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不動産投資で損をしないための「利回り」の考え方や目安を解説!

不動産投資物件を選ぶ時には、収益性を重視して物件を購入したいと考える人が多いでしょう。

投資である以上、収益性は確かに重視すべきポイントです。

物件の収益性を見るときには、利回りという数字を見ます。

ただし、物件情報に記載されている利回りをそのまま信用して物件を購入すると、失敗を招きかねません。

そこで不動産の利回りの何を見れば良いのか、また利回りの良い物件を見抜くにはどうすればいいのかを、ここではお伝えします。

目次

1.不動産投資の利回りには2つの考え方がある

不動産投資で使われる利回りという言葉ですが、実は二種類の利回りが存在します。

それは「表面利回り」と「実質利回り」という言葉です。

1-1表面利回りとは

表面利回りとは、物件を1年間、満室経営した時の収入を物件価格で割った数字です。

例えば1年間の家賃収入が200万円、そして物件購入価格が2,000万円の場合、200万÷2000万=表面利回りは10%です。

計算が非常に簡単であるため、一般的に不動産物件情報には、表面利回りの数字が必ず掲載されています。

1-2実質利回りとは

表面利回りに対して使われる、もうひとつの利回りの数字が実質利回りです。

実質利回りを出すには、まず不動産物件価格と購入に必要な諸費用を計算します。

そして年間の満室経営時の家賃収入から、維持費を抜いた数字で割ります。

不動産購入に際しては、税金などいくつかの経費がかかります。

先ほどの例で挙げると、2,000万円の物件で100万円の諸費用がかかった場合、最終的な購入価格は2,100万円です。

そして家賃収入が200万円。

さらに管理費や修繕費といった維持費もかかるため、その数字を家賃収入から引いて計算します。

200万円の家賃収入に対し、40万円の維持費がかかった場合では、(200-40)万÷2100万円=実質利回りは7.61%です。

実質利回りはこのように、手元に残る金額のことを指します。

またローン融資で物件を購入する場合には、ローン返済金額も差し引いて、最終的に手元に残るお金の額を考えなければいけません。

2.一般的な物件別の利回り

一般的に中古物件として売り出されている不動産物件の利回りは、どの程度でしょうか。

平均としては

建物利回り(新築)利回り(中古)
マンション2~4%4~10%
アパート4~7%6~20%
戸建て3~5%7~15%

このような相場になっています。

新築のほうが利回りが低く、中古物件の利回りは新築よりも上下の範囲が広いです。

3.表面利回りの数字を信用するのは大変危険

表面利回りの計算はシンプルなだけに、物件を選ぶ時は安易に利回りが良いものから選んでしまいがちです。

しかし、表面利回りの数値には、色々な罠が潜んでいるのです。

3-1表面利回りはあくまで満室経営ができた時の数字である

表面利回りの数字は現在の家賃と部屋数、そして一年間を通じて満室経営ができた時の収入を元に算出されています。

一年間を通じて満室経営ができる物件はまず、ありません。

都心のマンションなどであれば、満室に近い稼働率で経営できることもありますが、そういった物件は価格が高く、利回りは低めです。

少し都心から離れた郊外の物件になると、年度の切り替わりに当たる繁忙期以外のタイミングで退去が出ると、次の住人が入るまでに3~4ヶ月かかってしまうことはザラです。

さらに地方物件では、まず満室になること自体が珍しいです。6部屋のアパートで、3部屋人が入っていれば上等ということもあるのです。

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不動産投資の最も難しい点はいかに満室にして、さらにそれを維持していくかです。

『そのような非常に高いハードルを既にクリアしている』という前提で、数字を出していることを忘れないようにしましょう。

つまり前提が机上の空論であるケースも多いのです。

3-2家賃設定によって利回りの数字はいかようにも変わる

また、表面利回りは現在の家賃を元に出されています。

しかし、基本的に家賃は経年によって低下します。

現在の家賃がそのまま5年後、10年後も変わらないことはありません。

ところが、家賃を一時的に高くして売り出す人間もいるのです。

一例として挙げれば、知り合いなどを自分の所有する物件に住まわせているケースです。

家賃は相場よりも高い数字ですが、実際には家賃はタダ、もしくは普通の家賃なのに、わざと高額な家賃で賃貸契約を結んでいる、というからくりです。

このような詐欺的手法で、家賃収入は大きくなりますので、売り出すときも高利回り物件として注目を集めやすいのです。

同じ3,000万円の物件でも、利回り8%と利回り10%では後者の方が売れやすいですし、利回りを高くすれば物件価格も高く設定できます。

こういった利回りや売却価格を上げるための施策を見抜くには、『レントロール』という、現在住んでいる住人の状態を記した書類を見せてもらいましょう。

レントロールを見て、明らかに相場より高い家賃が設定されている、また最近入った住人ばかりだという時は、売主が知人を住まわせている可能性があります。

入居の実態を確認せずに物件を購入してしまうと、売却時点の家賃で入居者を募集しても、人が集まらないことがあります。

さらには、前の売主の知人がすぐに退去してしまい、シミュレーションしていた収入が入らなくなったという事態に陥ります。

現在の家賃設定をそのまま信用するのではなく、周辺の家賃相場を調べながら、本当に適切な家賃相場で貸しているのか注意しましょう。

3-3長く住んでいる住人にも要注意

中古物件を購入する時には、その物件に元々住んでいる住人が数人いるものです。

自分で客付けをする必要がないため、前から住んでいる人の存在は心強いですが、やや古めの中古物件を購入する時は、10年、15年と長く住んでいる人に注意しましょう。

直接本人たちに問題があるわけではないのですが、長く住んでいる人は物件が新しい頃から住んでいるため、他の部屋よりも高い家賃のままになっていることがあります。

他の部屋に最近住み始めた住人が家賃5万円なのに、15年も住んでいる人だけが家賃7万円というケースも珍しくないのです。

そういった人たちが退去してしまうと、現在の築年数に応じた家賃で、新しい入居者を募集しなくてはいけません。

そのせいで、想定していた利回りよりも低い収入になってしまうことがあるのです。

3-4利回りが高い物件は基本的に問題が多い

物件種類別に利回りの相場を見ると分かりますが、基本的に中古アパートは利回りが高めに設定されています。

地方に行けば、利回り10%以上の物件も簡単に見つかるでしょう。

その理由としては、『満室にするのは難しい』から、そして『修繕費がかかる』という二つの理由があります。

地方の物件は、人口の減少により競争力が低下しているため、なかなか満室経営は難しいです。

そして古い木造アパート、また築30年を超えるような中古マンションなどは、修繕費が新築物件よりも高くなる傾向にあります。

アパートは老朽化が進めば、水回りなどの設備、そして外壁塗装や屋根塗装などを定期的に行わなければいけません。

マンションの場合は、10年や15年ごとに、建物の美観や機能性を維持するための大規模修繕を行います。

マンションは管理費だけではなく、積立修繕費も支払うのが一般的です。

積立修繕費は、大規模修繕を行うたびに値上がりする傾向にあります。

家賃収入は減る一方なのに積立修繕費だけが跳ね上がり、その分だけ利益はますます減っていきます。

しかし表面利回りの数字にはそれが現れません。

『表面利回りが良いので物件を購入したものの、満室にならないので思ったような収入が入らない。』

『維持費ばかりかかってしまい、手元からどんどんお金が出ていってしまう。』

地方物件を購入した人によくありがちな失敗です。

4.本当に考えなくてはいけないのは実質利回り

表面利回りでの失敗を踏まえ、本当に考慮しなくてはいけないのは実質利回りです。

実質利回りを考える時には、不動産購入時に必要な経費も全て計算に入れます。

不動産取得税や登録免許税などの税金、またローン契約時の手数料や仲介手数料も含みます。

そして物件購入後、数年間でどれぐらいの経費がかかるのかを計算します。

マンションを購入した場合は、毎月支払っている管理費と積立修繕費が主な維持コストです。

また、空室が出た場合は新しい入居者を入れるため、不動産会社に支払う仲介手数料や広告費も考えておかなければいけません。

退去後のクリーニング代や修繕費も、民法改正で大家負担になると考えておきましょう。

税金のことも忘れてはいけません。

固定資産税と都市計画税は、不動産投資で利益が出なくても支払わなければいけませんし、所得が出たら所得税と住民税が発生します。

各種の経費や税金の総額は、目安として年間収入に対して20%程度に抑えておきたいものです。

新築物件であれば、こういった維持費は10%程度に抑えることができますが、中古物件では30%を超えてしまうこともあります。

5.表面利回りが悪くても、実質利回りが悪くない物件もある

表面利回りの数字が悪くても、実質利回りの数字が良い物件も数多くあります。

不動産会社によっては仲介ではなく、直接仕入れた物件を売っていることもあるので、仲介手数料が無料で購入できます。

つまり、購入時の諸経費を大幅に削減できます。

また新築に近い物件を購入すれば、しばらくは修繕費もそれほどかかりませんし、客付けもしやすいです。

維持費で占める割合の高い2つのコストを大幅に削減できます。

維持費はまだ計算が容易なのですが、空室が発生した際の新入居のタイミングは蓋を開けてみるまでわかりません。

また、広告費の額も入居のタイミングで変わります。

客付けの経験が乏しい不動産投資初心者が物件を購入するのであれば、比較的客付けが容易で、築年数が新しいマンションを購入した方が良いでしょう。

結果的に客付けにかけるお金が節約できますし、空室期間も短くなって収入の低下を食い止められます。

見た目の利回りで考えるのではなく、維持費や客付けにかかるコストが少ない物件を選んでいきましょう。

6.中古物件を買うときは、キャッシュフローに注目するべき

中古物件を購入する時は、見かけの利回りではなく、最終的に自分の手元にいくらお金が残るかを重視すべきです。

最終的に手元に残るお金は、実質利回りからローン返済額を引いた数字になります。

毎月の手取り家賃が15万円。

そしてローン返済額が10万円だとしたら、最終的なキャッシュフローは毎月5万円、即ち年間60万円です。

多額のローンの融資を受けて物件を購入していた場合、最終的な収入が赤字になってしまうこともあります。

確かに、ローンの完済後は家賃が全て収入になるでしょう。

とはいえ、不動産を所有して家賃収入もあるのに、ローンの返済を給与収入から補っているようでは、何のための投資なのかわからなくなります。

収入に対するローン返済額の割合を『返済比率』と言いますが、できれば返済比率は50%前後に抑えたいものです。

ただし先ほど書いたように新築に近く、客付けが容易な物件は、返済比率を高くしても購入する価値があります。

新築に近い物件は、金融機関も積極的に融資を行い、加えて金利や返済期間が好条件となることが多いのです。

中古物件の購入に際しては融資の返済期間、そして金利設定なども含めて最終的に自分の手元にいくらお金が残るのかを重視して選びましょう。

毎月のローン返済額を抑えることは、返済上のリスク対策になります。

可能な限り長期間でローンの融資を受け、毎月の返済額を抑えましょう。

そして、余裕が出てきたら、繰り上げ返済で残債を減らしていきましょう。

まとめ

物件情報に記載されている利回りの数字は、あくまで表面利回りにすぎません。

その数字だけで物件の収益性を図るのは大変危険です。

気になる点は必ず内覧を行い、大家や仲介の不動産会社に現在の家賃や入居率、修繕履歴や今後の修繕コストの見積もりを聞いておきましょう。

そのような点を確認しておけば、物件購入後にどれぐらいの利益が入るか、計算しやすくなります。

そして有利な条件で金融機関から融資を受けるには、比較的新しいマンションを購入して返済比率を抑えるように努力しましょう。

こういった点を守っていけば、利回りの数字に惑わされることなく失敗を防げます。

そして着実に資産を築けるでしょう。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。