目次
コロナショックの影響を業種別のTOPIXでトップダウン・アプローチ分析
日本国内でのコロナショックの影響を分析
- 使用ソフトは、tradingview
- 使用する指数は、価格で計算している日経平均株価ではなく、時価総額で計算しているTOPIX
- 新型コロナウイルス感染症が株価に影響を与えがはじめる前の2020年1月下旬からみる

- 2020年2月上旬をピークに、3月中旬まで1,350→950へと約30%ほど下落
- その後3月下旬は1,120まで、下落の10%~15%ほどまで回復、その後浅めの2番底を迎え、現在は1,120レベルまで回復
- 「落ちているナイフはつかむな」という投資の格言があるが、下落して何回か上下しているため、そろそろ拾ってもいいところかもしれない

- TOPIXを業種別に分けたETFに、TOPIX-17というものがある
- 食品(TOPIX-17)ETF(1617)
- エネルギー資源(TOPIX-17)ETF(1618)
- 建設・資材(TOPIX-17)ETF(1619)
- 素材・化学(TOPIX-17)ETF(1620)
- 医薬品(TOPIX-17)ETF(1621)
- 自動車・輸送機(TOPIX-17)ETF(1622)
- 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)ETF(1623)
- 機械(TOPIX-17)ETF(1624)
- 電機・精密(TOPIX-17)ETF(1625)
- 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)ETF(1626)
- 電力・ガス(TOPIX-17)ETF(1627)
- 運輸・物流(TOPIX-17)ETF(1628)
- 商社・卸売(TOPIX-17)ETF(1629)
- 小売(TOPIX-17)ETF(1630)
- 銀行(TOPIX-17)ETF(1631)
- 金融(除く銀行)(TOPIX-17)ETF(1632)
- 不動産(TOPIX-17)ETF(1633)
- TOPIXのなかで、どの業種がコロナショックの影響を受けたのかを調べるために、2020年2月12日から最安値の2020年3月16日までの下落時の順位をみる

- また、2020年3月16日から5月15日までの上昇の順位をみる

- 最後に、全体の上下をみる

上昇 順位 | 2/12-3/16下落時 | 3/16-4/17上昇時 | 4/17-5/15レンジ時 |
---|---|---|---|
1 | 電力・ガス (TOPIX-17)ETF(1627) | 電力・ガス (TOPIX-17)ETF(1627) | 機械 (TOPIX-17)ETF(1624) |
2 | 食品 (TOPIX-17)ETF(1617) | 医薬品 (TOPIX-17)ETF(1621) | 鉄鋼・非鉄 (TOPIX-17)ETF(1623) |
3 | 小売 (TOPIX-17)ETF(1630) | 素材・化学 (TOPIX-17)ETF(1620) | 医薬品 (TOPIX-17)ETF(1621) |
… | … | … | … |
15 | エネルギー資源 (TOPIX-17)ETF(1618) | 鉄鋼・非鉄 (TOPIX-17)ETF(1623) | 素材・化学 (TOPIX-17)ETF(1620) |
16 | 鉄鋼・非鉄 (TOPIX-17)ETF(1623) | エネルギー資源 (TOPIX-17)ETF(1618) | 金融(除く銀行) (TOPIX-17)ETF(1632) |
17 | 不動産 (TOPIX-17)ETF(1633) | 建設・資材 (TOPIX-17)ETF(1619) | 電力・ガス (TOPIX-17)ETF(1627) |
- コロナショックでの下落時は、生活必需である①電気・ガス、②食品、③小売は、比較的下落が少なかった
- 上昇時は、①電気・ガスは引き続き上昇、②医薬品が、新型コロナウイルス感染症への治療の期待から上昇
- 状況が落ち着いてきたレンジ時は、①機械や②鉄鋼・非鉄などが回復
上昇 順位 | 2/16-5/15全体 |
---|---|
1 | 電力・ガス (TOPIX-17)ETF(1627) |
2 | 医薬品 (TOPIX-17)ETF(1621) |
3 | 情報通信・サービスその他 (TOPIX-17)ETF(1626) |
… | … |
15 | 金融(除く銀行) (TOPIX-17)ETF(1632) |
16 | 鉄鋼・非鉄 (TOPIX-17)ETF(1623) |
17 | 不動産 (TOPIX-17)ETF(1633) |
- 2/16-5/15の期間全体でみると、①不動産、②鉄鋼・非鉄、③金融(除く銀行)がまだ回復していない
- ②鉄鋼・非鉄はすでに4/17-5/15で回復基調にあるが、①不動産は特にまだ回復の目処が立っていない
TOPIX-17で割安である不動産株、金融(除く銀行)株の構成要素の分析
不動産(TOPIX-17)ETF(1633)の構成銘柄
銘柄 コード | 銘柄 | 業種 | 純資産比 |
---|---|---|---|
8802 | 三菱地所 | 不動産業 | 24.5% |
8801 | 三井不動産 | 不動産業 | 22.0% |
8830 | 住友不動産 | 不動産業 | 14.3% |
3003 | ヒューリック | 不動産業 | 4.7% |
3289 | 東急不動産ホールディングス | 不動産業 | 3.4% |
9706 | 日本空港ビルデング | 不動産業 | 3.3% |
8804 | 東京建物 | 不動産業 | 3.1% |
3291 | 飯田グループホールディングス | 不動産業 | 2.7% |
3231 | 野村不動産ホールディングス | 不動産業 | 2.6% |
4666 | パーク24 | 不動産業 | 2.4% |
合計 | 83.1% |
金融(除く銀行)(TOPIX-17)ETF(1632)の構成銘柄
銘柄 コード | 銘柄 | 業種 | 純資産比 |
---|---|---|---|
8766 | 東京海上ホールディングス | 保険業 | 20.3% |
8591 | オリックス | その他金融業 | 10.7% |
8750 | 第一生命ホールディングス | 保険業 | 9.7% |
8604 | 野村ホールディングス | 証券、商品先物取引業 | 9.3% |
8725 | MS&ADインシュアランスグループホールディングス | 保険業 | 8.8% |
8630 | SOMPOホールディングス | 保険業 | 7.6% |
8697 | 日本取引所グループ | その他金融業 | 5.2% |
8601 | 大和証券グループ本社 | 証券、商品先物取引業 | 4.2% |
8795 | T&Dホールディングス | 保険業 | 3.9% |
8473 | SBIホールディングス | 証券、商品先物取引業 | 2.5% |
合計 | 82.1% |
- TOPIX-17の業種別ETFをそのまま買うのが分散投資ができておすすめだが、取引量により金額が割高になる場合や、ETFの方が手数料がかかる場合、株主優待がもらえない場合などがあるため、個別銘柄で購入してもよい
- 個別銘柄を購入する場合には、購入構成比率の上位の銘柄から順番にみていき、業種別ETFからの乖離が低いものから重点的にIRをみていき、割安の銘柄を複数選ぶのがおすすめ


- なお、現在のようにトレンドのわからない相場の場合には、全体が上がる場合や(たとえば特効薬がみつかるなど)、全体が下る場合(たとえば第二波がくる、ロックダウンの延長がある、日本のGDPの発表で景気後退を不安視され暴落があるなど)にそなえてヘッジしておくことが重要
- 今回は、すでにコロナショックの前のレベル近くまで回復している、①電力・ガス、②医薬品などの業種を対象に、上昇の上位にある銘柄を選び、買いと同程度の金額で売りの注文を出しておくという方法がある