不動産仲介業で開業をする場合に、近年では少資本で開業をするために、事務所を借りずに自宅やコワーキングスペースで開業する例が増えてきています。しかし、宅地建物取引業法(宅建業法)では、不動産仲介業では事務所を構えることが必須とされています。今回は、宅地建物取引業法(宅建業法)の定める事務所の要件について解説します。
目次
宅地建物取引業法(宅建業法)の定める事務所は
本店、宅建業を営む支店、継続的に業務をおこなうことができる施設で宅建業にかかわる契約締結権限を有する使用員を置く場所と定められています。
また、事務所には標識の掲示、報酬額の提示、帳簿の備え付け、従業者名簿の備え付け、成年者である専任の宅地建物取引士(宅建士)の設置が義務付けられています。
一般的な用途として使用されている店舗や事務所であれば、宅地建物取引業法(宅建業法)でも事務所として認められる場合が多いでしょう。
なお、事務所の広さに関しては平米数などの規定はありませんが、作業のできるスペースと、接客のできるスペースがあることが条件となります。また、表札の掲示や固定電話の設置も必要となります。
宅地建物取引業法(宅建業法)で自宅の一部が事務所として認められるには、事務所用の専用の出入口があること、居住用のスペースと区切られていること、事務所のみとして利用されていることが条件となります。
宅地建物取引業法(宅建業法)でシェアオフィスやレンタルオフィスの一部が事務所として認められるには、他の法人と共有していない専用の出入口があることと、他の法人のスペースとの間に間仕切りがある必要があります。
なお、同じ部屋を複数の会社が利用する場合や、他社のオフィスの一部を間借りする場合などは、これらの条件を満たさないため、要件を満たさないものといえます。また、事務所のないバーチャルオフィスでは、事務所の要件を満たすことはできません。
事務所が要件を満たした場合でも、宅地建物取引士(宅建士)の専任性を満たさない場合には、宅地建物取引業免許(宅建免許)の申請が通らない場合があります。
宅地建物取引業免許(宅建免許)の申請で登録する専任の宅地建物取引士(宅建士)は、営業時間中に常勤でき、かつ別の仕事をしていない人でなくてはなりません。
そのため、仮にコワーキングスペースの一部が事務所として認められた場合でも、営業日に常勤しない場合には、専任性を満たさないことになります。会社員の副業として開業する場合でも、この専任性を満たさない場合には開業することはできません。
不動産仲介業での独立開業の流れについては、次のページも参考にしていただければと思います。
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