不動産仲介会社で働いていて、毎月の高い売上目標にうんざりしていませんでしょうか。
「今月は無事に達成できる!」と思っていても、翌月には急に不調になってしまったり、気がつくと個人のノルマだけでなく、チームの売上目標まで持たされてしまったりと、休む間もなく毎月のノルマは課せられつづけます。
目標の達成が厳しくなると、上司や社長から理不尽に責められたり、意味なくテレアポや店頭での呼び込みをさせられたり、平日も休日も関係なく深夜まで働いたりと、過酷な労働環境になりがちです。
そんなときは、「会社を辞めたい…」と思いつつも
「でも、実際に独立しても、上手くやっていけるのかな?」
と、不安になる気持ちもあるでしょう。
実は、会社を脱サラして自分で不動産屋を開業しても、上手くやっているケースは数多くあります。
今回は、独立開業をすることで、会社員で働いていたときとどのように変わるかについて紹介します。事前に備えて準備をしておけば、開業後の負担を下げることができるでしょう。
目次
会社員時代と比較して、脱サラして不動産屋を起業すると得られるメリット
会社員時代と比較して、脱サラして不動産屋を起業して得られるメリットは大きく以下の4つです。
- 自分で自由に働き方を決めることができる
- やりたいことをやれる(やりたくないことをやらずに済む)
- 人間関係の悩みがなくなる
- 収入に上限がなくなる
自分で自由に働き方を決めることができる
実際に独立をした方に話を聞いて、最もよく言われることは、「良くも悪くも自分次第」というフレーズです。
会社員で働いていたときには、会社が働く時間や売上の目標などを決めていましたが、脱サラして独立すると、自分で働く時間や働き方を決められるようになります。
やりたいことをやれる(やりたくないことをやらずに済む)
自分にあった働き方ができるということに近いですが、自分のやりたいことをできるというのもあります。
たとえば、会社の方針として新築ワンルームマンションの営業をしていたときには、どのようなお客様であっても新築ワンルームマンションを売ることが目的となってしまいます。しかし、脱サラすると自分の判断でどのような物件でも紹介ができる状態になります。売上を重視しなくても、お客様目線で本来紹介するべき物件を提案できるのです。
同様に、これまでは例えば「両手仲介で手数料が2倍入る」「賃料分の仲介手数料に加えてAD費が上乗せされている」物件しか紹介できなかった場合でも、脱サラして独立したあとは、自分の好きな物件を紹介できるようになります。
自分のやりたいことができたり、反対にやりたくないことをしないで済むことで、ストレスを大幅に軽減でき、余裕をもった営業活動ができるようになります。
人間関係の悩みがなくなる
脱サラをして独立すると、人間関係についても自由になります。
これまでは決まった店舗に出勤し、上司や社長の指示のもとで働かなければいけなかった場合でも、独立後には一緒に働く相手を選ぶことができる立場になります。
収入に上限がなくなる
雇われの会社員の場合には、たとえ歩合による収入があったとしても、給与には上限があるでしょう。会社では、売上のすべてを給与に回すことはできません。会社では、売上が上がらないときのための保険のためや、売上が上がらなかった同僚などの補填のために、売上から利益余剰金を残しておくのです。
一方で、自分で独立した場合には、売上のすべてを一度収入として自分のものにすることができます。また、従業員を雇用したり、自分の業務を上手く外部にアウトソーシングすることで、自社で生み出す収入の上限を大きく上げることができるようになります。
会社員時代と比較して、脱サラして不動産屋を起業しておきうるデメリット
一方で、会社員時代と比較して、脱サラして不動産屋を起業しておきうるデメリットは大きく以下の3つです。
- 毎月、安定した売上を得ることができない
- すべての責任を自分でとらなくてはならない
- 社会的な信用が下がる
毎月、安定した売上を得ることができない
会社に雇われている会社員のメリットは、どんなに売上が入らないことがあっても、安定した給与が入ってくることでしょう。不動産仲介会社では歩合給の割合が大きい場合も多いですが、最低限の給与の支払い義務があるため、会社は決まった給与を出す必要があるでしょう。
一方で、脱サラして独立した場合には、売上が入らない月には収入も入りません。とくに起業したばかりの場合には、売上が発生するまでに時間がかかることも多いです。開業後すぐにお客様が来て接客をしたとしても契約までに時間がかかることや、契約後の入金までに時間がかかることも理由としてあげられます。
すべての責任を自分でとらなくてはならない
メリットの紹介で、「良くも悪くも自分次第」という言葉をあげました。自由であることはメリットではありますが、その分の責任が大きなデメリットとなります。
たとえば自分が風邪を引いて休んでしまった場合でも、会社の場合には代わりに誰かが対応してくれたかもしれません。他にも、契約書の締結でわからない点があれば、上司や同僚が助けてくれたかもしれません。
脱サラして一人で独立開業すると、なかなか相談に乗ってくれる人がいない場合があります。日々の雑談なども、実は心の支えになっていたんだと気づく方も多いようです。一人で開業して、困ったときに相談する相手がいないのが辛いと話す方も、意外と多いのです。
社会的な信用が下がる
会社員の場合には、安定した給与が入ることから、社会的な信用が得られやすいです。一方で独立した場合には、社会的な信用が下がる場合があります。
脱サラして独立をする場合には、退職前の信用のあるうちに家を借うまたは家を買っておくことや、クレジットカードの上限枠を増やしたり、枚数を増やしたりしておくことがおすすめです。独立後には法人用のクレジットカードもすぐに作れない場合も多く、個人のクレジットカードの与信枠が重要になってきます。
脱サラしておきうるデメリットは、事前に覚悟して準備しておこう
脱サラして独立する際に想定されるデメリットに関しては、事前に覚悟して対策しておくことが重要です。
まず、思い立ってすぐにいきなり退職してしまうのではなく、入念に下調べや下準備をしておきましょう。冗談のような話ですが、不動産業界では労働基準法のルールを無視して、退職の意向を伝えるとすぐに「もう明日から来なくてもいい」といわれ仕事がなくなってしまうという話も耳にします。
もし本業が不動産仲介会社ではなく、別の業界で会社員として働いていて、未経験だけど脱サラして不動産屋を開業したいというのであれば、与信のあるうちから副業や個人事業主として準備をしておくのもおすすめです。
失敗を最小限にするために、できるだけお金をかけずに起業するのがおすすめ
いずれの場合でも、まずは余裕をもてるように開業資金を多めに用意することが重要です。これは事前に支出を減らすことや貯金をしておくことで準備することができます。開業資金を少しでもおさえておくことで、開業後のリスクを減らしておきましょう。
開業資金の相場は500万円ほどといわれていますが、約200万円におさえて起業する方法もあります。詳しくは次の記事を参考にしていただければと思います。
開業後の運転資金を少なくしておけば、たとえ会社で働いているときほどの売上を達成しなくても、自分の給与ほどの金額であれば収入を得ることはそこまで難しくありません。
会社は家賃や広告費などの高い固定費を支払っているため、それにあわせて高い売上の目標やノルマを設定しています。小さく独立し固定費を安くしておくことができれば、その分、低い売上目標でも継続ができるのです。
実際に小さく起業したり、副業をして成功したりしている例も多いです。実際に開業した例を知りたい場合には、事例を見ることも参考になるでしょう。
たとえば実際に脱サラしたケースで、不動産会社に勤務していたときには1,500万円ほどの年収だった場合でも、独立して合法的な節税を取り入れることで、勤務時間を半分にして、収入を2倍にした例もあります。
たとえ開業資金があっても、融資を借りて手元に現金を残しておくのがおすすめ
たとえ資金に余裕がある場合でも、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関から融資を借りておくことがおすすめです。
銀行は、いざ本当にお金を借りたいときにはなかなかお金を貸してくれないものです。退職することで、個人の社会的な信用が失われてしまいますが、会社として少しでも余裕があるときにお金を借りておき、返済の実績をつくっておくことは、困ったときに融資を借りるために重要なことといえます。
融資は実際に借りる必要になる前から相談しておくことも可能です。開業資金を計算し、少なくとも1年間の事業計画を立ててから相談に行きましょう。
開業資金の融資では、日本政策金融公庫の新創業融資制度がおすすめです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
また、お金を借りたあとに返済が必要な融資のみでなく、返済が不要な補助金や助成金の検討もおすすめです。補助金や助成金はお金をかけずに申請ができ、申請が通ればお金がもらえるため、検討だけでもしてみるのがよいでしょう。
不動産屋の開業時に候補となる補助金や助成金の種類に関しては、以下の記事をご覧ください。
開業時や開業後の支援はもちろん、開業前の段階から、法人化や節税のスキームについても相談にのることができます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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