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【2019年版】不動産テック業界のカオスマップ

不動産テックのカオスマップですが、最新版の第5版が2019年8月22日に一般社団法人不動産テック協会から公開されました。

(引用)一般社団法人不動産テック協会

今回は、2019年版までの変化

目次

不動産テックとカオスマップ

不動産テックとは

「○○テック」とは、「業界」と「テクノロジー」をあわせた造語です。産業対してテクノロジー化が大きく進むことにより、業界革新が起こってきています。特に、2015年頃には金融業界の「フィンテック(FinTech)」が話題になりました。

フィンテックにより、金融業界のテクノロジー化が進み、投資マネーが集まってきたことを受け、近年では金融に関連する不動産業界についても、テクノロジー化の波が押し寄せてきました。

これまで、日本の不動産業界は、先進国の中でも特に「情報の透明性が低く」、また人手が多くかかる労働集約的な産業であることから、産業別で見ても「テクノロジー化が遅れている」業界でした。

近年、投資マネーの高まりを受けて、スタートアップや大企業から新しい不動産サービスが生まれてきています。

カオスマップとは

カオスマップとは、特定の業界の企業やプロダクトをカテゴリーとロゴでまとめた業界地図のことです。もとはディスプレイ広告をまとめたLUMAscapeが発祥ですが、他の業界でも見られるようになりました。

国内では、たくさんのロゴが並んだ見た目から「カオスマップ」と呼ばれ親しまれていますが、和製英語です。

不動産テックカオスマップの掲載ガイドライン

不動産テックのカオスマップは、下記の掲載ガイドラインで掲載されているそうです。

  • 従来の不動産業界の課題や商習慣、慣例を打破している
  • インターネット普及前にはなかった新しい価値や顧客体験、ビジネスモデルや収益モデルをつくりだしている
  • 先進的なテクノロジーを活用している(IT、IoT、AR、VR、ビッグデータなど)

不動産テックカオスマップのカテゴリーの定義

一般社団法人不動産テック協会の定義では、不動産テックカオスマップのカテゴリーは以下の12に分類されています。

カテゴリ名定義
AR・VRVR・ARの機器を活用したサービス、VR・AR化するためのデータ加工に関連したサービス
IoTネットワークに接続される何らかのデバイスで、不動産に設置、内蔵されるもの。また、その機器から得られたデータ等を分析するサービス
スペースシェアリング短期〜中長期で不動産や空きスペースをシェアするサービス、もしくはそのマッチングを行うサービス
リフォーム・リノベーションリフォーム・リノベーションの企画設計施工、Webプラットホーム上でリフォーム業者のマッチングを提供するサービス
不動産情報物件情報を除く、不動産に関連するデータを提供・分析するサービス
仲介業務支援不動産売買・賃貸の仲介業務の支援サービス、ツール
管理業務支援不動産管理会社等の主にPM業務の効率化のための支援サービス、ツール
ローン・保証不動産取得に関するローン、保証サービスを提供、仲介、比較をしているサービス
クラウドファンディング個人を中心とした複数投資者から、webプラットホームで資金を集め、不動産へ投融資を行う、もしくは不動産事業を目的とした資金需要者と提供者をマッチングさせるサービス
価格可視化・査定様々なデータ等を用いて、不動産価格、賃料の査定、その将来見通しなどを行うサービス、ツール
マッチング物件所有者と利用者、労働力と業務などをマッチングさせるサービス(シェアリング、リフォームリノベーション関連は除くマッチング)
物件情報・メディア物件情報を集約して掲載するサービスやプラットフォーム、もしくは不動産に関連するメディア全般

不動産テックカオスマップのカテゴリーごとのトレンド

ARやVRは見学の手間を省くだけでなく、見学できない物件のイメージ醸成にも寄与

不動産を借りるときや買うときに手間がかかるもののひとつに「物件の見学」があります。賃貸であっても、戸建てやマンションの購入であっても、必ず1度は現地を見ないと不安です。

ARやVRは、そのような手間に対して、スマートフォンやパソコンからでも手軽に部屋の内観を見られるテクノロジーを提供しています。

これまで、不動産会社に問い合わせをおこない、不動産会社にオーナーに問い合わせてもらい、鍵を手配してもらい、見学の予定を調整して、実際に物件のあるところまで移動して、物件の見学をおこなってきました。
さらに、これを営業担当に立ち会ってもらいながら、何軒もおこなって、賃貸や購入の判断をしてきました。

しかし、あらかじめ360度カメラで室内を撮影をしておいてもらうことで、事前にスマートフォンやパソコンから部屋の様子がわかるようになり、実際に見学に行く回数を減らすことができます。

また、不動産はまだ建設のされていない新築の物件を、実際の部屋を見ずに購入したり、建築の契約をすることもあります。このときも、ARであらかじめある程度の内装を想像することで、検討がより具体的にしやすくなります。

IoTは、スマート家電やスマートキーがメイン

IoTはスマート家電やスマートキーが多く進出しています。

スマートキーは、遠隔からでもインターネット上で自宅の鍵を解錠したり、一時的に有効な鍵を発行したりできる製品です。

日常生活で鍵を持ち歩かずスマートフォンひとつで家の鍵を開け締めできるだけでなく、不在時の宅配便の対応や、不動産売買の際の物件見学のときの解錠にも役立ちます。

また、民泊や旅館業で宿泊客への鍵の発行に利用することで、従来は対面で人が鍵を渡さなければならなかった手間や人件費を削減することができます。

また、合鍵を作られるリスクや、キーボックスの暗証番号が伝わるリスクがなくなることから、スマートロックはセキュリティ対策にも有効です。

IoTに関しては、ビデオによる遠隔監視や、Amazon echoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーも含まれています。

スペースシェアリング

インターネットを利用して気軽に空きスペースの貸し借りができるようになったことや、スマートロックなどのテクノロジーが進化してくることで、従来は貸し出しをしづらかったような場所でも、気軽にシェアリングできるようになってきました。

自分の家の部屋や駐車場、軒先、物置、商業用のスペースでも、会議室や倉庫、店舗などが気軽にスマートフォンから借りられます。
スペースマーケットでは、お寺や野球場、無人島なども貸し切れるため、家族や友達との遊びや、企業の研修などでも利用が増えているようです。

一方で、複数の家などのスペースを、月額定額で利用できるサブスクリプション型のサービスも増えてきています。企業に出社しないリモートワークも増えてきているため、二拠点居住や多拠点居住などで人の流動性が高まっている背景もあるのでしょう。

昨今では、民泊のAirBnbや、短期賃貸のOYO LIFEなど、海外のプレイヤーも国内に進出してきています。
不動産は単価が高く、テクノロジーで価値を可視化して流通させることで、まだまだ業界の市場拡大の余地があるため、まだまだ増えていくと思います。

リフォーム・リノベーション

戦後の住宅政策もあり、これまでは新築が多く建築されてきましたが、中古物件が増えてきたことを受けて、リフォームやリノベーションの市場も伸びてきています。
また、新築から年数が経つことで、大規模修繕や解体のニーズも高まってきています。

それにあわせて、業者をマッチングするサービスや、リフォーム済みの物件などを紹介するメディアが増えてきています。

不動産情報・物件情報・メディア・マッチング

不動産会社の店頭で販売図面(マイソク)を見る時代から、インターネット上で情報が見られる時代になってきています。他のカテゴリの進化にともない、不動産メディアも進化を続けています。

仲介業務支援

不動産仲介業者は、不動産賃貸や不動産売買にあたってさまざまな業務をおこなっていますが、その多くが人手を中心としたもので、労働集約的なものです。

もちろん、不動産は高額の買い物なので、対面での接客が重要です。しかし、対面での接客に十分な時間を割けるように、業務の生産性をあげることが求められています。

業務としては、物件の検索、物件の状況確認、物件の掲載、見学の調整、見学の立ち会い、契約書の締結などです。これらの業務にテクノロジーを導入することで、生産性を上げることができるのです。

管理業務支援

不動産の管理業務も、仲介業務と同様に、生産性の改善の余地があります。資料の共有や、施工管理のコミュニケーションツールなども登場しています。

ローン・保証

ローンや保証についても、フィンテックからの延長でテクノロジー化が進んでいます。

住宅ローンの審査には、従来は人手で時間がかかっていましたが、事前審査の段階などで、即時で融資判断をするなど、AI化する取り組みも進んでいます。

クラウドファンディング

こちらもフィンテックの延長でテクノロジー化が進んでいます。特に、不動産は高額であることから、証券化などにより権利を分割することで、少額から高金利の投資ができるサービスも増えてきています。

価格可視化・査定

不動産を売るときの査定については、従来は実際に仲介業者が査定に来てもらって、査定をしてきました。

しかし、マンションの査定などでは、見るべき点が少ないことと、他の部屋の過去の売買履歴をもとに、査定の精度を高めることができてきました。そのためインターネット上でも、即時に簡易な査定をおこなうことができるようになってきました。

不動産業界の慣習に詳しくなろう

不動産業界の勉強をする方法

不動産の売買には、専門的な知識とまとまったお金が必要です。しかし、細切れの時間でじっくりと、時間をかけて勉強をしたり、物件を探したりすることができます。まずは書籍で勉強するのがおすすめです。

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不動産業界の業務のフローを知ることで、テクノロジー化のアイデアが広がります。ぜひ、不動産テックを盛り上げていきましょう!

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。