街を歩けば必ず目にするコインパーキングですが、駅前の土地や飲食店などが建ち並ぶ商業地以外でも見かけることがよくあります。
みなさんも「あんなところでコインパーキングが儲かるのかな?」と思ったことはあるのではないでしょうか(笑)
コインパーキングはそれだけ市民生活に定着したサービスであり、立地ややり方を間違えなければこれからも成長していくサービスといえます。
今回は、土地の有効活用だけでなく不動産投資としても魅力的なコインパーキング事業について徹底解説します。
コインパーキング事業のメリット・デメリット、運営方式、適している土地の見分け方、実際の運営事例、事業収支モデル、パートナー会社の特徴などをたっぷり解説しますので、ぜひコインパーキング事業参入の参考にしてください!
目次
コインパーキング事業の業界事情
まずは、コインパーキング事業を取り巻く環境や業界事情などを把握しましょう。
思わぬ発見や気づきがあるかもしれません。
1.1コインパーキングとは?
いわゆる駐車場を分類する場合、下記のように分類することができます。
<駐車場の分類>
まず駐車場を利用する時間軸によって分類すると、「月極駐車場」「定期駐車場」「時間貸し駐車場」の3タイプに分類することができ、「時間貸し駐車場」のうち「無人駐車場」に分類されるのが「コインパーキング」です。
つまりコインパーキングとは、管理する人がいる有人駐車場に対して、車両をロックする駐車装置であるロック板(またはフラップ板という)と全自動の料金精算機を駐車場内に設置することにより、不特定多数の利用者が24時間いつでも利用することができる時間貸しの無人駐車場ということになります。
コインパーキングは、1991年にタイムズ24株式会社が東京都台東区で営業を開始したのが日本第1号であり、その後急速に普及していきました。
急速に普及した背景には、バブル景気により地上げ途中であった虫食い状態の土地を、バブル崩壊後に暫定的に有効活用したいというニーズがありました。
また、それまでにあった時間貸しの有人駐車場は、高額な建設費や人件費などの維持コストがかかるため、経営効率やリスクの面で敬遠されていました。
それに反して、コインパーキングは無人で維持コストもほとんどかからず、設置費用もタワーパーキングなどの建設コストと比較するとほとんど負担がないため、急成長していったのだと考えられています。
コインパーキングの成長推移
平成29年2月3日に国土交通省より発表された「駐車施策の最近の動向」の中に、「コイン式駐車場の車室数の推移」が提示されています。
<コイン式駐車場の車室数の推移>
引用元:国土交通省ホームページ 「駐車施策の最近の動向」より
このグラフのデータをまとめると下記の表の通りとなります。
<コインパーキングの箇所数・車室数の成長率>
データで表されている成長率から判断すると、コインパーキング事業は明らかに成長産業であることがわかります。
特に500平方メートル未満のコインパーキングが大きく増加していることがわかりますが、その原因には次の3点が考えられます。
【原因1】民間委託による駐車違反取り締まりの開始
2006年の道路交通法改正により、民間委託による駐車違反取り締まりが開始されました。
これにより取り締まりが強化され、たとえ5分程度の違法駐車であっても、情け容赦なく違反切符が切られて罰金が科されることになりました。
ちょっとした駐車違反で切符を切られた経験がある方も多いのではないでしょうか。
こうした駐車違反の取り締まりを避けるために、「短時間でもコインパーキングに駐車しよう」というドライバーの意識が定着していったため、コインパーキングの要が急速に増えたのです。
【原因2】リーマンショックによる遊休地の増大
コインパーキング誕生の原因には、「バブル崩壊による遊休地の有効活用ニーズがあった」と説明しましたが、2008年にも同様の経済ショックがありました。
それは、記憶に新しいリーマンショックです。
リーマンショックにより、都市部でのオフィスビルやマンション建設の計画が頓挫するケースが大きく増えました。
そのため、建設予定地を暫定的にコインパーキングにより有効活用する動きが活発になったのです。
それらの土地は、主にコインパーキングの需要が強い都市部にあり、初期投資や維持コストがほとんどかからないことも後押しし、コインパーキングが増加したのです。
【原因3】機器類のコスト負担の低下
近年は、ロック板、ゲート、精算機などのコインパーキングに必要な機器類の価格が低下してきており、初期費用が以前より安くなったこともコインパーキング増加の原因といえるでしょう。
コインパーキングはランニングコストのかからない無人駐車場であることから、初期費用が安くなれば2~3台程度しか駐車できない狭小地での経営でも、採算が合うようになりました。
以上の3点から、特に500平方メートル未満の土地でのコインパーキングが増えていったと考えられています。
コインパーキングのシェア状況
前述の「駐車施策の最近の動向」と一緒に国土交通省より発表された「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」のデータをもとに、コインパーキングのシェア状況をグラフ化しました。
<コインパーキングのシェア状況>
引用元:国土交通省ホームページ コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版 より
このグラフから、2015年4月時点で大手コインパーキング運営会社5社が全体の66%のシェアを占めていることがわかります。
特に業界1位のタイムズ24は全体の40%を超えるシェアを占めており、2011年当時のシェアより2倍近くに伸びています。
ただし、34%のシェアを占める「その他」には、個人を含めた中小・零細企業が運営しており、まだまだ参入の余地は残されているといえるでしょう。
コインパーキング事業の10のメリットや強み
コインパーキング事業は土地の有効活用だけでなく、不動産投資の観点からも魅力的な事業といえます。
ここでは、コインパーキング事業のメリットや強みについて、解説します。
累積事業である
コインパーキング事業は、たとえ1現場の売上が小さくとも、現場が増えることにより大きな利益が積み上がっていく累積事業といえます。
毎年ゼロからのスタートではなく、前年の実績をベースとしてそこから積み上げていくことが可能であり、無理をすることなく着実に利益を積み上げることができる累積事業の強みがあります。
空室リスクがない
賃貸アパート・マンション事業の代表的なリスクとして「空室リスク」があります。
入居者が退去して空室となった瞬間から収入はゼロとなり、それは次の入居者が決まるまで続きます。
しかし、コインパーキング事業の場合は空室リスクがほとんどなく、空室対策などの労力も必要ありません。
事故リスクがない
賃貸アパート・マンション事業の場合、室内や敷地内で自殺・事故死・孤独死・殺人などの事件・事故が発生した場合、「事故物件」として扱われてしまいます。
事故物件の場合は、オーナーはその事実を借り手に事前に説明する義務があります。
そのため、その部屋に入居する借り手を探すことが難しく、仮に借り手が見つかったとしても賃料などを大幅に下げなければならない必要が生じます。
また、風評被害により他の部屋の入居者が退去してしまうリスクも考えられます。
その点、コインパーキングの場合は場内での車同士の事故が発生する可能性はありますが、経営者にその事故に対する賠償責任は一切なく、説明義務もありません。
また、車を短時間止めるだけのサービスであることから、風評被害が発生するリスクもほとんどありません。
クレーム対応がない
賃貸アパート・マンション事業では、「エアコンや給湯器が故障した」「水漏れしている」「隣室の騒音がうるさい」「ゴミ捨てのマナー違反」「上の階の子供が走り回る足音が迷惑」「ベランダで吸っている煙草の煙が室内に入ってくる」など、さまざまなクレームが発生するリスクがあり、中には緊急で対応する必要のあるクレームもあるため悩ましい場合もあります。
しかし、コインパーキング事業の場合はクレーム自体がほとんどありませんし、たとえ機器類の故障などの緊急事態が発生したとしても、保守管理業務を委託していればコールセンター(保守管理会社)がすべて対応することになります。
「釣銭が出ない」「ロック板が下がらない」「領収書が出ない」などの緊急対応には、保守管理会社のスタッフが現地へ出動して対応してくれるため、経営者自身が動くことは一切ありません。
また、場内で利用者同士のトラブルが発生したとしても、経営者は駐車スペースを提供しているだけですので、利用者の自己責任で対応してもらうことになります。
このように、コインパーキング事業ではクレーム対応の必要がないこともメリットのひとつです。
災害リスクに強い
地震や火災などの災害によって賃貸アパート・マンションが被害を受けた場合には、オーナーは補修や修繕、建替などの対応を迫られます。
費用は加入している火災保険で補填できますが、入居者に一時的に転居してもらったり、死者などが出れば事故物件となってしまい空室リスクや賃料下落リスクが生じることもあります。
コインパーキング事業の場合、建物がないため災害リスクには強いといえます。
災害により生じる被害は、アスファルト舗装のやり直しやフェンスやブロック塀の補修程度でしょう。
ロック板などの機器類は丈夫な作りになっているため、故障のリスクはほとんどありません。
たとえ災害による被害があったとしても、コインパーキングの補修コストは建物の補修や修繕などと比べれば少なくて済みますし、補修期間も数日程度のためすぐに再稼働できるメリットがあります。
運営コストがかからない
賃貸アパート・マンション事業と比べて、コインパーキング事業は修繕費やメンテナンス費用などの運営コストがかからないメリットがあります。
賃貸アパート・マンションの場合、エアコンや給湯器の交換、入退去ごとの室内リフォーム工事、共用部清掃などの日常管理費用、給排水管の高圧洗浄や取替、鉄部の塗装、外壁の塗装工事、屋上防水工事など、まとまったコストのかかる修繕がたくさんあります。
こうした運営コストがほとんどないのがコインパーキング事業です。
コインパーキングの機器類は非常に丈夫ですので、開業時に設置してしまえば、大規模なメンテナンス工事や費用の高い修繕工事などは一切必要ありません。
また、火災保険や地震保険などに加入する必要もないため、その分のコストも節約することができます。
土地を購入しなくとも事業化できる
不動産投資の観点からは、土地を購入してその土地でコインパーキング事業を行う…というイメージがありますが、実は購入しなくともコインパーキング事業を行うことができます。
なぜなら、土地を借りて始めればよいのです。
「土地を購入して、万一失敗したら…」と二の足を踏む人もいるかもしれませんが、借りて行うのであれば少しは気が楽になることでしょう。
(もちろん借りた以上は契約上の責任がありますし、事業ですから真剣に取り組む必要はありますが…)
「貸地」というキーワードで検索すると、小規模な土地から広大な土地までさまざまな物件を確認することができ、すでに駐車場として整備されている「一括貸し駐車場」などもあります。
また、月極駐車場の空室部分を借りてもよいでしょう。
適した物件が見つかりましたら、土地オーナーと賃貸借契約を締結し、コインパーキングとして運営していけばよいのです。
初心者のうちはこのように土地を借りて事業を始め、運営のノウハウやスキルを身に付けてから土地を購入して開業する…というステップを踏んでいくことができるのもコインパーキング事業ならではのメリットです。
広告宣伝費が必要ない
どのような事業でも、商品を認知してもらうためや集客のために広告宣伝費が必要です。
商品によっては、莫大な広告宣伝費が必要な場合さえあります。
しかしコインパーキング事業の場合、広告宣伝費は必要ありません。
コインパーキング現場の認知と集客は、基本的に現地看板のみで行うためです。
看板を見た通行者に「ここに新しくコインパーキングができたのか…」と知ってもらえれば、利用者の認知度は早まります。
そのためには、交通量の多い道路に面した土地の方が、より多くの通行者の目に留まりますので、やはり立地は非常に大切です。
なお、大通りから1本入った立地などの場合は、期間限定のオープニングキャンペーン(料金割引サービス)を行ったり、近隣にポスティングを行ったりしてもよいでしょう。
ポスティングは印刷と配布料込で@4~5円/枚程度で行えますので、近隣に5,000部配布しても費用は2~3万円程度です。
現金ビジネスである
コインパーキング事業の最も特徴的なことは「現金ビジネス」であるということです。
集金さえすれば売上は現金で毎日でも入ってきますし、通常の事業で見られる売掛金の未回収リスクや賃貸アパート・マンション事業における家賃滞納リスクはありません。
コインパーキング事業は単価100円単位のビジネスですが、24時間365日コツコツと売上を現金で稼いでくれ、焦げ付きもないことから安定的な事業といえるでしょう。
出口戦略が立てやすい
出口戦略とは不動産投資において使うワードであり、「一定の運用期間を経て、物件を売却して利益を確定させる」という意味があります。
コインパーキングの場合、土地が更地扱いとなることから売却しやすく、それ故に出口戦略が立てやすいということになります。
「売地(現況更地)」という物件種別で売却することができますし、「売駐車場(現況コインパーキング稼働中)」という種別で投資物件として売却することも可能です。
<実際の売りコインパーキングの販売事例>
上の事例では、コインパーキングの想定年間売上から管理料を差し引いた想定年収が4,272,000円であり、利回りが6%の不動産投資物件として販売されています。
「売地(現況更地)」として販売する場合は、建物の建っていない更地であることから、住宅用地として売却しやすいメリットがあります。
その場合はコインパーキングの機器類を撤去してアスファルト舗装を剥がすこともありますが、建物の解体費と比較すれば非常に安い費用です。
また、同じ駐車場でも月極駐車場の場合は、利用者との賃貸借契約を解約して退去するまでに1~2ヶ月程度の期間が必要ですが、コインパーキングの場合は即時撤去することも可能です。
コインパーキング事業の5つのデメリットやリスク
前章では、コインパーキング事業のメリットや強みについて説明しましたが、もちろんデメリットやリスクも存在しています。
ここでは、そうした部分について解説します。
毎月の売上が不安定である
月極駐車場の場合、いったん満車となってしまえば毎月の収入に変動がなく安定収入が得られます。
一方、コインパーキングの場合は立地や季節、周辺環境などにより毎月の売上に変動があります。
例えば、近隣で大きなイベントがある日などは一時的に売上が上がる場合がありますし、大規模な工事現場による駐車需要があった場合は、工事が終了すれば売上がグッと下がることもあります。
また、都市部やオフィス街では夏休みの時期に売上が下がる傾向があります。
このように月次ベースでは売上に変動があるのですが、年間ベースで見ると安定しているといえます。
なぜなら、コインパーキング事業は収益性が高く事業の損益分岐点が低いため、一定程度の稼働率(30%程度が目安)を確保できれば赤字となることはないからです。
そのため、立地がよく集客力のある土地で運営できれば、心配はないといえるでしょう。
価格競争のリスクがある
近隣に競合するコインパーキングが増えてきた場合、自分のコインパーキングの売上が下がるリスクが考えられますが、例外もあります。
確かにもともと一定程度の需要しかないエリアの場合は、供給が増えれば売上が下がることもあるでしょう。
しかし、需要が旺盛なエリアの場合、利用者には「あの近辺に行けばコインパーキングがある」とか「コインパーキングがいっぱいあるからどこかに駐車できるだろう」という心理が働き、かえって車が集まる場合があります。
つまり、コインパーキングが集積しているエリアであるからこそ、車で出かけていこうという心理になるのです。
そうした意味からもエリア選定や立地が非常に重要なことがわかります。
万一、需要が限られているエリアの場合は利用者の奪い合いとなり、価格競争では大手資本に勝てませんので注意が必要です。
固定資産税・都市計画税が高い
コインパーキング事業を行っている土地には、賃貸アパート・マンションが建っている土地のような「住宅用地の特例」が適用されません。
そのため、固定資産税・都市計画税の納税額が非常に高くなります。
上記の図から、住宅が建っている土地と比べて、固定資産税が6倍に都市計画税が3倍になるリスクがあることがわかります。
このように固定資産税・都市計画税が高い点が、コインパーキング事業における最大のリスクといえるでしょう。
ただし、貸地でコインパーキング事業を行う場合は、固定資産税・都市計画税の負担を負わないため、このリスクを避けることができます。
節税効果が薄い
賃貸アパート・マンション事業の場合、建物の減価償却分を支出が伴わない経費(減価償却費)として控除することができます。
つまり、所得税の節税効果があるのです。
ただし減価償却できる期間は、木造22年・重量鉄骨造34年・鉄筋コンクリート造47年というように定められており、この期間を過ぎた場合は減価償却ができなくなり収支が赤字になる場合があります。
この状態をデッドクロスといいますが、資金繰りが悪化してローンの返済ができなくなるケースを招くリスクがあります。
コインパーキング事業の場合は、減価償却できる資産は機器類だけですので、減価償却費が少なく所得税の節税効果は見込めません。
しかし、その代わりにデッドクロスを招くリスクもほとんどありません。
料金不払いや盗難のリスクがある
コインパーキングは無人駐車場ですので、料金不払いによる乗り逃げや、精算機の料金盗難リスクが考えられます。
確かにコインパーキングが世の中に登場した当初は、ロック板を不正に操作して料金を精算せずに出庫するケースや、精算機を破損して料金が盗難されるトラブルなどがありました。
しかし、最近では機器類自体が進化しており、料金精算機はダブルキー式やプロテクター一体型など防犯性の優れた機種も開発されています。
また、クレジットカードや電子マネーでの支払いに対応するなど、現金が必要ない決済方法が採用されてきていることも防犯対策となっています。
基本的には、料金精算機は利用者が使いやすく人目に付きやすい場所に配置するため、機器類の進化と合わせて料金不払いや料金精算機の盗難リスクはゼロではありませんが、非常にまれなケースとなってきています。
コインパーキング事業の2つの運営方式
コインパーキング事業には2つの運営方式があります。
ひとつはコインパーキング会社に土地を一括で貸すという「一括借上方式」であり、もうひとつは自分自身でコインパーキングを運営する「自己運営方式」です。
では、それぞれについて見ていきましょう。
一括借上方式
一括借上方式は土地オーナーとコインパーキング会社が「土地一時使用賃貸借契約」を締結し、コインパーキング会社はその土地でコインパーキングを運営します。
コインパーキング会社は土地オーナーに毎月賃料を支払い、コインパーキングの売上を自社の収益とします。
コインパーキング運営に必要な機器類の購入や保守管理業務はコインパーキング会社の責任と負担において行い、土地オーナーは毎月決められた借上賃料を受け取るだけとなります。
<一括借上方式の仕組み>
一括借上方式の主なメリットは、
・ノウハウのあるコインパーキング会社に運営を委託するため、何の手間も労力もかからない
・稼働状況により収入が変動するリスクがなく、毎月安定収入が得られる
・初期費用がかからない
となります。
反対に、主なデメリットやリスクとして、
・コインパーキングが高稼働だとしても収入増が見込めない
・状況により借上賃料の値下げの可能性がある
などがあります。
特に借上賃料の値下げリスクには、注意が必要です。
一括借上方式は「サブリース方式」ともいわれ、近年ではサブリースに方式によるトラブルが頻発していることから、「サブリース」というワードには聞き覚えがある方も多いかもしれません。
一括借上(サブリース)方式で気を付けなければならない点は、契約当初と同じ借上賃料が永久に続くわけではない、ということです。
コインパーキング会社と締結する契約書には、「賃料を保証する」という文言が使われているかもしれませんが、それはその契約期間(主に2~3年間)の間だけのことです。
契約書をよく注意して見ると、必ず特約事項などに「稼働状況に応じて賃料を減額することができる」といった内容が加筆されているはずです。
契約時には競合他社に負けないように高い借上賃料を提示してきますが、その後は下がる一方であるケースがあることもよく聞きます。
そのため一括借上方式を選択する場合は、こうしたリスクに注意してコインパーキング会社に事前に確認しましょう。
自己運営方式
自己運営方式は、コインパーキング運営を自分で行う方法です。
コインパーキングの機器類や設備などをすべて自分で購入し、アスファルト舗装工事や機器類の設置工事も自分で手配し、料金設定や集金なども自分で行います。
ただし、「機器類の故障などのクレーム対応」「釣銭が出ないなどのトラブル対応」「機器類のメンテナンス」に代表される保守管理業務だけは、委託費を支払ってコインパーキング会社に委託するケースがほとんどです。
機器類をリースにて調達した場合には、毎月の売上からリース料と保守管理費を差し引いた残りが収入となります。
土地を借りて運営している場合はそこから地代を支払いますが、リスクを負う分一括借上方式より利益は大きくなります。
<自己運営方式の仕組み>
自己運営方式の主なメリットは、
・売上が自分のものとなる
・保守管理業務だけは委託するため、クレーム対応やトラブル対応の必要がない
・経営努力を売上に反映させることができる
となります。
自己運営方式の場合、一括借上方式と違って自分の経営努力や工夫を売上に反映させることができるため、利益が増えるばかりでなく事業のやりがいを感じることができます。
自分自身でコインパーキング事業のノウハウやスキルを身に付けることにより、次の現場へ活かすことができますし、今後の事業拡大のチャンスも広がります。
一方、デメリットとしては、
・初期費用が発生する
・事業失敗による赤字リスクや土地や機器類の購入費用などを回収できないリスクがある
などがあります。
ただし、初期費用として機器類を購入するのではなくリースすることによってランニングコスト化することもできますし、土地は購入せずに貸地で事業を行うこともできます。
そのため、そのような方法でリスクを軽減することが可能です。
コインパーキング事業に適した土地とは?
コインパーキング事業を成功させるために、最も大切なことは「土地選び」です。
土地の立地や集客力によって稼働率が左右されることは言うまでもありません。
それでは、コインパーキング事業に適した土地とはどういう土地なのでしょうか。
ここでは、土地の見分け方や選び方について解説します。
近隣に集客施設があるエリア
まずは、駅前や商店街などの人が集まるエリアはかなり有望です。
ただし、なかなか物件が流通せず、物件が出たとしても売買価格や賃料が高いのが難点です。
駅から離れていても近隣に集客施設があるエリアであれば、需要が見込める可能性があります。
例えば、学校や幼稚園、病院、ショッピングモールなどの大型商業施設、大規模なマンション、大きな公園、野球場やサッカー場などのグラウンド、駐車スペースが充実していない人気の飲食店、大企業や官公庁などのオフィス街…こうした集客施設の近隣をチェックしてみましょう。
コインパーキングの需要は、「駅前や商業地でなければあまりないのでは…?」と考えがちですが、そうした土地は物件数が少なく容積率が高いことなどから売買価格や賃料が割高であり、それだけ利益を出すハードルが高くなります。
発想を柔軟にして、「駅から離れていても人が集まる施設があるエリア」もターゲットにすると売買価格や賃料も安くなりますし、利益の出しやすい優良物件を見つけることができる可能性があります。
駐車違反取り締まりが厳しいエリア
駐車違反の取り締まりが厳しいエリアは、コインパーキングの需要が高い可能性があります。
また、路上駐車がしにくいエリアも同様であり、特に道路の幅員が4メートル未満の場合は、路上駐車をすると通行に支障をきたす可能性が高いため、短時間でも民間の駐車監視員に違反切符を切られてしまいます。
そのため、短時間でもコインパーキングに駐車したいという需要が見込め、有望エリアであると考えてよいでしょう。
ちなみに、東京都の場合は警視庁のホームページには、各警察署の「駐車監視員活動ガイドライン」というページが掲載されています。
その中には、各管轄エリアの取り締まり重点路線が記載されており、地図にも表示されています。
自分が検討しているエリアのどの地域が駐車違反取り締まりの重点地域であるかを確認し、事業用地選定の検討材料とするとよいでしょう。
<駐車監視員活動ガイドライン(麻布警察署)の事例>
引用元:警視庁ホームページ 駐車監視員活動ガイドライン 【麻布警察署】より
逆に、日頃から路上駐車をよく見かけるエリアでは、駐車禁止の取り締まりが緩い地域である可能性があり、ドライバーにお金を払ってコインパーキングに駐車するというモチベーションが働かない可能性があります。
コインパーキングの潜在的需要はあっても、利用者の意識が低い可能性があるため注意が必要です。
開発予定地や再開発地区などがあるエリア
近隣に大規模マンションや商業施設、大型ビル、病院、介護施設などの開発予定地があるエリアでは、完成後の集客だけでなく工事中の需要も見込めるため要チェックです。
こうした集客施設が完成してからでは、土地の価格や賃料が上がる可能性があるため、高くなる前の計画段階や工事段階に物件を見つけることができれば、安く土地を仕入れることができコインパーキング事業の成功率が高まります。
開発案件を計画段階からキャッチするためには、開発用手地に立てられた下記のような「お知らせ標識」をチェックして、記載されている開発工事の概要を確認するとよいでしょう。
<建築計画のお知らせ標識の事例>
また、駅周辺の再開発地区や新駅の設置地区なども有望なエリアですので、できるだけ計画段階から情報を入手できるようにアンテナを広げておきましょう。
競合するコインパーキングや施設があるか?
近隣に競合するコインパーキングがあるかどうかを必ずチェックします。
近隣に複数のコインパーキングがあり、どの現場も稼働率が低い場合は、需要に対して供給過多となっているリスクがありますので、見送る方がよいでしょう。
一方、近隣にある複数のコインパーキングがいずれも満車状態であれば、そのエリアでのコインパーキングの需要に対して供給が不足している可能性があるため、曜日や時間帯などを変えてさらに調査するとよいでしょう。
下記のサイトでコインパーキングの現場数を確認することができますので、現地調査をする前に確認しておくとよいでしょう。
土地の形状と道路付け
コインパーキングに適した土地かどうかを判断する場合に、立地の次に土地の形状と道路付けを確認することが大切です。
土地の形状
コインパーキング事業に適している土地の形状は、前面道路に対して間口の広い土地です。
土地の間口が広ければ駐車場の入り口を広くすることができ、利用者が入りやすく切り返しをしなくともスムーズに駐車できることが重要です。
土地面積が同じでも、土地の形状(間口や奥行)により土地の利用効率や使い勝手の悪いレイアウトになり、駐車台数も大きく変わるため注意しましょう。
また、間口の広い土地は前面道路からの視認性がよいため、現場を認知してもらいやすいメリットもあります。
<コインパーキングに適している土地の形状>
ちなみに、コインパーキングに必要な1台あたりの駐車スペースは2.5メートル×5メートルです。
採算性を考えると最低でも2台駐車できるスペースは確保したいため、料金精算機や看板のスペースを考慮して最低でも間口6メートル×奥行6メートルの土地の形状が必要となることを覚えておきましょう。
<コインパーキングの最低単位の土地の形状>
・道路付け
道路付けとは敷地と接している前面道路の関係を表す言葉であり、接道条件ともいいます。
通常は「南6メートル公道」というように、敷地から見て道路が接している方向と道路の幅員や種別を併せて表記します。
コインパーキング事業の場合、二方向から車を入れられる二方路(いわゆる角地)がよく、道路に接している間口も広い方がレイアウトも断然しやすくなります。
三方路、四方路というように敷地と接する道路の数が多いほど利用しやすくなりますが、物件数が少ないのが実状です。
角地が見つからない場合は、一方路の土地で駐車場のレイアウトを工夫するしかありません。
<角地と一方路のレイアウトの事例>
たとえ土地面積が広くても、道路付けが悪いとデッドスペースが生まれて土地の利用効率が低くなりますので、レイアウトの工夫が必要です。
駐車台数を最大限確保しつつ、利用者の視点に立った使い勝手の良いレイアウトを心掛けましょう。
また、ガードレールや街路樹の有無も大きなポイントです。
ガードレールや街路樹は行政の指導により撤去することが難しい場合があるためです。
特にガードレールの撤去は安全性の観点からも慎重な対応が求められますので、注意しましょう。
実際のコインパーキングの運営事例
コインパーキングの運営事例にはさまざまなパターンがあります。
ここでは実際の運営事例について紹介しますので、ご自身の運営の参考としてください。
オフィス街や商業地での運営事例
最も需要が多く見込め、入出庫の回転が早いうえに1時間あたりの料金単価も高く設定できるため、大きな売上が期待できます。
ちなみに、下記の左の運営事例では15分/400円、右の運営事例では10分/500円の料金設定となっています。
1時間あたりの駐車料金はそれぞれ1,600円、3,000円と驚くほど高額になりますが、いずれも高い稼働率を維持しています。
ただし、これらの事業用地は、通常、土地価格や賃料も高額であるため、事前の事業収支計画を十分にシミュレーションする必要があります。
<オフィス街や商業地での実際の運営事例>
住宅地での運営事例
住宅地で運営する場合は、近隣に大規模マンションや学校などがあるエリアで運営されている事例が多く見られます。
また、月極駐車場の一部をコインパーキングに転用する事例も増えています。
下記の右の運営事例は、月極駐車場の半分をコインパーキングに転用しています。
どちらの運営事例においても、近隣に大規模マンションや複数の共同住宅が点在しており、小中学校や保育園などの施設もあります。
<住宅地での実際の運営事例>
大型駐車場での運営事例
大型駐車場でコインパーキングを運営する場合はロック板式ではなく、ゲート機を設置するゲート式の運営が一般的です。
下記の運営事例では、近隣に大規模マンションや商業施設、大学、大きな公園、サッカー場などがあり、さまざまな需要に対応しています。
その他、ゲート式は幹線道路沿いや駅前立地でもよく見られる事例です。
<大型駐車場での実際の運営事例>
狭小地での事例
狭小地であるが故に建物のプランを入れにくく、コインパーキングでの運用がベストと考えられる事例です。
狭小地の場合、2台駐車できるスペースがあれば運営可能です。
<狭小地での実際の運営事例>
来客用駐車場での運営事例
店舗などへ来店する来客用駐車場をコインパーキングで運営している事例です。
来客以外の不正駐車対策や店舗営業時間外の有効活用を目的としています。
こうしたスペースを第三者が借り上げてコインパーキングを運営するケースもあります。
下記の左の運営事例はホテル、右の運営事例は金融機関です。
<来客用駐車場での実際の運営事例>
駐輪場などを併設する運営事例
コインパーキングのレイアウトを計画する時、生じてしまうデッドスペースを自転車やバイク向けのコインパーキングとして併設している事例です。
下記の事例では、いずれも敷地奥のデッドスペースを自転車向けのコインパーキングとして運営しています。
<駐輪場などを併設する運営事例>
その他の運営事例
その他の運営事例として、狭すぎて車用のコインパーキングのレイアウトが入らない場合にバイク用のコインパーキングとして運営する事例(下記の右の事例)や、自宅の敷地の一部をコインパーキングとして運営する事例(下記の左の事例)などがあります。
<その他の実際の運営事例>
また、運営事例ではありませんが、最近はロック板のないロックレス式のコインパーキングが登場してきています。
ロックレス方式では監視カメラによって車のナンバーを読み取って管理しており、料金不払いや不正駐車を防止しています。
むしろ、コインパーキング全体を監視カメラで管理しているため、ロック板式のコインパーキングよりセキュリティは強化されているといえるかもしれません。
駐車スペースにロック板がないことから、車を大事にしている利用者や駐車が苦手な利用者にとっても安心して利用できるメリットがあります。
<ロックレス式のコインパーキングの事例>
コインパーキング事業の実際の事業収支モデル
次に、コインパーキング事業の実際の事業収支モデルについて見てみましょう。
コインパーキング事業の事業収支モデルを見ることによって、よりリアルな事業採算性や事業収益性を確認できるでしょう。
<コインパーキング事業の実際の収支モデルの事例>
この事例は30坪の土地を賃借して3台分のスペースで運営しています。
土地の間口が狭いため、レイアウトを工夫して3台分を確保している状況です。
最寄駅に3分という立地で、近隣には飲食店や商業施設、オフィスビルなどが建ち並ぶエリアであるため、24時間を通じて需要があります。
料金設定は15分/100円としており、コインパーキングの売上は年間330万円(月平均27万5,000円)、併設している自動販売機の売上が年間10万円(月平均8,000円)です。
支出を見ると、土地オーナーへ支払う地代(土地の賃料)が年間108万円(月9万円)、保守管理会社へ支払う保守管理費が年間24万円(月2万円)、電気代が年間3万円(月平均2,500円)となっており、収入から支出を差し引いた営業利益が205万円となっています。
アスファルト舗装、ライン引き、ロック板、料金精算機、看板などの設置は初期費用(約150万円)として開業時に一括して支払っているため、毎月の支出には入っていません。
また、土地を借りているため固定資産税・都市計画税の負担もありません。
ちなみに、この土地の固定資産税・都市計画税の合計を固定資産税路線価図から判断すると、約40~50万円程度と考えられますので、貸地で事業運営する場合はリスクを軽減できるといえるでしょう。
コインパーキング事業を成功させるコツや工夫
この章では、コインパーキング事業を成功させるためのコツや工夫について解説します。
料金設定を機動的かつ戦略的に行う
料金設定は、コインパーキング事業において最も大切なポイントです。
基本的に、工事着工前に料金設定を決めておかなければなりませんが、開業後も機動的に料金設定を変えることができます。
実際の稼働状況を検証・分析し、料金設定を変えることにより売上をアップさせることが可能です。
例えば、15分/100円の設定と30分/200円の料金設定を比べると、どちらも15分間の料金単価は100円ではありますが、利用者が15分利用した場合にそれぞれ100円、200円と売上に差が出ることになります。
これが積み重なっていくと、年間売上に大きな差が生まれてきます。
一般にオフィス街にあるコインパーキングでは、利用者はビジネスマンといえるでしょう。
ビジネスマンは商談や打ち合わせのために得意先や打ち合わせ現場へやってきますので、コインパーキングの料金は自腹ではなく会社の経費です。
いったんは自分の財布から支払うかもしれませんが、会社で経費精算してくれるのであまり細かい料金の違いにこだわらず、便利なところに駐車する傾向があります。
「15分/100円」と「15分/200円」とではもちろん前者を選びますが、「15分/100円」と「30分/200円」ではより便利で近い方を選びます。
このように、時間の区切りが粗く(単位ごとの分子を大きめにする)して、料金は高めに設定すると売上を最大化できる可能性があります。
ただし、これは短時間利用者が多い回転が早い場合の料金設定であって、立地や周辺環境によって調整しなければなりません。
もう一つのポイントとして「最大料金の設定」があります。
「最大料金」とは、「1日最大1,500円」など、長時間利用の場合の上限料金を決めてある料金設定です。
この料金設定の狙いは、ズバリ集客力アップです。
最大料金を気にする利用者は、近隣の工事現場に来ている工事業者やその日だけ通勤のために利用するビジネスマンなどであり、最大料金を支払う予定のある利用者です。
事情により長時間駐車するのであれば、より安い料金のコインパーキングに駐車したい…と考えるのは当然のことといえるでしょう。
そのため、最大料金を安く設定してアピールすれば、集客力アップにつながります。
ただし、近隣の競合するコインパーキングの料金設定を必ず確認して、原則は同じ料金設定にすることをオススメします。
競合するコインパーキングに対抗した料金設定をすれば、競合他社もさらに対抗してきて価格競争に巻き込まれるリスクがあるためです。
基本的には100%自己資金で行う
コインパーキング事業を始める場合、基本的には100%自己資金で始めることをオススメします。
機器類や工事費用はそれほど大きな金額ではないため、金融機関からの借入金により資金調達しても大きな問題とはなりませんが、土地を借入金によって購入する場合は特に注意が必要です。
原則的にコインパーキング事業のための土地購入について、金融機関が融資する可能性は低いですが、与信力の高い人や共同担保がある場合は可能性があります。
土地を購入してコインパーキング事業を行った場合、売上から固定資産税・都市計画税、借入金の金利分、機器類の減価償却費を控除した利益(不動産所得)に対して所得税が課税されます。
借入金の元本返済分は費用として控除することができず、税引き後の利益の中から支払うことになります。
税引き後利益から借入金の返済を行うと、場合によってはキャッシュフローが赤字となり資金繰りが難しくなってしまいます。
そのため、コインパーキング事業は100%自己資金で行うことを原則とし、どうしても土地の購入を借入金で調達したい場合にはLTV(融資比率)に十分注意して計画することが重要です。
LTVの目安としては、少なくとも50%以下を基準とするとよいでしょう。
集金業務は自分で行う
外部に委託する保守管理業務に集金業務を含めることもできますが、集金業務だけは自分自身で行った方がベターです。
その分のコストを節約できるメリットもありますが、自分で現場に定期的に足を運ぶことによって現場の現状や問題点、新しいニーズなどを発見できる大きなメリットがあるためです。
例えば、近隣の競合パーキングの稼働状況や料金設定を確認したり、自分のパーキングの管理状況を確認したり、新しいビルやお店ができるなどの周辺環境の変化を把握したりすることができます。
周辺環境が変化すれば、人の流れが変わったり新しいニーズが生まれたりすることもあるでしょう。
このように現場で気づいたことと売上データなどを照らし合わせて、料金設定を変えて売上の最大化に役立てることができます。
また、単純にお金を回収するという行為は、楽しい行為でもあります。
「こんなに売上が貯まっている!」と感じられることで、事業運営のモチベーションが上がるのは確実です。
このようなことから、あまりに現場が離れている場合を除いて、集金業務はなるべく自分自身で行うとよいでしょう。
売上データを活用する
保守管理会社から送られてくる売上データを分析し、ぜひ運営に活用しましょう。
売上データには、車室ごとに売上高や出庫件数、駐車時間などのデータが網羅されています。
これらのデータを分析して売上アップの戦略を考えましょう。
例えば、想定していたより夜間の駐車が多いようであれば夜間料金を値上げしてみるとか、駐車の回転が早い場合には時間の区切りを長めにして料金を高くしてみるなど、さまざまな戦略を試してみましょう。
コインパーキング事業は、こうした小さな努力の積み重ねが売上を確実にアップさせてくれる事業です。
オススメのパートナー会社5社
ここまでコインパーキング事業の魅力やリスクなどについて解説してきましたが、やはり大事なのはパートナー会社選びです。
最後に、コインパーキング運営の豊富な実績やノウハウ、安定した経営基盤を持つパートナー会社5社を紹介しますので、パートナー探しの参考にしてください。
三井のリパーク
運営会社 | 三井不動産リアルティ株式会社(非上場) |
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運営方式 | ・原則、一括借上方式 土地オーナーは機器類などの初期費用や保守管理費などのランニングコストの負担は一切なく毎月定額の借上賃料を受け取ることができる |
保守管理・サポート体制 | ・24時間・365日、故障やトラブルを「リパークコールセンター」で対応し、「釣銭が切れた」「出庫できない」などの事態には現場に急行する ・定期的に場内清掃を行い、常に場内を清潔な状態に保っている ・その他、アイドリングストップやゴミ捨てに関する啓蒙など、近隣への配慮を欠かさない |
対応エリア | 全国47都道府県の個人から法人オーナーまで幅広く対応 |
コインパーキング運営車室数 (2015年4月時点) | 運営箇所数:8,975箇所 運営車室数:146,728車室 ※データは前述の「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」より |
特徴 | ・三井不動産グループによるシナジー効果や不動産価値を最大化するノウハウを活かすことができる ・コインパーキング閉鎖後の土地売買などもバックアップ可能 ・車路幅に独自の基準を設定し、「駐めやすさ」を実感できるレイアウトを推進 ・稼動状況のデータ収集・分析、コールセンターにおける利用者へのサービス機能、利用者への便利な駐車場情報の発信機能など、サービスの向上および最適運営を行うための独自のネットワークシステム「Rism(リズム)」を構築 ・TポイントやANAマイルなどのポイントサービスと連携し、ユーザー満足度を高めている |
【公式】三井のリパーク” target=”_blank” class=”q_button rounded sz_l bt_red” rel=”noopener noreferrer”>三井のリパーク公式サイトはこちら
Times24(タイムズ24)
運営会社 | パーク24株式会社(東証1部上場) |
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運営方式 | ・原則、一括借上方式 土地オーナーは機器類などの初期費用や保守管理費などのランニングコストの負担は一切なく、毎月定額の借上賃料を受け取ることができる |
保守管理・サポート体制 | ・立地・周辺環境・近隣の駐車場ニーズなどの調査・分析はグループ会社のタイムズ24が対応 ・集金業務・場内清掃・機器類の保守管理・24時間緊急対応(コールセンター)などをグループ会社であるタイムズサービスが対応 |
対応エリア | 全国47都道府県の個人から法人オーナーまで幅広く対応 |
コインパーキング運営車室数 (2015年4月時点) | 運営箇所数:14,853箇所 運営車室数:492,629車室 ※データは前述の「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」より |
特徴 | ・駐車場事業、レンタカーやカーシェアリング事業などを展開し、コインパーキング運営箇所数・運営個数ともに国内最大を誇る ・台湾・韓国・イギリスなど海外でも駐車場事業を展開 ・日本第1号のコインパーキングを東京都台東区にて1991年にオープン ・高い知名度を活かした集客力やノウハウの蓄積は土地オーナーへの信頼度が絶大 |
運営会社 | スターツアメニティ株式会社(非上場) |
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運営方式 | ・一括借上方式と自己運営方式のいずれも対応 一括借上方式は安定した固定収入が得られ、自己運営方式は機器類などを土地オーナーが購入して運営し、保守管理業務をスターツアメニティに委託 |
保守管理・サポート体制 | ・24時間・365日対応のコールセンターは、グループ会社であるエスティーメンテナンスが運営 ・現場の声を管理部門に反映させやすい環境・管理体制を構築 |
対応エリア | 北海道・関東・関西・中部地方を中心に対応 |
コインパーキング運営車室数 (2015年4月時点) | 運営箇所数:2,652箇所 運営車室数:33,126車室 ※データは前述の「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」より |
特徴 | ・経営母体は東証1部上場の「スターツコーポレーション」であり経営基盤が強い ・企業理念に「地域との繋がり」を掲げており、地域性の知識をもとにした駐車場データ・ノウハウにより最適な提案を実施 ・スターツグループ(ビル建築・戸建建築・不動産売買・賃貸募集・マンションアパート管理・ビル管理)の不動産ソリューションをトータルで活用可能 |
パラカ
運営会社 | パラカ株式会社(東証1部上場) |
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運営方式 | ・一括借上方式と賃料還元方式の2パターン 一括借上方式は安定した固定収入が得られ、賃料還元方式は駐車場の売上に応じて定率で賃料を還元する方式 |
保守管理・サポート体制 | ・24時間体制のコールセンターによりトラブル・クレームを対応 ・場内の景観美化についてもパラカが責任をもって対応 |
対応エリア | 全国47都道府県の個人から法人オーナーまで幅広く対応 |
コインパーキング運営車室数 (2015年4月時点) | 運営箇所数:1,605箇所 運営車室数:22,870車室 ※データは前述の「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」より |
特徴 | ・最短の契約期間は2ヶ月からとなっており、更新も1ヶ月単位で対応できるため、短期間の運用が可能 ・間口が狭く奥行の長い不整形地など、売却しにくい土地をパラカが購入してコインパーキングを運営するケースあり ・賃料還元方式という売上が伸びた時に、オーナーに最大限の賃料を還元するシステムがある |
NTTル・パルク
運営会社 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ル・パルク(非上場) |
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運営方式 | ・一括借上方式と自己運営方式のいずれも対応 一括借上方式は安定した固定収入が得られ、自己運営方式は機器類などを土地オーナーが購入して運営し、保守管理業務をNTTル・パルクに委託 |
保守管理・サポート体制 | ・場内にNTT東日本の光回線によるネットワークカメラを設置し、高速・大容量のライブ画像により駐車場の利用状況をリアルタイムで確認 ・定期的な清掃や除草などを実施し、不法投棄等があった場合はNTTル・パルクが対応 ・場内での苦情・トラブルなどはすべてNTTル・パルクで対応 |
対応エリア | 全国47都道府県の個人から法人オーナーまで幅広く対応 |
コインパーキング運営車室数 (2015年4月時点) | 運営箇所数:333箇所 運営車室数:3,382車室 ※データは前述の「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015版」より |
特徴 | ・NTTグループのIT技術や信用力をフルに活かしたコインパーキング運営が可能 ・電子マネー・クレジットカードに対応したIT精算機は遠隔操作でのトラブル対応が可能 ・多くの現場でロックレス式を採用し、停めやすくトラブルの少ないコインパーキングを運営しており、ナンバー認識ポールで車の入出庫を管理 ・IT精算機によるキャッシュレス精算やポイントサービス、法人向けカードなど、NTTグループならではの技術を集客にも活用 |
コインパーキング事業は累積事業です
コインパーキング事業の最大の強みは「累積事業」であることです。
年間の売上が安定してくれば前年の売上をベースとすることができるため、翌年はゼロからのスタートでなく、ある程度の売上が見込める状態から始められるのです。
また、たとえ売上が落ちたとしても機動的に素早く対策を立てることが可能であり、そのリターンを売上として即時得ることができるのがコインパーキング事業です。
みなさんの経営努力や工夫が売上にすぐに反映するため、事業経営の面白みや醍醐味を味わうこともでき、モチベーションが下がらないメリットもあります。
リスクを大きく排除したやり方も説明しましたので、ぜひ挑戦することを検討してみてはいかがでしょうか。