・不法行為
不法行為 | 一般債権(債務不履行など) | |
履行遅滞の時期 | 不法行為の発生時(✕請求時) | 本来の債務履行を請求する時 |
消滅時効 | ・損害および加害者を知ったときから3年(生命・身体侵害は5年) ・不法行為時より20年 | ・権利を行使できることを知ったときから5年 ・行使できるときから10年(生命・身体に関わるものは20年) |
過失相殺 | 被害者の過失を考慮することができる(任意的) | 被害者の過失を考慮しなければならない(必要的) |
・相殺
・善意かつ物損などでは相殺が認められる。悪意による不法行為や生命・身体の侵害による場合は、加害者の受働債権としての相殺は認められないが、被害者から自働債権としての相殺は認められる(ただし、不良行為債権が第三者に譲渡された場合には、譲受人に対しては加害者からも被害者からも相殺することができる) ・裁判所は当事者が過失相殺を主張していなくても相殺による減額を考慮できる ・時効消滅以前に相殺できる状態にあった(相殺適状にあった)ものは、たとえ時効が来て消滅しても、さかのぼって相殺することができる。ただし時効消滅後に譲り受けた債権は適用されない ・差押さえられる前に相殺できる状態にあった(相殺適状にあった)ものは、たとえ第三者に差押えられても、さかのぼって相殺することができる ・相手の自働債権に抗弁権がある場合には相殺できないが、自身の受働債権に抗弁権がある場合には相殺できる(抗弁権の放棄は不利になるため、本人が承知のうえであれば放棄して相殺できる) |
※自らが持ちかける相殺を「自働債権」、相手から持ちかけられた相殺を「受動債権」と呼ぶ
・共同不法行為
複数人が共同して不法行為をした場合、被害者は全員に対して同時に全額を請求できる ※共同不法行為者は各自が連帯して損害賠償責任を負う(不真正連帯債務) ※連帯債務者の1人に生じた事由は他の債務者に影響しない(相対効)。たとえば1人が債務を承認してその者の消滅時効は更新されても、他の連帯責任者の債務の消滅時効までは更新されない |
※たとえ即死の場合などで、被害者からの意思の表明がなかった場合でも、相続人は慰謝料請求権を相続し、相手方に請求することができる
・使用者責任
業務中に不法行為をおこなった場合に、使用者にも責任を負わせることができる仕組み(業務中の交通事故など)
不真正連帯債務 | 被害者は、従業員(被用者)と会社(使用者)の双方に全額を請求できる ※従業員の選任監督について相当の注意をしたとき、相当の注意をしても損害が発生したことを証明したときは、使用者は責任を負わない |
求償権 | 会社が賠償した場合は信義則上相当額を従業員に求償できる(全額ではない) 従業員が賠償した場合に、会社に求償することもできる(逆求償) |
※連帯債務の状態になる。たとえば片方に消滅時効が成立しても他方も当然に消滅するわけではない
・工作物責任
工作物の瑕疵によって他人に損害を加えた場合に、責任を負う
(例)ビルの外壁が崩れて通行人が怪我をした
一次的責任 | 占有者が責任を負う(必要な注意をしたことが認められれば責任を負わない) |
二次的責任 | (占有者の責任でない場合には)所有者が無過失責任を負う(必要な注意をしていても認められない) |
求償権 | 他にも責任がある者が存在する場合は、その者に求償できる(建設会社など) |
※安全性に欠ける設計や施行をした場合には、設計者や施行者も、契約関係にない被害者に損害賠償責任を負うことがある
・相隣関係