・宅建業者に対する監督処分
※免許取消処分は、免許を管轄している免許権者にしかできない
※指示処分と業務停止処分に関して、甲県に本店、乙県に支店があり大臣免許の場合で、乙県で違反行為をした場合には、免許権者である国交大臣と管轄地の乙県知事は処分ができるが、甲県知事は管轄外のため処分ができない
・指示処分事由
・業務に関し、取引の関係者に損害を与えたとき、または損害を与えるおそれが大であるとき ・業務に関し、取引の公正を害する行為をしたとき、または取引の公正を害するおそれが大であるとき ・業務に関し、他の法令(住宅瑕疵担保履行法を除く)に違反し宅建業者として不適当と認められるとき ・宅建士が監督処分を受けた場合で、宅建業者の責めに帰すべき事由があるとき ・宅建業法の規定または住宅瑕疵担保履行法における保証金の供託義務に違反したとき |
※宅建業法ではない(たとえば建築基準法などの)違反であっても、業務に関する違反であれば必要な指示処分をすることができる
・業務停止処分
1年以内の期間を定めて、業務の全部または一部の停止を命ずることができる |
※業務停止処分中も、免許の更新をすることはできる
・免許取消処分
①任意的免許取消事由…免許権者は任意で免許を取消すことができる
・免許に付された条件に違反したとき
・宅建業者の所在や事務所が確知できず、公告して30日が経過しても当該宅建業者から申出がないとき
・営業保証金を供託した旨の届出がないとき
②必要的免許取消事由…免許権者は必ず免許を取消さなければならない(✕取消すことができる)
・宅建士に対する監督処分
※登録消除処分は、免許の登録を管轄している都道府県知事にしかできない
※国土交通大臣が宅建士を監督処分することはない
※処分を受けた宅建士は、登録している都道府県知事に対して、直ちに宅建証を提出(事務禁止処分の場合)、または返納(登録消除処分の場合)しなければならない
※都道府県知事は、たとえ届出がなかったとしても、宅建士が死亡していることが判明した場合には、登録を消除しなければならない
・事務禁止処分
1年以内の期間を定めて、宅建士としてすべき事務の全部または一部の禁止を命ずることができる |
※他人に自己の宅建士の名義の使用を許した場合は、直ちに登録免許消除というわけではない(事務の禁止処分を受けることはある)
・監督処分の流れ
※免許権者は原則として、あらかじめ公開による聴聞(✕書面による弁明の機会の付与)をしなければならず、該当の宅建業者や宅建士に対して公開の聴聞の1週間前までに通知・公示をおこなわなければならない。ただし、宅建業者の事務所の所在を確知できない場合には(連絡のしようがないため)、官報または都道府県の公報でその事実を公告し、30日が経過しても当該宅建業者から申出がないときには、聴聞をおこなわずに免許を取消すことができる
・通知・公告の要否
公告 | ・公告は、大臣の処分の場合は官報、知事の処分の場合は広報やサイトなど適切な方法おこなう ・宅建業者に対する業務停止処分・免許取消処分の場合は、公告が必要 ・宅建業者に対する指示処分、宅建士に対する処分の場合は、公告は不要 |
通知 | ・業務地・行為地を管轄する知事が指示処分等をした場合は、その知事は免許権者等に対して通知しなければならない |
その他 | ・国土交通大臣は、その免許を受けた宅建業者が消費者保護のための一定の規定に違反したこと(重要事項説明をしなかった場合など)を理由に監督処分をおこなうときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならない |
※相手が知事の場合は「通知」、国土交通大臣の場合は「報告」という
・罰則の種類
①3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金) または併科 ・不正の手段により免許を受けた ・無免許で宅建業を営んだ ・名義貸しで他人に宅建業を営ませた ・業務停止処分に違反して営業した ②2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 または併科 ・重要な事実の告知義務に違反した ③6ヵ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 または併科 ・営業保証金の供託の届出前に営業開始した ④100万円以下の罰金 ・専任の宅建士の設置要件を欠いた ⑤50万円以下の罰金 ・5点セットの設置義務に違反した ・国土交通大臣または都道府県知事から指定された職員による立入調査を拒否した ⑥10万円以下の過料(行政罰) ・宅建士証の返納・返還義務に違反した ・重要事項の説明時に宅建士証を提示しなかった |
※①~⑤は裁判所による刑事罰。⑥は行政罰
※指定流通機構(レインズ)への登録義務違反については、罰則の規定はない
※宅建士が重要事項説明以外のときに取引の関係者から宅建士の提示を求められて提示をしなかったときには、過料に処せられることはない