借家
・借地借家法の適用範囲
借地借家法は、一時使用を除く建物賃貸借契約に適用される ✕一時使用目的(貸別荘、選挙事務所など) ✕使用貸借(無償で賃貸する場合) |
※適用範囲外では民法が適用されるため、賃貸人の保護が弱くなる。たとえば一時使用目的の契約は、期間を定めた場合は賃貸人のみでなく賃借人も期間途中の解約の申入れをすることができない。また、一時使用目的では賃借権の対抗要件は登記しか認められない
・賃貸借と使用貸借
使用貸借は賃料がなく、借地借家法が適用されないため、使用する入居者は賃貸借契約のような保護がされない
※賃貸借の賃料は、後払いが原則のため、支払時期を明記しない場合は毎月末に同月分を支払う(当月末日までに翌日分の賃料を支払う決まりではない)
※契約終了は両当事者から解約を申入れでき、申入れから3ヵ月後に解約を終了できる(民法の規定)
・普通賃貸借と定期建物賃貸借(定期借家契約)
通常の賃貸借契約では、大家は「正当事由」が認められづらいため、定期借家契約(定期建物賃貸借契約)という選択肢が有効
・造作買取請求権
条件 | ①賃貸人の承諾を得て取り付けたもの ②期間満了または解約申入れによって終了 ※債務不履行で終了した場合は不可 |
※転借人にも造作買取請求権は適用される
※買取請求が適法に行使されたときは、当事者間で売買契約が成立したものと同一の効果が生じる(形成権)
・建物買取請求権と造作買取請求権
※借地の場合には建物買取請求権の同時履行を求めることができるが、借家の場合には造作買取請求権の同時履行を求めることはできない
※借地権での「建物買取はしない」特約は借地権者に不利になるため無効だが、建物賃貸借での「造作買取はしない」特約は賃借人に不利ではあるものの有効
・地代・家賃の増減額請求
賃貸人賃借人ともに、将来に向かって家賃の増額or減額を請求することができる権利がある
※普通賃貸借契約ではあらかじめ賃料増額をしない特約を書いていた場合には、賃貸人は増額請求をおこなうことはできない。また、あらかじめ賃料減額をしない特約は無効となる(賃借人に不利になるため)。一方で定期建物賃貸借契約の場合には、賃料の改定について特約があるときには賃借人は減額請求をすることができない
※裁判にて家賃の見直しがおこなわれた場合には、裁判が確定した時点ではなく価格改定を請求された時点からさかのぼって賃料の増減の反映をおこなう
・居住用建物の賃借権の承継(✕居住用以外は不可)
相続人がいる場合 | 相続人が承継することができる |
相続人がいない場合 | 婚姻届または縁組届を出していないが、事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった賃借人の同居人が承継することができる(ただし特約で排除することができる) ※同居人は、借家人が死亡したことを知ったときから1ヵ月以内に、家主に対して反対の意思表示をすれば承継しない |