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週刊ビル経営に掲載していただきました!(その16)

弦本ビル4階住居をリノベーション中

仲間や入居者と一緒にDIY

東京メトロ東西線「竹橋」駅から徒歩3分、「神保町」駅から徒歩4分の場所に建つ「弦本ビル」。飲食店舗やコワーキングスペース、オフィス、そしてシェアハウスと、食住職の揃う複合ビルだ。
 現在、4階のシェアハウスにてDIYリノベーションを実施している。

きっかけは新型コロナウイルスだった。オーナーの弦本卓也氏は「2月、3月という新年度からの生活を準備するタイミングでコロナ禍が拡大してしまったことで、新規の入居者を募集するタイミングを逸してしまいました」と話す。3密回避の対策も考え、4階の個室化に向け動き出した。

今回のDIYで主導的な役割を果たしている人物が3名いる。現場リーダーの眞見友輔氏、内装デザインの森田啓介氏、そして撮影などを担当したカメラマンの梶直輝氏の3名だ。各氏の経歴はユニークだ。

眞見氏は「パーリー建築」を日本全国で展開する人物。この「パーリー建築」とは「改修する物件に住み込んで、施主や地域の人たちを巻き込みながら一緒に物件をリノベーションする活動」だ。

森田氏は建築図面を視覚的にわかりやすりように3DCGで再現することに長けている。特に図面はプロでないと、その図面からどのような物件ができあがるのか想像しづらい。そのような建築側と施主の意思疎通をテクノロジーで解決する。

梶氏は元銀行員で、その後に日本一周。現在はカメラマンとして全国を飛び回りゲストハウスなどの撮影を行っている。この3名とオーナーである弦本氏や入居者が一緒になって、リノベーションDIYを実施。電気工事など資格がいる工程を除いて、自分たちの手で個室シェアハウスへと変えた。

オーナー・入居者の思いより強く

弦本氏や入居者は建築に関しては素人。それでも彼らが一緒になって進めていくことに「パーリー建築」の醍醐味があるようだ。

「オーナーや入居者と一緒に進めていくことによって、自分たちが利用しやすいようにつくっていくことも可能ですし、何より場所により愛着を持てるようになる。工程ごとに教えながら進めていくため、参加者のスキルアップにつなげられます。工費も大きく抑えることが可能です」

リノベーションDIYを進めていく上でイメージを具現化するのに寄与したのが、森田氏が手掛けた3DCGによる建築図面の具体化。誰もがわかりやすく視覚化することで、よりオーナーや住人の思いを反映することができた。

一方で眞見氏や森田氏のような建築のプロと、プロではない人とではコミュニケーションが難しかったりもする。梶氏はDIYリノベーションの過程の撮影をしながら、DIYにも参加し、そしてそれぞれのコミュニケーションの懸け橋にもなった。オーナーや住人の思いを汲み込むためにヒアリングしていくことも重要。既存の工事業者の施工とは異なる点といえる。

新型コロナウイルスの影響で行ったDIY。オーナーである弦本氏や入居者にとって、より思いのある物件へと進化していきそうだ。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。