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レインズ(REINS)とは?用途やログイン・閲覧方法を解説!

不動産を売却したい人は「レインズ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

レインズは一般の人が利用できないシステムのため、見たり扱ったりしたことがある人は少ないと思いますが、不動産の売却を成功させるためには、必ず活用すべきツールです。

売主として事前にレインズの仕組みやメリットを理解したうえで、レインズを最大限有効活用してくれる不動産業者に売却を依頼する必要があります。

そこで、今回はレインズの仕組みや利用方法、メリット・デメリット、利用する際の注意点などをわかりやすく解説するとともに、あなたの不動産売却を成功させるためのエッセンスをお届けします。

目次

レインズとは?

まずは、レインズとはどのようなシステムなのか、仕組みはどういうものなのか、などについて見ていきましょう。

レインズの概要

レインズ(REINS)とは、不動産取引の適正化と円滑化を目的とする組織である不動産流通機構が運営する「不動産流通標準情報システム(Real Estate Information Network System)」のことをいいます。

REINSは「Real Estate Information Network System」の頭文字を取った略称です。

レインズは、国土交通省と公益財団法人不動産流通推進センターが共同開発した不動産の情報交換を目的としたコンピューター・ネットワーク・システムであり、会員であるすべての不動産業者が物件情報の登録・検索・閲覧などをすることができます。

現在、全国に4つの不動産流通機構(東日本・中部圏・近畿圏・西日本)が設立されており、それぞれの不動産流通機構が担当するエリアの不動産の物件情報交換などを行っており、毎年20万件以上の不動産取引が成立しています。

レインズ公式サイト

レインズの仕組み

レイズンの仕組みとレインズを利用した場合の取引の流れは、下図の通りとなります。

<レインズの仕組みと取引の流れ>

売却の依頼を受けて媒介契約を締結した不動産業者は、物件情報をレインズに登録します。

そうすると、全国の会員不動産業者がその物件情報を検索・閲覧することができるようになります。

一方、購入の依頼を受けている不動産業者はレインズで物件の検索をし、条件に合えば購入希望者へ物件を紹介します。

このように、レインズを通して物件情報の共有・交換をリアルタイムで行うことにより、売主と買主のマッチングをスピーディーに実現しています。

以前は、物件情報の共有や検索の手段として、店頭掲示や新聞チラシなどの紙ベースの手段や知り合いの不動産業者同士で情報交換するなど、非常にアナログな手段しかありませんでした。

これでは、広く物件情報を共有することができず、スピーディーな対応にも欠けるため、広く早く情報を発信することができるように平成2年よりレインズが導入されたのです。

レインズは、不動産を売りたい人と買いたい人の情報をワンストップでマッチングすることができ、また、日本全国の不動産業者とオンライン上でつながることにより物件情報を共有することができるため、不動産流通の中心にあるといえます。

レインズを利用することで、会社の規模や知名度にかかわらず、「物件情報の拡散」という点では、どの不動産業者に売却を依頼しても同じといえるのです。

レインズの利用方法

次に、レインズの利用方法について見ていきましょう。

レインズを使えるのは誰?

レインズは不動産業者専用のコンピューター・ネットワーク・システムであり、たとえ売主であっても一般の方が利用することはできません。

これは、免許業者である不動産業者(宅地建物取引業者)が法的に負っている「守秘義務」を前提として情報を交換しているためです。

また、不動産業者専用といっても不動産業者ならだれでも利用できるわけではなく、利用できるのは指定不動産流通機構に加入している会員不動産業者に限られます。

ちなみに、個人住宅の売買仲介を行う不動産業者であれば、ほぼ100%の不動産業者が指定不動産流通機構に加入しています。

指定不動産流通機構は下記の4つとなります。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)
北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県の不動産業者が加入しています。
公益社団法人中部圏不動産流通機構(中部レインズ)
富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の不動産業者が加入しています。
公益社団法人近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)
滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県の不動産業者が加入しています。
公益社団法人西日本不動産流通機構(西日本レインズ)
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県の不動産業者が加入しています。

<指定不動産流通機構の分布>

また、各指定不動産流通機構の会員不動産業者は、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、全日本不動産協会(全日)、不動産流通経営協会 (FRK)、全国住宅産業協会(全住協)のいずれかの構成員として宅地建物取引業を営んでいます。

売却物件を登録・検索できる

不動産流通機構に加入している不動産業者が売却を依頼された場合は、必要に応じて物件情報をレインズに登録し、購入を依頼されれば物件情報をレインズで検索することができます。

不動産業者は業者専用のレインズにログインして、物件の登録・検索を行います。

<業者専用画面のトップページ>

レインズは不動産業者専用のシステムのため、売却する物件の情報登録に関して、売主が行う手続きなどはありません。

すべて売却を依頼した不動産業者に任せておいて問題ありません。

過去の成約価格が確認できる

不動産業者は、レインズに登録した物件が成約した場合、成約価格などの成約情報を登録する義務を負っています。

登録された成約情報は、指定不動産流通機構によって集約され、各不動産業者へ貴重な情報として提供されています。

各不動産業者は物件の査定を依頼された場合、近隣で取引されたこれらの成約情報をもとに価格査定を行い、売出し価格などを設定することが一般的です。

この方法を取引事例比較法といい、戸建てやマンションなどの住宅を査定する時に採用される査定手法です。

取引事例比較法を用いる場合は、成約情報が多ければ多いほど緻密な査定が可能となるため、データの蓄積が非常に大切となります。

各指定不動産流通機構は、こうした過去の成約価格を一元管理することで、不動産流通マーケットの透明性の確保に努めています。

レインズで確認できる情報

レインズでは、価格、所在地、最寄り駅、面積、間取り、向き、所在階、接道方向、駐車場の有無、築年数、用途地域、設備、住宅性能など、詳細な条件によって物件の検索が可能となっています。

もちろん物件情報を登録する場合も、このような詳細情報をできる限り入力することにより、買主側不動産業者からの反響率が高くなることが期待されます。

レインズへ登録される物件とは?

物件は、レインズに登録しなければならない物件と登録しなくてもよい物件に分かれます。

その違いは、一体何に基づくものなのでしょうか。

ここでは、レインズに登録される物件について説明します。

専任媒介と専属専任のみ登録義務がある

不動産業者に売却を依頼する場合、所有者は不動産業者と媒介契約を締結します。

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

レインズへの登録義務を含めて、それぞれの媒介契約の特徴について確認してみましょう。

<媒介契約の比較表>

この比較表の通り、専任媒介契約と専属専任媒介契約を締結した場合は、宅地建物取引業法の規定によりレインズへの登録義務が発生し、専任媒介契約の場合は7営業日以内、専属専任媒介契約の場合は5営業日以内に必ず登録しなければなりません。

一般媒介の場合はレインズへの登録は任意

一般媒介契約を締結した場合、不動産業者はレインズへの登録義務はなく任意となっています。

しかし、レインズに登録することは、物件情報を不動産流通マーケットの隅々にまで発信する、ということにつながります。

そのため、一般媒介契約で売却を依頼した場合も、レインズへの登録をお願いしましょう。

媒介契約締結時に、特約事項に別途定めるとよいでしょう。

販売用図面(マイソク)や物件写真の登録

売却を依頼された不動産業者は、業界用語でいうマイソクという販売用図面を作成します。

レインズは、この販売用図面や物件写真を登録することができる仕組みになっています。

登録は任意ですが、成約に直結しますので必ず登録してもらいましょう。

ちなみに写真は10個まで登録することができます。

<レインズの図面および写真登録>

登録証明書の発行

レインズへ物件を登録すると、登録証明書が発行されます。

不動産業者はこの登録証明書を遅滞なく売主に引渡すよう定められています。

売主は、必ずこの登録証明書を受領し、内容を確認することが大切です。

万一、不動産業者が登録証明書を引渡さない場合は、契約解除を検討しましょう。

<レインズの登録証明書のサンプル>

レインズに登録されない物件とは?

専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結した場合は、すべての物件がレインズへ登録されます。

また、一般媒介契約の場合でも、他の不動産業者とのネットワークを利用した方が売れる確率が高まるため、レインズへ登録するケースが多いのですが、中にはレインズに登録されない物件もあります。

一体、そういった物件なのでしょうか?

典型的な例は、一般媒介でもすぐに売れるような魅力のある物件です。

例えば、

・駅近物件
・築浅物件
・格安物件

などの、条件のよい物件です。

なかなか売却物件が出ない人気のマンションなども含まれるでしょう。

こうした好条件の物件は、レインズに登録して他の不動産業者に情報を発信しなくても、自社で買主を見つけることが可能です。

自社で買主を見つければ、売主からも買主からも仲介手数料を受け取ることができるため、倍の売上となり不動産業者にとっては非常にメリットがあります。

この取引を両手仲介といい、売主または買主からのみ仲介手数料を受け取る取引は片手仲介といいます。

物件をレインズに登録しなければ、他の不動産業者はその物件を知ることができないため、買主に紹介される恐れはなく、両手仲介を狙って自社でじっくりと買主を見つけることができます。

このように、好条件の物件を一般媒介契約で締結した場合、レインズに登録されない可能性があります。

レインズに登録するメリット・デメリット

続いて、物件がレインズに登録されることによって生じる売主・買主双方のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

レインズに登録するメリット

まずはメリットから確認しましょう。

<レインズに登録するメリット一覧>

売主のメリットとしては、売主側不動産業者がレインズに物件情報を登録することで、全国の不動産業者にその物件情報が発信されるため、早期売却につながり売れにくい物件でも売却の可能性が高まります。

次に、売主側不動産業者が作成した販売用図面を登録できることにより、他の広告媒体にあるような文字数の制限などを受けることなく、物件の魅力や詳細な情報を十分に伝えることができます。

また、レインズに登録されている成約事例などを参照して価格設定を行うため、不動産流通マーケットに則した適正な価格で売却できることもメリットといえるでしょう。

一方、買主のメリットとしては、買主側不動産業者を通じて、リアルタイムで最新かつ正確な物件情報にもとづいて自分の希望条件に合った物件を簡単に探すことができることです。

また、すべての不動産業者がレインズの情報を共有しているため、複数の不動産業者を回る必要がないこともメリットでしょう。

レインズに登録するデメリット

反対に、レインズに登録することによるデメリットについても確認しましょう。

<レインズに登録するデメリット一覧>

まず、売主のデメリットですが、物件情報がすべての不動産業者に共有されてしまうため、無断でおとり広告などに利用されたり、知らぬ間に個人情報が漏えいしてしまったりするリスクがあります。

また、レインズでは常に物件情報が更新されていくため、ある程度日数が経つと物件情報が埋もれてしまったり、売れ残り物件として「この物件は何か問題があるのでは?」と思われてしまったりすることがあり、売れにくくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

一方、買主のデメリットとしては、前述の通り、すぐに売れてしまう好条件の物件はレインズに登録されないため、そうした物件の情報を取得するチャンスを逃す可能性があります。

レインズを利用する時の注意点

最後に、レインズを利用する場合の注意点について説明します。

登録項目を最大限入力する

レインズには、売買価格、所在地、最寄り駅、面積、間取り、築年数、階数などの一般的な情報のほかに、増改築やリフォームの履歴や年月日、接道する道路の幅員や間口、周辺環境、設備の状況や条件など、買主が事前に知っていれば有効な情報も入力できる仕組みになっています。

しかし、これらのほとんどの項目は入力任意項目のため、登録率が低い傾向があります。

登録項目はできる限り詳細に入力するよう、売却を依頼した不動産業業者に対応してもらいましょう。

販売用図面と物件写真を必ず登録する

販売用図面は不動産業者のセンスが問われるところもありますが、伝えるべき物件の情報や魅力をたくさん盛り込み、写真を多く使ってアピール力が高く、もちろん白黒でなくカラーで仕上がっていなければいけません。

<よい販売用図面の事例>

販売用図面は購入検討者が資料として手に取るものですから、非常に大切です。

そのため、販売用図面の仕上がりをチェックし、レインズへの登録も確認しましょう。

販売用図面がレインズに登録されていれば、どの不動産業者でもレインズ上からデータをダウンロードすることができますが、登録されていなければ売主側不動産業者に連絡して販売用図面を送ってもらわなければなりません。

レインズに販売用図面を登録することは、他の不動産業者の販売活動を支援し、早期売却につながりますので、必ず登録してもらいましょう。

販売用図面が登録されているか否かは、登録証明書にて確認できます。

同様に物件の写真データも最大10個まで登録することができます。

物件写真も必ず登録してもらい、他の不動産業者が物件のことを把握できる態勢を整えておくことが大切です。

広告掲載区分にも注意

レインズには「広告掲載区分」という項目があります。

これは、他の不動産業者による物件情報の不動産ポータルサイトや自社ホームページへの掲載や、新聞折込やポスティングチラシなどの広告活動の可否を示しています。

<広告掲載区分の項目>

他の不動産業者にも広告活動を行ってもらえれば、物件情報がマーケットの隅々にまで届くため、プラスの効果が期待できます。

そのため、売却の可能性を広げるためにも「広告転載区分」は基本的に「可」としておきましょう。

もし、隣近所に知られることなく売却したい場合でも、広告のやり方を工夫することで対応が可能です。

「広告掲載区分」が「可」となっているかどうかは、登録証明書では確認できないため、売却を依頼した不動産業者にレインズの物件登録画面を確認させてもらいましょう。

「不可」となっていれば、「可」に変更してもらい、どんどん情報を発信してください。

また、媒介契約締結時には広告活動についてよく相談し、レインズの広告掲載区分を決めておきましょう。

物件の囲い込みを防ぐ

不動産業者が両手仲介を狙うために、義務にもかかわらずレインズに物件情報を登録しない、登録しても販売用図面を登録しない、他の不動産業者からの問い合わせを断る、などの行為を「囲い込み」といい、業界内で問題となっています。

[su_box title=”関連記事” style=”bubbles” box_color=”#0075c2″ title_color=”#ffffff”]・不動産の売却時に要注意!「囲い込み」の実態と対策とは?[/su_box]

囲い込みは、売主にとって何のメリットもないばかりか、売却の機会損失となりますので、絶対に避けなければなりません。

そこで、囲い込みをチェックする方法について説明します。

まずは、売却を依頼した不動産業者から、必ず登録証明書を受け取ってください。

そして、「図面」の欄が「有」となっているか確認しましょう。

「無」の場合は、販売用図面が登録されていないということですので、すぐに登録してもらいましょう。

続いて、一番下の「確認用ID」と「パスワード」を確認しましょう。

一般のレインズの公式サイトより、このIDとパスワードを入力すれば、自分の物件の登録状況や取引状況が確認できます。

ここで、登録されている販売用図面も確認できますので、必ずチェックしましょう。

<登録証明書のサンプル事例>

まとめ

不動産売却における必須ツールであるレインズについて、仕組みや利用方法、メリット・デメリット、注意点などを解説しました。

不動産売却を成功させるためにはレインズを活用することが大切ですが、レインズに登録すればすべて安心というわけではありません。

やはり、売却を依頼した不動産業者のスキルや経験が重要です。

売主の味方となり、売主の立場に立ってきちんと話を聞いてくれる不動産業者と巡り合えれば、囲い込み問題などの心配もなく、後悔がない納得できる不動産売却を実現できるでしょう。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。