が確定したら、購入物件の売買契約を締結します。
その後、売却の決済・引渡しと購入の決済・引渡しが同時期にできれば理想的ですが、売却の決済が先行すれば仮住まいなどの必要が生じます。
売却先行パターンは、今のマンションの住宅ローンが残っている人や安全な買い替えを進めたい人に向いています。
売却先行パターンのメリット・デメリットについて説明します。
<売却先行パターンのメリット・デメリット一覧>
最大のメリットといえるのは、売却の売買契約を締結すれば売却価格が確定するため、購入の資金計画が確実に立てられ、精神的な負担が少ないことです。
資金計画が確定したら、購入物件の絞り込みをして購入の売買契約を締結します。
また、売却の期限が決まっていないため焦って売り急ぐ必要がなく、じっくりと売却活動が行えます。
そのため、買い手との交渉も有利に進めることができ、高値での売却の可能性が高くなることもメリットといえるでしょう。
反対にデメリットとしては、売却した自宅の決済・引渡しが購入した新居の決済・引渡し前になった時、仮住まいを探して引っ越さなければならないことです。
そのため、仮住まいの契約金や賃料、2回分の引越し費用などが発生し、労力も必要となります。
また、決済・引渡しのタイミングを合わせようと購入条件を妥協しなければならない場合も考えられます。
<購入先行パターンの流れ>
購入先行パターンにおいても、今のマンションの査定価格をもとに購入の資金計画を立てます。
そして希望条件に合う新しいマンションをゆっくりと探します。
新居を探しながら、状況に合わせて今のマンションの売却活動を開始します。
希望条件に合う新居が見つかったら、購入の売買契約を締結します。
その際、売主の承諾が得られれば買い替え特約の停止条件を付けます(停止条件の内容については後ほど詳しく解説します)。
その後、今のマンションの買い手が見つかれば売買契約を締結し、新居の決済・引渡しを受けて引越しをし、今のマンションの決済・引渡しを行います。
購入先行パターンは、資金に余裕のある人やいま住んでいるマンションの住宅ローンを完済している人、本当に気に入ったマンションに買い替えたい人に向いています。
次に、購入先行パターンのメリット・デメリットについて説明します。
<購入先行パターンのメリット・デメリット一覧>
購入先行パターンのメリットは、本当に気に入った物件をじっくりと探すことができ、納得できるマンションを見つけられることです。
多くの場合、新居へ引っ越してしてから今のマンションの決済・引渡しを行うため、仮住まいの必要がないこともメリットといえるでしょう。
反対にデメリットとしては、新しいマンションに引っ越すまでに今のマンションが売却できなければ、住宅ローンを二重で支払うリスクがあることです。
また、今のマンションの売却期間に制限があることや二重払いのリスクを避けるために、売り急ぐことで買い手有利となり、結果的に安く売却してしまうリスクもあります。
ここでは、マンションの買い替えに失敗しないための6つのポイントについて説明します。しっかりと確認しましょう。
購入先行パターンの場合に検討するべきポイントです。
買い替え特約とは、新しいマンションを購入する場合の売買契約書に付帯する特約で「○年○月○日までに、現在住んでいるマンションを●●●●万円以上で売却できなかった場合、この契約を白紙解約できるものとし、売主は受領済の金員を買主へ返還する」という内容のものです。
買い替え特約を付帯できれば、買主は希望に合った購入物件の売買契約を締結できるうえに、期限までに一定の価格以上で今のマンションが売却できなければ、契約を白紙解約して支払済の手付金を全額返還してもらえることになります。
そのため、買主にとっては、リスクヘッジの効果が非常に高い特約といえます。
しかし、売主にとっては白紙解約のリスクを負ったまま、他の購入希望者とは契約を締結することができないため、何のメリットもない特約なのです。
そのため、買主側から買い替え特約の付帯を申し入れても、売主側の同意が得られるケースは少ないのが実状です。
特に人気のマンションなどの場合は、売主側としては「あえて買い替え特約を付帯する買主と契約を締結する必要はない」と判断するのが一般的です。
反対に、売却が長期化している場合や売主が早く売却したいと考えている場合などは、買い替え特約の付帯に同意してもらえることがありますので、まずは買い替え特約の付帯を不動産業者と相談のうえ、売主側に提案してみましょう。
「買い替えローン」は売却先行パターンの場合に利用することがあります。
いま住んでいるマンションを売却するためには、利用中の住宅ローンを一括返済する必要があります。
マンションの売却代金が住宅ローンの残債より高い場合は問題ありませんが、低い場合は自己資金で補填しなければなりません。
その場合に、自己資金を用意することなく住宅ローンの返済不足分と新しいマンションの購入資金をあわせて借入れできるのが買い替えローンです。
例えば、いま住んでいるマンションを2,500万円で売却し、住宅ローンの残債が3,000万円ある場合は、住宅ローンを一括返済するためには500万円不足します。
この場合、新しく購入するマンションの購入資金4,000万円と不足分の500万円をあわせた4,500万円の住宅ローン(買い替えローン)を利用する、ということになります。
<買い替えローンのイメージ>
買い替えローンを利用するメリットは、いま住んでいるマンションの住宅ローンは一括返済できるため、住宅ローンの二重払いを回避することができることです。
また、昨今の金利情勢を考えると、借入れ金利も低くなる可能性が高いでしょう。
ただし、借入額も大きくなることから金融機関の審査も厳しいことが予想され、承認を受けることはそれほど簡単ではありません。
事前に金融機関に相談することが大切です。
一方、「つなぎ融資」は購入先行パターンの場合に利用することがあります。
つなぎ融資とは、新しく購入するマンションの残金支払いがいま住んでいるマンションの売却代金受領より早い場合に、購入資金を一時的に借入れすることです。
例えば、希望条件に合った新しいマンションが見つかったが、いま住んでいるマンションの売却代金を購入資金としているために決済・引渡しができない場合には、つなぎ融資を利用します。
いま住んでいるマンションが売却できるまで、つなぎ融資で購入資金を充当し、売却できた際には売却代金でつなぎ融資を返済することになります。
<つなぎ融資のイメージ>
つなぎ融資を利用するメリットは、希望条件に合った新しいマンションを逃すことなく購入でき、引越しも1回で済むことです。
注意点としては、つなぎ融資は住宅ローンに比べて金利が非常に高く、利用にあたってs諸費用が発生し、借入れ期間も6ヶ月~1年程度となることです。
大手不動産業者を中心に「買取保証システム」というサービスがあります。
買取保証サービスとは、不動産業者と専属専任媒介(または専任媒介)契約を締結して一定期間は仲介で売却活動を行い、決められた期間内に成約しない場合にはその不動産業者があなたのマンションを買い取るというシステムです。
仲介で売却する場合、自分が納得した価格設定で売却活動をすることができますが、いつまでに売れるのかは保証がないため、買い替えの資金計画が不安定となります。
また、不動産業者により即時買い取ってもらった場合は、すぐに現金化することができますが、売却代金は安くなります。
買取保証システムは、そうした仲介と買取の両方のよい点を併せ持ったシステムといえるため、必要に応じて利用する価値があります。
ただし、マンションが不動産業者の買取基準に適合している必要性や仲介期間中の価格変更に制限があるなど、一定の条件がありますので不動産業者によく確認しましょう。
いま住んでいるマンションを売却する場合は、返済中の住宅ローンを一括返済しなければなりません。
もちろん、マンションの売却代金で一括返済するわけですが、住宅ローンの残債が少なければ少ないほど新しいマンションの購入資金に回せるお金が増え、新しく購入するマンションの選択肢が広がります。
そのため、将来的にマンション買い替えという目標を持ったら、繰り上げ返済などを利用して、いま住んでいるマンションの住宅ローンの残債をできる限り減らしておきましょう。
マンション買い替えにおいて、購入することよりも売却することの方がずっと難しいといえます。
マンションを売却することが難しい理由は、まず「売却したい価格」と「売却できる価格」に差があることです。
例えば、4,500万円で購入したマンションの現在の相場価格が3,000万円として、住宅ローンの残債が3,500万円の場合、500万円の赤字となります。
赤字分の500万円を自己資金で用意できなければ、諸経費を考えて3,600万円程度で売却しなければなりません。
これが「売却したい価格」です。
「売却できる価格」は相場価格の3,000万円ですので、600万円分の差が生じてしまい、その差を埋めることはなかなか難しいといえるでしょう。
一方、マンションを購入する場合は自分の資金計画から「購入できる価格」が決まるため、その範囲で選択すればよいのです。
このような背景の違いから、マンションは「購入」よりも「売却」の方がすっと難しいのです。
また、買い替えの場合は「○月までに売却したい」などの時間的制限が付くことになり、買い手有利な状況が生まれることも難しさのひとつといえるでしょう。
そのため、そのエリアでのマンション売却に実績や実力を持つ不動産業者をパートナーにすることが大切です。
マンションを買い替える場合は、資産価値の目減りしないマンションを選ぶことが重要です。
そのためには、将来的に売却することを想定して、そのエリアの将来性や人口動態、最寄駅のポテンシャルや駅からの距離、住環境、マンションの機能性、管理状態などを精査して選びましょう。
また、賃貸した場合にいくらくらいで貸すことができて、その賃料でどのくらいの利回りが得られるのか、投資家の目線でも確認しておけばベターです。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・不動産投資で損をしないための「利回り」の考え方や目安を解説![/su_box]このように資産価値を精査しておけば、将来何らかの事情でそのマンションを売却しなければならない状況になったとしても、慌てることなく対応できるでしょう。
続いて、マンションの買い替えでよく起きる失敗パターンについて説明します。
Aさんは自宅マンションが手狭になったため、買い替えをすることにしました。
すでに購入したいマンションは決まっていたので、購入の売買契約を締結したうえで、いま住んでいるマンションの売却を購入を仲介してくれた不動産業者に依頼しました。しかし、想定していたよりも内覧の申込みがなく、購入したマンションの決済・引渡し日が迫ってきていることから、Aさんは焦って売却価格を大幅に値下げして売却することになったのです。結果的に買い替えはスケジュール通りに進みましたが、Aさんは「購入したマンションの仲介をしていた不動産業者に売却も依頼せずに、エリアに強い不動産業者に依頼していたらもっと高く売れたのでは・・・」という思いが残りました。
同じ不動産業者に売却と購入の両方の仲介を依頼できれば、コミュニケーションも非常に楽で両方の取引を進めやすいメリットもありますが、売却はそのエリアに強く実績を持つ不動産業者の方がよい結果を得られることもありますので、不動産業者選定はよく検討することが大切です。
このケースも購入先行パターンの失敗事例です。
Bさんはマンション買い替えを計画し、新しく購入するマンションの売買契約を締結しました。その際、買い替え特約の付帯を申し入れましたが、売主の同意は得られませんでした。その代わりに手付解除ができる期間に少し余裕を持たせてもらい、その間にいま住んでいるマンションの売却を完了させようと考えました。しかし、思うように売却が進まなかったのです。このまま売却できなければ資金不足により、購入したマンションの決済・引渡しができず、売買代金の20%の損害賠償金を支払わなければなりません。Bさんは泣く泣く新しいマンションを諦め、手付金を放棄して契約を解約しました。
手付解除の期間は契約当事者の合意があれば延長が可能です。
売主としても一から買主を探すよりは、手付解除の期間を延長して買主の売却成功を待つ・・・という判断もあるかもしれません。
こうしたケースでは、手付解除期間の延長の打診やつなぎ融資の可能性を探るのがひとつの方法といえるでしょう。
このケースは売却先行パターンの失敗事例です。
Cさんはマンションを買い替えるにあたり、いま住んでいるマンションの売却を先にしようと売却活動を開始しました。不動産業者からは「人気のあるマンションなのですぐ売れますよ」といわれたため、高値で売却しようと強気な価格設定で臨みました。並行して新しく購入するマンションも探していたのですが、前から気になっていたマンションに売却物件が出たことを知りました。しかし、いま住んでいるマンションを高値で売却することに固執していたため、買い手が現れないうちに狙っていたマンションは売れてしまったのでした。
自分が住んでいるマンションは誰でも高く売りたいものです。
しかし、買い替えを計画している場合はスケジュールも頭に置いたうえで、適切な価格戦略に基づいて売却することが大切です。
次に、マンションを買い替える時に発生する税金や費用について説明します。
売却にかかるものと購入にかかるものに分けて説明しますので、それぞれ確認しましょう。
マンションを売却した時、購入した価格より高く売れて売却益が出た場合は、その売却益(譲渡所得という)に対して所得税と住民税が課税されます。
マンションを購入した価格より安い価格で売却して売却損が出た場合は、税金は発生しません。
譲渡所得は、売却代金-(取得費+譲渡費用)で計算され、取得費には購入価格や購入した時に不動産業者へ支払った仲介手数料など、譲渡費用には売却した時に不動産業者に支払った仲介手数料などがあります。
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<短期譲渡所得と長期譲渡所得の税額表>
短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | |
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
参考:国税庁HP
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm)
譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。
また、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。
ケースによっては100万円単位の所得税と住民税が課税されますが、後ほど説明する特例を適用できれば大幅に軽減することができます。
譲渡所得に対する所得税と住民税の申告・納税は、マンションを売却した翌年の確定申告により行います。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・不動産売却の確定申告で注意すべき10項目!書き方や必要書類など![/su_box]売却したマンションに金融機関などの抵当権が設定されている場合は、売却代金により住宅ローンを一括返済するとともに、抵当権を抹消して買主に引渡します。
その際、不動産1つ当たり1,000円の登録免許税と司法書士への報酬が発生します。
マンションの場合、土地1つ・建物1つであれば、登録免許税2,000円・司法書士報酬1~1.5万円程度となります。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・登録免許税とは?計算・軽減措置・相続・納付方法について解説!印紙税は収入印紙を売買契約書に貼付して納めます。
印紙税の金額は契約金額によって下表の通り定められています。
<印紙税の一覧表>
契約金額 | 税額 | 軽減後の税額 |
1万円未満のもの | 非課税 | 非課税 |
1万円以上10万円以下のもの | 200円 | 200円 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
参考:国税庁HP
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm)
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm)
平成26年4月1日から平成32年(2020)年3月31日までに作成される不動産売買契約書に記載された契約金額が、10万円を超えるものについては軽減措置が適用されます。
一般的なマンションの売買代金は1,000万円~1億円くらいの範囲であると考えられますので、印紙税は1万円か3万円のいずれかとなります。
マンションの売却を依頼した不動産業者へ支払います。
仲介手数料の計算式は、売買価格×3%+6万円(消費税別)となります。
【例】 3,000万円でマンションを売却した場合
3,000万円×3%+6万円=96万円(消費税別)
この計算式で求められる仲介手数料は、不動産業者が受け取れる上限額を表しています。
つまり、この計算式で求められる金額以下であれば問題はないため、媒介契約を締結する前に仲介手数料の減額について交渉してみましょう。
一般的に、仲介手数料は売買契約締結時に50%、決済・引渡し時に50%を支払います。
また、不動産業者が直接マンションを買い取る場合は、仲介手数料は必要ありません。
住宅ローンを売却代金により一括繰上げ返済するため、金融機関に手数料を支払います。
金額は金融機関によって異なりますが、一般的には5,000円~1万円程度が目安となります。
リフォームを行ってマンションを売却する場合には、リフォーム費用が発生します。
ただし、リフォームは基本的に買い手に任せた方がよい結果となるため、売主側でリフォームを行う必要はないでしょう。
行ったとしても、ルームクリーニングや必要最低限のリフォームくらいです。
マンション購入にかかる税金や費用は売却の時により多く発生しますので、よく確認しましょう。
新しいマンションを購入した場合に、所有権移転登記および住宅ローンを利用して購入すれば抵当権設定登記をしなければなりません。
売買によってマンションの所有者が元の所有者から新しい所有者に代わりますが、この時に行われる登記を所有権移転登記といいます。
所有権移転登記をすることで、新しい所有者は第三者に対して所有権を主張できる対抗力を備えることができます。
また、住宅ローンなどを利用してマンションを購入した場合に、そのマンションを担保として抵当権を設定する登記を抵当権設定登記といいます。
万一マンションの所有者が住宅ローンを支払えなくなった場合でも、抵当権を設定しておけば債権者である金融機関はマンションを競売にかけて債権を回収することができるようにしておくためです。
<抵当権設定の例>
所有権移転登記および抵当権設定登記には下表の通りの登録免許税がかかり、買主が負担します。
<所有権移転登記および抵当権設定登記の登録免許税の税率>
課税標準 | 税率 | 軽減税率 | ||||
新築 | 中古 | |||||
所有権 移転登記 | 売買 | 土地 | 固定資産税評価額 | 平成31年3月31日まで 1000分の15 平成31年4月1日以降 1000分の20 | – | – |
建物 | 1000分の20 | 1000分3 | 1000分の3 | |||
抵当権設定登記 | 債権金額 | 1000分の4 | 1000分の1 | 1000分の1 |
参考:国税庁HP
No.7191 登録免許税の税額表
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
登録免許税の他に司法書士報酬が必要であり、一般的にそれぞれ4~5万円程度です。
印紙税は収入印紙を売買契約書に貼付して納め、税額は前述の表の通りです。
不動産取得税は、不動産を取得した時に1回だけ発生する税金です。
不動産取得税の課税標準は固定資産税評価額であり、住宅の場合の税率は土地・建物ともに3%となっており、次の計算式で算定されます。
<不動産取得税の計算式>
買い替えにより新築マンションを取得した場合、一定の要件を満たせば固定資産税評価額から1,200万円を控除できる軽減措置があります。
<新築マンションを購入した場合の不動産取得税の計算式>
また、中古マンションを取得した場合は、下記の表の通りの軽減措置があります。
<中古住宅における不動産取得税の軽減>
参考:東京都HP 都税Q&A 不動産取得税
(http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_f.html)
買い替えにより中古マンションを取得した場合、一定の要件を満たせば不動産取得税は次の計算式で算定されます。
<中古マンションを購入した場合の不動産取得税の計算式>
購入するマンションを仲介してくれた不動産業者に支払います。
一般的に、仲介手数料は売買契約締結時に50%、決済・引渡し時に50%を支払います。
また、不動産業者が売主で直接マンションを購入する場合は、仲介手数料は必要ありません。
新しくマンションを購入する場合は、火災保険加入が義務付けられます。
マンションの火災保険料は、建物の専有部分や家財の数や保険の補償額によって異なります。
住宅ローンを利用して新しいマンションを購入した場合は、住宅ローン保証料を支払います。
住宅ローン保証料とは、保証会社からの保証を受けるために保証会社に対して支払う費用のことをいいます。
通常、金融機関の住宅ローンを利用する場合は、指定の保証会社の保証を受けることが借入要件となっています。
なぜなら、万一マンション所有者が住宅ローンを支払えなくなった場合でも、保証会社が代わりに金融機関へ一括返済してくれることによってリスクヘッジとなるからです。
固定資産税・都市計画税は1月1日現在の所有者のもとに、納税通知書が送られています。
そのため、決済・引渡し日を精算日として日割り計算し、買主が負担するべき固定資産税・都市計画税を売主へ清算します。
同様に、管理費・修繕積立金も日割り計算して清算します。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・固定資産税の評価額はいくらくらい?調べ方や計算方法などを解説![/su_box]前述の通り、マンションを売却して利益が出れば譲渡所得として所得税や住民税が課税されます。
しかし、一定の要件を満たす場合に特別控除の特例の適用を受けて、税金を免除もしくは軽減できる場合があります。
ここでは、マンションを買い替える時に適用できる主な特例について説明します。
自分が住んでいるマイホームであるマンションを売却した場合、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
つまり、マンションを売却して得た利益が3,000万円までであれば、税金がかからないことになります。
ただし、この特例を受けるための要件として、
・自分で住んでいた建物や土地などのマイホームを売却すること
・以前に住んでいた建物や土地などのマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに売却すること
・マイホームを売却した年またはその前年及び前々年に、マイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
・売り手や買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
・確定申告を行うこと
などがありますが、詳細については国税庁のホームページや管轄する税務署などで確認しましょう。
また、居住用財産の3,000万円特別控除の特例と住宅ローン控除との併用は認められていません。
そのため、どちらを利用した方が有利なのかは注意が必要です。
譲渡所得が少ない場合は、3,000万円特別控除の特例を利用しないで、住宅ローン控除を利用した方が有利な場合もあります。
自分が住んでいたマンションを売却した年の1月1日現在で所有期間が10年を超える場合、マンションを売却した譲渡所得が3,000万円以上であったとしても、3,000万円を超える課税部分に対して税率が軽減されます。
税率は以下の通りとなります。
<所有期間10年超の軽減税率>
譲渡所得が 6,000万円以下 | 譲渡所得が6,000万円超 | ||
6,000万円以下の部分 | 6,000万円超の部分 | ||
所得税 | 10.21% | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 14.21% | 20.315% |
なお、そのマンションに住んでいない場合は、住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売却しなければなりません。
この特例の適用を受けるためには、確定申告が必要です。
いま住んでいるマンションを売却して、新しく買い替えた場合の特例です。
この特例は、自分が住んでいたマンションを売却して譲渡所得が発生した場合、新しく購入したマンションの購入代金が売却したマンションの売却代金と同じか高い場合には、譲渡所得に対する課税を次にその購入するマンションを売却する時まで繰り延べることができる、という制度です。
つまり、いま住んでいるマンションを売却して得た譲渡所得に対して、買い替えの時には課税されず、将来その買い替えたマンションを売却する時の譲渡所得に、繰り延べた譲渡所得が加算されて課税される仕組みになっています。
ただし、新しく購入したマンションの購入代金の方が売却したマンションの売却代金より安い場合には、この特例を利用するとその差額について所得税と住民税が課税されます。
この特例を受けるための要件として、
・自分で住んでいた建物や土地などのマイホームを売却すること
・以前に住んでいた建物や土地などのマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに売却すること
・売却したマイホームの売却価格が1億円以下であること
・売却した年の1月1日現在でマイホームの所有期間が10年を超え、かつ売却した人の居住期間が通算で10年以上であること
・買い替える建物の床面積が50平方メートル以上、土地の面積が500平方メートル以下であること
・売り手や買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
・確定申告を行うこと
・2019年12月31日までに売却すること
などがありますが、詳細については国税庁のホームページや管轄する税務署などで確認しましょう。
また、この特例は3,000万円特別控除の特例との併用が認められていません。
そのため、どちらを利用した方が有利なのかは判断が難しいため、必要に応じて税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
この特例は、いま住んでいるマンションを売却して損失が出た場合の特例です。
5年を超えて自分で住んでいたマンションを売却して、一定の要件を満たすマンションに買い替えた際に譲渡損失が出た場合、その譲渡損失を売却した年の給与所得など他の所得と損益通算し、損益通算しても赤字となった部分については翌年以降3年間にわたって繰り越して所得から控除できる、という制度であり、住宅ローン控除との併用も認められています。
合計所得金額が3,000万円を超える場合は、その年は繰越控除を受けられません。
自分で住んでいたマンションを売却した年の前年もしくは前々年に、「居住用財産の3,000万円特別控除」「居住用財産売却による軽減税率の特例」「居住用財産の買換え特例」を利用していないことが条件です。
この特例を受けるための要件として、
・売却したマイホームの所有期間が5年を超えていること
・2019年12月31日までに売却し、新しいマイホームにに買い替えること
・売却した年の前年の1月1日から翌年の12月31日までの間にマイホームを買い替えること
・購入した年の翌年の12月31日までに居住するか、居住の見込であること
・マイホームの売却にかかる損失が生じていること
・買い換えたマイホームを購入した年の12月31日、またはこの特例の適用を受けようとする年の12月31日において、買い替えたマイホームにかかわる10年以上の住宅ローンがあること
・売り手や買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
・確定申告を行うこと
などがありますが、詳細については国税庁のホームページや管轄する税務署などで確認しましょう。
ここまでマンション買い替えにおける2つのパターンや流れ、メリット・デメリット、買い替えに失敗しないためのポイント、費用や税金などについて解説してきました。
マンションを買い替える場合には、売却先行パターンと購入先行パターンがありますが、結局どちらがいいのでしょうか?
安全で確実なマンション買い替えを行うためには「売却先行パターン」をオススメします。
購入先行パターンの場合は「○○までに売却したい」という制限により、焦りが生じて買い手主導の交渉になりがちです。
売却先行パターンであれば、まずはじっくりと売却活動に専念できるため、売り手主導の交渉が行えます。
売却のめどが立てば購入の資金計画を確定させることができますし、高値での売却に成功すれば予算が増え、グレードの高い物件や立地条件の良い物件にランクアップすることも夢ではないでしょう。
精神的に負担がない買い替えを実現するためにも、売却先行パターンを検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、いま住んでいるマンションの住宅ローンを完済している人や資金的に余裕のある人は購入先行パターンを選択してもよいでしょう。
マンションの買い替えについて徹底解説してきました。
みなさんの不安や疑問が解消できたのではないでしょうか。
ぜひこの記事を参考にして、マンション買い替えにおける大切なポイントを理解したうえで、悔いがなく納得できる賢いマンションの買い替えを実現してください。