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不動産経営者倶楽部で登壇しました!

※この記事は、2021年11月9日に開催された「不動産経営者倶楽部」で発表した「弦本ビル紹介」についての書き起こしです。

目次

若手ビルオーナーがイチから始める不動産経営

それでは、よろしくお願いします。

本日は、「若手ビルオーナーがイチからはじめる不動産経営」ということで、私、弦本から発表させていただきます。

登壇のきっかけ

今日のお話のきっかけなんですけども、後ろにいらっしゃる編集長の萩原さんから突如オファーをいただきまして、今日お話させていただくこととなりました。

いつも弦本ビルの取材をしてくださっていて、昨日の夜に数えたら17回ですかね、記事にしていただいていて、半年とか5ヵ月に1回ぐらいは週刊ビル経営に取り上げてくださっているので、編集長にいつもお世話になっていますということで、今日はよろしくお願いします。

ということで、今回お話する機会をお受けさせていただきました!

タイトルなんですけども、萩原さんにおそらくつけていただいたと思うんですけど、「若手ビルオーナーがイチからはじめる不動産経営」ということでして。

私、そんなに若手ではないのかなと思っていますが(笑)

今年34歳なんですけれども、今日、会場見たら若い方も多くいらしていると思いますので(笑)

同じ視点でといいますか「こんな例もあるんだ」という感じで聞いていただければな、というふうに思っています。

また、おそらく今日はベテランの方もたくさんいらっしゃっていると思いますので、温かい目で見守っていただきつつ、ひとつの事例として「イチからはじめてこんな活用の仕方があるんだ」みたいなことを持ち帰っていただければなというふうに思っています!

自己紹介

あらためて、自己紹介をさせていただきます。

「弦本 卓也」ともうします。34歳です。

生まれが、九州でですね、生まれてから関東の方に出てきました。ご先祖様が、相撲が強くてですね、僕も結構ガタイがよくて、「ラグビーとかやっていたの?」とかよく聞かれるんですけど(笑)

相撲が強かったということで、喧嘩っ早いご先祖様だったんですけど、弓ですかね、相撲って勝つと弓取り式とかで弓持って舞ったりするらしいんですけど、弓をよく相撲で勝ってもらって、それを玄関に飾っていた本元の家ということで、「弦本」という名前になったそうです。

さっそくメモとかしてくださってありがとうございます。(笑)日本全国で400人ぐらいいらっしゃるそうです。

ご先祖様は「相撲」なんですけど、私は「スーモ」というリクルートの、ちょっとモフモフした緑のキャラクターで有名なんですけど、住宅の情報というのを、サービスをするところで働いております。

今日もちょうどお休みをもらって来ているんですけども、「相撲」と「スーモ」ということで「弦本」覚えていただければと思っています。

主な活動としては、まずはリクルートです。新卒で入り今年で11年目です。不動産広告のスーモで7年ほど、ウェブマーケティングやメディアの企画や開発などをさせていただきました。現在はITの部署で組織の企画や人事、組織活性、組織戦略みたいなことをお仕事としてさせていただいています。

副業としては、リクルートは副業がOKな会社なんですけど、今まで3社起業しまして、「一人ひとりの可能性を生かす選択肢を提供する」というコンセプトで、専門性を持つ学生さんだったり、若手社会人の人たちを応援するみたいテーマで、様々な副業をしてきました。

3つ目が今日のメインになる「弦本ビル」です。こちらは購入して現在7年目になりますが、5階建ての小さなビルです。本日はこのお話をさせていただきたいと思っております。

それ以外でも、著者としてですね、本も出しておりまして、今日はみなさんにぜひお配りしたいということで、ご用意させていただいたんですけれども、お手元にある『超ど素人がはじめる不動産投資』という本を翔泳社さんから出版しました。

おそらくみなさん詳しい方だと思うので、基礎的な本になってしまうかもしれないですが、ぜひ参考にしてみていただければと思っております。

人生のテーマ

次に私のテーマなのですが、人生のテーマがあります。大きく4つありますが、ひとつめが「恩送り」といって、上の方々からしていただいたこと、先人にしていただいたことを今の仲間だったりとか、後輩たちに恩を送っていくみたいなのをテーマに活動しています。

それから、「三方よし」という、これは近江商人が「売り手よし買い手よし世の中よし」といって、三方向がよいビジネスをやっていきましょう、という意味でつくった言葉だと思うんですが、それを大切にしています。

もうひとつが、「一人ひとりの可能性を世の中に!」ということで、輝いている人だったりとか、これから輝きそうな人などと一緒に、その彼らが持っている可能性を引き出して世の中に発信していくみたいなことをテーマとしてやっています。

それから、幸せな個人や組織を増やしていけたらいいなと思って、そういう仕組みを作っていきたいと考えています。それもあって、今はリクルートで人事の組織開発だったりとか、組織活性だったりを行っていて、これからお話させていただく弦本ビルの話でも、こういったことを心がけて活動しています。

リクルートでの活動

まず、リクルートについてなのですが、そもそも私は高校に進学する際には理系を選択しました。結構勉強も好きだったんですが、理系に進んで文系は自分で勉強したいな、と考えていました。ちょっと意識高かったかもしれないですけど(笑)

高校では理系を選択して、大学では情報系を専攻しました。このころはライブドアの堀江さんやサイバーエージェントの藤田さんなどがすごく話題になったりしていて「これからはITだ」といった時代の風潮もあったので、プログラミングやITを学んで他の業界と掛け算をして、いろんな業界と連携できるのではないか思い、情報系を選択しました。

社会人はリクルートを選んだんですけど、これも進路の選択と似ていて、様々な事業をあまり絞らずに経験したいと思ったので、「じゃらん」だったり「ゼクシィ」だったり「ホットペッパー」だったり「リクナビ」だったり「スーモ」だったり、と様々な事業をやっているリクルートに入りました。

こちらが入社後の社内での経歴なんですけれども、まず最初に、ウェブマーケティングですね。たとえばリターゲティングというんですが、スーモで物件を探した後に、他のサイトを見てたときにバナー広告が表示されて追いかけてきたりとか、ちょっと邪魔だなということがあるかもしれないですが、そういう施策をやっていたりしました。他にも「この物件見ている人はこの物件も見ています」などといったレコメンドをしたりというのを、最初の2年間でやっていました。

その後に、メディアの商品企画ということで、実際にスーモに掲載するページの商品の企画であったり、「UI/UX」の見せ方をどうしようかなどといった企画や開発のディレクションをさせていただいたりしました。

その後は、組織開発や人事の仕事ということで、IT系の組織の開発であったりとか、人事の仕事をしております。

それと並行してなのですが、リクルートは新規事業が結構注目されているかとは思うんですが、毎年何かしら提案しようということで、様々な提案したりとか、最近だと審査員をやらせていただいたり、事務局をしていたりというのも、活動としてやっております。

また、スーモで働いたことをきっかけに、プライベートでも不動産が大好きになりまして、毎年住む場所を変えてみたりとか、引っ越しだけでなく買ったり売ったりを繰り返しています。最近は新型コロナの影響で会社にもあまり行かなくてよくなったので、鎌倉に戸建てを借りて住んでいたりします。

ユーザー体験を大切にしながら、企画にも活かすように心がけていました。これはひとつの例として挙げているのですが、仲介のページで、営業の方への接客に関して、食べログのように「星いくつ」みたいなのを書くといった施策でした。これがスーモでやった仕事のひとつです。こういったことをしておりました。

副業や新規事業の活動

次に、副業や新規事業についてですが、共通しているのは「場づくり」です。人と場所とをくっつけることで、課題を解決するみたいなのをテーマに活動しています。

困っている人や困っている場所の気持ちになって可能性を見い出すというもので、困っているまた別の人だったり、別の場所とをマッチングして、それを組み合わせることによって、おたがいの課題も解決するしビジネスにもなる、というのをテーマにやっています。

具体的にどのようなことをしていたかという話ですが、ひとつ目が音大生の方の例です。これは社会人1、2年目ぐらいのころにやっていたことですが、音大とか音楽の専門性のある学生さんは、演奏したいという気持ちがある一方で、レストランにはピアノがあるものの弾かれていないといった課題があり、ここをマッチングすることによって、音大生が演奏するピアノイベントみたいなのを開催したりしていました。

音大生の人たちは自分たちで衣装を持っていたり、人前で演奏していろんな人に聴いてほしいというのもモチベーションになるので、ピアノが弾かれていないような場所で弾いていただいて、そこを活性化させるみたいなことをやっていました。

同様に、こちらは学生ダンサーさんの例ですが、大学生とか高校生などで、ダンスをやっている人たちですね、彼らもレッスン代やスタジオ代などを自分たちで出して練習していたりとか、大学ではよく反射する窓ガラスの近くで踊って練習していたりとかをしていたのですが、人前に立って踊るのが好きだったりするので、イベントをしたりしました。

そのときは渋谷だったのですが、クラブを借りてやりました。お店の方は、夜から朝までは結構盛り上がると思うんですけど、夕方の時間帯はあまりお客さんが入っていないので、その時間帯に借りてよい音や光やスモークなどを借りて、音楽を流しながらイベントをするのをやっていました。

18歳未満の人もいたので、はじめてのクラブデビューという感じもあったのですが、お酒は提供せずに、みんなでジュース飲みながらダンスを踊ったり見学したりするというのをやっていました。

また、こちらも似たような話なのですが、これは美大生ですね。

彼らは自分で絵を描くんですけど、作品をアトリエに置いておいてそのまま陽の目を見ないというのを課題に感じました。美大に見学に行かせてもらったときに、卒業するときには「絵を木枠から外してくるくるまるめて捨てちゃいます」みたいな話を聞いて、「それはもったいない」と思い、バーに飾らせてもらいました。

バーは、1杯1,000円のビールを飲むような方が来るところで、お客さんは知的な会話を楽しみたいというニーズもあるので、美大生の子たちに来てもらって一緒に最近の流行りの絵の話や知的な話をして、勢いで自分たちの絵を買ってもらう、みたいなのをやったりしていました(笑)

他にも、ここに挙げている6個ぐらいがあるんですが、美容師についてもやりました。

美容師さんはアシスタントの人で、このときは表参道の美容院だったのですが、アシスタントは100人ぐらい切らないとプロのスタイリストとして認められないと言われていて、近くに青学の大学生の子たちがいたので「髪の毛を安く切りたい」という学生さんたちに500円で切れるよといって呼んでいきました。最近は似たようなサービスも出ていたりしていますが、当時はそんなになかったので人手で頑張りました。すると結構むさい男の子がたくさん集まってですね、むさい男の子をよく切れるプロのスタイリストになりました(笑)

他には、教育系の大学生の子たちですね。「教育実習したい」「夏に海で遊びたい」といった学生さんたちを沖縄の離島に連れて行って、学習支援をしました。

沖縄は離島があって、活性化の補助金が多く出ていたりするので、行政がお金を出してくれたりするんですけど、そういったところからお金をもらって無料で沖縄の離島に行けるようにして、そこで教育実習生たちが勉強を教える、みたいなのをやっていました。

最後ですね、地方の「高専生」という高等専門学校の学生さんたちです。高専はプログラミングコンテストやロボットコンテストが有名で、「ゲームを作りたい」「ロボットを作りたい」という人たちが多いのですが、地方で就職することが多く感じました。

そういった人たちに、都内のIT企業で働く選択肢を提供することを目的に、無料で1週間東京に来て企業をまわる、インターンをするみたいなイベントをしたりとか、開発のコンテストをやったりしました。

少し長くなりましたが、こんな活動を元々しておりまして、「場づくり」などの活動に興味をもっていた人間でした。そんな私が出会ったのが今回のビルの話です。ビルでも同じ様に、場所を使って、これから可能性がある人たちを見い出していったり、輝ける場所を提供していったりといったことをやってきています。

弦本ビルの活動

今日の本題ですね。「弦本ビル」になるのですが、そもそものきっかけとしては、リクルートのスーモで働いていて、メディアを開発したり画面を作ったりとかをしていて、「いい企画を作るためには自分でも体験したい」と思ったんです。

広告を載せるだけでは、あまりリアリティがないというか。実際に家を買う人の気持ちや家を売る人の気持ちがわからないと、いい仕事、いい提案ってできないんじゃないかなと思っていました。そこで、自分で体験しようと思ったんですね。

最初は「いい企画を作りたいので、営業同行をさせてください」といって、営業部の先輩にくっついていって営業同行をさせてもらったりとか、実際に家を買った人や売った人にインタビューさせてもらったりとかしていたんですけど、それでもやっぱり全然、買う人の気持ちがわからなかったんです。

そこで、それは大宮駅だったと思うんですけど、営業同行をしたときに先輩に「いい企画を考えたいんですが、買う人の気持ちがわからないんです」と相談したら、「簡単だよ。買えばいいんだよ!」って言われて(笑)

「そっか」と思ってその2ヵ月後には新宿に新築戸建を買っていました(笑)

それが新卒で入社して2年目のときで、2013年だったのですが、新宿に新築の戸建で、借地権で4LDK3階建てだったのですが、買いました。

翌年には、今度は売却のプロジェクトにアサインされて、今度は「売る人の気持ち知らなきゃ」ということで、翌年にはそれを売却するという(笑)

仕事熱心なのかはわからないですが、自分で経験したいと思ったので、売ることにしました。

ちなみに、不動産を売るときにも結構な課題があると思っています。やはり、基準がないと言われるがままに金額をつけざるを得なかったり、自分でできることはそう数多くないので、結局最後は金額調整するぐらいしかできなかったり。売れるまで毎週のように案内に立ち会ったり、部屋を綺麗にして待たなきゃいけなかったりもありました。

インタビューで売れた人たちに話を聞くと、みんな口を揃えて「良かったです」と言うんです。でも実は待たされていたり、金額を妥協させられたりしているんだけど、満足して売れましたとなってしまっている課題がありました。

そういった課題に自分で気づくという意味でも、自分で経験するというのはすごい大事だと思いました。

そんなことをしていて、次の新しい暮らし方を模索していたときに、実際に戸建を買って売って、としたときにお世話になった仲介会社の方から連絡が来ました。

「弦本さん、面白いビルがあるので買いませんか?」という話です。おそらく「この人は短期間で売買してくれて手数料も稼げるし、物件も面白く活用するからなぁ」というふうに感じられていたようです。

この営業の方は、投資家にビルを仲介することが多かったので、お金の計算ばかりの人たちを相手にしていて面白くなかったみたいです。そのようななかで、弦本が戸建て買って地方の就活生を泊めてあげて就活支援の場所にしていたりとか、ただ買うだけではなく活用もしているのが面白いと思ってくださったみたいです。ということで、このビルと出会いました。

場所は、東京の真ん中の方にあり、皇居のすぐ近くにあります。最寄り駅は竹橋駅や神保町駅ですね。千代田区にあります。

今日はみなさんお連れすることはできないので簡単にアクセスをご紹介しますと、神保町駅を降りましてですね、学士会館の方に歩きまして、ここを左折しましてですね、そこから右に曲がりましてですね、ミニストップ、これがたしか日本で一番売れているミニストップだったかな。記念すべきミニストップだった気がするんですけど、そこを曲がって、神田の税務署を裏の方に行って、ドラッグゴトウさんの角を左折してですね、少し行ったところにある中華屋さんのある茶色いビルですね。こんな外観となっております。

物件のスペックとしては土地が114平米、建物が1階、2階、3階、4階、5階とこんな大きさの建物となっております。これが実際の図面ですね。

レインズにも掲載されていたのですが、結構画像も小さく載せられていて、もう2年間ほど、ずっと売れ残っていたビルだと聞いています。なかなか、このサイズは法人が買うには小さすぎるし、個人が買うには大きすぎるし、複数の用途が入っているということで、活用しづらいと思われていたのだと思います。

1階は中華屋さんですね。物件を買う前には偵察を兼ねて、実際にお客さんとしてご飯食べに行ったりしました(笑)

2階は少しプライベート感があるのですが、おじいちゃんが住んでいるといった感じでした。元々は事務所だったのですが、住居のように使われていました。

3階も古いですね、今は40年ほどですが、当時は築35年ほどでした。

4階も、これは引渡しの後に撮った写真なのですが、味のあるエアコンがあったりですね、畳の部屋といった感じでした。お風呂とかトイレとか。

5階もありまして、こんな感じですね。ちょっと洋風な感じですかね。後からビルの上に増築して建てたものとなっています。

私が買ったときにすでに築36年だったんですけど、もともと前のオーナーさんがビルを建てたときには、ご自身で1階で中華料理屋さんを、2階では麻雀屋さんをやっていました。神田はビジネス街なので、当時は雀荘が多かったらしいです。

麻雀屋さんを2階でやって、3階で店員さんが休憩して、4階と5階に三世帯で娘さんやお孫さんと一緒に住んでいたそうです。そして36年が経ったのですが、娘さんもご結婚されたり、お孫さんが産まれたりして、残って住んでいるのが4人といった状況でした。

年齢を重ねてお店にも立つのも難しくなってきたということで、貸して上の階に住んでいるような状態でした。

これを見て、少し「もったいない」と思いました。「もっと活用できそう」だと思いました。

このビルの理想は、食べるところ、住むところ、働くところが1つになった、コンパクトなビルというのが魅力だと思いました。「各階でそれぞれの用途を活かしながら、シナジーを生む建物にする」のが理想ではないかと思いました。

当時は27歳だったのですが「買います」ということで購入しました。これが買ったときの記念写真でが、無事に契約をしました。

当時は自分も20代だったということもあり、「20代の集まる場所にしたい」と想い、活用をさせていただきました。

契約してから引き渡しまでの1ヵ月間ですね、このときは結構怒涛の1ヵ月間でした。まずは、どういう場所にしたいかをいろんな建物を見に行って、研究しました。

どのようにビルを活用しているのかを見たり、コワーキングスペースやシェアオフィスなどにも実際に行ってみたり、イベントに参加したりしていきました。

このときは、めっちゃくちゃ夢が膨らみました。そしてその一方で、あることに気がつきました。

もちろん買うときまでは4人が住んでいたのですが、購入直後から2~5階はすべて空室になります。

そのため、契約から引渡までの1ヵ月以内に、入居者を探さなきゃならないことに気づきました。

このビルはローンを組んで買っていて、借地権で土地は賃貸で借りる形式なので、トータルで7,400万円で買いました。地代が毎月21~22万円かかるような物件なので、単純に毎月60万円近い出費があることがわかりました。

私は会社員なので、こんなに給料をもらっていたっけ、みたいな(笑)

これだけの大金を毎月必ず払って、それで生活できるのかと疑問に思っていました。当時は手持ちの資金のギリギリで購入したこともあり、買ってから空室が続くと、本当に3ヵ月~半年で破産するかもしれないと思い、ドキドキしながらいろんな人に相談していました。

「ビル買おうと思っています」「なんなら契約してあと1ヵ月です」と。

「この場所で、面白いことしませんか?「借りませんか?」みたいなのを会社の人や、いろんな人に会ってひたすら言いまくっていました(笑)

みなさんすごく優しい方で、貴重なご意見だとか「だったら紹介するよ」ということで紹介していただいたりもたくさんしました。ワクワクしながらも、前に突き進み続けました。

これはちょっとした小話のエピソードふたつなのですが、ひとつめが2階を借りてくれたテナントさんとの出会いでした。まず最初に会社の先輩に「ビル買います、面白いことしましょう」と声かけると、「面白いね」と大抵は言ってもらえるんです。そこで「それでは、借りてください」と言うんですが、でも借りるまでは至らない。

「その発想面白いね」とは言ってもらえるのですが、自分がやるかとなると、そこまでではないみたいな(笑)

面白いね!とは言うんですけど借りてはくれない。ということで、「借りてくれる人紹介してください」とお願いして、また次の人を紹介してもらって、その人に「ビルを買うんですけど」「借りませんか?」とひたすら言ってまわっていました(笑)

それでも大体の方は「面白いね」とは言ってくれるものの、借りてはくれない。そこで、また次の紹介をしてもらって、みたいな感じでした。

これは人づてで5人ほど紹介してもらったときのことだったのですが、この場では源さんというとご存じの方もいるかもしれないのですが、Livmo(リブモ)という会社を経営されている源さんに紹介していただいて、その人に借りてもらえることになりました。

以上がちょっとしたエピソードなのですが、「とにかく会いまくる」のは大事かなと思いました。

当時も平日の日中はリクルートで働いているので、昼休みの時間にタクシーに乗ってビルまで行って、そこで一緒に見学をして、1階の中華料理屋でご飯を食べて借りてくださいと相談するみたいなのを繰り返していました。

売買の契約はしたものの、まだ引き渡しの前だったので、売主の方もまだ住んでいるのに「すいません」などと言って(笑)毎回申し訳なかったのですが、いろんな人を案内していました。

ふたつめは、3階に入ってくださったテナントさんでした。

こちらは引き渡しをしていただいて、その翌日にお披露目パーティということで、3階のフロアで友達などを集めてお披露目のイベントをやっていました。そのときにはまだアイデアも固まっておらず、主催をしてくださった先輩に「どうする!?」「みんなでアイデア出そう!」といったポスターを作っていただき、アイデアなども募集していたのですが、まだ会場にしていた3階のテナントは決まっていなかったんです。

そのときに参加してくださった方が、その4日後にですね、「ビルを紹介したい」と言ってくださいました。1分も経たずに返事をしたところ、Facebookでテナントの候補の方とつないでいただきました。そこで、「この間イベントをしていた3階の部屋はどう?」と言われたので、「ぜひ」ということで、4分後には部屋の写真送りました。

その1時間後には、ほぼ契約を決めてしまい、「契約書の文言はこれでいいですか?」みたいなのをチャットで送って、「中身は問題ないです」ということで、その日の2時間半後には「最終確認お願いします。」みたいなやりとりをして契約が決まる、みたいなことがありました(笑)

そのときはもう深夜になっていたので、翌日現地にも来ていただいてその場で捺印して契約をしました。なのでこのポイントはですね、「とにかく契約を急ぐ」ということです (笑)

紹介してくださった方は個人でベンチャーキャピタルをされている方で、「契約の締結を眺めていて、このスピード感こそ、ベンチャーだなぁ」みたいな感じで、その方が一部投資をしているベンチャー企業さんに入っていただくことができました。

このようなこともあり、結果的には引き渡しを受けてから1週間後には、すべての部屋を満室にすることができました。なんとか、生きていくことができるようになりました。

「助かった…」という感じでしたね。

ということで、いろんな人に助けていただいて、かたちになってきました。

現在は別の組織に移行しているのですがが、2階には「TOKYO PRPDUCERS HOUSE」略して「プロハ」という名前で、コワーキング兼イベントスペースとして2階を活用していただきました。テナントさんとも歳が近くて1歳差なのですが、彼らが作ったホームページにも私も載せてもらったりとかして。

オーナーとテナントの関係というよりは、一緒にこの場所で面白いことをしていこうという関係で関わらせてもらいました。私も貸してるんだけど自由に出入りして使わせてもらっている感じでした。。

いろんな会員さんが入って、登記も柔軟に認めていたので、いろんな会社さんに登記もしていただきました。

20代や30代の「ひとり会社」を中心に、多くの会社が登記をしていました。企業支援であったり副業支援であったり、面白いものだと「無人島を活用します」みたいな事業であったり、「日本酒を自分のブランドで作っています」や、「ボードゲームを作っています」というものもありました。オウンドメディアの「SEOをやっています」というところや「バリ島の家具の輸入をしています」などもありました。あとはLGBT系の方がいたり、ARやVRのようなものをやっている方など、たくさんの方が、小分けのスペースで会員制なのですが、会員になってくださって一緒に活動をすることになりました。

ここ1年半ほどは、新型コロナの影響でそんなにイベントはできていないのですが、当時は朝は朝活で本を読む会をやったり、自分たちのスキルを交換する会みたいなことをしていたり、起業家が多いのでビジネスアイディアの壁打ちをしたり、副業を教える人たちに対しては副業の一歩先をいく先輩の話を聞く会をやったり。その学生さん版で、意識高い人を呼んで講援会をやったり、あとは地方系やキャリアのイベント、みんなで音楽を楽しむ会や、お酒を飲む会だったりですね、さまざななイベントを開催していました。

これは最初にはじめたころの掲示板なのですが、毎日ではないものの、2日に1回ぐらいでしょうか、イベントやって、いろんな人が集まってくれました。

オーナーの視点では、2階でイベントをすることによって、「3階を借りたいです」や「4階を借りたいです」というふうに、空室が出たときにすでに知っている入居者候補がすぐに入ってくれることもたくさんありました。

空いたときに「空きました」と言うと「私は次入ります」という感じです。このように、人が集まる機能がひとつのフロアにあると、他の階の空室対策にもなるのかな、と感じました。

それから、これも週刊ビル経営の萩原さんには面白がっていただいて、記事にしていただいたりしたのですが、ビルであるものの入居者がDIYをする、というのもたくさんおこなっていました。

入居者には借りてもらっていて、家賃も払ってもらっているんですけど、自分たちで自由に壁を塗ったりとか、床を剥がしたり、天井を抜いたりというのを認めていました。

このときは2週間ぐらいでしたが、だれかが「DIYするからみんな集まれ!」というと、普段はペンキを塗ったりなどの経験のない人たちも「面白そう」って言って集まってきてくれて。一緒に手伝ってくれたりして、面白くできたなというふうに思っています。

このようなかたちで、元々は「食べる・住む・働く」が一体になったビルを作りたいと思っていたんですが、うまくいって、むしろ入居者のみなさんのおかげで想像していた以上に素敵な場所になったと感じています。

「食べる・住む・働く」が一体となった例ですが、1階の飲食店からケータリングをして2階でイベントして交流会をするであったりとか、4階・5階が住める場所なので、2階でビジネスプランを考えて4階・5階で合宿するであったりしていました。

面白かったのは、3階に事務所を借りていた人が、2階で打ち合わせをして1階でご飯を食べて5階でシャワー浴びて、寝て起きて、といったビル内で完結するケースもでてきたことです(笑)

まさに、実現したかったところができたな、というふうに感じました。

こういった取り組みで弦本ビルは、社会人の若手や学生さんが中心になるビルになりました。そして、自分のやりたいことを実現する場所になりました。特に20代は、社会人になって3年ぐらい働いた頃に「ちょっと先が見えてきたな」と思うことがあると思います。「このままいくと何歳で課長・部長になって」「何歳でこういう仕事をするんだ」というのが見えてくると思います。

キャリアを考えなおすタイミングでは「何かをはじめたい」と思うことが多いと思いますが、「転職するほどではない」ということで「副業ではじめてみたい」という人が結構集まっていました。

そして、このビルで刺激を受けて、最初は副業ではじめたものの、そのまま起業してしまう、といった流れも多かったです。そういった人たちに刺激を受けたいという人や、実際にそういった人たちからの紹介もあって、さらに学びたい下の世代も集まってきました。結果的に、そういった人たちが集まる場所になりました。

これは入居者アンケートをとった「弦本ビルに入居するメリット」なのですが、1つ目は安いというのがありました。私が買ったのが7,400万円で、私の方でリフォームなどのバリューアップして高く貸すというよりは、安くてもいいのでそのまますぐに貸すスタンスでいました。その分、自分たちで好きなようにDIYをしてもらうようにしていました。その結果、家賃を低くできていました。

これから「新しい活動したい」という人たちにとっては、住む場所のクオリティというよりは、そこのコミュニティやビジネスチャンスに価値があると思って来てくれると考えています。個人的には、やりたいことがあれば、起業家の方々には自分たちの事業にお金を使ってほしいと思っていたので、少し悪い場所でも安ければいいな、みたいな感じで住んでもらっていたと思います。

2つ目が、立地がいいという点を挙げてもらっています。これは、お金だけではなく時間も節約できるということです。神保町なので、たくさんの場所から来やすいということもありますが、このビルの4階・5階に住んでいても、2階に打ち合わせのできるスペースがあるので打ち合わせをする際には相手方に来てもらいやすいと考えています。

起業家の集まる「面白い場所」で、ホワイトボードなどを使って長時間の打ち合わせもできるので、2階で打ち合わせをしてもらい、それ以外の時間でも自分のワークをすることができて、階段を上ればすぐ帰れるみたいな感じです。職住近接で、職場まで徒歩1分みたいな感じですね。立地がいいというのもよかったところです。コワーキングスペースを住民として利用できることができるので、24時間365日、自分で暗証番号入れて鍵を開ければ自分の家のリビングみたいな感じで使えます。

3つ目が、「自分のやりたいことが見つかる」「実現できる」ということです。このビルでは夜遅くまで仕事する人たちが結構多かったのですが、そういったところでも息抜きなどの交流が生まれたり、イベントスペースでも面白いイベントをこまめにやっているので、近くで仕事をしていたら「面白そうなので、一緒に加わったら?」などと誘ってもらえたり、「面白い人が来ているから紹介するね」などと交流が生まれて、仲間集めもできる、というのもよかったところです。

自分でやりたいビジネスが固まってきたら、お披露目会や発表会なども開催していました。まわりの人たちも聞きにきてくれて、アドバイスをもらえたり、応援してもらえたりしています。俗に言う「すごい起業家」の人たちではなくて、一歩先をいく、自分の半年、1年先をいくような先輩たちがいることで、すごい成功した人からすごい話を聞くのと違ったかたちで、自分の一歩先として進むべき先輩の話が聞ける場所なので、そういうところで、自分はどういうふうにしていったらいいかを深めたり、出会いを活かして一緒にビジネスしたり、というのがよく生まれていました。

こちらは最初の2冊として出した本です。これらはビルの入居者が出版社で働いていたこともあって、自費出版で作った本でした。入居者たちのインタビューをして、自分でビジネスをしていくためにどういうことをしてきたかをインタビュー形式でまとめました。これは結構、イベントに参加した勢いでモチベーションが高まって、勢いで買って帰ってくれたりなどして、すぐに売り切れてしまいました。オーナーとしては、そういった本を出版することで入居者の応援をしたりもしました。

4つ目ですね。これはもう話してしまいましたが、数々のイベントを開催しているいうことで、いろんな人と出会えるというところですが、さきほど言ったような一歩先をいく先輩の話をお酒を飲みながらざっくばらんに交流しながら聞けるイベントで、テレビや取材が来たりもして勢いがありました。

5つ目が、同じフェーズの仲間、そして先いく先輩と切磋琢磨できる!ということです。これは数多く立ち上げられたプロジェクトなどですが、こういったことをしている人たちの一員となって、一緒に活動できるということがいいところだと思います。

4階は新型コロナの影響で、密になるのはまずいということで、DIYをして個室に作り変えたりしました。

こんな感じで、たくさん進化してきた弦本ビルだったんですけども、たくさんのメディアにも取り上げていただきました。週刊ビル経営さんには大変お世話になっていて、ビル経営サミットでお話させていただいたり、ソリューションフェアに出させていただいたり、ビル経営アワードにも出させていただいたりですね、本日こういった不動産経営倶楽部でもお話させていただいたりしております。

今回、過去にどんな記事があったかをまとめてみたのですが、萩原さんには一面にカラーで記事を掲載していただいたりと、ビルの内外であったことの節目節目で、それぞれの出来事を紡いでくださったのがすごく嬉しかったです。

一番多く露出しているのが週刊ビル経営さんということで、たくさん記事を書いていただいております。3周年、4周年、5周年、とみんなで集まってやっていたり、DIYも取り上げていただいたりしました。最近は新型コロナもあったので、ZOOMでオンラインでイベントをやっている様子だったりとか、取材で出していただいたりしました。

それ以外にも、大学でコミュニティを研究するということで、これは慶応大学だったのですが、なぜ民間がやっているコワーキングスペースが上手くいっているのかであったり、どうしてビルでコミュニティが生まれているんだろう、といったことを研究していただいたり、大学でキャリアの授業をさせていただいたりもしました。

冒頭に弦本の自己紹介で、1つ目の話としてリクルートで働いているという話をしましたが、リクルートも結構、寛容でして、私が副業をやっていることやビルオーナーをやっていることも、むしろ取り上げてくれるみたいな感じで、すごく懐が深いなと思っています。

新卒採用のページで「圧倒的な当事者意識でダブルワーク」というのであったり、「27歳でビルオーナーへ。パラレルキャリアのモチベーションは」というのを書いていただいたりとかして(笑)

本業でも頑張っているつもりなのですが、いつも副業を取り上げていただけるという(笑)懐の深い会社です。

こうやって、いろいろ取り上げていただきました。

そして、ここからは私の成果ではないのですが、入居者もたくさんの成果をあげています。たとえば英会話のサイトを作っていた彼は、Weblioという会社に事業を売却することに成功しました。彼は最初に来た直後に事業が上手くいかなくなって、本当にお金もなくて、共同創業者と一緒に100円の菓子パンを買って2人で分け合って食べていました。家賃は3万円にしていたので、2人で住んで15,000円ずつで生活をしていました。近くのビルの警備員をやりながらもブログを書いて頑張って、この間売却できたのです。ものすごくよかった話で、私自身も入居者のみんなも、自分のことのように喜び合っていました。

他にも、これはZOZOに半分株を売った話なのですが、yutoriという古着の会社を共同で立ち上げたメンバーが住んでたり。まさに9月なので、つい最近なのですが、3階を借りてくださっていた会社さんがCrowd Worksという上場会社に株式を完全に売却するみたいこともありました。

私自身は、たまたまそこに居合わせさせてもらっただけなのですが、みなさんすごい活躍していて、ビルを持つオーナーとしては、テナントの成功はオーナー冥利に尽きるというか、嬉しいかぎりに思っています。

他にも住んでいる人たちにも、おめでたいことがありました。

こちらは、シェアハウスの入居者が結婚をしたのですが、その結婚相手の妹さんに、同じくシェアハウスに入居していた友達を紹介して、そちらも結婚したので「義理の兄弟」になったみたいなケースがありました(笑)

ここで生まれた出会いが兄弟にもなった、というのも嬉しかったです。

こうして、当初の「かなえたい未来」がかたちになってきました。

このビル自体は、私が今から6年前に、27歳のときに購入しました。空っぽのこのビルにワクワクして、全財産を投入してローン組んで買いました。そして、素晴らしい仲間に恵まれて、想像以上に最高の場所になっています。お互いに可能性を引き出しあって、応援しあって、支えあえる場所で。特にシェアハウスは家族みたいなコミュニティになっていて、世界で一番面白い場所だと思っています。

SNSなどでも、春の卒業シーズンなどで入居者が出ていったタイミングで、「一部屋空きました」などとFacebookで投稿すると、広告をせずに入居が決まっています。こちらの投稿では、800いいねぐらいがついて、13名ほどが興味を持ってくれて、面談をして3名が入居してくれました。管理会社もないし、仲介会社もいないのですが、入居者やみなさんがシェアしてくださって、ごく近しい人たちで入居が決まっています。

そういったビジョンが中心の場所になっています。オーナーではありますが、テナントのみなさんに一緒に混ぜてもらって、みんなでご飯を食べにいったりとか、スノボーに行ったり、初詣に行ったり、壁を塗ったりなどと、楽しくさせてもらっています。日々のLINEなどでも盛り上がったりしています。

もちろん、これだけの関わりがあるので、一般的なオーナーよりも大変なこともたくさんあります。

やはり、入居者一人ひとりのことをすごく考えています。コミュニティマネージャーの彼とは会議室がついているスーパー銭湯に行って、朝までホワイトボードに全員の名前を書いて「今はこういう状況だから、こうした方がいい」などと一人ひとりのコンディションや成長に向き合っていたりしています。

一人ひとりの可能性を応援する場所なので、オーナーとしても入居者やその先の関係者の一人ひとりが輝けるようなことを日々考えたりしています。もちろん、自分がそれが好きだからこそ、できているのだと思っています。

著者の活動

最後にですね。本日は、こちらの『超ど素人がはじめる不動産投資』の書籍をお配りさせていただいたので、著者としての紹介を簡単にさせていただきます。きっかけは、これまでのこういったビルの話や、スーモの仕事などで不動産に関わってきて、その体験を活かして本にしたいと思ったことです。

最初に出版した、さきほど話したコミュニティの本では、この弦本ビルが生まれた経緯や入居者を取材した本として1冊目を書きました。2冊目はそこからさらに踏み込んで、自己啓発的な要素を入れて、読者のやりたいことを見つけるワークブックみたいなものも入れました。そして3冊目は、不動産投資の教科書みたいなものを書かせていただきました。

私がビルを買ったり、戸建てを買ったり売ったりしたときもそうでしたが、やはり不動産は大きな買い物で不安がありました。これだけ買ったりしていてなんだと思われるかもしれませんが、最初に戸建てを買ったときにも「50歳になってもまだ1,000万円もローンが残るんだ」といった気持ちで恐怖を感じました。50歳になってもリクルートで働いているのかな、毎月確実に返済できるのか、地震や水害があったらどうしよう、という悩みもありました。そしてやはり、判子を押すときにはすごく手が震えたし、他にいい物件が後から出てきたらどうしよう、みたいな気持ちにもなりました。

私は、さきほど話したように「スーモで企画に活かしたい」「経験したい」という気持ちで乗り越えられました。しかし、一般的な人にはそのハードルを超えるのがすごく大変だと思っています。そこで、不動産投資に失敗する人を減らしたいと思って、この本を書きました。

書店では結構、不動産投資の本は売られていて、私も書くにあたり50冊ぐらいの本を読んで研究をしました。しかし、なんだかんだで難しい本であったり、投資手法が偏っていたり、当時はできたけど今はできないような話があったり、物件を買うことがゴールでその先について触れられていなかったり、宣伝であったり誇張されていたり、続きはセミナーでみたいな本も多いという印象を受けました。

おそらく、みなさんは不動産業界に関わる方だから、ご存じかもしれませんが、少しパンフレットのような位置づけで本を出しといて、その結果、一件でもそこから仲介の取引が成立すれば、元が取れる、みたいな構造の世界になっていると思っています。

具体的には、自費出版では300万円や500万円を払えば本を出すことができます。しかし、それで出した本が、本当に読者に役立つ本なのか、というのを感じました。

私が書いたときに意識したのは、やさしい解説や図解があって、幅広い知識が書かれていて、再現性の高い情報で、物件を買うまでだけではなく売るときやリフォームの話、民泊やシェアハウスなどの活用についても扱っていたり、徹底的な読者目線で、これは書きながらいろんな人に意見をもらって読者目線にして作ってみたりとか、そういったことをしました。

これは不動産を買おうと思ったら、最初に読んでほしい教科書みたいな1冊目の本にしてほしいと思ったので、一冊でわかるような本を作りました。お手元にあるので、あえてご説明する必要はないかもしれませんが、このように巻頭特集があって、目次があって、イラストやコラムがあって読みやすい本になっています。

ぜひ、まわりの方に渡していただいたり、ご紹介いただけたら嬉しいです。

これからやりたいこと

最後に、ここまでお話をさせていただいて、「これからやりたいこと」についてです。冒頭にお見せした「人生のテーマ」の話で、恩を送りたいとか、三方よしを目指しているとか、一人ひとりの可能性をもっと世の中に広げたい、幸せな個人や組織を増やしたい、というところに向けて、引き続き進んでいきたいと思っています。

このビルもそうですし、私自身の活動もそれにつながっているのかなと思います。

また、これは少しよかった話なのですが、実は4年半でローンをすべて返済してしまいました。7,400万円を借りていたのですが、返済をしたときにスルガ銀行さんから「次のローン借りないか」とお手紙が来まして(笑)

驚いたのですが、「そろそろ次の夢へ、歩きだしませんか」というポエムが届きました(笑)

この後にすぐ、また別のビルを買おうと思って審査に出してみたところ、審査が通らないという事件もあったんですけど。全然、歩きだせなかったんですけど(笑)

なのですが、これからやりたいこととしては、引き続き、一人ひとりが可能性をもっと世の中に出せるような場所を作りたいと思っています。

やりたいことがある人たちが駆け込んで来てくれたら、企画書を一枚持ってきたらそれが実現できる場所だったりとか、最先端の働き方や暮らし方を体現するようなコミュニティ、そして東京と世界、東京と地域をつなぐような場所を作っていけたらと思っています。

これは、新型コロナの前に書いていたので、だいぶ計画と違ってしまい、2022年というのはかなり怪しいのですが、今のビルは「食べる・住む・働く」があって起業家や副業家たちが住む場所になっていますが、ゆくゆくは「食べる・住む・働く」だけではなく、学べる場所や遊べる場所を作りたいと思いますし、働くの中にも、自分のやりたい事業がある人と、それを機能としてサポートする人たちに仕事が分かれると思っていて、もう一段深められればと思います。

機能としては、総務をやりたい人や、弁護士や経理、人事、営業、開発などの人たちがいて、その人たちに自分のやりたい事業を持っていくと、連携して自分たちのやりたいことをお互いに助け合いながら実現できていくような場所ができたら面白いなと思っています。

あとは、徐々にライフステージのフェーズも変わってくると思うので、子育てのコミュニティハウスや、自分がおじいちゃんになっても若い人の可能性を応援できる、多世代の住めるようなところみたいなのも、ゆくゆくは作っていけたらと思っています。

最近の動きや直近の挑戦についてもお話できればと思ったのですが、お時間もあると思いますので、いったん以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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