法政大学キャリアデザイン学部で講義をさせていただいたきっかけで、田中研之輔教授から書籍を頂戴したので、読みました!
ビジネスの現場で実際に感じていることが、書籍で言語化・体系化されていて、まさにキャリア戦略の重要性についても書かれているとおりだと実感しました。
目次
今すぐ転職を考えていない人のためのキャリア戦略(読書ノート)
個人にはあらゆるフェーズでキャリアの悩みがある
- 「今の職場で働いてもいいのか?」ともやもやしているが、今すぐに転職したいと考えているわけではない
- 会社や同僚は好きだが、給料ややりたいことが見合っていないと感じる
- 転職を考えているが、自分自身に対しても不安がある
- 転職や独立をしたが後悔している
個人の持つキャリアの悩みは共通している
- 自分のキャリアがわからない
- 第三者から適切に評価されていない
キャリアの悩みが生じてしまう環境
- キャリアについては学校では教えてくれない
- 相談できる人がいない(家族や友達)
- 悩みに押しつぶされて、結果的にメンタルに不調をきたす人もいる
キャリアの悩みが生じてしまう時代背景
- 昭和は1つの組織にキャリアを預ける「組織の時代」だった。モノが中心の時代は、新卒一括採用→終身雇用が有利だったため、終身雇用や年功序列が前提で、組織内での年功序列や昇進昇格に重きが置かれていた
- 平成は組織から移動する転職やフリーランスでキャリアを「選択する時代」だった
- 令和はソリューション中心の時代となり、新しい挑戦をし続ける人材が必要となった。組織と個人は対等な関係で、互いに関係性を見直しキャリア形成を構築する「関係性の時代」となった。個人は組織との関係を緩やかに維持しながら、自身でキャリア開発し副業などをする個人の時代で、働き方が多様化した
- 「人生100年時代」でキャリアを考える機会が増加した
コロナ禍による加速
- コロナ禍でさらに見えなくなっている人がいる(相談件数も増えてきている)
- コロナによるリモートワークの浸透で、ニューノーマルでのニューキャリアの時代となった
- 職住近接から職住一体となり、ワークとライフの境界が薄れ、通勤時間もなくなり働くの流動性が高まった
キャリアに関連する政府の動き
- 「改正高年齢者雇用安定法」で、就業機会が70歳まで延長された
- 2019年に「日本型雇用ショック」。経団連元会長の中西宏明氏・トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏による「終身雇用の限界」発言があった
- 「老後2,000万円問題」で、不満を言うのではなく自ら動く必要性が出てきた
- 「未来投資会議」では、①労働の自己申告制導入、②労働時間管理の簡便化、③労働者災害保険の給付拡充が掲げられた
キャリアの課題解決の方針
- キャリアについては日々考えることが重要(キャリアは結果ではなくプロセスが日々の満足につながる)
- キャリアは、過去(これまでの経緯)を受け入れ、現状(目の前の状況)に最大限活かし、未来(これから)をより良くしていくもの。キャリアは過去~現在~未来につながるもの、すべての経験が足跡であり羅針盤である
- 正しく悩み、大事にしているものを考える
- 自分らしく生きるために、主体的に選択する行動や実践をする。実際に行動することが大事
- 個人と組織がともに高めあう(組織は個人のキャリアに向き合う。個人は組織の中に閉じて孤立化せずに組織外にネットワークをつくる)。社内の別部署の仕事を見学する交流でもよい
- 「人的資本の最大化」が求められている(社員の能力やスキルを最大限に発揮してもらえる組織づくり)
現代版プロティアンキャリアとは
- アイデンティティ(自分らしくあること)×アダプタビリティ(変化適合力)
- 未来創造型キャリア(山登り型)と現状行動型キャリア(川下り型)の2パターンがある
- それぞれのメリットを活かすのが現代版プロティアンキャリア。計画的偶発性で、キャリアの8割は偶然の出来事によって決まる(ジョン・クランボルツ教授)
- キャリアをオープンにする。行動を起こしておくことが、偶然の出来事の活用につながる
- 自分がどのように見られているかを認識する
- フロー状態(チクセント・ミハイ教授)、スキルとチャレンジのバランスがちょうどいい状態
お金に対する考え方
- お金はもらうもの(受動)ではなく稼ぐもの(能動)
- 収支は支出を下げるか収入を上げるかしかない
- 会社に雇われ続けて、収入に依存してはいけない
- 自分で収入を上げるか、与えられた収入にあわせて自分の生活を下げるか
- 主体的に働き、自分軸でやりがいを感じ、成果に納得している
- 自らのキャリア資本を軸に仕事を選ぶ(キャリア資本につながらないお金だけの仕事は断ってしまう)
- 好きなことをしていると評価されて、お金がついてくる
その他
講義ではインタラクティブに引き出すのが大事(パネルディスカッション形式、チャット投稿形式)
意識していると自然に気づく(カラーバス効果)
ブレイクアウトルームでのディスカッションでは12分で意見を数多く出し競うものがよい
①戦略設計
長期・分散・積立でキャリアを考える
3S(ビジネスの3Cで考える。三方良し)
セルフビジョンの策定
思考時間をスケジュールに組み込む
②意識改革
近視眼的ではない視点の持ち方は、空間をずらす(場所や国、同業者、異業種などを変えて考える)ことと、時間をずらすこと。自分自身で変えられること、変えられないことに分けて考える
年収と人生設計
コンディションチェック(Labor、Learning、Leasure、Love:サニー・ハンセン教授の4L)で点数付けする。働く、稼ぐ、生きるのバランスがとれていないことにある。ウェルビーイング(精神的健康、肉体的健康、社会的健康)を整える
稼ぎ方のポートフォリオの作成
稼ぎ抜く生き方を知る
セルフアントレプレナーとして生きる(休眠資産を売る、作ったものを売る、スキルを売る)
仕事をセルフマネジメントする(抱え込んで品質低下や信頼低下、体調悪化にならないようにコントロールする。没頭できる趣味があると没頭する練習になる、前後の仕事にも没頭できるようになる)
キャリアの不安を昇華する(キャリア形成期はがむしゃらに働く、スキルも信用も貯まる)
③自己研鑽
瞑想とメモでセルフパーパスをイメージする
1日のイメージトレーニングをする
レリジェンスを鍛える
生き方をデッサンする
やりたくないことリストをつくる
SNSをキャリアの分身として活用する(SNSのプロフィールを整える)
ビジョンワーク(複数のことはorではなくandでできることを探す)
④組織貢献
組織内キャリアから自立型キャリアへ(消費思考ではなく、投資思考になる。過去思考ではなく、未来思考になる)
個人と組織のよりよい関係(ジョブ型雇用(明確なジョブディスクリプションのもとに雇用されるシステム)、人事制度の改定)
働きがいの再認識(関わる人や組織に感謝しながら生きていく)
キャリアオーナーシップ
キャリアダイアローグ