書籍『未来は5マスで考える』好評発売中!!

【2022年版】宅建士独学勉強ノート(時効)

時効

時効には、手に入る時効(取得時効)と失う時効(消滅時効)がある

・取得時効

所有の意思取得の原因により外形的・客観的に判断される ○ はじまりが売買契約・不法占有 ✕ はじまりが賃貸借契約
期間占有開始時に ・善意無過失(自分のものだと信じている)    → 10年 ・悪意・善意有過失(他人のものだと知っている) → 20年 ※善意無過失の者が途中で悪意になっても10年でよい
占有を継続 (占有の意思をもって平然・公然と占有している)※必ずしも全期間に自身が占有している必要はない ・途中から他人に賃貸してもよい ・占有の承継人は、前者の占有をあわせて主張することができる ※占有の承継人は自身の善悪にかかわらず、前者の善意・悪意を引き継げる(善意無過失の者を悪意の者が引き継ぎ10年とする場合が多いが、悪意の者を善意無過失の者が引き継いだ場合には20年となる)

・取得時効の対象となる権利

・所有権、地上権 ・賃借権(継続的用益という外形的事実が存在し、賃貸の意思に基づくことが客観的に表現されているとき) ・地役権(通路を開設しているなど継続的に行使され、外形上認識することができるとき)

・消滅時効

 時効期間
一般債権(債務不履行など)・権利を行使できることを知ったときから5年 ・権利を行使できるときから10年(生命・身体に関わるものは20年
他の財産権(抵当権、地上権など)・権利を行使できるときから20年

※確定判決や裁判上の和解によって確定した権利の消滅時効は10年

※所有地を単に20年以上放置したからといって、所有権が消滅時効にかかることはない

※不法行為の消滅時効の期間とは異なるため注意。詳しくは不法行為へ

・時効の起算日

 時効の起算日
確定期限4月1日に代金を払う期限到来
不確定期限祖父が死んだら払う期限の到達した後に履行の請求を受けたときまたはその期限が到達したことを知ったとき
停止条件付き大学に合格したらお金を払う条件成立
期限の定めなし代金の支払時期を定めていない発生日(即時)

・時効の完成猶予と更新

債権者側が時効を延ばす方法。完成猶予は一時停止、更新は時効がリセットされゼロから進行する

※契約時に債権者が「消滅時効を無効とする」などの特約をつけることはできない(債務者に不利な条件は無効となる)

※時効の期間満了にあたり、天災その他避けることのできない事変のため裁判上の手続きができない場合には、その障害が消滅してから3ヵ月間は時効が完成しない

・消滅時効の援用

要件を満たし時効が完成しても、援用の意思表示をしないと時効の効果が発生しない

援用できる者・本人 ・関係者(保証人、連帯債務者、物上保証人、抵当不動産の第三取得者など)
効果起算日にさかのぼって効果が生じる(付随していた損害賠償や遅延損害金なども免除される)
援用権の放棄援用権は時効完成後に放棄できるが、時効完成には放棄できない

・消滅時効が援用できなくなる場合

※時効が完成していたとしても、知らずに承認すると時効が更新してしまい、その消滅時効の援用ができなくなる

・占有権

・占有されている物件を第三者に譲渡する場合には、第三者の承認があれば占有を移転することができる ・占有者が占有物を返還する際には、原則としてその物の保存のために支出した必要費を返還相手に請求することができる ・悪意の占有者は、転貸によって得た賃料(果実)は所有権者に償還しなければならない

※留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置する権利のこと

記事をシェアしよう
ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。