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分筆とは?土地の分割・合筆や登記費用について解説!

・土地の一部だけ売却したい
・親の土地を相続したが兄弟で公平に分けたい
・共有している土地をそれぞれの名義に分けたい

こうしたケースでは、土地の分筆を検討する必要があります。

しかし、いざ分筆するといってもそれぞれのケースによって気を付けるべきポイントはさまざまです。

そこで今回は、土地の分筆についてさまざまなケースを想定して、分筆と合筆の概要、分筆のメリット・デメリット、分筆する場合の流れや手順、発生する登記費用、分筆する際の注意点など、わかりやすく具体的に解説します!

目次

土地の分筆・合筆とは?

まずは、分筆(ぶんぴつ)・合筆(ごうひつ/がっぴつ)の意味や内容について見ていきましょう。

一般の人にとっては聞き慣れない言葉であると思いますので、わかりやすく解説します。

「筆」とは?

分筆にも合筆にも「筆」という文字が使用されていますが、「筆」とは何を表すのでしょうか?

「筆」とは、土地を数える時の単位です。

一般的には、土地を数える時に「1区画の住宅地」とか「田畑を2枚」などと数えますが、登記簿上は土地を数える単位は「1筆(いっぴつ/ひとふで)」「2筆(にひつ/ふたふで)」となります。

不動産業界の人にとっては聞き慣れた言葉だと思いますが、一般の人には馴染みの薄い言葉といえるでしょう。

土地には、土地を特定するために1筆ごとに「地番」という番号が割り当てられており、外見上は1つの土地に見えても登記簿上は2筆や3筆など、複数の土地に分かれていることもよくあります。

なお、住居表示は建物を基本とした住所の表記方法であり、地番とは異なります。

<地番を表す公図と登記事項証明書(表題部)の事例>

上の公図及び登記事項証明書(表題部)の事例では、1筆1筆ごとの土地に地番が割り当てられていることがわかります。

公図の赤枠で囲った土地には「939番6」という地番が割り当てられており、土地の所在地を表示しています。

事例の下にある登記事項証明書の表題部には、「939番6」の土地の所在・地番、地目、地積などの情報が記載されています。

「原因及びその日付(登記の日付)」の欄を見ると、平成3年10月29日に939番6の土地が939番1の土地から分筆されているということがわかります。

また、公図上では、道路には「道」、水路には「水」というように表示されていることもあります(現実的には「水」の部分も道路となっていることが多いですが・・・)。

ちなみに、土地の単位である「筆」の由来は、その昔、豊臣秀吉が行った太閤検地の際に検地帳(現在の公図)が作成され、検地帳には「土地の所在(字名・地番)」「面積」「所有者」などの情報を一筆(一行)で記載したことから、1個の土地を1筆と呼ぶようになったといわれています(諸説あり)。

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土地の分筆と分筆登記

「筆」の概念を理解したところで、続いて分筆について確認しましょう。

分筆とは「1筆の土地を2筆以上の複数の土地に分ける」ことをいいます。

そして、分けた土地にそれぞれ新しい地番を割り当てて、登記簿上に記録して管理することを「分筆登記」といいます。

<分筆と分筆登記の事例>

上の図の事例では、1筆の土地である地番が375番の土地を分筆して、新しく375番1と375番2の2筆の独立した土地として分筆登記されています。

公図上にも上記の通り境界線が加筆され、新しい地番が記載されることになります。

分筆は、1つの土地を何筆にも分けることができ、土地の形状も好きな形状に切ることができますが、重要な注意点もあります。

土地の切り方の注意点などについては、後ほど詳しく説明します。

土地の合筆と合筆登記

合筆とは、分筆の逆で、複数の筆に分かれた土地を1つにまとめることをいい、まとめて1つの土地に登記することを合筆登記といいます。

合筆は、登記簿上は複数の土地に分かれているが、現実的には1つの土地として利用され、これらの土地にまたがって建物が建っている場合など、分筆しておく意味がない時などに行われます。

合筆の主なメリットは以下の通りです。

<合筆のメリット>
・複数の筆の土地を1筆にしておくと、土地の登記事項証明書を取得する場合、コストが1筆分しかからない
・複数ある登記済証や登記識別情報を1つにまとめることができ、管理がしやすく紛失のリスクも軽減する
・土地を担保に融資を受ける時、抵当権設定登記が1つの土地で済むため、手間も抵当権設定登記費用を軽減できる
・将来的に一括で売却する場合、複数の土地の所有権移転登記を行うより、1つの土地であれば所有権移転登記費用を軽減できる

土地の分筆と分割の違い

土地の分割とは、土地の登記簿上の変更はせずに、建築基準法上の制限を満たすように土地に机上の線引きをすることをいいます。

分筆の場合は分筆登記を行うため、分けられた土地が登記簿上、別々の土地となります。

<土地の分割の事例>

上の事例は、1筆の土地に既存建物の他にもう1棟の建物を建築する場合です。

それぞれの建物が建築基準法に違反しないように分割線を入れなければなりません。

建物を建てる場合、「一敷地一建物」が原則となっていますが、下記の条件を満たす線引きができれば土地を分割して新しく建物を建てることが可能となります。

・既存建物と新築する建物の敷地が、それぞれ幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していること
・建ぺい率や容積率など、建築基準法上の制限に適合していること

ただし、分割はあくまでも机上の線引きであり、登記簿上が1筆の土地のままであれば、金融機関から借入れをして新しく建物を建てる場合など、土地全体に抵当権が設定されますので注意が必要です。

新しく建物を建てる土地だけに抵当権を設定したい場合は、分筆登記をして権利関係を明確に分けなければなりません。

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土地を分筆するメリット・デメリット

ここでは、分筆のメリット・デメリットについてまとめますので確認しましょう。

土地を分筆するメリット

土地を必要な面積だけ売却することができる

土地を分筆することにより、土地全体を売却せずに、必要な価額の面積の土地だけを売却することができます。

土地の境界が確定する

土地を分筆登記するためには、土地のすべての境界が確定していなければなりません。

この場合、隣家などの民有地との境界だけでなく、道路などの官有地(国や自治体などの所有地)も含まれますので、分筆登記をする場合には土地全体のすべての境界が確定していることになります。

土地を物理的に分けやすくなる

土地を分筆することにより、複数の人との間で物理的に分けやすくなります。

相続などの場合は、遺産分割に関して揉めてトラブルになるリスクを減らすことができます。

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所有者だけの判断で意思決定できる

土地全体を持分により共有している状態から、土地を分筆してそれぞれの単独所有にした場合、各所有者が自分だけの判断により、売却や保有の意思決定をすることができるようになります。

共有持分の場合は、土地を売却するためにはすべての共有者の合意が必要となり、独断で処分することはできないため、分筆登記を行えば自由度が高くなります。

担保とする範囲を限定できる

金融機関から融資を受けて抵当権を設定する場合、分筆登記を行えばその土地に限定して担保とすることができ、分筆した土地のみに抵当権を設定することができます。

分筆登記していない場合は、融資額に対して土地全体に余剰価値がある場合でも、土地全体に抵当権が設定されてしまいます。

節税対策となる場合がある

土地を分筆することにより、土地の評価額を下げることができる場合には、節税対策となることがあります。

土地を分筆するデメリット

土地を分筆するために費用がかかる

土地を分筆登記するためには土地全体の境界が確定している必要があり、一部でも確定していない場合には、確定測量を行う必要があり、数十万円単位の費用がかかります。

また、当然のことながらその後の分筆登記にも登記費用がかかります。

土地の分筆が必要な7つのケースとは?

分筆が必要なケースはさまざまですが、ここでは7つの主なケースについて説明します。

土地の一部を売却する場合

土地の一部を売却して現金化したい場合など、分筆して第三者へ土地の一部を引渡すことができます。

<土地の一部を売却するモデルケース>

上の図は、自宅が建っている1筆の土地を分筆して(ア)と(イ)に分け、(ア)を第三者に売却するというモデルケースです。

こうすれば、自宅に住み続けながら土地の一部を現金化することができます。

相続後の相続税納税のために、よく利用されるポピュラーな方法です。

この場合、(ア)(イ)の土地ともに、建築基準法上の制限を満たすことに注意しなければなりません。

また、売却の方法によっては「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除」を適用できずに、譲渡所得に対する所得税や住民税の課税が生じることがありますので、注意が必要です。

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土地の一部が別の地目となった場合

土地の地目は1筆につき1種類と決められており、建物のように「店舗・居宅」といった併記はできません。

「宅地」であれば「宅地」、「田」であれば「田」と表示されます。

そのため、土地の一部の現況及び利用状況が変わり土地の地目に変更が生じたら、土地の所有者は、地目変更登記を行う義務があります。

<土地の一部の地目を変更するモデルケース>

上の図は、農地(田)の一部に住宅を建築する場合、もともとの農地から住宅を建てる土地を分筆登記したうえで、住宅を建てる部分の土地を「田」から「宅地」に地目変更しなければならないというモデルケースです。

相続した土地を分ける場合

被相続人(亡くなった人)から土地を相続した場合に、土地を分筆して相続人間で分ける(現物分割といいます)ケースがあります。

具体的なモデルケースで見てみましょう。

<相続した土地を分筆するモデルケース>

上の図は、被相続人である父が亡くなり、相続人3人(長男・長女・次男)が父の1筆の土地を相続する場合、1筆の土地を均等に(ア)(イ)(ウ)の3筆に分筆し、長男・長女・次男がそれぞれの土地を相続により取得するというモデルケースです。

1筆の土地を分筆して相続人それぞれに名義で登記するため、「相続した土地に住む」「相続した土地を売却する」など、相続人の自由に処分することができます。

共有している土地を分筆し、単有に変える場合

1筆の土地を共有持分で共有していることもよくあるケースです。

特に、相続が発生して、とりあえず共有持分で相続登記したにもかかわらず、その後の土地の処分を巡るトラブルで揉めているケースもあります。

<共有している土地を分筆して単有とするモデルケース>

上の図では、1筆の土地を長男と次男が2分の1ずつの共有持分で共有しているケースです。

土地の処分を巡る方針に関して、長男は「売りたくない」、次男は「売りたい」と対立しており、トラブルとなっていました。

しかし、この土地を2筆に分筆登記すれば、それぞれの土地について所有者として自分の意思だけで処分ができるようになります。

その結果、長男は売らずに住宅を建てて居住し、次男は売却して現金化に成功したというモデルケースです。

土地の一部だけに抵当権を設定する場合

金融機関から融資を受ける場合、分筆して抵当権を設定する土地の範囲を限定しておくことで、残りの土地の自由度を高くすることができます。

<土地の一部だけに抵当権を設定するモデルケース>

上の図で、金融機関から融資を受ける場合、分筆前であれば担保価値が余剰していても1筆の土地全体に抵当権が設定されますが、分筆後のように抵当権を設定する範囲を(ア)だけに限定できれば、残りの(イ)の土地は所有権以外の権利が付着していない自由度の高い土地とすることができるというモデルケースです。

固定資産税や相続税等を節税したい場合

土地を分筆することにより、固定資産税や相続税、贈与税を節税できる場合があります。

分筆することにより土地の評価額を下げ、結果的に各種税金を軽減することができるという仕組みですが、ここでは2つのケースについて説明します。

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旗竿地に分筆するケース

下の図のように、土地面積400平方メートルの1筆の土地を(ア)(イ)の2つの土地に分筆するケースを考えましょう。

<旗竿地に分筆するケース>

(ア)の土地は分筆後も道路に面している間口が広く利用しやすい土地といえます。

一方、(イ)の土地は道路に面する間口が狭く、奥行きが長い形状の土地であるため、(ア)と比較すると利用しにくい土地といえます。

(イ)のような形状の土地を「旗竿地(または敷地延長)」といい、形状が不整形であり、利用効率も低くなるため、土地の評価が下がります。

なお、通路部分には建物を建てることができないため、不動産流通マーケットでの相場価格も低くなります。

このケースでは、分筆前の1筆の土地の場合の評価額は、400平方メートル×@50万円/平方メートル=2億円でしたが、分筆後は以下の通り計算されます。

(ア)200平方メートル×@50万円/平方メートル=1億円
(イ)200平方メートル×@50万円/平方メートル×補正率0.79=7,900万円

分筆前の土地の評価額は2億円でしたが、分筆後の合計は1億7,900万円となり、2,100万円の評価減ができることになります。

路線価の低い土地と2つに分筆するケース

次に、下の図のケースを考えてみましょう。

土地面積300平方メートルの1筆の土地を(ア)(イ)の2つの土地に分筆しています。

<路線価の低い土地と2つに分筆するケース>

分筆前の1筆の土地は、路線価@50万円/平方メートルの道路と路線価@20万円/平方メートルの道路の2つの道路に面しているため、土地の評価額を算定するための正面路線価を決定します。

このケースでは、どちらの道路も補正率1.00で同じであるため、路線価50万円/平方メートルの道路が正面路線価であり、土地の評価額を算定する基準となる道路となります。

そのため、分筆前の1筆の土地の場合の評価額は、300平方メートル×@50万円/平方メートル=1億5,000万円です。

分筆後は土地の評価額を算定する時、(ア)の正面路線価は@50万円/平方メートル、(イ)の路線価は@20万円/平方メートルとなるため、それぞれの土地の評価額は、

(ア)150平方メートル×@50万円/平方メートル=7,500万円
(イ)150平方メートル×@20万円/平方メートル=3,000万円

となります。

分筆前の土地の評価額1億5,000万円と比較して、分筆後の合計評価額は1億500万円ですので、4,500万円の評価減ができたことになります。

いずれのケースも、固定資産税・都市計画税(課税標準は固定資産税路線価)や相続税・贈与税(課税標準は路線価)などの税金は、土地の評価額に対して課税されるため、評価額を下げることは納税額を下げることにつながります。

ただし、ここで説明したケースはあくまで一例であり、すべての土地で節税につながるとは限りません。

詳細については、分筆による節税対策に精通した土地家屋調査士や、土地売却にプロである不動産会社などの専門家に相談しましょう。

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敷地のセットバック部分を道路として寄付する場合

セットバックとは、敷地の前面道路の幅員が4メートル未満の場合、その敷地に住宅などを建築する際には、道路の中心線から水平距離で2メートルの位置まで敷地を後退させなければならないことをいいます。

<敷地のセットバックのモデルケース>

上のモデルケースでは、水色の部分がこの敷地のセットバック部分となります。

もちろん黄色の部分もセットバックする必要があり、すべてがセットバックすることにより、幅員4メートルの建築基準法上の道路を確保できることとなります。

なお、前面道路が公道の場合は、国や自治体にセットバック部分を寄付(無償譲渡)することで、公道として国や自治体が維持管理していくことを定めているケースが見られます。

セットバック部分を道路として寄付する場合は、分筆登記を行い国や自治体に所有権移転をしますが、分筆登記に要する費用は国や自治体などの負担となることがほとんどです。

土地の分筆の流れや手順、登記費用

次に、分筆の流れや手順、登記費用について見ていきましょう。

分筆登記の流れや手順

分筆登記の大きな流れは下の図の通りです。

<土地の分筆の流れや手順>

土地の分筆登記は、分筆する前の全体の土地に関して、すべての境界が確定しているか否かで費用や完了までの時間に大きな差が出ますので、注意が必要です。

土地全体の境界確定

全体の土地として確定測量が行われており、すべての境界が確定している場合はこの作業は必要ありません。

しかし、境界確定が未了の場合はこの作業から始めなければ分筆登記は行えません。

すべての境界を確定させる確定測量は、土地家屋調査士に依頼します。

隣家などの民有地及び道路などの官有地など、すべての隣地所有者が立会いのうえ境界を確認し、境界標を設置して境界確認書を交わします。

そのうえで、確定測量図という図面を作成します。

<境界標の例>

確定測量は2~3ヶ月程度で完了する場合もありますが、隣地所有者の数が多かったり、遠方に住んでいたりすると、完了まで数ヶ月~1年程度の時間を要する場合もあります。

また、最悪の場合は、境界に関する同意が得られずに境界確定ができないこともあるので注意しましょう。

分筆案を作成

実際にどのように土地を分筆するのかを決め、分筆線を入れた図面を作成します。

現地立会い

隣地所有者立会いのもと、境界を確認しながら、現地にて分筆案を提示します。

分筆案に沿った境界標の設置の承諾などを得ます。

確定測量を行う場合は、確定測量と同時に行います。

境界標の設置

隣地所有者から承諾を得た分筆案の通り、境界標を設置します。

図面・申請書類作成

分筆登記を申請するために、法務局へ提出する測量図や登記申請書などの書類を作成します。

登記申請

法務局へ分筆登記を申請します。

土地全体の確定測量が完了していて分筆登記だけを行う場合、隣地所有者との立会いのスケジュールにもよりますが、スムーズに進めば登記申請までは1~2週間程度の日数が目安です。

分筆登記の費用

分筆登記にかかる主な費用は、土地全体の境界確定が完了している場合としていない場合によって、大きく異なります。

なお費用の目安は、土地面積100~200平方メートルの土地を2筆に分筆するケースを想定しています。

境界確定が完了している場合

・分筆登記費用(法務局等での調査、測量業務、現地立会い、図面および境界確認書の作成業務、境界標設置など)
・登録免許税(土地1筆あたり1,000円)

上記の合計で15万円~程度が費用の目安です。

境界確定が完了していない場合

上記の分筆登記費用、登録免許税に加えて、確定測量費用がかかります。

・確定測量費用(法務局等での調査、測量業務、官民・民民現地立会い、確定測量図面および境界確認書の作成業務、境界標設置など)

この場合、確定測量+分筆登記の合計で45万円~程度が費用の目安です。

ただし、これらの費用はあくまでも目安であり、実際は土地の筆数、隣接する土地の数、隣地所有者の数、官民査定の有無などにより大きく変わる場合がありますので注意しましょう。

土地を分筆する場合の注意点

最後に、土地を分筆する場合の注意点について見ていきましょう。

土地の切り方に注意する

一団の土地を分筆する場合には、切り方に注意が必要です。

具体的な例で確認してみましょう。

<土地の切り方の事例>

上の事例において、(ア)(イ)の土地の切り方は問題ありませんが、(ウ)の切り方はNGです。

なぜなら、奥の水色の土地は道路に面していないため、建築基準法上の接道義務を満たしておらず、建物を建てることができません。

建物を建てることができない土地は、その利用が非常に制限されてしまうため、ほぼ無価値となってしまいます。

また、(ア)や(イ)のケースでも注意点があります。

まず(ア)のケースで注意しなければならないのが、旗竿地の道路に対する間口を必ず2メートル以上にすることです。

間口が2メートル以上なければ接道義務を満たすことができず、建物を建てることができません。

(イ)のケースでは、それぞれの土地の間口に注意が必要です。

間口があまりにも狭い場合は、建物が建てにくい、もしくはプランが入らずに建てられないことがあります。

このように、土地の切り方に注意しないと土地の価値への影響が大きくなり、最悪の場合には第三者へ売却することができなくなります。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の適用

例えば、自宅の庭の部分だけを分筆して売却する場合は、居住用財産を譲渡した場合の3000万円控除の適用は受けられません。

3,000万円控除は、家屋(建物)とその敷地を売却した場合に適用される建物中心の特例のためです。

そのため、自宅の敷地の一部を分筆して売却して3,000万円控除を受けられるケースは、自宅(家屋)を建て替える場合に限ります。

ただし、その場合でも手順を間違えると3,000万円控除の適用が受けられないので、下記の手順を参考にしてください。

<土地を分筆して自宅を建て替える場合の手順>

上記の手順で自宅を建て替えた場合は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の控除の適用を受けることができます。

ただし、土地の一部を分筆して売却する際には、

・解体した日から1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の日が属する年の年末までに引渡すこと
・解体してからは、貸駐車場など他の用途に利用しないこと

ということに注意しなければなりません。

土地の分筆登記は精通した土地家屋調査士へ

分筆や分筆登記について解説してきました。

分筆登記を行うためには、事前に確定測量をしておくことが大切です。

確定測量が済んでおり、すべての境界が確定していれば、隣地所有者とのトラブルも生じませんし、分筆登記自体もスムーズに進みます。

(画地測量については別記事で詳しく解説します)

いずれにしても、測量は自分では対応ができませんので、確定測量や分筆登記に精通した土地家屋調査士に相談しましょう。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。