不動産仲介業は、資格や免許がないと開業できない業種のひとつです。今回は、不動産仲介業を独立開業するにあたり、必要な資格と免許について解説します。
目次
不動産仲介業の独立開業では宅地建物取引士の資格が必要
不動産仲介業をおこなう場合には宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得する必要があります。また、宅地建物取引士(宅建士)の資格の保有者を専任とする申請をおこなうことで、宅地建物取引業免許(宅建免許)を登録することができます。
宅地建物取引士(宅建士)の資格は、試験を受けて合格することで取得することができます。
一方で、宅地建物取引業免許(宅建免許)は、都道府県知事または国土交通大臣に承認をもらう必要があります。なお、店舗が1つの都道府県のみにある場合には都道府県知事に申請し、複数の都道府県にまたがる場合には、国土交通大臣の免許を申請します。
宅地建物取引士の資格がなくても不動産取引業ができる場合
宅地建物取引業(宅建業法)の定める取引に該当しない場合
宅地建物取引業法(宅建業法)は、①宅地または建物を②業として③取引することに適用されます。このような取引をおこなう場合には、宅地建物取引業の免許が必要となります。
一方で、自らがアパート経営などの不動産投資をする際には、宅地建物取引業の免許は不要です。また、自らが所有する物件を賃貸する場合や、転貸する場合には免許は必要ありません。
他にも、国や地方公共団体、信託会社や信託銀行などの場合は、宅地建物取引業の免許は不要です。
同一の事務所内に専任の宅地建物取引士(宅建士)がいる場合
宅地建物取引業法(宅建業法)では、事務所内に5人に1人以上の宅地建物取引士(宅建士)を設置する義務を定めています。これは、反対に言うと5人に4人以下であれば、宅地建物取引士(宅建士)でなくても不動産の営業ができることを意味しています。
宅地建物取引業法(宅建業法)では、宅地建物取引士(宅建士)の独占業務は①「重要事項説明」、②「重要事項説明書(35条書面)への記名押印」、③「契約書(37条書面)への記名・押印」の3つと定めています。
そのため、これらの3つの業務以外であれば、宅地建物取引士(宅建士)の免許を持っていなくても、業務に携わってもよいのです。そういった意味で、まだ資格を取得していない段階から、転職をして修行をする場合や、副業などで現場経験をすることもできるのです。
宅地建物取引士以外にも人気の不動産業界に関係する国家資格
宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産仲介業を開業するうえで必要となる国家資格です。また、宅建業を営む会社では、関わる従業員の5人に1人以上の宅地建物取引士(宅建士)を置くことが定められています。そのため、宅地建物取引士(宅建士)の保有者は不動産仲介業を営む大企業でも重宝されている資格です。
重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、契約書などの書面への記名押印は宅地建物取引業法により、宅地建物取引士のみしかできない、独占業務として定められています。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の経済価値を判定する専門の国家資格です。様々な不動産の価値を算定する手法を用いて、第三者的な立場から不動産の価値を算定し、評価した金額は物件売買や家賃交渉などでの価格の参考にされます。不動産鑑定評価の業務は、不動産鑑定士の独占業務となっています。
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの区分所有者に対してマンション管理の専門家としてアドバイスをおこなうための国家資格です。管理組合の管理者やマンションの区分所有者からの相談に応じたり、マンションの管理規約や使用細則、長期修繕計画を作成したりします。
司法書士
司法書士は、市民の身近な法律家として、不動産登記や商業登記、成年後見制度や相続、信託などに関わる業務で市民の権利を守る仕事をするための国家資格です。不動産業では不動産登記で登場することが多いです。試験の合格率は約4%と非常に低く、取得の難しい資格です。宅地建物取引士(宅建士)の資格を取ってから、さらに上位の資格を目指して受験する方も多いようです。
一級建築士、二級建築士
建築士は、建物の設計や工事監理をおこなうための国家資格です。独占業務のため建築士でないとこれらの業務をおこなうことはできません。
なお、宅建の勉強におすすめのテキストや問題集は次のページを参考にしてみてください。
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