経済学者カール・マルクスが1867年に出版した『資本論』は、資本主義の本質を深く分析した1冊です。資本家と労働者の関係や、資本がいかにして増えるのかを学ぶことで、資本主義社会でいかに生きるべきかを考えてみましょう。
なお、 今回は書籍として読みやすい『超訳 資本論』とともに紹介します。
また、不動産投資の本については、以下でもおすすめしていますので、ご参考ください。
『資本論』読書ノート
超訳 資本論
資本家と労働者の関係は?
- 資本家と労働者は互いに相対する関係
- 資本家の収入=労働者の生み出す価値-労働者へ支払う報酬
- 労働者の労働力は資本家のものとして自由に使われる
- 労働者は決まった金額で労働を提供する現代の奴隷である
- 労働力の成果は無限大だが、労働力の源泉となる生活費は固定化されている
商品の価格はどのように決まるのか?
- 商品の価格は、それを作り流通させるためにかかった労働の量から決まる
- 消費されて初めて対価がもらえるので、資本家も労働者もいずれも、価値を提供したあとにお金が手に入る
消費と投資の違い
- お金→商品、では単なる等価交換の消費である
- お金→商品→お金+、では投資といえる(商品を仕入れて販売する、材料を仕入れて完成したものを販売するなど)
資本家に資本が集まる仕組み
資本家に資本が集まる仕組みは、同時に労働者が搾取される仕組みでもある。仕組みをつくるためのキーワードは下記。
①事業の規模
②分業と協業
- 資本家は、労働を分業させることによって、労働者が一人では独立できないようにする
- 労働者は分業されることで、組織の歯車になってしまう
- 一方では資本家にとっては労働者に、分業してもらい専門性を身につけてもらったほうが生産性が高まる
- 分業すればするほど単純作業となり、労働単価が下がり、機械で代替されやすく、労働者が不要になることで、労働力は安くなる
- 一括化や集中化を進めることで、生産性は上がる(人を1箇所にまとめる、同じ作業を1箇所でおこなう)
③テクノロジーの進化と大量生産
- テクノロジーが進化することで、資本家は労働者の生産性を高くすることができる
- 労働者の生産性が上がると価格が下がるため、資本家の利益率は下がるが、スケールメリットが出ることで、利益額は増える
- また、商品が安くなることで、労働者の生活コストが下がるため、賃金を下げることができ、さらに生産性を高めることができる
- 労働者が最低限の生活がしやすければしやすいほど、労働者は安く雇える
④労働時間外のお金や時間
- 時給制は労働者の調整や交換がしやすい制度である
- 直接的に労働していない勉強や休息、サービス残業などの無休労働の時間は、資本家が目に見えないかたちで労働者から搾取している時間である
- 同様に、勤務時間中の飲食や自己啓発などのお金の投資も、実際には労働のためであり、資本家の利益になっている
⑤古い価値観
- 勤勉が美徳、努力は報われると思われているのは、価値観を植え付けられている
⑥やりがい
- 資本家は労働者に、やりがいや、自己成長のために働いていると思わせる
- オフィスに閉じ込めて、サークルのような雰囲気を作る
⑦失業率の増加
- 失業率が高まるほど、労働者の競争が激化して、より安く労働してもらえるようになる
資本は雪だるま式に増えていく
- 短期間で販売をし、資本の回転率を上げることで、資本はより増えるようになる
- 資本家の資本が増えれば増えるほど、他の労働者を雇用する余力になり、さらに増える構造となっている
- 買収をおこなうことで資本を集中させると、生産性は総和以上の効果がある(スケールメリットとなる)
- 製薬会社などは、研究開発費のない中小企業を買収していっている、寡占化が進むと価格の決定権が出てくる
- 選択と集中により工場を持たないなど、事業ドメインを狭める戦略も最近は流行ってきてはいる
- 小さな資本は大きな資本に生産性の観点で負けてしまう、大きな資本は結果的により大きくなっていく
- プラットフォーム側に立つとそれ以外のプレイヤーをすべて飲み込める
恐慌が起こる原因
- 恐慌は、資本家が資産を早く拡大したいと思い、レバレッジを上げたときに、少しの価格低下が引き金となってストップロスを連鎖させることが原因となっている
その他の感想
- 『21世紀の資本論』(トマ・ピケティ)も読んでみたい
- 不動産は万人が同様の相場観や知識があるわけではなく(情報の非対称性)、合理的に判断されるものでもない
- 給与を増やすのではなく、労働時間を減らし、仕組みをつくる時間をつくりたい
超訳 資本論
また、不動産投資の本については、以下でもおすすめしていますので、ご参考ください。