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【2022年版】宅建士独学勉強ノート(賃貸借)

賃貸借

不動産を借りる人を「賃借人」、貸す人を「賃貸人」と呼ぶ

・民法と借地借家法の範囲

不動産の賃貸では民法と借地借家法の双方が適用される

・建物が関係する場合には、借地借家法が適用される
・建築物が関係する場合には、民法の賃貸借が適用される(ゴルフ場や遊園地、資材置き場や平置きの駐車場などのための土地の賃貸)
・民法と借地借家法とで矛盾がある場合には、特別法である借地借家法が優先される

・賃貸借(民法)

期間を定める場合最長で50年間、中途解約はできない
※50年を超えて定めると50年に短縮される。更新して50年を超えることは可能

・契約時の義務

※契約では必ず双方に何かしらの義務が生じる

・目的物の修繕義務

・賃貸人は賃借人に使用・収益させる義務があり、必要に応じて修繕をしなければならない。ただし、賃借人の責めに帰すべき自由があるときは不要
・賃貸人がおこなう修繕行為を、賃借人は拒むことができない。また急迫の事情がある場合や(雨漏りなど)、賃貸人が相当の期間内に必要な修理をしない場合には、賃借人は自分で修繕できる
・賃貸人の修理により、賃借人が賃借をした目的を達成できなくなった場合には、契約を解除することができる

・必要費と有益費

賃借人が修繕をおこなった場合は、賃貸人はその費用を支払わなければならない

 必要費有益費
内容通常の使用に必要な費用目的物の価値を増加させる費用
いつ請求できるか支出後、全額を直ちに請求できる契約終了時に請求できる
※支出額と価値増加額のどちらかを賃貸人が選択して支払う

※賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益することができなくなった場合、その部分の割合に応じて当然に減額される(✕賃借人はその割合の賃料の減額を請求できる)。また、全部が滅失した場合または賃借した目的を達成することができなくなった場合には、賃貸借は当然に終了する

・賃借人の原状回復義務

元の状態に戻して返す(通常使用による損耗や経年劣化などは除く)

・賃貸人の過失で損害が発生した場合

賃貸人は損害賠償請求をおこなうことができる。ただし、賃貸人は賃借人から返還を受けたときから1年以内に請求しなければならない

・賃貸契約の対抗要件(建物)

※建物を二重契約した場合には、民法では先に登記をした方を勝ちとするが、賃貸借では登記まではおこなわないのが通例のため、借地借家法では先に引渡しを受けた(鍵を受け取った)方を勝ちとしている

・賃貸契約の対抗要件(土地)

借地権の登記現実的には困難
借地上に建物を建てて登記する建物の表題登記、保存登記をすることで借地権が認められる(表題の登記でもよい)
※ただし、妻や子などの他人名義の登記の場合は認められない
掲示による保全建物登記があった建物が滅失した場合、再築するまでの間は、その土地に一定事項を記載したものを掲示すれば、滅失から2年間は第三者に対抗できる(明認方法)
※掲示は、土地に看板を立てておけば有効となる(もとの建物に登記がない場合には掲示があっても無効となる)
※2年以内に建物を建てた場合には、建物の登記をすることで第三者に対抗できる

※一筆の土地に借地権をもつ建物が複数ある場合には、そのうちの1棟で登記があれば、土地全体の借地権を主張することができる

・売買契約と賃貸借契約の対抗要件

※物件の所有者が変わった場合には、賃貸人は所有権移転登記をしなければ賃借人に賃料を請求できない

・敷金の承継

賃貸人の変更賃借人の敷金関係は、新賃貸人に引き継がれる
賃借人の変更賃借人の敷金関係は、新賃借人に引き継がれない

※賃借人が変更になるときには敷金は引き継がない(旧賃借人に敷金を返した上で、新賃借人から新しい敷金を受け取る)

・賃借権の譲渡と転貸

・賃借権を譲渡・転貸するには事前に賃貸人の承諾が必要
・無断で転貸を行なうと契約解除される(ただし背信的行為と認めるに足りない特別な事情がある場合は解除できない)
・たとえ無断転貸の場合でも、転借人は通常の転借人と同様の権利を有する(造作買取請求権や建物買取請求権など)

※転借人も借主のため、借地借家法としては保護をしたいという考え方

・賃貸人と転借人の関係(通常時)

・AはCに賃料請求できる(ただしAB間とBC間の賃料の安い方が上限)
・CはAに修繕の請求ができない(CはBに請求し、BがAに請求する)
・転借人は、賃借人の対抗力ある賃借権を援用して、第三者に対抗することができる

※AはCに対して賃料を請求することができる。CはAに直接支払いを履行する義務を負うが、Bに前払いをしていることなどで対抗することはできない。また、CはAに対して直接修繕の請求をすることはできない(Bに対してしか修繕の請求などができない)

・賃貸借契約が終了した場合の転借人の効力

※合意解除の場合には、土地の賃貸人(借地権設定者)が建物の転借地権者に賃貸借の終了を通知しなければならない。土地の賃借人(借地権者)から転借地権者に通知をした場合は終了の通知をしたことにならない

※借地上の建物の譲渡は、同時に借地権も譲渡されたものとして扱う。そのため建物の売却時には事前に借地権者の承諾が必要

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。