賃貸は契約をしてすぐに引っ越しが出来るわけではなく、いくつかの段階を経て最終的にカギを受け取って入居が出来るようになります。
そして私の経験上、何も考えずに契約を進めるよりも申込者である皆さん自身がある程度流れを把握をしておくことをオススメします。
なぜなら、全体の流れを知らずに契約を進めてしまうと完全に不動産屋頼みになってしまい、もし仮にその不動産屋の担当者が経験不足な営業マンだったりしたら契約が滞ってしまったりする可能性があるからです。
筆者が初めて賃貸契約をしたとき、担当の営業マンが保証会社の審査結果を私に連絡することを完全に忘れていたようで、結局こちらから問い合わせをして初めて審査に通っていることを教えてもらいました。
私が事前に「どれくらいで審査結果が出るか」というのをある程度把握していたから不動産屋に連絡が出来たものの、知らなければもう数日審査結果を知るのが遅れていた可能性もあります。
そのときは特に引っ越しを急いでいなかったので大きな問題にはなりませんでしたが、早く契約を進めたいと考えている人がこのような対応をされるときっと困るはずです。
というわけで本記事では賃貸契約の流れや必要書類、契約に際しての注意点などを紹介させていただきます。
是非参考にしてください。
目次
契約の流れ
一般的な入居までの一連の流れは
- 1.物件案内・仮申込み
- 2.本申込み
- 3.審査
- 4.初期費用振り込み
- 5.契約
- 6.引き渡し
となります。
※不動産屋によって手順が微妙に変わるので最終的には不動産屋さんの指示に従ってください。
物件案内・仮申込
WEBサイトや電話で気になっている物件の申し込みをしたら物件の現地案内からスタートします。
物件案内が終わって申し込みの意思がある旨を伝えるとその場で仮申込書を書くケースが多いです。
仮申込み書は「名前」「住所」「連絡先」「生年月日」といった申込み者に関する基本的な情報を記載します。
この仮申込みをしておくことで部屋の確保、いわゆる「仮止め」をすることが出来ます。
つまり後から「この部屋を借りたい」という人が現れても仮止め期間中は自分が優先的にその物件と契約が出来るということです。
仮止めが出来る期間は3~4日程度が一般的です。
仮申込みの段階でキャンセルをしてもキャンセル料が取られることはありませんし、申込書自体には法的拘束力はないのであまり気負わずに記入しましょう。
本申込み
仮止め期間中に申し込みの意思が固まったら本申込みをします。
本申込み書には実際に審査を受けるために必要な「勤務先情報」「緊急連絡先」「連帯保証人情報」といった情報を記入します。
賃貸契約では保証人が必須なのであらかじめ親族に根回ししておきましょう。
審査
物件案内が済んだら次は入居審査があります。
審査には大きく分けて2種類あり、大家さんが行う審査と保証会社が行う審査です。
大家さんの審査
まず大家さんの審査はどの物件を申し込む場合でも必ずあり、主に「支払い能力」「人間性」といった点が見られます。
大家さんとしては毎月家賃が振り込まれないと困りますし、近隣トラブルを起こすような人には入居はしてほしくないからです。
保証会社の審査
近年は保証会社の申し込みを入居条件とする物件が多く、連帯保証人を立てていたとしても加入必須のケースが多いです。
保証会社の審査では「支払い能力」が見られます。
ただし連帯保証人を立てている場合には本人の支払い能力よりも連帯保証人の属性が主な審査対象になるケースが多いです。
審査の際には保証会社から連帯保証人に電話連絡が行くので事前にその旨を伝えておきましょう。
大家さんの審査と保証会社の審査、いずれの場合も審査結果は3日~7日程度で通知が来るはずです。
10日を過ぎても連絡が来なければこちらから電話して確認してみましょう。
初期費用振り込み
無事に入居審査が終わると不動産屋さんから敷金・礼金といった初期費用の振り込みを求められます。
ちなみに初期費用に関しては、契約日までに全額振り込みを求められるケースや、契約前に手付金という形で初期費用の一部の振り込んでから契約日に残額を手渡しするケースがあったり、不動産屋によって扱いがまちまちなのでその辺は不動産屋の指示に従いましょう。
また、契約日に振り込み伝票の原本かコピーを持ってくるよう求められることが多いので、銀行で振り込みをしたら伝票は必ず取っておきましょう。
契約
審査が無事に通って初期費用の振り込みが住めばいよいよ賃貸契約です。
不動産屋から重要事項の説明と契約書の読み合わせが終わったのち、重要事項説明書と契約書の両方に署名捺印をします。
(初期費用を一部しか支払っていない人は重要事項の説明後に残りの初期費用全額を支払って契約完了という流れになります)
引き渡し
契約が終わると物件の鍵を受け取ることができ、鍵の受取をもって物件引き渡し完了ということになります。
(中には引き渡し後に不動産屋との入居立ち会いがありキズ等のチェックをする場合もあります。)
以上が賃貸契約の一連の流れです。
必要書類
申し込みから物件の引き渡しまでの間に不動産屋から以下の書類の提出を求められます。
- 本人確認書類
- 収入証明書
- 住民票
- 印鑑証明書・実印
- 通帳・届出印
それぞれ詳しく見ていきたいと思います。
本人確認書類
まず、本申し込みの際には本人確認書類のコピーの提出を求められます。
その際に本人確認書類として認められる書類は以下の通りです。
運転免許証 | 表・裏両面 |
運転経歴証明書 | 表・裏両面 |
健康保険証 | 表・裏両面 |
個人番号カード | 表面 |
パスポート+住民票 | 住民票は発行から3ヶ月以内 |
住民基本台帳カード | 顔写真・氏名・住所・生年月日記載のもの |
収入証明書
本申し込みの際に記入した「勤務先」や「収入」に相違がないか確かめるため、申込み書と一緒に収入証明書の提出が求められます。
ちなみに「収入証明書」という名称の書類があるわけではありません。
会社員の場合であれば源泉徴収票、自営業の方であれば納税証明書や確定申告書が自身の収入を証明する有効な証明書になります。
会社員 | 源泉徴収票 |
自営業 | 納税証明書、確定申告書 |
住民票
賃貸の契約日に住民票の提出が求められるので役所で取得しましょう。
本申し込み後に提出した「本人確認書類」の住所が現住所と一致しているか確認するためです。
そのため住民票に関しては発行してから3か月以内の新しいモノではと有効ではないという点に注意してください。
印鑑証明書・実印
賃貸の契約日に重要事項説明書と契約書の押印は認印ではなく実印が必要になります。
また、実印が実際に役所に届けられたモノと一致していると証明するために印鑑証明書もセットで必要です。
自動車を購入したことがある人であれば既に印鑑を届出ていると思いますが、学生の方や新社会人の中にはまだ印鑑を届出ていないという人もいると思うので、役所にいって早めに手続きを済ませましょう。
通帳・届出印
家賃の引き落とし口座として設定するために契約日には通帳の提出が求められます。
また、口座開設の際に銀行に届け出た印鑑もセットで必要になります。
ちなみに通帳と届出印が一致しないと引き落とし口座の設定が完了できないので、事前に銀行に寄って届出印が一致しているか確認しておくことをオススメします。
注意点
入居前に不動産屋さんに確認しておいた方がいいことや注意した方がいいことを紹介させていただきます。
古紙の回収日・場所を確認
燃えるゴミやプラスチックゴミは毎週決まった曜日に回収される地域がほとんどですが、古紙に関しては地域によって回収日や回収方法に差があります。
普通に自治体による行政回収の地域もあれば、新聞販売ルートでの回収がされるケースがあったり、月に1回だけ町内会や子ども会で回収をしているから燃えるゴミやプラスチックゴミと同じ場所に捨ててはいけないケースがあったりと地域によってまちまちです。
燃えるゴミやプラスチックゴミと同じ場所に捨てていると大家さんから怒られる場合があるので、古紙の回収日や回収場所は事前に不動産屋さんに確認しておきましょう。
付帯設備の使い方
大抵は物件の引き渡し前にガス、トイレ、お風呂、冷暖房、乾燥機といった付帯設備の説明書がファイルに入れられて渡されるので問題ないと思いますが、念のため物件案内の際には自分自身で使ってみて、分からないことがあればその場でしっかりと説明を受けておきましょう。
ちなみに筆者は「付帯設備なんてどこの家でも使い方は同じだろう」と考えて現地案内の際は一切説明を受けませんでしたが、引っ越し後に風呂場の乾燥機のリモコンがずっと点滅していて、どうすれば消えるのか分からずに小一時間奮闘したことがあります。
特に新築物件とかは従来とは使い勝手が異なるような新しい設備が導入されていることもあるので要注意です。
インターネット回線
大家さんが全部屋分のインターネット回線を一括で契約しているようなインターネット無料物件であれば引っ越し当日からインターネットに接続できます。
しかし中には「回線は敷設されていますがプロバイダだけは各入居者さんが契約してください」っていうパターンがあり、こういうケースだとプロバイダに申し込みをして接続機器が届くまではインターネットが使えません。
なのでプロバイダは別途契約かどうかというのは事前に確認しておきましょう。
最後に
契約ということはつまり法律行為をするということなので、慎重になるに越したことはありません。
事前にしっかり全体の流れや必要なものを把握してから契約に臨むことをオススメします。
本記事が皆さんの賃貸契約のお役に立てれば幸いです。