「すまい給付金」とは、ローン減税の恩恵を受けにくい所得層のために考えられた給付金制度です。
ここでは「すまい給付金」の受給条件・申請方法を中心に、制度の概要をまとめておきます。
目次
「すまい給付金」とはどういう制度なのでしょう。
まずはそこから解説してみます。
「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設されました。
管轄するのは国土交通省です。
「すまい給付金」は住宅ローン減税の効果が十分に及ばない収入層の住宅取得者に、消費税率引上げによる負担の軽減を給付金の支給でカバーしようという制度です。
もちろん通常通り住宅ローン減税を行いますので、「すまい給付金」が該当する方はローン減税と給付金の支給のダブルで支えられます。
そのため「すまい給付金」は、申請者の収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
住宅ローン減税は所得税等から控除しますから、収入が多い人ほど控除額(手元に戻ってくる額)は多くなります。
反対に収入の低い方は、手元に戻ってくる控除額が、収入が多い方にくらべるとそれほど多くはありません。
このギャップを埋めるため、「すまい給付金」を別途支給することで、増税負担を緩和する考え方でつくられています。
期間については下記の通りです。
(2018年9月現在で、消費税率10%引上げは2019年10月の予定です)
1)消費税率5%から8%の引き上げ分〜平成26年4月以降に引渡された住宅から該当。
2)続いて消費税率8%から10%の引き上げ分〜2019年10月に10%引上げが行われた後、平成33年12月までに引渡され、入居が完了した住宅までが該当。
注意点として(例外もあるようですが)、業者との請負契約は2019年3月31日までに済ませておかないと、以降は10%の消費税率で請負契約を交わさなくてはならないことは留意しておきましょう。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・請負契約とは?必要な印紙代や委託・委任契約との違いについて解説![/su_box]「すまい給付金」制度は、給付額を算定する「給付基礎額」は収入に応じて決まります。
そして「給付基礎額」は都道府県民税の所得割額によって決定しています。
これは住宅取得者の収入(所得)を全国一律に把握することが難しいからです。
収入額と「都道府県民税の所得割額」は世帯の家族構成等により変わってきます。
「すまい給付金」を受給するには課税証明書を取得します。
このとき注意して欲しいのは、課税証明書は「発行年度の前の年の収入」によって決まる都道府県民税の所得割額が必要です(平成30年度課税証明書であれば、平成29年1月~12月の収入です)。
そのため新たな居住地に住む場合は、以前の住宅が所在する市区町村が発行する課税証明書を取得してください。
この辺りを間違わないよう、申請の準備を進めましょう。
また、課税証明書の発行年度は「住宅の引渡しを受けた時期」によっても変わってきます。
課税証明書は毎年6月ごろ、前年分の所得に更新します。
ただ市町村によっては、微妙に切り替え時期が違います。
そこで「すまい給付金」制度は、7月1日を一律切り替え時期としているのです。
つまり住宅の引渡し時期が、6月30日以前と7月1日以降で、課税証明書の発行年度が変わるということです。
たとえば平成30年4月に引渡しを受けた場合は、平成29年度課税証明書(証明されるのは平成28年の収入)の所得割額により給付金を算定し、7月1日以降に引渡しを受けた場合は、平成30年度課税証明書(証明されるのは平成29年の収入)の所得割額により給付金を算定するといった具合です。
細かいことですがこれも間違わず、申請の準備を進めてください。
すまい給付金の給付額は住宅取得者の収入で決まってきますが、住宅取得を夫婦で持分を付けている場合など、持分がある者がそれぞれ比率に応じて給付金を申請しなければなりません。
これも申請の準備を進める上で、忘れてはいけないことです。
「すまい給付金」を支給できる方は、どのような要件が設定されているのでしょうか。
ここでは、「すまい給付金」の対象者と要件についてみていきましょう。
「すまい給付金」を受ける対象者は次の要件に該当しなければいけません。
1)住宅を取得し登記上の持分を保有し、その住宅に自分で居住する
2)収入が一定以下の方が対象
3)住宅ローンを利用しないで住宅を取得する「現金取得者」は年齢が50才以上の方
なお消費税率が10%引き上げ時には、収入額の目安として650万円以下の要件(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)が追加されます。
1)住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者
2)住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者
3)収入が一定以下の者:以下のモデル世帯を参照
【モデル世帯】
夫婦(妻は収入なし)、中学生以下の子供が2人の場合、住宅取得する場合の夫の収入額の目安は以下の通りです。
・消費税率が8%時、収入額の目安が510万円以下の方
・消費税率が10%時、収入額の目安が775万円以下の方
・住宅ローンを利用しないケースでは年齢が50才以上の方
【住宅ローンの定義】
以下の3点を満たします。
・自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金
・償還期間が5年以上ある
・金融機関等からの借入金である(親類・知人などからの借入金は住宅ローンとは見なしません)
「すまい給付金」は良質な住宅ストックの形成を促す目的も兼ねており、一定の要件を満たす住宅でなければ給付を受けられません。
また中古住宅は宅地建物取引業者による「買取再販」など、消費税の課税対象となる住宅取得となります。
次の項では、どのような住宅が「すまい給付金」の対象になるのかみていきましょう。
対象となる新築住宅とは「人の居住の用に供したことのない住宅であって、工事完了から1年以内のもの」をいいます。
新築住宅の定義は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(「品確法」という)」や「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(「住宅瑕疵担保履行法」という)」における新築住宅の扱いと大体同じです。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・瑕疵担保責任とは?期間・時効・免責について詳しく解説![/su_box]1)床面積が50㎡以上
マンションなどの共同住宅では、契約書等に記載される「壁芯(かべしん)寸法」ではなく、「内法(うちのり)寸法」による面積です。
2)施工中等に第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認された住宅
3)住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅
4)または住宅性能表示制度を利用した住宅など、施工中に検査を受けている住宅
また住宅ローンの利用がない場合は、次の要件を満たす必要があります。
5)住宅取得者年齢が50才以上
6)フラット35Sと同等の基準を満たす住宅
7)または住宅性能表示制度を利用した住宅など、施工中に検査を受けている住宅
1)床面積が50m2以上
2)1981年以降の「新耐震基準」を満たしている
3)売買時に第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認された住宅
4)既存住宅売買瑕疵担保責任保険へ加入した住宅
5)または住宅性能表示制度を利用した住宅など、売買時に検査を受けている住宅
また住宅ローンの利用がない場合は、次の要件を満たす必要があります。
6)住宅取得者年齢が50才以上
「すまい給付金」の申請は、住宅取得者(持分保有者)がそれぞれ行います。
(登記上、住宅の持分保有者が複数名いる場合はそれぞれが申請します)
給付金受領者は原則住宅取得者本人ですが、住宅事業者による代理申請・受領も可能です。
申請は入居後に所定の給付申請書に必要書類を添付して申請を行います。
申請期限は住宅の引渡しを受けてから1年以内としていますが、2018年現在は1年3ヶ月に延長しています。
申請書類はホームページからダウンロードできますし、記入方法もPDFファイルに記載されています
[申請書類のダウンロード|すまい給付金](http://sumai-kyufu.jp/download/index.html)。申請方法は全国に設置する「すまい給付金申請窓口」へ持参することもできますし、または「すまい給付金申請係」への郵送も可能です。
なお、窓口に指定されているのは地域の建材卸会社や建築住宅センターなど、申請以外でもお世話になっているところが多く、足を運びやすくなっています。
事務局で審査を行なったあと申請後1ヶ月程で、郵送で通知が届きます。振込は通知が届いてからさらに1ヶ月程かかります。
不備のないよう注意してください。
「すまい給付金」は住宅ローン減税の恩恵を受けづらい住宅取得者にとって、非常に有意義な制度です。
給付金の利用は任意ですが申請方法も決して面倒なものではありません。
「すまい給付金」の支給要件を満たす方・世帯は、ぜひとも支給を受けられると良いでしょう。