宅地建物取引士
・宅建士にしかできない独占業務(法定業務)
①重要事項の説明 ②重要事項説明書(35条書面)への記名押印 ③契約書(37条書面)への記名押印 |
・宅建士の登録基準
① | 破産者で復権を得ない者 |
② | 心身の故障により宅建業を適切に営むことができない者(成年被後見人や被保佐人であるからという理由だけでは判断されず、個別的・実質的に審査される) |
③ | 一定の犯罪により罰金刑(刑の終了から5年間は不可) どんな犯罪でも禁錮刑以上の刑(刑の終了から5年間は不可) |
④ | 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年間を経過していない者 |
⑤ | 以下で免許を取消された者(取消日から5年間は不可) ・不正の手段による登録・宅建士証の取得 ・事務禁止処分で情状が特に重い ・事務禁止処分に違反 |
⑥ | ⑤の聴聞の公示後、相当の理由なく廃業の届出をした者(届出日から5年間は不可) |
⑦ | ⑤⑥の法人で、聴聞の公示日前60日以内に役員であった者(取消日または届出日から5年間は不可) |
⑧ | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年 |
⑨ | 一定の事由により登録の消除処分を受け、その処分の日から5年間を経過していない者 |
⑩ | ⑨により、登録の消除処分の聴聞の期日および場所が公示された後、相当の理由なく、自ら登録の消除を申請した者で、消除された日から5年間を経過していない者 |
⑪ | 事務の禁止処分を受け、その禁止期間中に本人からの申請により登録が消除され、事務の禁止期間がまだ満了していない者 |
※①~⑦は宅建業免許の欠格事由と同様
※宅建免許の登録を受けることはできないが、宅建試験の受験をすることはできる。ただし、都道府県知事は宅建試験の不正受験者に対して、合格の取消しや3年を上限に宅建試験の受験を禁止することができる
・宅建士の登録(宅建試験後の手続き)
・試験合格後の最初の免許の交付申請は、受験した都道府県が対象となる(他の都道府県では交付できない) ・登録の期限は無期限のため試験の合格後はいつでも登録ができる(✕5年以内) ・2年以上の実務経験を有していない場合には国土交通大臣が指定する登録実務講習を修了することで登録を受けられる ・宅建士証の交付は、登録を受けている都道府県知事のみからしか交付してもらえない(他都道府県知事からは交付されない) |
・宅建士証の更新
宅建士証の有効期限 | 5年 |
交付申請先 | 登録をしている都道府県知事 |
法定講習 | 登録をしている知事が指定する講習のこと。更新の際には交付申請前6ヵ月以内(✕1年以内)に行われるものを受講しなければならない ※試験合格日から1年以内に交付を受けようとする者、登録移転の申請をする者は受講する必要はない |
※申請をして交付されるはずの新免許が届かないうちは、旧免許の有効期限が切れても有効の扱いとなる(宅建業者側に落ち度がないため)
・宅建士証にともなう義務
適用場面 | |
提示 | ①重要事項の説明の際(請求がなくても提示が必要) ②取引の関係者から提示の請求があったとき ※住所部分にシールを貼って隠したものを提示してもよい(従業員の個人情報保護の観点で) ※宅建士が重要事項説明の際に提示しなかった場合には10万円以下の過料が求められる場合がある。一方で重要事項説明以外のときに取引の関係者から宅建士の提示を求められても提示をしなかったときは、過料に処せられることはない |
提出 | 事務禁止処分を受けたとき(期間終了後に本人から返還の請求がないと返却されない) |
返納 | ①登録を削除されたとき ②宅建証が効力を失ったとき(紛失により新宅建士証を発行した場合は、旧宅建士証が見つかり次第) |
※提出、返納ともに、宅建士証の交付を受けた知事に対してする(仮に他の知事から事務禁止処分を受けた場合であっても)
・宅建士がおこなう変更手続き
・変更の登録…宅建士登録簿の記載事項の変更 ※登録を受けている知事に申請する(義務) ・登録の移転…宅建士の管轄となる都道府県の変更 ※登録を受けている知事を経由して新しい知事に申請する(任意) ・書換え交付…宅建士証の変更 |
・変更の登録(宅建士資格登録簿の記載事項)
① | 氏名 |
② | 住所 |
③ | 本籍 |
④ | 性別 |
⑤ | 従事している宅建業者の名称または商号、免許証番号 ※いわゆる勤務先情報。勤務先が免許換えをした場合は免許番号が換わるため変更の登録が必要 ※本店から支店に異動した場合でも、会社が変わらない場合は変更の登録は不要 |
その他 | 生年月日、試験合格年月日、合格証書番号、登録番号、登録年月日 |
※①~⑤に変更が生じた場合には、遅滞なく変更の登録の届出申請をおこなう(✕30日以内)
※宅建試験の合格後、免許の交付を受けていない場合でも変更は必要
・登録の移転
1つの都道府県で登録をすれば、全国で宅建士として業務をすることができる。しかし、法定講習を受ける際に遠方にならないように配慮するため、任意で移転を受付けている(✕義務ではない)。そのため他県で専任の宅建士になっても問題はない
移転事由 | 登録先の知事管轄の都道府県以外の事務所で業務に従事しようとする場合(任意) |
手続 | 現在登録している知事を経由して、新しく登録する知事へ申請 ・法定講習の受講は不要 ・古い宅建士証と引換えに新しい宅建士証を交付 ・有効期限は旧宅建士証の残存期間 |
※あくまで勤務地の都道府県が変わったときが対象で、自身の住所の都道府県が変わっただけでは登録の移転は申請できない
※事務禁止処分を受けているときは、免許を消除されているわけではないため、その期間中に対象の宅建士は変更の登録はできる。一方で登録の移転を申請することはできない
※登録の移転を受けた場合は、新しい宅建士証の交付を受けなければ業務をおこなうことはできない(窓口ですぐに書換えてもらえるもののため、一定期間で届かない場合は業務をおこなってもよいなどの猶予はない)
・書換え交付
書換え交付 | ・氏名または住所に変更があったときは、変更の登録をおこなったうえで書換え交付をしなければならない ※勤務先や専任かどうかは宅建士証に記載がないため、変更の登録をしても書換えまではしない |
※自身の住所が変わっただけの場合には、登録の移転はおこなわず、変更の登録申請と宅建士証の書き換え交付のみをおこなう
・宅建士の死亡等の届出義務
※宅建業の廃業と似ているため注意
※宅建士では破産したときには本人が届出するが、宅建業では破産時の届出義務者は本人ではなく破産管財人がおこなう
※消除後は遅滞なく(✕30日以内ではない)宅地建物取引士証を、登録を受けている都道府県知事に返却しなければならない