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プロハの代表として「学ぶ」機会を提供する

目次

やりたいことを仕事にする支援を継続

Q:現在のお仕事は?

 1988年生まれで京都出身、実家は古美術商をしています。母が器のセレクトショップ、父が古美術という商売人の家系に育ちました。
 その後新卒で人材系の企業に入り、配属が東京ということでこちらに出てきました。企業では丸3年間営業をして、その企業の代理店の新人さんに営業を教えるなどの、代理店渉外と言われる仕事を1年3か月やって退職、というような流れです。企業での仕事に就いて思ったのは、アウトプットするスキルがついたということですね。
 メンバーと向き合って仕事をしてみて、結局は人と向き合う仕事が好きなんだと実感しました。
 また個人の活動としては「やりたいことを仕事にする」というのをテーマに、主に3つのことをしてきました。
 1つ目がこのプロハでの活動で、やりたいことを仕事や形にする場所を提供すること。2つ目が職業体験提供をするジョブライブという会社で、これもやりたいことを仕事にする為のサポートです。3つ目は変わり種で、無人島プロジェクト。
 主にこの3つの活動をしながら企業でも働くというような2足のわらじ生活を丸3年ほど続け、本業のほうを今年の6月に退職するという形になりました。

Q:無人島での活動は?

 無人島プロジェクトに関しては、学生時代の19歳からやっています。最初は無人島に行ってみたい、キャンプがしてみたいというような欲求だけで、本当に思いつきだったんです。どこまでできるか分からないけど、とりあえずやってみようぜ!というようなノリで、当時のアルバイト仲間と始めました。
 何もない場所で暮らす、生きる。寝て起きて、食べて過ごして日が暮れる。そんな生活が好きで、楽しかった。それに魅力を感じて毎年違う仲間を連れて行くようになって、社会人になってからも毎年やっています。

人が「変わる」きっかけを提供する

 人が「何かしたい」と思う時や人が変わる時って、すごく面白い人と出会ったり何か面白い出来事があったりするのがきっかけになっていると思うんです。その出来事の部分を、何もない島での体験や出会いという形で提供できたらと思っています。今は社会人向けにやっていますが、中長期で見れば子供向けでもやりたいですね。

Q:職業体験のプログラム内容とは?

 高柳君と出会って、やりたい事について「ノウハウを教える」というよりも「職業を体験する」という事からミスマッチの少ない世の中を作っていきたいという部分で意気投合したんです。学生も社会人も一緒になって1日で仕事を体験できる、言わば「大人のキッザニア」のような物が作れたら面白いなという思いから始めました。
 まず色々なジャンルのお仕事に密着する、そしてそれにできるだけ近い形でフィールドワークを混ぜながら疑似体験をする、という流れを作ったんです。そのお仕事の良い面や悪い面など、全てをまとめて1日で体験できるというコンテンツに仕上げることができました。
 正直、最初はビジネスと言える物ではなかったのですが、毎回参加者の満足度も高かったので結果的にビジネス化できたという感じですね。「やりたいを、仕事に」という観点で、法人としてこれからも続けていきたいと思っています。

やりたいことに正直なメンバーが集った

Q:プロハの運営で大切にしていることは?

 メンバーを集める過程で最初はどうしても人づてのような事が多かったので、やりたい事はあるけど場所がなくて困っているというニーズのありそうな人が中心で、元からこんな性質の人でなければならないというような物はなかったんです。
 ただ、やっていくうちに人がカラーを作るというか、定着する人というのが決まってくるということは実感しました。
 定着していったメンバーに共通するのが「自分のやりたいことを正直にやっている」という部分ですね。自分はこういうことをしたい、と意思を明確に伝えることのできる人が最初のコアになってくれた。堂々と自分のやりたいことを語れる人の周りには、やはりそれに近い人が集まっているんですよね。その結果、近い性質を持つ人がプロハには必然的に集まっていったんだと思います。
 何かを形にしていくことに対して勢いのある人が集まっていて、そのような人達と日々切磋琢磨しながら仕事をやっていけるコミュニティというのには得難いものがあると新しいメンバーにもお話ししています。
 個人事業主、主体者のかたまりであり、なおかつサポートし合える感じですね。そこに自然とシナジーが生まれる環境なんだと思います。入ったばかりのメンバーさんのレベル感やステージを引き上げるために、店長としてサポートできたらいいなと思っています。

Q:プロハの運営ルールの良さはどこにある?

  まず会員制にする事で、外部利用が極力ないような形にしています。あとはイベントスペースが広いですね。面積で言うと大体6割がイベントスペース。コワーキングスペースが4割で、なおかつイベントスペースが拡張されているというのは珍しいのではないかと思います。
 メリットは空間を全て共にできるという所ですね。誰が何をしているのか理解できるということです。イベントスペースで何かやっていて、興味があればちょっと覗いたりもできますし、そこから人脈ができたりもする。勝手に人脈ができる空間、こういった所がメリットなのではないかなと思います。
 反対にそういったメリットがある分、作業に集中できないというデメリットもあるかもしれませんね。少し視点を変えると、アットホームというかちょっと家っぽい雰囲気もあるんですよね。自分でビジネスをする人ってどうしても孤独だったりするんですけど、プロハはオープンな造りになっているので孤独感というものがない気がしますね。

Q:運営で苦労したこと、成功したことは?

 自分の事で言うと時間の面の苦労はありましたね。本業と3つの活動をやっていく上で、どのタイミングでどれに注力するのかというのを定めなければならなかったのですが、プロハを最優先にできなかった時も正直あって。その調整が難しかったです。
 プロハは全く異なる個性を持った2人の創業者で始めたので、どっち寄りで進めていくのかというパワーバランスの部分が中途半端だったかなと今になって思います。ただ、2人で始めたからこそ、ここまでパワーを持ってやってこれたのでその意味は大きかったかなと。
 上手くいったことは、DIY以降の流れに関してですね。
 これまで2回に亘ってDIYをしてきました。みんなで壁や床を剥がし、天井を解体したりしてできた「全員で作り上げた自分達の居場所」という共通認識が今のコミュニティを育んでいる気がします。ただの利用者意識とは違って、主体者意識をメンバーさん全員が持っているというのが他にはない強みですね。
 実際DIYによって「全員で作り上げた場所」というのを再認識した頃から、人の流入がすごく増えたんです。会員だけでなく、イベントの参加者も増えました。
 DIYに関しては7日間で100人近い方がお手伝いをしてくれたのですが、それがプロハをより知ってもらうきっかけになり、結果として人を引っ張ってきてくれた。もともといたメンバーが魅力的だったというのも、もちろんあると思います。「場所の魅力」と「人の魅力」が上手く噛み合ったことで、一気にブレイクスルーしたなというのはありますね。

Q:2年目のプロハで実現したいことは?

 今までは「場所の提供の価値」や「人の魅力」がメインだったプロハですが、今後はそれに加えて資金調達ができたりスキルを得ることができるなど、何か自分で仕掛けるとなった時に必要なリソースという物が手に入るコミュニティにしたいというのが2年目の目標ですね。
 やりたいことをできる人が増えたらいいな、という思いは変わらずにあります。
 多くの人にプロハを知ってもらいたいと思いますし、知ってもらった上で接点が増えればあとはどこまでサポートできるかになってきます。
 これからはそこに全力で時間を使っていきたいと思っています。人数も増え、質も良くしていって、プロハ自体が大きく発展する飛躍の1年になると確信していますので、まずはこの1年を頑張っていきたいと思っています。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。