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【2022年版】宅建士独学勉強ノート(宅地造成等規制法)

宅地造成等規制法

がけ崩れから命を守るために、一定規模の宅地の造成(家を建てることを目的に土地を掘る工事)のに、知事が許可する制度

①宅地造成工事規制区域、②造成宅地防災区域の指定は、いずれも都市計画区域に限らず設定できる

・宅地造成工事規制区域の許可と届出

・土地の形質変更をして宅地にする場合には許可が必要
・土地の形質変更をしない場合や、宅地以外にする転用は許可不要

・宅地造成工事規制区域の許可が必要な宅地造成工事の規模

m超の切土
m超の盛土
③切土と盛土でm
④土地の面積が500㎡超

※高さ5m以上の擁壁を設置するときには、有資格者が設計しなければならない

※地表水を排除するために排水施設を設置する際、面積1,500㎡超のときには、有資格者が設計しなければならない

・盛土の際の注意点

・盛土では、およそ30cm以下の厚さごとにローラーなどで締め固めるとよい
・地すべりしやすい土質の層がある場合には、地すべり抑止ぐいやグラウンドアンカーなどの設置または土の置換え、段切りなどをしなければならない
・崖面は、風化やその他の侵食から保護するために、石張り、芝張り、モルタルの吹付けなどをおこなうとよい
・擁壁は、原則として鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、または間知石練積み造、その他練積み造のものとしなければならない
・擁壁は裏面の排水をよくするため、耐水材料を用いた水抜き穴を設け、かつ砂利等の透水層を設けなければならない

・宅地造成工事等規制法で許可が不要な例(届出が必要)

・宅地造成工事規制区域の許可の流れ

・許可申請、完了報告は造成主(✕工事請負人)がおこなう
・都市計画法の開発許可を受けた工事は、宅地造成等規制法の許可は不要
・知事は許可をするにあたり、条件をつけることができる

・宅地造成工事規制区域の監督処分

 処分を受ける者処分の内容理由
許可後造成主・許可の取消し・不正な手段で許可を受けた
・許可の条件に違反
工事中造成主
工事請負人
現場管理者
・工事の停止
・擁壁等の設置
・災害防止措置
・無許可で工事
・許可の条件に違反
・技術的基準に不適合
工事終了後造成主
所有者
管理者
占有者
・宅地の使用禁止
・擁壁等の設置
・災害防止措置
・無許可で工事
・完了検査を受けていない
・技術的基準に不適合

※造成主は工事の依頼主のこと。依頼後の売買や賃貸などにより、所有者や占有者と異なる場合がある

・宅地造成工事規制区域内の保全義務等

保全義務所有者・管理者・占有者は、災害が生じないように宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない
保全勧告知事は、災害防止のために必要があるときは、所有者・管理者・占有者・造成主・工事施行者に対して、擁壁や排水施設の設置・改造などの必要な措置をとることを勧告することができる(従わなくても罰則なし
改善命令知事は、災害発生のおそれが大きい場合は、所有者・管理者・占有者に対して、擁壁や排水施設の工事を命じることができる。また、工事施行者に対しても改良工事を命じることができる(従わない場合は罰則あり

・造成宅地防災区域

区域の指定知事(✕国土交通大臣)は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者に危害を生ずるおそれの大きい区域内の場所を指定する(3,000㎡以上の土地で、盛土により地下水位が上がり盛土の内部に侵入している地域)
宅地造成工事区域内を除く(すでに宅地となった場所が危険になった場合に対象とするため)
災害防止措置保全義務
 所有者・管理者・占有者は、災害が生じないように擁壁等の設置・改造などの必要な措置を講ずるように努めなければならない
勧告
 所有者・管理者・占有者
改善命令
 所有者・管理者・占有者・工事施行者

・その他の法令上の制限

法令許可者許可の必要な例
自然公園法 (国公園)環境大臣特別地域内においては、国公園にあっては環境大臣の許可を受けなければ、工作物の新築をしてはならない
自然公園法 (国公園)都道府県知事特別地域内においては、国公園にあっては都道府県知事の許可を受けなければ、工作物の新築をしてはならない
都市公園法公園管理者都市公園に、公園施設以外の工作物その他の物件または施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない
文化財保護法文化庁長官史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない
道路法道路管理者道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間は、道路管理者の許可を受けなければ、土地の形質変更をしてはならない
河川法河川管理者河川保全区域内において、土地の堀さく、盛土または切土その他土地の形状を変更するものは河川管理者の許可を受けなければならない
海岸法海岸管理者海岸保全区域内において、土石(砂)を採取しようとする者は、一定の例外を除き、海岸管理者の許可を受けなければならない
港湾法港湾管理者港湾区域内において、港湾の開発、利用または保全に著しく支障を与えるおそれのある行為をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない
森林法都道府県知事保安林に置いては、一定の例外を除き、都道府県知事の同意を得なければ立木を伐採してはならない
生産緑地法市町村長生産緑地地区内において、建物の新築等をする場合には市町村長の許可を受けなければならない
都市緑地法都道府県知事緑地保全地域内において、宅地の造成をしようとする者は、一定の区域を除き原則として都道府県知事等にその旨を届出なければならない
土壌汚染対策法都道府県知事形質変更時要届出区域内において、土地の形質変更をする者は、都道府県知事にその旨を届出なければならない
地すべり等防止法都道府県知事地すべり等防止区域内において、一定の行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない
景観法都道府県知事または市区町村長景観計画区域において、建築物の新築、増築、改築等をおこなう者は、指定する都道府県知事または市区町村長に届出なければならない
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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。