不動産投資を始める前、誰もが失敗しないように万全の準備で投資に臨むでしょう。
失敗を防ぐには、至った原因や実例を知っておく必要があります。
実例を知っておけば、同じ轍を踏まないよう慎重に行動し、投資の成功事例から次に打つ手を学べるようになるのです。
ここでは特に見られる不動産投資の失敗例を7つ挙げてみました。
失敗の原因をよく考え、同じような行動を繰り返さないように気をつけてください。
目次
1.サブリース契約を結んだが、家賃保証金額を下げられてローンを返済できなくなった
今、最も多い不動産投資の失敗がサブリース契約によるものです。
サブリース契約とは、不動産会社がアパートやマンションを一括で大家から借り受け、大家への家賃保証をセットに物件を運営するシステムとなっています。
大家は物件運営の手数料として、家賃の20%前後を不動産会社に支払います。
手数料は発生するものの、入居者がいなくても家賃が保証されるため、大家にとって確実な収入が見込めます。
それだけを聞くと、大変メリットの多いシステムだと思う人も多いでしょう。
しかし、保証された家賃の金額は、入居者の状態により随時見直されることが多いです。
不動産会社が大家に「家賃保証があるから」と誘って高利回りで、多額の融資を紹介し、物件を建築させようとします。
最初はきちんと保証された家賃が支払われてローンを返済できますが、数年後まで続く保証はなく、状況が変わることは多いです。
不動産会社の方から「家賃を値下げせざるを得なくなった」との通告が入り、家賃収入は減少。
結局、ローン返済額が家賃収入の金額を上回ってしまい、収支がマイナスになることがあるのです。
2018年に入り、大きな問題となっている『かぼちゃの馬車』。
このシェアハウスを発売していたスマートデイズ社と投資家に融資したスルガ銀行は、まさにこの台本通りでした。
高金利で投資家に対し、多額の融資を行っていたのです。
その結果、スマートデイズ社は倒産、スルガ銀行は金融庁の処分を受けて経営層は退陣、投資家たちにはスルガ銀行から高金利で融資を受けた分、多額の借金が残りました。
物件を売却しても返済できず、現在は訴訟問題に発展しています。
サブリース契約は、新築物件の契約と購入がセットになっていることが多いです。
新築物件の購入に関しても、土地代や建築費が相場より非常に割高になっているものが多く、不動産会社は割高な土地代や建築費で利益を出し、金融機関は高金利で融資を行うことで収入を得ているのです。
投資家として失敗しないために、まず学んでおくべきことは、
・購入代金として提示された土地代や建築代の相場が適切なものか
・賃貸需要が見込める場所に物件を建てるのか
・建てる物件が入居者にとって魅力的で、住みたくなるような物件なのか
この3つを考えましょう。
家賃保証にすっかり気を許してしまい、物件の詳細を見ないまま、「黙っていても家賃が入ってくるから、物件などどうでもいい」と思ってしまう人がいるのです。
家賃保証を約束するだけのきちんとした収入の根拠があれば、サブリース契約でも問題はありません。
入居を見込めないエリアにサブリース契約の物件があっても、結局は満足な収入が得られないため、不動産会社自体が家賃を支払えなくなってしまうのです。
基本的にはサブリース契約は、需要が真に見込める都心に限定した方が良いでしょう。
新築物件を運営するのであれば入居者は比較的決まりやすく、自分で物件を運営してもそれほど手間はかかりません。
サブリース契約には十分注意しましょう。
2.地方大学の入居者需要を見込んでいたのに、大学の撤退で住む人間がいなくなった
現在、日本では都心への人口流入が続いています。
東京や神奈川、名古屋や福岡などは人口が増加しています。
しかし、その一方で中国地方や東北地方、関東でも北部エリアでは人口が減少傾向にあります。
こういった人口減少の原因は、若者の都心への流入が原因となっています。
若者をターゲットにした単身者向けで、大学生を入居者として見込んでいる賃貸物件も多くあります。
若者が都心回帰の傾向にあるのと同様に、今では大学もキャンパスを地方から都心、郊外から都心への移転が進んでいます。
「ここには大学があるから入居者がある程度見込める」と思い、安易に物件を購入してしまうと、エリアから大学が撤退したとたん、急に若者が減ってしまうことがあるのです。
大学だけではなく、企業の工場なども地方から撤退してしまうと、入居者が一気に減ってしまいます。
特定のターゲットを中心に物件を運営することのリスクは非常に大きいです。
基本的には人口が一気に減ることがなく、安定した賃貸需要が狙えるターミナル駅付近などの物件を買いましょう。
3.「低金利だから」と頭金ゼロで物件を購入。金利の上昇でローンの返済が収入を上回ってしまった
現在、日本銀行はマイナス金利政策を導入しているため、住宅ローンの金利は非常に安くなっています。
住宅ローンほどではないものの投資用ローンに関しても、金利が6%以上だった時期と比べて大変低くなっています。
現在は金利1%台で融資を受けることも不可能ではなく、低金利時代になっています。
低金利では融資リスクは下がり、投資用物件を購入しても金利の支払いが減ります。
不動産会社から「低金利ですから借りられるだけ借りておく方がお得ですよ」と、耳にしたこともあるでしょう。
もちろん低金利時代の融資は得です。これは返済の目処が立てられるのであれば、事実です。
低金利で借りること自体、投資の成功戦略として間違いではないのです。
しかし、問題は金利上昇時のリスクを織り込んでいないことです。
今が低金利時代であるだけに、今後これ以上の金利の低下は考えにくく、基本的には緩やかに金利は上昇するでしょう。
借入金額が多ければ多いほど、金利上昇の影響を受けます。
0.1%金利が上昇しただけで、毎月の返済額が1万円以上増えてしまうこともあるのです。
「低金利だから頭金ゼロでも大丈夫」と考えて借入金額を増やしてしまうと、金利がわずかに上昇しただけでもローンの返済額が家賃収入を上回ってしまうことがあるのです。
ある程度の頭金を用意して借入金を減らし、金利上昇リスクを抑えましょう。
4.節税効果があると言われたが、最初の1、2年しか効果がなかった
不動産投資のセールストークの一つに、「損益通算による節税効果が可能」というものがあります。
サラリーマンとして給与所得がある人は、不動産所得と給与所得を損益通算することで節税できます。
不動産購入初年度は年の途中から購入になるので、家賃収入が少なくなります。
また登録免許税や固定資産税などの経費が発生します。
不動産の収益はマイナスになることが多いでしょう。
年収600万円の人が不動産を購入し、初年度運営の損失が50万円であれば、年間の収入は550万円です。
この場合、確定申告で源泉徴収された税金の一部が還付されます。
購入2年目も不動産取得税が課税され、利益はあまり大きくなりません。
購入して2年間は金利返済分が大きく、税金分や金利支払分で経費を多く計上できます。
減価償却費も多めに計上できます。
しかし、3年目になると税金の支払がなくなり、金利払い分も徐々に減り、節税効果は徐々に下がります。
利益が上がらない反面、ローンの元本返済分は経費として計上できないため支出が大きくなり、結果的に利益はどんどん圧迫されるのです。
それでは不動産投資に意味を見出せなくなります。
ただローンの返済を毎月繰り返すだけになり、不動産は資産ではなくもはや負債化してしまうのです。
不動産物件は節税目的ではなく、あくまで単体できちんとキャッシュフローを生み出せるものを購入しましょう。
5.「利回りだけを重視して維持費を考えなかった。入居率も確かめなかった」
不動産の物件情報を見ていると、それぞれの物件には必ず表面利回りが掲載されています。
不動産投資は利益を得るために行うものですから、表面利回りの数字を見ることは重要です。
ただし、表面利回りはあくまで年間を通じて満室経営ができた時の収入ですから、机上の計算に過ぎません。
実際に地方のアパートなどを見ると、利回りが20%を超えるものも珍しくありません。
そのようなエリアでは年間を通じて満室経営するどころか、半分空室を埋めることすらできないこともあるのです。
それに物件価格は築年数の古い物件ほど安くなりますから、築30年物のアパートを例にすれば、表面利回りだけは良いものが多いです。
しかし、古い物件はそれだけ修繕費がかかる上に、古くて状態が悪く、そのままでは人に貸し出せないものも多いです。
購入した時点で外壁や屋根に塗装を施したり、配管などを交換したりと、多額の修繕費が発生する可能性があるのです。
表面利回りだけを考えるのではなく、『それまでの物件運営で毎年、どれくらいの利益が実際に上がっていたのか』『入居率はどの程度だったのか』、加えて修繕履歴や実際にかかった修繕費などを必ず売主に確認しましょう。
少なくとも実質利回りを計算してから、購入を決定していくべきです。
[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・不動産投資で損をしないための「利回り」の考え方や目安を解説![/su_box]6.自然災害のリスクを考慮していなかった
日本は自然災害大国であり、2018年も台風や地震などによる大きな被害が日本各地で発生しています。
不動産経営を行う上で、自然災害の発生リスクは必ず考慮しておかなければいけません。
雨の多いエリアでは水災保険や風災保険に加入しておく、地震の起こりやすい場所では地震保険にも加入しておかなければいけないでしょう。
しかし、不動産投資初心者の方は、まさか自分の物件に自然災害で被害が発生するとは考えず、最低限の火災保険にしか入っていないことがあります。
保険に入っていないと建物が倒壊した場合に修繕費を捻出することができず、賃貸物件としての価値を失ってしまうことが多いのです。
十分にキャッシュフローを蓄えた人であれば、保険に入らずとも修繕費を捻出できるでしょうが、サラリーマン投資家などそれほど貯金が多くない人は、災害リスクの備えとして必ず保険に入っておきましょう。
7.家賃を安くしたところ、入居した人間は収入のない人間ばかりだった
「築古物件を購入しても家賃を安くすれば、古い物件でも入居者は決まるだろう」と思ってしまいがちです。
確かにそれは間違いではないのですが、家賃を安くすることで収入が安定するわけではありません。
残念なことに家賃を安くして入居が決まる住人は、上客でないことが多いのです。
具体的には収入の少ない人、収入が不安定な人が住む傾向にあります。
そのような人たちは家賃を滞納しがちです。
家賃を払っていないのに自分の部屋を使用される、二重苦の状態が続いてしまいます。
家賃を安くすれば、確かに入居者は決まりやすくなります。
しかし、安い家賃にひかれてやって来る人は結局、収入が少ないために毎月の支払いが安定しない人、社会的なモラルの低い人が多いのです。
部屋の使い方が乱雑なことも多いです。
安い部屋でも、高い部屋でも、修繕費はそれほど変わりません。
安い家賃で貸し出しているのに運用リスクが大きく、多額の修繕費を払わなければいけないこともあるのです。
入居者の家賃滞納リスクを避けるには、連帯保証人を用意してもらうよりも家賃保証会社を利用する方が良いでしょう。
家賃保証会社を利用すれば、家賃滞納時でもきちんと自分に家賃が支払われますし、オプションで原状回復費用の補償もつけられます。
その代わり、1ヶ月分の保証費用を払わなければいけません。
入居者に支払ってもらうことが難しい場合は、自分で負担しても良いでしょう。
家賃のリスクカバーという意味では非常に大きな意味を持っています。
まとめ
不動産投資の失敗例を紹介してきましたが、重要なポイントはまず、不動産投資で利益を得る仕組みを良く理解することです。
不動産投資で利益を得る仕組みは非常に単純です。
『できるだけ安く物件を購入し、得られる家賃分からいつまでに購入資金を回収できるのか』
購入にかかる相場を知っておけば、不動産会社から割高な物件を買わされることもありませんし、設定するべき家賃の金額も自ずと判断できるようになります。
物件の需要と供給の関係もそう難しいものではありません。人が住む場所には賃貸需要が生まれますが、人がいなくなれば借りてくれる人自体がいなくなるのです。
人が多く住むエリアでなるべく物件を安く購入し、周囲の相場を見ながら家賃を設定する。
この基本を守るだけでも、不動産投資で大きな失敗を招くことはなくなるはずです。
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