- 不動産業や金融業に携わるうえで、宅建士の資格を取得したい
- キャリアアップのために、国家資格に挑戦したい
- 弁護士や行政書士の前のステップとして、宅建に挑戦したい
次のキャリアに向けて、宅建を受験する方は多くいらっしゃるでしょう。
宅建は英検やTOEICなどを除くと、ファイナンシャルプランナーと並んで、受験者数の多い資格試験のひとつです。
しかし、宅建を勉強しはじめたばかりでは、何を勉強すればいいのかや、効率的な勉強法がないかについて、答えが出ていない方が大半なのではないでしょうか。
宅建に関する本は、本屋さんでもたくさん売られています。しかし、さまざまな本が売られているため、とくに宅建の勉強の初心者にとっては、どの本から読んだほうがいいのかが非常にわかりづらいでしょう。
私は2021年に3ヵ月で330時間ほど勉強して、宅建を受験しました。その経験をもとに、使ってみてよかった教科書や問題集を紹介したいと思います。
早く「おすすめの教科書や問題集」について見たい方は、以下のボタンからジャンプしてください。
目次
宅建の独学での勉強の例
宅建試験では、300~400時間ほどの勉強時間が必要といわれています。
そのなかで、私は実体験にもとづき、約70時間を1周として、4~5周の勉強をする方法をおすすめしています。実際の勉強内容と所要時間、点数は以下です。
1周目:まずは易しい動画や教科書を中心に広く浅く1周をまわしきる
【4~5ヶ月前】
(課題)全体感、そして自分の実力の位置づけと必要な勉強度合いがわからない
(目標)まずは広く浅く1周をまわしきる。そして動画と教科書を中心に学習範囲をつかみ、ひねりのない簡単な問題を解けるようにする
- 動画20時間+教科書15時間+問題集15時間 ※単元ごとに横断的におこなう
- 教科書見直し1周5時間 ※概要と流れをおさらいして理解
- 模試①受験2時間見直し6時間(28点) ※いきなり模試を受けて現在地を把握する
- 模試②受験2時間見直し6時間(26点)
累計71時間
各サイクルの終わりには、現在地を知るために本番と同レベルの模試を受けます。試験は50点満点で、36点前後が合格点の目安です。
また、試験を受けてみて、課題を特定し、次のサイクルで解消するべき目標を定めます。2周目以降は、だれもに共通する進め方はなく、自分の課題に合わせて自分なりに学習計画を立てるのがおすすめです。
2周目:全体的に基礎の基礎レベルの知識を身につける
【3ヶ月前】
(課題)模試では全体的にまだ基礎の基礎レベルの知識から身についていないことが判明
(目標)動画を見直しながら書込み可能なノートを作成することに。あわせて1肢1答問題集で短く演習と復習をまわし知識を深める
- 動画2周目20時間+ノート作成30時間 ※単元ごとに横断的におこなう
- 1肢1答10時間
- 模試③受験2時間見直し4時間(29点)
累計139時間
1周目と比較して点数が伸び悩み、手応えを感じて自信満々に問題を解いていても、少しのひねりで引っかかり失点をしていることに絶望を感じました。そのため、定着を強化するための3周目を計画しました。
3周目:教科書と問題集の間違えを中心に見直し
【2ヶ月前】
(課題)模試で基礎がまだ足りていない点だけでなく、少しひねりが入るだけで混乱することが判明
(目標)まだまだ全体的に基礎知識がついていなため教科書中心に見直す。加えて1肢1答の間違えた問題を中心に解き直し、部分的な集中暗記で記憶の定着を図る
- 教科書見直しノート反映20時間
- 1肢1答自信なしチェックのみ問題2周目15時間+ノート反映5時間
- 模試の出題予想ノート反映4時間
- 35条37条ゴロ4本暗記1時間
- 民法行政書士版動画5時間+ノート反映3時間
- 税の特例暗記1時間
- ノート見直し20時間
- 統計更新1時間
- 模試④受験2時間見直し4時間(30点)
累計220時間
見直しでは細部まで鮮明に理解でき、過去に解いた問題の気をつけるべきポイントなどのイメージが自然と浮かんでくるようになってきました。
一方で模試を解いても、1周目や2周目から点数が伸びず、時間をかけたにもかかわらず成長の実感が得られず苦しい時間を過ごしました。
そのなかでも、模試の解説をもとに、足りない点数に対して取るべき問題を特定し、その差を埋めるように目標と現状の差を精緻化するのがおすすめです。
このとき、回答時間は試験時間ぴったりの2時間で終わるレベルでした。
4周目:合格点までの差を埋める問題を特定し、正答率を上げる
【1ヶ月前】
(課題)模試の解説を見て理解できる、合格点までの残り8点を取るための候補問題14問が見えてきた。本番形式で時間を測りつつ、残り10点を取れるように差を埋める
(目標)教科書と異なり分野が不明瞭な模試形式に慣れつつ、出題率の高い良問を数多く解き正答率を上げる。また、新しい問題集を取り入れ異なる角度から知識を再整理する(複数の出版社の教科書で出題の偏りリスクを廃除する)
- 過去良問集①受験2時間見直し4時間(43点)
- 過去良問集②受験2時間見直し4時間(47点)
- 連帯債務と連帯保証2時間
- 過去良問集③受験2時間見直し4時間(43点)
- 過去良問集④受験2時間見直し4時間(43点)
- ノート復習15時間
- 過去良問集⑤受験2時間見直し4時間(36点)
- 過去良問集⑥受験2時間見直し4時間(31点)
- 最新教科書50テーマ+ノート反映10時間
- 民法改正点+ノート反映3時間
- 過去問①受験2時間見直し4時間(36点)令和2年10月
- 過去問②受験2時間見直し4時間(45点)令和2年12月
- 過去問③受験2時間見直し4時間(39点)令和3年10月
- 問題集強化分野のみ2周目98問8時間
累計312時間
3周目までは点数が伸びていなかったものの、良問の問題集では基礎知識が点数に直接的に結びつき、合格水準まで高まるようになってきました。
停滞期を乗り越え点数が取れるようになり、試験形式で解いている間にも、わかる部分と新しい発見とがちょうどいいバランスで出てくることで、問題を解くのが楽しいと感じる瞬間が出てきます。
回答時間も15分ほど余り、精神的にも余裕が出てきました。
5周目:見知らぬ問題や制限時間に焦らないように本番形式に慣れる
【1週間前】
(課題)本番のテスト形式と時間に慣れる。点数の安定化、見知らぬ問題にも落ち着いて取り組めるように場数を増やしたい
(目標)合格ラインへ。追加点を狙いに行く(多方面の知識、瞬発的な記憶の呼び起こし、時間に焦りながら解く練習。見知らぬ問題の幅を広げる、弱い部分や抜け漏れがないかを確認)
- 模試⑤受験2時間見直し4時間(43点)
- 模試⑥受験2時間見直し4時間(40点)
- 模試⑦受験2時間見直し4時間(38点)
- キーワードを切り口にした横断検索1時間
- ノート見直し2時間
- 4択の削り方研究1時間
累計344時間
当日は、目標は40点のところを実際は36点となりました。参考までに、試験時間は70分ほどで解答を終え、50分ほどを見直しにあてていました。
宅建の独学に使用した教科書や問題集
1周目では、とにかく広く浅く1周目を終わらせることを目的にしたため、書店でやさしそうなイラストのある本を選ぶことにしました。
このとき、教科書と問題集は同一のシリーズのものを選択し、単元ごとに教科書を読んで、その後に問題集を解くようにしました。
2022年版 宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト
・この本から学べるポイント
- カラフルでイラストが多く大まかな流れを理解しやすい
- 全体は550ページを超えるものの、分冊になっているため切り離して持ち運びやすい
- 講義の後ろに問題演習がついている
・おすすめの読み方
- 分野として難易度の低い、①宅建業法→②法令上の制限→③税その他→④権利関係、の順に読み進める
- 1単元ごとに、本書を読んだあとには関連する問題集の同一の単元を解く
- 教科書を綺麗に使おうとせず、あくまで頭に入れるのが主目的だと心得、1周目は線を引きながら読み、2周目にはノートに書き写しながら読んでいく
他にも、以下の書籍も同様に、評判がよくイラストもわかりやすい本がありました。内容はそこまで大きく変わらないため、書店やAmazonの商品ページで実際に立ち読みしてみて、自分が取り組みやすそうだと感じるものを選ぶのがおすすめです。
いずれも、教科書とあわせて同シリーズの問題集を購入するのがおすすめです。理由はそれぞれの問題集の解説では、シリーズの教科書の該当ページが書かれているため、行き来して確認がしやすいためです。
2022年版 出る順宅建士 一問一答○×1000肢問題集
・この本から学べるポイント
- 試験本番は1問4肢のため、他の選択肢に左右されてしまう場合がある。その点、1肢1答の場合には、その問題と深く向き合い、その問題ごとに解答をしやすい形式となっている
- また、1肢ごとにその場で正解や解説がすぐに見れることで、記憶が新しいうちに知識を新鮮な状態でインプットすることができる
- よく出る基礎的な問題に絞られており、難易度も星で表示されているため、効率よく学習しやすい
・おすすめの読み方
- 書籍はサイズが小さく、問題文の近くにヒントが書かれていたりと読みづらいため使用しないのがおすすめ
- しかし、一方でアプリをスマートフォンにインストールできるため、電車での移動中や、お店などで食事を待つ間の空き時間などのスキマ時間に気軽に勉強するのに使用する
- また、正解や不正解、あいまいさや不正解の理由などをチェックできるため、1周目を解いたあとには、不正解の問題や自信のない問題に絞って再テストすると効率よく学習できる
スキマ時間に勉強する用として、アプリにインストールしておくのがおすすめです。
2021年版 出る順宅建士 過去30年良問厳選問題集
※最新版をご購入ください。2022年版は4月頃に販売予定です
・この本から学べるポイント
- 試験本番形式の冊子と解答用紙が用意されており、実践さながらに問題を解くことができる
- 試験本番ではその年にしか出ないような問題も多いが、本書は良問が多く、基礎知識がついた頃に使用すると効果が大きい
- 8冊あることで、大量に練習ができることと、過去30年分から厳選されていることで、他の教材の問題ともかぶりが少ないため、新しく見る問題も多く収録されている
・おすすめの読み方
- 試験本番の形式で、時間を測りながらマークシートに答えを記入しながら問題演習するのがおすすめ
- 1回の演習には本番と同様に2時間がかかるものの、問題を解く順番やペースに慣れ、集中力の維持を鍛えるためにも、できるだけ本番同様の2時間で一気に解くのがよい
- また、問題を解きっぱなし、採点のしっぱなしでは誤った知識のまま記憶してしまうため、問題を解いたあとには早いタイミングで解説を読み、正しい知識でアップデートするのがおすすめ
1回分の演習で2時間、解説で4時間はかかるため、平日に時間が取れない場合には休日にまとめておこなうのがいいでしょう。また、演習は続けておこなわずに、2~3回分を演習するごとに、間違えの多い分野を別の問題集などで復習してから、演習に戻る勉強法がおすすめです。
2021年版 出る順宅建士 当たる! 直前予想模試
※最新版をご購入ください。2022年版は6月頃に販売予定です
・この本から学べるポイント
- 試験本番形式の冊子と解答用紙が用意されており、実践さながらに問題を解くことができる。特にサイズも本番同様のため、本書が最も本番に近い形式だと思われる
- 試験本番ではその年にしか出ないような問題も多いが、本書は良問だけでなく、頻出度合いの少ない問題も含めて収録されているため、本番と同等のレベルと考えられる
- 近年の民法の改正部分や、講師の出題傾向の予測もあるため、出そうな点を知ることができる
2021年版 宅建士今年の出題ズバリ予想! 50
※最新版をご購入ください。2022年版は6月頃に販売予定です
・この本から学べるポイント
- 2020年は民法が大きく改正したため、過去問では出題されていない点について、これから出題されそうな形式で整理されている1冊
- 問題数も多く、実際の本番形式で出題されるような形式で演習をおこない、解説から深い理解をすることができる
- 入門書のようなテキスト中心の説明ではなく、表形式を中心に要点を整理されているため、あらためて構造化して理解をしたり、自作のノートに足りていない点がないかを復習したりできるため便利
・おすすめの読み方
- 民法は出題範囲が広く難易度も高いことから、勉強が点数に直結しない可能性があるため、一通りの勉強を終え、合格水準まで伸びてきたあとに取り組むのがおすすめ(民法の新分野に手を出すよりも、宅建業法や法令上の制限、税その他を落とさないようにするほうがよい)
- 一方で、民法でかつこれから出題されそうな内容のため、過去問を中心に勉強をしている他の受験生と差をつけられる箇所となる
- 同シリーズの直前予想模試とあわせて使用するのがおすすめ
※最新版をご購入ください。2022年版は6月頃に販売予定です
独学で2022年の宅建に合格しよう!
今回は、個人的な受験の経験をもとに、宅建の独学でおすすめの教科書・問題集の紹介をしました。
ぜひ、参考にしていただければと思います。
不動産投資のおすすめの本については、以下でも紹介しています。あわせてご覧ください!
不動産投資の教科書として、『超ど素人がはじめる不動産投資』で実際に不動産を売買する流れについて復習するのもおすすめです。