他の書籍にはあまりない、資金繰りの方法について書かれた1冊で、めったに聞くことのできない話のため興味深いものでした。節税はそれを目的とせず、会社の実態にあわせておこなうべきもののため、その節税のメリットと実態として経営することの手間やバランスが大事だと考えさせられました!
激レア 資金繰りテクニック50(読書ノート)
借金をできるのであれば、できるだけおこない現金をためておくことが重要
- 会社は資金繰りをよくして会社を存続させることが存在目的
- 無借金経営や黒字経営であることよりも、手元に多くの現金がある方がよい
- 資金繰りの選択肢は、借金、助成金、補助金など
- 借りられるときに借りられるだけ借りておくべき
- 中小企業の倒産は黒字倒産も半数。大手企業も負債があるからといって倒産するわけではない
- 借金で倒産する原因は手元の現金がなくなり返済が滞らなくなること
- 固定費と借入金返済の6ヵ月分の現金を持つとよい
- 未曾有の危機はいつくるかわからない。即断即決が必要な機会もいつくるかわからない。そして借りたいときには借りられないもの
- 重要なのは借金の返済ではなく上手にコントロールすること
- 資金繰り経営は繰延経営
- ①債務償還年数=借入金残高÷(税引後利益+減価償却費) ≦ 10年以内がよい
- ②自己資本比率=純資産÷(負債+純資産)×100 ≦ 40%以内がよい
- ③流動性比率=流動資産÷流動負債 ≧ 200%以上がよい
- 上記①~③の指標がいい場合には、借金をして現金を増やすべき目安となる
節税のテクニック
- レシートがもらえない場合でも経費計上はできる
- 一方で、レシートがもらえる場合でもわざわざ領収書をもらう場合には内容を隠しているのではないかと税務署に怪しまれることがある
- 現金以外の資産は現金に変える。古い設備は処分することで、残存簿価分を損失に算入することで利益を減らし、法人税と償却資産税を削減することができる
- 特別償却(減価償却の特例)で繰り延べ、一定金額を前倒しで損金算入するのがよい
- 償却は結果的には同額でも、より早くより多く経費に計上するのがよい
- 納税も借金も、支払いを繰り延べて手元の現金を増やす
- 特別償却は準備金にすることで特別損失に計上せずに特別償却として貸借対照表に反映することで決算書をよく見せることができる
- 家賃や保険料、共済の掛金、会費などの支払った日から1年以内に継続的に提供されるサービスであれば、短期前払費用の一括損金算入ができる
- 保険の加入は決算月におこなうのがよい。決算月に一括で支払うことで年間分を経費に計上できる
- 小規模企業共済は借金よりも利回りが高く、満額を支払うべき(節税による最大利回りは55%)
- 経営セーフティ共済は、損金ではなく資産計上したほうが税額は変わらないにもかかわらず銀行からの見栄えがよくなる(ただし顧問税理士の申告書が必要)
- 「経済産業省 事業主の皆様」で検索し、補助金や助成金、融資を探す
- 個人ではふるさと納税を上限まで活用する
- 交際費は800万円を超える部分は損金にできないため、役員の交際費はポケットマネーからの支払いとし、役員報酬を増やすのがよい(役員報酬は本人の所得にはなるが会社側は損金にできる)。あるいは分社化するか、社長が個人事業主を兼ねることで入金を振り分けることができる(もちろん節税が目的ではNGのため、実態として本当に事業を分けられる場合に検討する)
- 社長の自宅の仕事場部分を会社に貸すことで、本人の所得を上げずに会社で経費計上し本人に支払うことができる
- 役員報酬は期中改定をしても損金扱いにできないため、あらかじめ高めに設定しておき、どうしても下げる場合には業績悪化改定をすると全額を損金にできる
- 退職金は税率が下がるため、退職直前のボーナスは退職金に振り返ると会社も本人も節税ができる
- 退職前の有給消化は社会保険料がかかるため、会社で買い取り退職金として支払うと会社も本人も節税ができる
- 社会保険料の徴収を1ヵ月前倒し月末に当月分を徴収すると退職月に精算しやすい
- あらかじめ定額の旅費規定を定めることで、非課税で社員に少し余分に支払うことができる
- 社員の採用では、キャリアアップ助成金を使い、2ヵ月間は社会保険の加入義務のない契約社員、4ヵ月間は有期契約社員となり、問題がなければ6ヵ月後に正社員にする(57万円助成)
- 社員は業務委託の方が外注費で経費計上でき、社会保険料がかからず、消費税分も支払うがその分を課税控除される。ただし実態に即するべきで、業務委託契約書、請求書、本人の確定申告が必要
- 腰痛などの症状があれば治療院以外のマッサージでも医療費控除ができる(年間で10万円を超えた部分が約半額程度になる)
- 決算月は決算前の節税に余裕ができるよう繁忙期の前で売上の安定した時期で、売上の多い時期の直前に設定するのがよい。決算後の納税もしやすく、期初の数字がよいほうが銀行からの評価が高いため
- 固定資産税の支払いは、発生主義のため未払いの段階から損金扱いにできる
- 金融機関の決算の前の月は融資を借りやすい
- 納税猶予は資金繰りはよくなるが、金融機関の評価が下がり借り入れができなくなるためおこなわない
- 建物は付帯設備を切り離して減価償却したほうが前倒しで減価償却をすることができる(総額は変わらないが)
- 退職金は、社員から役員、役員から会長、会長から引退の3回支給することができる
- 車のローンは融資枠を減らしてしまうため、リースで借りるのがおすすめ
- アルバイトやパートの労働時間は正社員の3/4未満に規定する
- 謝礼は交際費扱として年間800万円までは経費にできるが、業務委託契約書を締結することで経費にできる
- 役員賞与は事前確定届出給与として届出ておく
- 社長の給与は賞与に寄せたほうがよい
- 確定給付年金は福祉はぐくみ企業年金基金などにすれば、60歳にならずとも休職や退職時にも受取ることができる
- 賞与は決算賞与として決算月に通知し翌月に支払うことで、期末には一時的に現金を残すことができる
- 1年で返済する短期借入金は金利が高いが、利子部分のみを支払うだけで、短期継続融資として更新し続けられる(金融機関や金融庁も推奨している)
- 元金の据置期間はできるだけ長く延ばす(支払いを遅らせることで手元に現金を残す)
- 社員の自宅は社宅とすることで、その分基本給を減らして節税することができる(社員は1ヵ月分ほどの受取が増え、会社は社会保険料を減らせる)
- 社宅は従業員負担経費として販管費および一般管理費でマイナスの経費とすることで営業利益として計上したほうが、金融機関の評価が高くなる(社食代、保険料、社用車の使用料も同様)
- 給与を1.5%上げることで法人税を減税できる所得拡大促進税制を利用するとよい
- 子会社は配偶者や親族に社長になってもらい、自身は非常勤役員となるのがよい(もちろん社長にも実態が必要)
- ブランド品も金額ではなく用途で経費にできるかを判断する
- 腕時計は経費にならないが、アップルウォッチであれば仕事で使えるため実態にあわせて経費にできる