地価公示法
・地価公示の流れ
①標準地の選定 | ・国土交通大臣(✕総務大臣)が土地鑑定委員会を任命し、公示区域を指定する(都市計画区域外も可) ・土地鑑定委員会が、公示区域内から標準地を選定する ※標準地は、類似の利用価値を有する地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる(✕特に良好と認められる)一団の土地について選定しなければならない。地上権の存する土地でもよい。都市計画区域外からも選定できるが、国土利用計画法の規制区域内からは選定できない |
②鑑定 | ・2名以上の不動産鑑定士が、①近傍類地の取引価格から算定される推定価格、②近傍類地の地代から算定される推定価格、③同等の土地を造成する推定費用の3つの価格(✕いずれか)を勘案して鑑定をおこなう ・建物や借地権・地上権等が存しないものとして判定し、自由な取引で通常成立する更地価格(正常価格)を算出する ※鑑定をおこなうにあたり、鑑定評価や価格判定、標準地の選定のために敷地に立ち入る場合には、3日前までにその旨を土地の占有者に通知しなければならない |
③審査・判定 | ・土地鑑定委員会は、不動産鑑定士の鑑定評価書を審査・調整し正常価格を判定する |
④官報で公示 | ・土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、すみやかに官報で公示しなければならない(✕都道府県知事、市町村長)。また、毎年1回、1月1日の、1㎡あたりの正常価格を官報で公示する ・公示内容は、 ①標準地の所在地 ②単位面積あたりの価格(正常価格)・価格判定の基準日 ※前回からの変化率は不要 ③標準地の地積および形状 ④標準地および周辺の土地利用の現況 ⑤標準地の上下水道・ガスの整備状況 |
⑤送付・閲覧 | ・土地鑑定委員会は関係市町村長(✕都道府県知事)に書面・図面等を送付する ・市町村長は事務所で3年間一般の閲覧に供する |
※地価公示では、都道府県知事は登場しない
※鑑定の際の基準日を価格時点とよぶ。賃料の価格時点は、賃貸期間の期首のことをいう
・地価公示の例
・地価公示の効力
・不動産鑑定の評価手法
不動産鑑定では1つの手法を選ぶのではなく、複数の計算手法を用いて最終決定する
評価方法 | 役立つ場面 | |
原価法 | 対象不動産の再調達原価(新しく作り直したときの価格)を求め、減価修正(耐用年数や観察減価をもとに損傷を差し引く)と熟成度(公共施設や街の便利さなど)を加味して求める | ○建物 ○造成地・埋立地 ✕既成市街地の土地 |
取引事例比較法 | 多数の取引事例について、事情補正(特殊事情を補正)、時点補正(物価変動を補正)、地域要因・個別要因を比較して比準価格を求める ※投機的な取引事例を参考から外す | ○近隣地域、同一需給圏内の類似地域(やむを得ない場合は近隣地域の周辺地域)で取引がおこなわれている場合 ✕取引の少ない地域の不動産(農地、神社など) |
収益還元法 | 対象不動産が将来生み出す純収益(✕総利益)の総和を基準に、還元利回りで割り戻して収益価格を求める ※直接還元法(一期間)とDCF法(連続する複数期間。証券化対象不動産で使用)の2種類がある | ○自用の不動産 ✕賃料で換算できない価値のある文化財など ※取引価格が急上昇している場面では収益還元法は適切な価格を検証しやすい |
・価格の種類
※通常の鑑定では、建物の最も有効な使用時の価格を基準として計算する(最有効使用の原則)
・賃料の種類
支払賃料 | 契約で決められた支払時期(毎月何日や毎年何月など)に借り主が貸し主に支払う賃料のこと |
実質賃料 | 支払賃料とは別に、保証金、敷金、権利金、礼金などの名目で借り主から貸し主に払われるものを含むもの |
※賃料を履行しない際に、賃貸人は敷金を債務の弁済にあてることができる。一方で、賃借人から賃借人へ債務の弁済にあてるようにと請求することはできない
※権利金が土地の価額の50%以下の場合は、不動産所得の所得税として課税される。一方で50%を超えるときは譲渡所得として課税される